タカタタカタと銃を連射する音が、さして響きもせず鳴り途切れ、途切れてはまた鳴る。
タッタカタカタ、タカタッタ。
むかしむかし町内の児童マーチングバンドが、ちまい隊列を組んで通ったことを思い出す。それから手押し車に手をかけひこひこ歩くばあさん。雨宿りの女学生。走りまわる男子たち。さびれた本屋。いかにもな不良少年。おじさんこの大根安くならないかしら。
タタタタタタタカタ。
映画館に行くにはここ、銭湯ならそこの通りを入る。まずいと評判のラーメン屋の店じまいは覚えているが、この音のはじまりはいつだったか。
タカタタタカッタタカタッタ。
あっちの端のお稲荷さんが銃撃されたのはかなしい事件だった。
タタッタタタッタ、タタッタッタ。
なんでこんなになっちゃったのか。
タカッタ、タタカッタ。
考えてもしょうのないことだけど。
タカタ。
タカタ君とあの子の相合い傘はまだ残っている。
タ。
何かがすっ飛ぶような音がして、彼らの上の天井が僕といっしょにぐわんぐわんと崩れなんもかもを潰す。
ちんどんやの、ぷえんと鳴らす音の思い出が頭に響く。
タタン。
破けた天井からはじめて空を見た。
さばさばした気分で僕の息の根は銀天街といっしょに止まる。