まつじ/もう寝るよ。
Last-modified: Sun, 31 Oct 2021 23:43:19 JST (1199d)
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まあいつだって夢を見ているような気分でいる。
いつまでも起きているふうだと母がうるさかったので暗い中で本を読んでいたら、すっかり目が悪くなった。
気が付くと、ほとんどまったく睡眠をとれなくなっていた。
薬の類は効かなかった。
眠れない間のとくに夜ともなると、やることのあるなしより起きていること自体に飽きてくる。
わあい、と喜ぶことでもなし、やはり体にもよろしくないようだ。
そらそうだろう。
修学旅行の夜に、同じ部屋で寝ている友人を飲みこむ夢を見たかして目を覚ますと彼が消えていて失踪さわぎになった。
そんな調子でもろもろ、父から母までいなくなった。
そういうことのあった翌日は、幾分元気になるんだ。と打ち明けると、彼女はかなしそうに笑った。
ねえ。このままじゃ、ぼくがいなくなればいいんだろうか。
どうしても我慢が出来なくなったら、わたしを飲んで。おまじないをかけてあげるから。
ある日、ぼくは一人になった布団で眼鏡をはずし仰向けになった夢を見る。
好きなものは最後にとっておきたいのだから、どうかおまじないが効くといいと思う。
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この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第90回競作「もう寝るよ。」 / 参加作
執筆年 
2009年?
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