よもぎ/妖精をつかまえる。
Last-modified: Wed, 21 Apr 2021 23:32:03 JST (702d)
読む 
本を読んでいると、ページをめくった拍子に黒い影が逃げていくことがある。しおりに手足、のようなその影をつかまえようと思ったのは、ほんの気まぐれ。ここはひとつお気に入りの本といこうじゃないか。心をこめて声に出して読んでいく。紡がれた言葉は鎖となって宙にとぐろを巻く。物語に夢中になって、音読をしていることをすっかり忘れたころ、件の影がよぎる。すかさず鎖を投げつければ見事ぐるぐる巻きの捕獲完了。つまみあげるとぺらぺら暴れるので、足の先から冷めたコーヒーに浸けたらすっかり溶けてしまった。
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この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第120回競作「妖精をつかまえる。」 / 正選王作
執筆年 
2013年?
その他 
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