まつじ/妖精をつかまえる。

Last-modified: Tue, 19 Jul 2022 23:32:44 JST (647d)
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 それ妖怪ですか?

 と、眼鏡の男が尋ねてきゃあがるので正す。

 否、妖精也と。然し、応えるも相違判らず、解くにも説くにも触れた事が無ェのだ。一体、俺が信じている妖精とは何ぞや、脳の味噌が迷い惑う。勤勉が足りぬ。

 男は腑に落ちない様子ではあるものの、なあんだ、と肩を落とす。

 知己方々に問えば、似て、若しくは全く非なる物と云う。メルヒェンの有無と答える輩もいるが、本質ではない気がする。ま、それを探っても、結局その物の本質には辿り着かん気配もある。例えば曰く、俳句短歌の違いようは俺にとって至極些末な問題だ。

 空虚に意味を求む。

 狭きに無限を見る。

 妖精を採取するを欲す、己の意味は未だ解らず。

 人は俺を奇人と呼ぶが、我思う、皆人は奇で妙也と。

 網を持ち、罠で待ち、考え連ね、空想し、心遊ばす。

 それ妖怪ですか?

 否、否、妖精也。

 こだわっちまうのだ。

ジャンル Edit

問答妖怪妖精些末

カテゴリ Edit

超短編/ヤ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第120回競作「妖精をつかまえる。」 / 参加作

執筆年 Edit

2013年?

その他 Edit

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