流木は、子供が10人座れるくらい大きくて格好の遊具だった。
どこから流れ着いたのか、よくわからない。この湖はそれほど大きくない。
「地底湖と水路で繋がっていて、そこには古代から生息してる生物が今も生きてるんだよ」
「おれは10メートルぐらいの、蛇が泳いでるのを昨晩みた」
「それは水草をだな、見間違えたんだよ」
「ぼくは恐竜が首だけ出して泳いでるのをみた!」
子供たちは、そのうち流木をボートに改造して探検に行くことを思いつき、それぞれが家に帰って鑿や鋸を持ち出そうとし、親に見つかって怒られたり、そのまま晩御飯を食べてテレビをつけた。
流木は、待てども戻ってこない子供たちのことを思いながら、月光を布団のようにかぶりながら砂地に横たわって眠りにつく。