お腹が減った。
けれど食べる物がない。
金も、ない。
お腹が減った。
目の前にゲーム機がある。
…。
食べられるだろうか。
いや、この世に食べられない物などないはずだ。
そうだ、食べられる。これは食べられる物だ。
ぼくはゲーム機のコントローラを手に取った。
食べられる。
そっと歯をあてると、硬い。
ゆっくりと顎の力を強くした。
これは、食べられる。
唐突にコントローラが口の中で砕けると、ぼくは勢いにのってそのままそれにかぶりついたむしゃぶりついた。
うまく噛みきれないところがある。
だけど大丈夫だ。噛みきれなかったら飲んでしまえばいいんだもの。
ごくり。
結局、部屋のテレビまで食べてしまった。
お腹いっぱいだ。もう食べられない。
食休みに、四角くなった腹を天井にむけて寝転がった。
ああ、まいったな、テレビが見られないや。