まつじ/引き算14
Last-modified: Tue, 10 Nov 2020 22:20:26 JST (1641d)
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いつからか何も生まれることがなくなり、ひとつひとつ、一人一人が、姿を消して、ゆっくりと数を減らしていった。
減ることだけが定められた世界は、零に向かって緩慢に進んでいた。
もはや友人も肉親も消え、昨日、飼っていた猫が突然目の前で消えた。
間もなく私も消えるのだろう。
目の前でまた、椅子が消えた。
電柱が消え、車が消え、雲が消え、最後に残った石ころが一つ消え、
それから宇宙は収縮し、後には何も残らないが、そのとき別の宇宙がどこかで生まれ、あなたが生まれたことを、あなたは知るよしもない。
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この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第36回競作「引き算」 / 参加作
執筆年 
2004年?
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