いやはや、幸運というのは掴むものではないんだなー降ってくるんだなあー、と空を仰いだのはいつの事だったか。
勝手なもので、人間、ゆとりができればカドがとれる。昔はこんなではなかったような、こんな感じだったような、どうであったか、どうでもよいような。
あぶく銭で救った女から不老不死を授けられ、また金も尽きることがない余裕綽々の生活、困ることはないし、知人を作っても先に死ぬし、物も壊れてなくなるし、すると様々が薄く平たく感ずるもので、お猪口一杯程度あったやる気も今やするっとなくなった。まあるくなって、平穏無事ブジ。
安穏が過ぎて、はじまりがどこであったかさっぱりすっかり覚えがない。今日がいつかも定かでなくて、いつやるべきこともない。
神仏に飼われているのかしらん。などと思ったこともあったが、自分が何であるかさえ、どうでもよくなりつつある。
どこが明日かも、よう分からん。