暗い森を甘い香りに誘われて歩いていると、ぽっかりと開けた広場にロケットが立っていた。
ロケットからバニラの香りがするので中に入ると、そこはキッチンのようだった。
『ウッデューライカッポブティ?』とロケットがアナウンスしてくる。
そうね、お茶でも飲みましょうとコンロのスイッチをひねったら、ロケットが発射してしまった。
わあ、どうしよう。
けれど燃焼系から小麦粉バター牛乳お砂糖たまごの混合液が焼けるいい匂いがしてくるので、とにかくお茶でも飲むことにした。
格納庫にオレンジペコがあった。
お湯が沸いた。
ポットとカップを温めた。
紅茶をいれた。
えーと、あとは・・・と思っていたら、ロケットがどこかの星に到着した。
デッキに出てみると、星の人たちが手を差し出して「スイーツ・プリーズ!」「スイーツ・プリーズ!」と言う。
はて、どうしたものか。
すると、ロケットが外へ向かって『スイーツ・プリーズ』とアナウンスした。
そのとたん星の人たちはロケットに群がって、あっという間に食べてしまった。
私は湯気のたつカップを持ったまま。