まつじ/化石村
Last-modified: Tue, 27 Jul 2021 23:27:31 JST (605d)
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自然現象だよ、と事も無げに言われても参ってしまう。不自然だもの。どちらかと言えば超常現象の類じゃないのか。
と思う僕をよそに彼の説明は続くのだった。
「だから、たとえば、こう、のっしのっしと君の上に堆積します、で、まあ過程はハショるとして、すると広田くんもこうなるわけですね。ほら簡単。たいへん自然。」
「ハショリ過ぎで全然仕組みが分からんのですが。」
「専門家じゃないので、こちらもそれ以上は分かりかねます。」
驚いたなあ。まさか昔の友達がホラーの世界の人だったとは。ざっと千人くらい、ずらり並んだ石村くんを見てあらためて感心する。
兄弟か親戚かと思ったが違うのだそうで
「クローン人間じゃないの?」
「うむ。たぶん。」
とんだフィールドワークになっちゃったね河合くん、と振り向くと助手の河合くんは百人の石村くんにのしのしやられ
「石村ですが何か。」
すっかり石村くんになっている。
「はっは。出来方は化石に似てるけどやはり違うなあ。この村の名前まぎらわしいなあ。イヤあながち間違ってないか、でもそしたら」どうやって読むのが正しいのかなあ、と考えるうちに次から次へ石村くんがのっしのっしのっしのっし。
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評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第61回競作「化石村」 / 参加作
執筆年 
2006年?
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