サンボとマスターは、マイナンバー詐欺で小銭を稼ぎ、江戸川区平井の漫画喫茶で寝泊まりし、その日暮らしで汲々としていた。
「このままではジリ貧ぜよ」
「一発当てて、優雅な生活をおくりたいがじゃ」
サンボとマスターはミュージシャンとしてのし上がるべく東京へ出てきたのだった。しかし、なかなか歌は売れなかったのだ。
荒川の土手ではまどかとひろしがイチャついていた。その横でけんいちがバッタを追っていた。
サンボとマスターはゴロゴロと河川敷を転がりながら、考えた。考えた末、貧乏仲間のふるたとあらたに歌詞を書いてもらおうと結論を出し、小岩の襤褸アパートに転がり込んだ。
古本の山に埋もれながら漫才の脚本を練っていたふるたとあらたは、闖入してきた二人に絶叫した。
「自分で考えろや!」
薄いガラス窓から、移動販売してる大学堂のホットドッグの歌が聞こえてきた。