空虹桜/野音のステージ向かって真反対にある雲形池か波立つ話

Last-modified: Mon, 01 Apr 2024 23:32:40 JST (403d)
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 今日今日とて、我が池は波立つ。波立っている。とっぷり日も暮れ、鳥たちもすでに帰路へついたから、波は彼らに起こされない。おはようまでに時間はある。有り余る。

 どうやら人間どもはこの拍動を、波を、ビートと呼んでいる。甜菜ではない。天才でもない。刻まれしモノとしてのビート。

 記憶を辿ると、それは1995初夏だ。いつの間に、この国は白人の神の暦を使うようになったか知らないが、「サマージャム'95」聞こえたので1995年は間違いない。たぶん(編注 実際は1996年)

 その日は晴天だった。今までにない揺らされ方をしたのだ。過去一番の低周波だったのを覚えている。


 次の週は土砂降りだった。だから波が雨粒を喰らわんばかりに跳ねていたと覚えている。

 同じように低周波が波立たせていたが、過去一番はすでに前週だったから、そこに響いた人間の声の多さで記憶されている。

 たしかに前週も多かったが、この週はさらに多かった。男達が鬼気迫らんばかりに吠えていた。反抗する魂の欠片が、雨粒となって降り注ぎ、波を砕いた。

 けれども波は我では無く、我は砕かれず。波はまた起こり、夏を記憶し続ける。

※初稿につき、最終稿は後日公開予定。

ジャンル Edit

日比谷公園音楽??音楽天気?LB祭?さんぴんキャンプ?

カテゴリ Edit

超短編/ヤ行

この話が含まれたまとめ Edit

すぐ読める野音のステージ向かって左にある高い木の上に営巣した鳥とかの話

評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

書き下ろし

執筆年 Edit

2024年?

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