まあいつだって夢を見ているような気分でいる。
元来が寝付きの悪いほうで、四六時中眠い眠いと思う。
いつまでも起きているふうだと母がうるさかったので暗い中で本を読んでいたら、すっかり目が悪くなった。
気が付くと、ほとんどまったく睡眠をとれなくなっていた。
薬の類は効かなかった。
眠れない間のとくに夜ともなると、やることのあるなしより起きていること自体に飽きてくる。
わあい、と喜ぶことでもなし、やはり体にもよろしくないようだ。
そらそうだろう。
修学旅行の夜に、同じ部屋で寝ている友人を飲みこむ夢を見たかして目を覚ますと彼が消えていて失踪さわぎになった。
そんな調子でもろもろ、父から母までいなくなった。
みんな飲みこんだ気がする。
そういうことのあった翌日は、幾分元気になるんだ。と打ち明けると、彼女はかなしそうに笑った。
ねえ。このままじゃ、ぼくがいなくなればいいんだろうか。
どうしても我慢が出来なくなったら、わたしを飲んで。おまじないをかけてあげるから。
ある日、ぼくは一人になった布団で眼鏡をはずし仰向けになった夢を見る。
好きなものは最後にとっておきたいのだから、どうかおまじないが効くといいと思う。