海音寺ジョー/魚と眠る

Last-modified: Tue, 26 Jan 2021 23:47:51 JST (1176d)
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 何の話をしてる最中だったか、「おれ、魚だから」と亭主が反論して、えっ人間じゃなかったの、とその時はじめて気づいた。

 そういえば、アタシが亭主の後ろで包丁でひらひらと襲いかかった時、ひーっと叫んで逃げて行ったことがあった。冗談で急襲するふりをしただけだったのに。魚眼だからきっと見えてたんだな。

 体毛が硬いのも気になってたのだが、鱗で覆われてたのだな。

「直子さんは鈍いですよ」と、周りからも言われ続けだった。

 でも、いいじゃないか。みんなナーバスでピリピリしどうしだったら、嫌な社会じゃないか。

 魚の夫は、朝に焼魚を出してたのは嫌だったのかな?共食いだしな。でも残さずおいしそうに食べてたな。魚は気にしないか。

「直子さんは、料理が上手だから」

 焼魚の件を質したら、亭主は笑って言った。

 

 せめて、魚のくせに長年優しくしてくれる亭主のために何かやってやらねばと考え、考えてウォーターベッドを通販で買った。

「うわー、これ、寝心地最高にいいね!」

「直子さんが喜んでくれるなら、それが一番だから」

 あくまでも、謙虚な夫だった。

 といっても、この内部ではアタシは寝られないから、上で一緒に寝てもらってます。たっぷん。たっぷん。

ジャンル Edit

コメディ夫婦?ご飯眠るオノマトペわたし

カテゴリ Edit

超短編/サ行

この話が含まれたまとめ Edit

評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第162回競作「魚と眠る」 / 参加作

執筆年 Edit

2018年?

その他 Edit

日刊デジタルクリエイターズ エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[61]空き家歌会の話(続・牛さんの話)魚と眠る海音寺ジョー

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