彼を訪ねたのが出発直前になってしまったのはやはり後ろめたい気持ちがあったのだろう。より優れた能力者を差し置いて遠征隊に選ばれたのはただ、この掌に眼が開いたと言うことだけなのだ。
「こればっかりはしょうがない。ここで続けていくよ。今まで通りね。それよりどうか気をつけて」
そう言ってくれたことは救いになったりならなかったりして始まったばかりの旅で不安定な心をあおった。
「因果な仕事だよねぇ、見つければそうじゃ無くなるんだから」
隣の同僚がふと洩らしたのは高度が60万ティーフス達した頃だった。もうここには純度の高い意識しか届かなくなる。集積グローブの中で眼が探索を始めるのを感じた。