海音寺ジョー/出てって の変更点

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*読む [#nc4d0fc9]
> 頭の中を小人の国に例えたら、離れ小島の地下迷宮に棲む大きな蟲、動物、いや簡単に怪物と呼べばいいんだが、そんな得体のしれないやつがアイディアなのだ。それを地下から明るみに引き出さねばならない。意識の灯りのあたる所に晒すことが出来たら、全身を震わせて「ひらめいたぞ」と叫ぼう。
>&br;
>「それで思いついたんですか?」
> 従順なふりをして、文句ばかりの子分がせっつく。
>「まだだ」
> ワシはぶっきらぼうに返す。そう簡単にこの土蔵の檻から出られるわけない。しかし脱出し、襲撃計画のことを知らせないと仲間は全滅だ。
>「兄貴」
> 子分がまた縋るような目を向ける。しかしこいつはワシの背後を見ていた。振り返ると、猫ほどのでかさのドブ鼠がヌッと居座ってる。この土蔵の主か。のけぞったワシと子分は、反射的に逃げようとし同時に壁に激突した。土壁がボコッと崩れ、庭の植え込みが覗けた。
>「何だよ、鉄格子なんかに気を取られて、こんなもろい造りだったとは」
>「兄貴、急ぎやしょう」
> 子分はワシを引き離し、ぐんぐんと距離を広げる。ワシは何だか張りつめていた気がフツと途切れてテク、テク、とゆっくり子分の後を追った。
> 逃げ去るワシらを、巨大ドブ鼠は壁の穴からじっと見送っていた。

*ジャンル [#ca8725c8]
[[クライム]]、[[サスペンス]]、[[逃げる]]、[[オノマトペ]]、[[鼠]]
*カテゴリ [#s7449b45]
[[超短編/タ行]]
*この話が含まれたまとめ [#s3331062]
すぐ読める
*評価/感想 [#m83105db]
*初出/概要 [#w97dd78b]
超短篇・500文字の心臓 / 第158回競作「[[出てって>超短編/タ行#x11cb71c]]」 / 参加作
*執筆年 [#m1ef4585]
[[2017年]]
*その他 [#n93fd0d4]

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