氷砂糖/赤いサファイア のバックアップ(No.1)
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「だめだだめだ! 赤だけはだめだ!」
機械人形の女王が自らの基板に赤い宝石を使いたいとおっしゃったとき、専属技師は大声で拒否しました。近衛兵たちが不敬罪で技師を取り押さえ、けれど女王は技師の解放を命ぜられました。
「女王のその合理的な施策や冷静な外交や、それを判断する思考回路。すべて貴女の基板に取り付けられた上等なサファイアによるものです」
そんなことは知っている、と女王は返します。
「基板のサファイアは私が加工しました。国が良くなるよう祈りながら。サファイアの硬度と強度が必要で、加工には大変な時間をかけました。全身全霊を込めた私の作品です」
技師の左手薬指にはルビーの指輪がありました。技師は指輪を撫でながら言います。彼は妻を流行り病で亡くしていました。
懐かしい気がする、欠けている部分を補えるような。女王がそうおこぼしになると、技師はうつむいて黙り込んでしまいました。
結局、技師は女王の願いを叶えました。女王は恋をし、その相手は技師でした。為政者としての務めを疎かにした女王によって国は亡びました。
かつて女王が人間だった頃、その夫は技師でした。誰もが記憶の彼方に葬り去ったことです。
ジャンル
カテゴリ
超短編のア行?
この話が含まれたまとめ
評価/感想
初出/概要
超短篇・500文字の心臓 / 第139回競作「赤いサファイア?」
執筆年
2015年?
その他
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