まつじ/☆

Last-modified: Wed, 30 Jun 2021 23:15:10 JST (1021d)
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物語は、乱暴に言ってしまえば、最終的には読者が完成させるのです。



私が判りにくい死に方をしたので皆困ったようだ。



最近思い詰めていたような気がします。



誰かが言う。



何故あいつが。



他殺と決まったわけではありません。




あそこの倉庫で。



この辺も物騒だからね。



私の死についての物語が組み立てられて、時に壊されまた組み立てられていく。




暴行された形跡はありません。



じゃあなんでこいつは全裸で死んでるんだ。




私は小説を書いていました。書いても書いても上手に出来ず、少し疲れてしまったのです。



何だこれは。



遺書、にしちゃおかしいですね。



けれど私は面白い事を思い付きました。



訳が分からねえ。



読者は、作者が与えた情報を繋ぎ合わせ自らの内に物語を作るのです。




こんなのが物語なものか。




私が与えたのはただの記号。



あの紙切れに意味なんか無かったんだ。



一筆だけの、私の小説




どうかしてる。



母さんは、あれを昔私が絵に描いた星だと思うでしょうか。




奥さん、落ち着いて聞いて下さい。




それは違います。だけどそうだな、どうかたくさんの物語が生まれますように。




彼の小説は、瞬いてその願いを誰かに伝えることもない。

ジャンル Edit

物語クライムメタ読者わたし

カテゴリ Edit

超短編/その他

この話が含まれたまとめ Edit

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第55回競作「」 / 参加作

執筆年 Edit

2006年?

その他 Edit

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