胡乱舎猫支店/円 のバックアップ(No.1)
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それは高度400kmの宇宙ステーションからも観測できたらしい。
女達が踊り始めた。
何時からなのかは誰もわからないし、知らないし、覚えていない。
見えない旋律に合わせた軽やかなステップの傍で所在無げな靴達が同じ様に列を成して行く。
春霞の色
南洋の色
宵闇の色
思い思いの色のフレアスカートが揺れる。同じ色は多分ひとつも無い。
忌々しげに男達は呟く。
くだらない。
地球温暖化の影響か?
これだから女は。
いつものそんな謗りにはとびきりの微笑みで返して女達は踊り続ける。
木漏れ日の森で
細波が唄う浜で
廃墟に成る街で
そういえば宇宙ステーションにも女達は居たはずなのに…。
くるりとターン。
スカートが真円になった時
消えた。
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この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第137回競作「円」 / 参加作
執筆年 
2015年?
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