まつじ/スイングバイ
Last-modified: Wed, 07 Dec 2022 23:15:08 JST (109d)
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私は、貴方の目に映る文字、文字の連なり、とるに足らないこの話であるから、実体はなく、しかし物理的でなく質量・引力を持つものでもある。私や、貴方のそれぞれの引力には質の違いがあり、すべて同様には作用しないから、単純でなく、私の体のごく一部が貴方のごく一部に強い引力を持つこともある。
時間が空いたから余談をする、と国語教師が白いチョークを用い、聞いたことあるようでないような言葉を書き、図を描く。
かいつまむと、別の物体の引力によって加速または減速する作用のことであるらしい。
この挿話は、何と、どう引きあうか。
私は貴方に、どう作用するだろうか。
貴方は私に、どう作用するだろうか。
私たちの引力は、お互いに届くだろうか。
隣り合う・並列する・散在する物語・文章・文字は私に、彼らに、どう影響するだろうか。
貴方に引力が届いたなら、もしかしたらそれだけで、私も、貴方も、彼らも、生きているといえる。
少しずつ、進む方向や速度を変化させながら。
そうやって擦れ違う。
ジャンル 
物理?、引力?、文脈?、段落?、チョーク?、彼、あなた、わたし
カテゴリ 
この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第136回競作「スイングバイ」 / 参加作
執筆年 
2015年?
その他 
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