ありふれたこの日常。この魂。誰もが誰かと同じようなことしか考えていないのに、自分こそが唯一無二だと信じて疑わない。周りの人間を馬鹿だ無脳だと罵り、まるで己だけが悟った仏陀であるかのように教え諭そうとする。
有り体に言えば「地獄」なのだけど、なら、これは何地獄なのか? 物の本で読み知った知識に、この地獄を表す地獄は見当たらない。
新しい地獄。new hell。
新しいことが良いことであるならば、ならば、たぶん、地獄が生まれることは良いことなのだ。地獄創成は地方創生よりも簡単で、すでにある地方を作ることは出来ないけれど、地獄には広大な未確定領域が存在する。いくらでも地獄を定義できる。ブルーオーシャンな地獄。母なる青い地獄。
未来永劫、遍く数多の地獄が生まれると考えるなら、世界はクリエイティヴでアグレッシヴなのかもしれない。
そこまで考えたら、窒息しそうなほどの苦しみが、すこしだけ楽になった。