まつじ/ペパーミント症候群
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なんかしらないけど、落ち着かない気分になる。
夜眠るときに、みぞおちのあたりがもやもやしてどうにも寝つけない。
月はあんなにきれいだのに。
おひとつどうぞ、と見ず知らずの葉っぱが身を差し出していうので、ひとの家に勝手に上がりこんで何を言うのか、ひと飲みにする。
すうっとして、ようやく眠る。
ということが続いた。
もう、一と月ほど経つから、よほどよく育つらしい。
すとんと落ちた夢のなかでは猫もしゃべる。
あれって何だろうかとたずねると、かんたんに教えてくれた。
ここのところ、あいつの近くにいると妙にすうすうする、という理由で、寄りつかなくなる人がいるけれど、そんなことってあるだろうか。
とはいえ、まあ、気にすることではないと思う。
しかしむしろ、個人的にはもっとすっとしたい欲求が日々つよくなって困る。何をしたらすっとするかしら。
食事にはだいたい例の葉っぱをかける。
いまいるところが現実からちがうところへ変わってゆくような心地がする。
夜に首をのばすとてもとても背の高いキリンの上から飛びおりるときの血の気のひくような感じもわるくないなと考えながらこの体を
ペパーミント
という名の鳥に変えて、月をひと飲みにする。
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この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第97回競作「ペパーミント症候群」 / 参加作
執筆年 
2010年?