父さんはいつだって言うことが唐突だ。
「おれはもう鼻は使わないし、水浴びもしない、草も食わずに肉を食うぞ、肉を」
なんて言いだしたからぼくもふざけて言い返してやった。
「なんだいそりゃあ、どうせ使わないなら鼻なんかちょん切っちゃえばいいじゃない」
すると父さんは
「うむ、そうだな、それもいいかもしれん、ぶらぶら邪魔くせえ。耳もでかくてパタパタうるさいし、大体にして体がでかすぎるんだ、もっとコンパクトになりたいねコンパクトに」
だって。呆れるね。
こんなだから母さんが出てってしまうのだ。
「父さん、それはもう象じゃないですよ」
「うむ、おれは象をやめる」
付き合ってられないね、と思ってぼくは眠ってしまったのだが、それ以来父さんの姿を見ていない。