ふむ、とコチラの総てを見通すように仕分け屋が言うのだそうだ。
仕分け屋って。商売なんだろうか。
「耳は、いいね」
あとは、やり直し。
魂的な部分でそんな経緯があってのち、かくして僕が母さんの腹から産まれ出たのだとかなんとか。
爺ちゃんは、僕に聴力がない理由を慣れない指点字でもってこっそりそのように伝え、だから俺なんかはまだまだだったのだと笑った。
ぼくの、ほかのからだは、わるいことしたの?
と訊ねたら、
まあどちらかというと、わるいことのほうが、おおかったみたいだな。
そう考えると、つくづくできたやつであったのだなあと思えて、爺ちゃんがいなくなってからも、悩んだり、岐路に立ったりしたとき、掌で包むように右と左それぞれの手で両の耳に触れる。
目を閉じて、いつもそうするのだ。