夜のこの辺は、存外暗いのです。遠くでテニスをする人たちや、ビルや、ホテルの灯りがあるのだけれど、ライトアップもしてないこの時期のこの辺は、兎も角暗いのです。僕はそれが好きです。
ご主人様は、月に何度かこうやって夜の大きな公園に来ます。暗いのが良いと言います。僕も良いです。ワクワクします。だから余計に、ご主人様は夜の散歩を、広くて大きな公園にします。
時々、車のクラクションが聞こえます。歓声が聞こえます。楽器の大きな音と歌声が聞こえます。この公園は、広くて大きくて音に溢れています。
あの日の夜もそうでした。もちろん、僕は人間がなにを言っているのかわかりませんから、意味は理解していません。そもそも人間はよくわからない音を発しすぎです。素直に発声すればいいのです。
突然上がった大きな歓声に、高い木の上にいた鳥たちが、慌てて巣を飛びたつくらいに。夜散歩生活第一位はあの時でした。