空虹桜/ヘリウム

Last-modified: Sun, 11 Feb 2024 23:32:33 JST (76d)
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 できるだけ軽い人間になりたかった。重力下では質量を抱えれば抱えるほど、動くのに大きなエネルギが必要になる。けれど、軽ければ同じエネルギーで高く、もしくは遠くへ行くことが出来る。

 断然、軽い方が有利なのだ。

 だから、軽量化を重ねた。必要最低限の筋肉。中空で軽量で丈夫な骨。生命を維持するだけの脳。

 浮くようになったのは台風の夜から。どれだけ軽くても、鳥ではないので翼がなければ飛ぶことは出来ないのだけど、あの日は浮くことが出来た。飛ばされてるのかもしれないけれど、強風を捕まえればどこまでも行ける気がした。

 以降は、弱い風で浮く方法を考えるようになった。ちょっとだけ弱い風。もうちょっとだけ弱い風。もうちょっと。もうちょっと!

 そうしてわたしは、吹き上げられた風に乗ってゆっくりと成層圏を離脱する。

※初稿につき、最終稿はこちら

ジャンル Edit

物理重力軽い?ちょっと?ゆっくり?わたし

カテゴリ Edit

超短編/ハ行

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初出/概要 Edit

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2023年?

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