海音寺ジョー/ロココのココロ
Last-modified: Wed, 24 Jun 2020 23:59:50 JST (1769d)
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新しく開発された介護ロボットは、心をもじってロココと名付けられた。
開発主任は介護士あがりのエンジニアだ。ファナック社の多関節ロボットの技術協力を経て、多機能型介助補助具として最高の仕上がりとなった。公的な援助金の問題をクリア出来れば、即座に市場に流通していくだろう。
「ついに防水仕様になりましたね」
「ああ、従来のは非実用的だったからね、こだわったんだ」
開発主任は隻眼を細め、微笑む。片方の目はかつての特養の勤務で、認知症者に杖で殴られて潰れてしまったのだ。その経験を活かし、ロココのカメラアイは強化ガラスで防護されている。
「けどロココって名前はどうかなあ」
助手は意地悪い顔で、ロコってスペイン語のスラングで気がふれてる人のことですよ、と笑う。
開発主任は笑い返して、じゃあ今の世は正常で、みんな正気って言えるのかよ、と応じる。
ロココはロココで、スイッチも入れてないのに玉眼を細め仏のように静かに笑っている。
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初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第149回競作「ロココのココロ」 / 参加作
執筆年 
2016年?
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