空虹桜/ヘリウム
Last-modified: Sun, 11 Feb 2024 23:32:33 JST (453d)
読む 
できるだけ軽い人間になりたかった。重力下では質量を抱えれば抱えるほど、動くのに大きなエネルギが必要になる。けれど、軽ければ同じエネルギーで高く、もしくは遠くへ行くことが出来る。
断然、軽い方が有利なのだ。
だから、軽量化を重ねた。必要最低限の筋肉。中空で軽量で丈夫な骨。生命を維持するだけの脳。
浮くようになったのは台風の夜から。どれだけ軽くても、鳥ではないので翼がなければ飛ぶことは出来ないのだけど、あの日は浮くことが出来た。飛ばされてるのかもしれないけれど、強風を捕まえればどこまでも行ける気がした。
以降は、弱い風で浮く方法を考えるようになった。ちょっとだけ弱い風。もうちょっとだけ弱い風。もうちょっと。もうちょっと!
そうしてわたしは、吹き上げられた風に乗ってゆっくりと成層圏を離脱する。
※初稿につき、最終稿はこちら。
ジャンル 
カテゴリ 
この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
書き下ろし
執筆年 
2023年?
その他 
Counter: 187,
today: 1,
yesterday: 0