それは妖怪ですか?
と、眼鏡の男が尋ねてきゃあがるので正す。
否、妖精也と。然し、応えるも相違判らず、解くにも説くにも触れた事が無ェのだ。一体、俺が信じている妖精とは何ぞや、脳の味噌が迷い惑う。勤勉が足りぬ。
男は腑に落ちない様子ではあるものの、なあんだ、と肩を落とす。
知己方々に問えば、似て、若しくは全く非なる物と云う。メルヒェンの有無と答える輩もいるが、本質ではない気がする。ま、それを探っても、結局その物の本質には辿り着かん気配もある。例えば曰く、俳句と短歌の違いようは俺にとって至極些末な問題だ。
空虚に意味を求む。
狭きに無限を見る。
妖精を採取するを欲す、己の意味は未だ解らず。
人は俺を奇人と呼ぶが、我思う、皆人は奇で妙也と。
網を持ち、罠で待ち、考え連ね、空想し、心遊ばす。
それは妖怪ですか?
否、否、妖精也。
こだわっちまうのだ。