まつじ/ブルース5
Last-modified: Thu, 24 Mar 2022 23:55:53 JST (367d)
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そんな事があったんだってさ。と隣りのテーブルで誰かが誰かに話していたのだと、あの人が呟くように話したことがあったっけ。グラスの水はぬるい。知らない人たちが、知ったこっちゃない事を喋っている。囁いている。わめいている。知らない誰かや誰かにまぎれて、私は思い出している。指先でふれるグラスは、やはりぬるい。そんな事があったんだけど。テーブルを挟んで話しても、あなたは気のない相槌を打つばかり。いつかのテーブルの私みたい。あなたもいつか、ぬるいグラスを見つめるだろうか。そんな事があったんだってさ、と誰かがいう。いつか。
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評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第186回競作「ブルース」 / 参加作
執筆年 
2022年?
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