まつじ/シェルター
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はいはいアタクシがそのそれ、そう、それでございやす。いやいやいやいや、職人なんてガラじゃあございませんがね、え、ナニナニ、こんな軽薄そうなやつが、そうなのか、と仰られますか、ええ、否定はしませんよどちらに関しましても。こんなでも腕は確か、お客様のご希望に沿うものをお作りいたしますそれが真心。どんな危険も侵入できないようにしてほしいということでしたので、こうね、こじゃれた会話をしているうちにたちまちお客様をがっちりガード、すごいでございましょう囲みますよ囲いますよ丈夫に丈夫に隙間なく隙間なーく、びたあーとね。出たくなったらお呼びくださればアタクシが開けますから、お気軽にどうぞなんつって、まあ、しばらく世の中の不幸や危険から逃れられるんですから、出てきたときにはそいつらにこぞって襲いかかられっちゃうかもしれませんやねナーンテ冗談ですよハッハ、はい、びたあーと閉じましたのでこれにて終了、ではでは毎度ありですイヤー今日も返事がない。便りのないのは元気な証拠、何より何より。 さあー、いらっしゃいませいらっしゃいませえ、早いよ安いよ硬いよおー。十年前と変わらぬお値段ですよおー。
ジャンル 
一行作品、いやいや、なになに、いらっしゃいませ、軽薄、わたし
カテゴリ 
この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第116回競作「シェルター」 / 参加作
執筆年 
2012年?