四角いメガネ、二本足をした円は、仲間を探す旅に出ました。
あるとき、門に会いました。門は「我輩は、確かに君と同じ二本足である。だが、この細くて知性的な目が君とは違うのである」と偉ぶって言いました。円はたじたじとその場を離れました。
あるとき、巴に会いました。巴は「アタシは、たしかにアナタと同じ四角いメガネ。でも、そんなガニマタの二本足じゃないわ」と言いました。そこへ、ポニーテイルをした色がやって来て、巴と色は二人でニョロニョロと行ってしまいました。
円はひとりぼっちで悲しくなりました。そこへ、ほっそりとした月が通りかかりました。少し自分と似ている気がしました。けれどもこんな美しい人と仲間になれるとは思えません。ところが月は「あら、あなた、私とそっくりね」と微笑みました。「ぼくはあなたのようにスマートではありません」円はうつむきました。月は優しく笑って「またお会いしましょうね」と言いました。円は、それから毎晩、月がやってくるのを待ちました。月は、夜ごとにふっくらとしていき、やがて満月になりました。自分が円でよかった。円はそう思いました。