「むあ。痒い」
と体をくねらす当人の現状はというと、なんと火炙りである。
はじめはこんなではなかったんだけどなあ。
発端は、なぁんだかアタシどうにも熱くならないのよぅー、という投げやり且つ冗談のようで切実な彼女の告白で、もうちょっと加えるなら、「僕がいつか君を熱くしたげるので恋人となろうそうしよう」などと迂闊軽率を口にするような好きにもなれない男に身を委ねてみちゃったことにあるのだが、断っておくけれど、別にそれが幸せか否かの判断を我々が下しても仕方がなくって、ただ、あんなになってしまうのは端から見ていて怖いなとも思う半ば神の視点。
消し炭になった彼女の上で脱け殻となった彼はできうる限りの想いを全うしたんだろうか、羨ましいような気もせんでもないようなするようなしないような、
「ひふぁ。ちょっと、こそばいてー」
と恥ずかしそうに悶え燃える彼女の声が耳に残っている。
そんなに怖くもない。
ただ、友達がひとりいなくなっちゃったから寂しいよ私は。