まつじ/あるこどものおはなし
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こどもたちは迷っていた。
道はいくつにも枝分かれしていて、どこへ辿り着くのかまるでわからない。
雑木林の中をのびるたくさんの道のうちのひとつを、こどもたちは思い思いに選んで進んだ。
けれど、こどもたちは迷っていた。
この道でいいんだろうか。
ひとりのこどもが途中で、大きな扉に出くわした。
道の上に、扉だけしかない。
おそるおそる扉をひらくとそこは、がらくたばかりがまとまりなく散らばっている白い部屋になっていた。
こどもはそこが気に入ったようで、がらくたを適当に組み立てたりして遊びはじめたのだが、やっと出来上がったのはやっぱりがらくたで、何か違うな、と、せっかく作ったのを壊して、また新しいのを作りはじめる。
作っている途中で、組み立てたがらくたがバランスを崩して倒れた。
それでもこどもは最後まで作ったが、結局気に入らなくて自分で全部壊して、もう一度作り直そうとすると、今度もがらくたは途中で崩れて、形になりそうになっては崩れた。
何度も何度もうまくいかなくて、こどもはがらくたを壊しながら暴れた。
少し、時間が止まったように動かなくなる。
そうやって、飛び散ったがらくたをしばらく眺めていた。
それから、こどもはまた静かにがらくたを拾いあつめて、壊しては組み立てて、組み立てては壊している。
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執筆年
2004年?