まつじ/もみじ
Last-modified: Mon, 12 Sep 2022 23:36:56 JST (193d)
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揉みますか? いや揉みません。
何の会話か、読んで字のごとく、揉むや揉まんやの問答である。
揉めば紅さす年の頃、というのは此方(こちら)の勘違いであって、さあ揉むのかどうかと云う姿に恥じらいは無し、よって昂(たかぶ)る気持ちもない。
揉みますか? いや揉みません。
アキアカネ飛ぶ。
秋染めし町にも昂る私を謗(そし)る眼には憂いもなく湿度を帯びた熱を乾かす。
おや、奮う心がなくとも、感ずる景色。
病かと思いし此の癖(へき)を鎮める、寒き少女の眼を覗く。
アキアカネ飛ぶ。
枯れた心臓を巻き戻すように、私の湿った熱を少し奪うといい。
萌える思いと、色失いし感情に、差し引き、差し挿れ、恥を知り、恥を知り。
先程は悪かった。少し、歩こう。
「なんだか、何も感じなくて。」
アキアカネ追う。
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評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第126回競作「もみじ」 / 参加作
執筆年 
2013年?
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