まつじ/白白白8
Last-modified: Thu, 25 Feb 2021 23:31:32 JST (1534d)
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白ほど美しい色を私は知りません。もっとも無垢で、清く、尊い。
世界のすべてが雪原となる終末を空想しながら、漂白されたシャツを畳み、漂白されたシャツを畳み、漂白されたシャツを畳んで、世界のすべてが雪原となる週末の空想を繰り返します。
シャツを畳む私の指はきちんと白くて、心が安らぎます。
私は私のいちばん好きな白色を、白いバッグに入れて持ち歩いていて、それを見るたびに心が安らぎます。外に出ると、不快な色が一斉に押し寄せてくるからです。
白い服を着た私の前で笑うあなたの口元から歯が覗きます。白い筈の歯が、醜く不快で黄色いから、私はあなたを白くしました。そうしたら、私は心が安らぎます。
通りの向こうに見える広告の、純白のウェディングドレスを纏ったモデルは、なんて無垢で、清く、美しい。
世界のすべてが私のいちばん好きな白色になる終末を空想します。
白いバッグの中に指を滑らせ、安らぎを撫でます。
白ほど美しい色を私は知りません。
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初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第180回競作「白白白」 / 参加作
執筆年 
2021年?
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