まつじ/3丁目の女
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白いブリーフの男が目の前を駆け抜けていったので、ああ春だな、と思う。
鳴りを潜めていた夜のバイク達も虫といっしょに冬の眠りから覚めたようで賑やかだし、ここのところ日中もよく晴れて、たしかに下着一枚でもいいぐらいの陽気、まあこんな輩もいるだろう。
と思うや別の男が、やはりもの凄い勢い白いブリーフのみの姿で現れ颯爽と走り去ってゆく。
何の祭だなぜ白ブリーフなのだイヤそれよりもいっそ女子は来ないだろうか。
という疑問のち妄想めいた願望がむくむくと湧いてくる。
パンツ一丁祭の二丁目の男が過ぎてからしばらく待機してみたが何もなかったが、あきらめかけたところで偶然に通りかかった友人が「いま野郎ブリーフが二人現れてさ、それでなんと聞いて驚けっつーの」などと言うのを
「三人目が女子だったのだ」
と違う友人があとを継ぐ。いつからいたのが知らんが、お前も見たのか。と思う間もなく「あ、あたしもそれ見た」「めちゃくちゃナイスバディでね」「胸、超揺れてたよね」「ちょっと痛そうだったね」お前もかお前らもか。
それから目撃者達は好き勝手騒いだのち、
「でもまあ思い返せば返すほど」
と一息置いて顔合わせ、
「滑稽だよね」
知らねっつーの。
ジャンル 
コメディ、日常、変態?、エロ?、下着?、ブリーフ?、数字、男、お前、わたし
カテゴリ 
この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第95回競作「3丁目の女」 / 参加作
執筆年 
2010年?