よもぎ/じゃがいも祭り
Last-modified: Tue, 17 Nov 2020 23:24:02 JST (1634d)
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カラリと晴れた十月の朝のことだっぺ。物干に大ぎな袋を吊るしでいると向かいのじじちゃが頭の上さバケツば縛りつけて出てきたんだず。
「あんれ、じじちゃ。よぐ似合っでるね」
「まだまだ若いもんには負げられねからな」
「んでも背負いカゴ忘れでいんでねの」
「こりゃしたっけ」
じじちゃは慌でて納屋へ走っで行っだ。おぼこたちも道端でやがまし。
「これ、おめだち!グローブじゃいぐらも取れねぇぞ。アミにしどけアミに」
隣の嫁はザルば庭中にぎっしり敷き詰めでいんのだず。
「おはよさま。今年はすんごく張り切っだなっし」
「そろそろ始まるのなっし。早ぐ行ぐっぺ」
どの家のアバも祭り用のブ厚いエプロンばつけで賑やかだぁ。オド達はカゴば背負いバケツば頭にのっけで勇ましいず。
「んだらお祭りば始めます」
村長の音頭に合わせで、オド達は空高く手ば差し伸べで、アバ達はエプロンのすそば両手でグッと広げで天を見上げだ。ほしてみんなで声揃えて唱えるんだず。
「ごんざえごんざえさいさいごっつぉうおしょうしなぁ」
んで。
今年も無事にじゃがいもの雨がしごたま降ってきたんだず。おしょうしなっし。
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初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第4回トーナメント二回戦第5試合 参加作
執筆年 
2005年?
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