まつじ/夢の樹

Last-modified: Thu, 23 Mar 2023 23:31:31 JST (393d)
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 やけに大きく見えたのは、私が小さいせいだろうか。

 言葉を茶化してもしょうのないことと思うけれど、弄んでしまうのは知を得たつもりの者の傲りかもしんない。すなわち人心的客引きに腐心なんである。なんとも、なんとも甘いこと。

 やけに大きく見えた彼はなぜか私自身かもしれんと思えるが、それは真であっても全てではないようだ。

 すっかり枯れたふうな彼は、揺する葉すら少ない枝ぶり。

 実らぬ夢がこの体を豊かにするのだと彼がいう言葉の端は、寂しいようでもある。

 満ち足りたつもりの世界は、安らかで虚しい。なにもかもを求めるのは過ぎた願いと、人々は丸く丸くなることを選択したのだ。

 ただ、私はそれを選べない。言葉を弄って、誰かの慰めになったり傷となったりしたい気持ちが捨てられん。そう自覚するほど、おや、彼の枝先の芽が膨らむように見えて。

ジャンル Edit

隠喩言葉植物寂しい?虚しい?わたし

カテゴリ Edit

超短編/ヤ行

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選評/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第150回競作「夢の樹」/ 参加作

執筆年 Edit

2016年?

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