まつじ/眠りすぎないように11

Last-modified: Tue, 30 Nov 2021 23:55:47 JST (878d)
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 物理的な拠り所がないので、気を抜くと霧散しそうになる体である。

 宙ぶらりんの精神は誰の視覚に捉えられることもなく、どこともいえぬ空間で揺蕩い、自我を保つことがとてもむつかしい。おらは死んじまっただ。

 叱ってくれる相手もおらず、たった独りの自覚だけがある。

 なにせ身体がないのだから、周囲を知覚することもできないようだ。

 血流をめぐらせるように思考をめぐらせて、私というものをなんとか留めようとする。

 生まれてから、独りでいる。

 拠り所がないから、霧散しそうになる。

 考えることが、私の血であり肉である。

 思考を閉じたらきっと消えて失くなってしまう。

 夢見ることもなく、不安のなかを私は揺蕩っている。

ジャンル Edit

リアル孤独考えるわたし

カテゴリ Edit

超短編/ナ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第184回競作「眠りすぎないように」 / 参加作

執筆年 Edit

2021年?

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