空虹桜/たおやかな捻れ

Last-modified: Thu, 25 Jun 2020 00:26:56 JST (1402d)
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 家になんていれないし、そもそもわたしの「ホーム」はここだから、わたしは宮益坂のマンボーを這い出て、渋谷駅へと下る。

 この世に溢れる正論がどれだけ正論でもわたしの生きるここでは誤っている。血のつながった人間たち(まだ生きていれば)とは一緒にいられないし、であれば、わたしわたしを受け入れてくれたセンター街や道玄坂に義を返すのが筋だ。人がまばらなオープンエアー。だから、わたしは今できることをする。

 普段なら気にも止めないゴミを拾い、鳩に餌をやり、マックを食べて、BluetoothでiPhoneとつないだスピーカーから流れるフューチャーポップで、おんなじような男女と踊る。繰り返し。日々を。日銭は道玄坂で手に入れる。

 拡散も感染も関係ない。わたしには。自己責任や若さの代償ではない。今死ぬか、後で死ぬかの差。何時死んでもいいように生きてきたら、何処で終わってもかまわない。喜び人がいても、悲しむ人はいない。肉体をむざむざと朽ちらせたら、渋谷には怒られるかもしれないけど。

「自分たちがテロリストだと思ったことはないですか?」

 マスクの下は美人だったはずのアナウンサーがアホみたいな質問を口にして、間抜け面なわたしにマイクを向ける。今さらわたしに新しい名前を付けないでくれ。ちゃんとわたしを生きて、ちゃんとわたしで死にたい。

 常に第三者なマンボーに帰って眠る

※初稿につき、最終稿はこちら

ジャンル Edit

リアル渋谷?生命孤独音楽踊る?わたしCOVID-19

カテゴリ Edit

超短編/タ行

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2020年?

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