サイドストーリー /1st/二階堂紅丸 の変更点

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解放条件
#region
|~話数|~プレイヤー&br;ランク|~キャラクター&br;ランク|~その他|
|1話|1|1||
|2話|3|5||
|3話|4|10||
|4話|8|15||
|5話|10|20||
|6話|11|24||
|7話|13|28||
|8話|18|32||
|9話|18|36||
|10話|18|40||
|11話|21|43||
|12話|21|46||
|13話|33|49||
|14話|34|52||
|15話|40|55||
|16話|47|58||
|17話|51|61||
|18話|52|64||
|19話|52|67||
|エピローグ||70|メインストーリー4章29話読了|
|~話数|~プレイヤー&br;ランク|~キャラクター&br;ランク|~その他|
#endregion
*序章 [#preface]

**1話 [#story_01]
#region(ネタバレ注意)
|>|道場・出発前――|
|~矢吹真吾|KOFに向けて出発する前に、戸締りしてきます!|
|~草薙京|オレも行く。留守中、さっきみたいな野郎に入り込まれちゃ&br;敵わねぇからな。|
|~〇×(主人公)|あ、私も手伝います!|
|~二階堂紅丸|×ちゃんはここにいな。&br;道場に来たばかりで、右も左も分からないだろ?|
|~〇×|でも……。|
|~二階堂紅丸|開会式から戻ったら、道場の中を案内するよ。&br;それまでは任せておけばいい。|
|~〇×|は、はい……。|
|~|(開会式……&br;行くって決めたけど、やっぱり不安……。)|
|~|(招待状の差出人……ナギって、知り合いなのかな。&br;でも、心当たりはないし……。)|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~|そんな不安そうな顔をしなくても&br;俺たちがついているんだから、大丈夫だぜ。|
|~〇×|は、はい……。|
|~二階堂紅丸|ま、不安そうなキミもかわいいけどね。|
|~〇×|え?|
|~二階堂紅丸|小動物みたいで、かわいいよ。&br;でも、やっぱりかわいい子には笑っていて欲しいな。|
|~〇×|しょ、小動物ですか?|
|~二階堂紅丸|さっきも言ったけど、&br;キミみたいな可憐な人がマネージャーなら負ける気がしないぜ。|
|~|試合中は、俺から目を離さないで欲しい。&br;キミが応援してくれたら、百人力だよ。|
|~〇×|え、えっと……。|
|~二階堂紅丸|応援のお礼に、俺は全ての勝利をキミに捧げよう。&br;もちろん、受け取ってくれるよな?|
|~〇×|え、ええ?|
|~|あ、ありがとうございます……?|
|~二階堂紅丸|かわいい反応だな、子猫ちゃん。&br;これからよろしく。|
|~〇×|ひゃっ!?&br;な、何するんですか……!|
|~二階堂紅丸|何って、最上級の挨拶なんだけど。&br;お気に召さなかったかな?|
|~草薙京|紅丸、そいつをからかうのもいい加減にしろ。&br;面倒ごとはゴメンだ。|
|~二階堂紅丸|からかってはいないんだけどなぁ。&br;あ、俺も準備手伝うよ。|
|~〇×|(いきなり手の甲にキスするなんて。&br;び、びっくりした……。)|
|~矢吹真吾|大丈夫っすか?|
|~〇×|う、うん……。&br;ちょっとびっくりしただけ。|
|~矢吹真吾|……紅丸さんのこと、悪く思わないでくれたらうれしいっす。|
|~〇×|え?|
|~矢吹真吾|ちょっと軽い感じだけど、悪い人じゃないっていうか……。|
|~|きっと、紅丸さんなりに〇さんの不安を少しでも&br;軽くしようと思ってのことだと思います。|
|~〇×|……うん。|
|~|(紅丸さん、どんな人なんだろう……。)|
#endregion

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*1章 [#chapter_1]

**2話 [#story_02]
#region(ネタバレ注意)
|>|道場・朝――|
|~〇×|(いい天気……。&br;よーし、朝ご飯張り切って作らなきゃ!)|
|~〇×|(あれ……台所からいい匂いが漂ってくるような。&br;大門さん、かな?)|
|~〇×|おはようございます。|
|~二階堂紅丸|お、おはよう。もっとゆっくり寝ても良かったのに。&br;朝早いんだね。|
|~〇×|紅丸さん!? 台所で何を……?|
|~二階堂紅丸|台所ですることは、料理って相場が決まってるだろ?&br;朝食の支度をしてたんだよ。|
|~〇×|で、でも……食事の支度は私の仕事で。|
|~〇×|はっ!|
|~〇×|もしかして、&br;昨夜の私の料理が本当はおいしくなかったんじゃ……。|
|~二階堂紅丸|おいしかったよ!&br;本当に、心の底からおいしかった。|
|~〇×|じゃあ、どうして……。|
|~二階堂紅丸|×ちゃんは道場に来て、まだ間もないだろ?|
|~二階堂紅丸|それにナギとかいう野郎から&br;身に覚えのないKOFの招待状が来て不安でいっぱいだ。|
|~二階堂紅丸|そんな時に、あんまり無理してほしくなかったんだよ。&br;料理なら俺、得意だからさ。|
|~〇×|紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|ま、起きてきたんなら手伝ってくれるかい?&br;一緒においしい朝ご飯を作ろうぜ。|
|~〇×|はい!&br;朝もやっぱり魚料理ですか?|
|~二階堂紅丸|魚も肉も使うよ。&br;格闘家には良質なタンパク質が必要だからね。|
|~〇×|タンパク質……じゃあ、お汁はつみれ汁にしましょうか。&br;昨日、好評でしたし。|
|~二階堂紅丸|お、いいな!&br;じゃあ俺は鮭をさばくとしよう。|
|~〇×|鮭!? 丸々一匹ですか!?|
|~二階堂紅丸|ゴローちゃんが安かったとか言って買ってきたんだよ。&br;これぐらいなら俺がさばけるからな。|
|~〇×|すごいですね、器用……。|
|~二階堂紅丸|慣れだよ。&br;みんなよく食べるからね、さばく機会も必然的に増えるんだ。|
|~〇×|私もそんな風にさばけるようになりたいです。|
|~二階堂紅丸|それなら、俺が手取り足取り腰取り教えてやろうか?|
|~〇×|え?|
|~二階堂紅丸|……なーんてな。|
|~〇×|お願いします!|
|~二階堂紅丸|へ?|
|~〇×|あ、もしかして冗談のつもりでした? す、すみません!|
|~二階堂紅丸|いや、別に魚のさばき方くらいいつでも教えてあげるけど。|
|~〇×|あげるけど……? 何です?|
|~二階堂紅丸|……いや、みんなの為においしい料理を作りたい。&br;その気持ちはいいね! 益々気に入ったぜ!|
|~二階堂紅丸|おっと……みんなが来るまで時間がないぞ。&br;さばくのを教えるのは今度にして、準備を急ごう。|
|~〇×|はい!|
|~二階堂紅丸|あ、あと……俺が手伝ったっていうのは、あいつらには内緒な。|
|~〇×|どうしてですか?|
|~二階堂紅丸|どうしても。&br;さ、急いで準備するぞ。|
|~〇×|(紅丸さん、良い人だなぁ……。)|
#endregion

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**3話 [#story_03]
#region(ネタバレ注意)
|>|キムチームVSリョウチーム試合当日・朝――|
|~〇×|(今日は京さんたちの試合はないから観戦だけだよね。&br;荷物はこれで大丈夫なはず……。)|
|~草薙京|おい、あんた。手が空いてるなら紅丸を呼んできてくれ。|
|~〇×|紅丸さんですね、わかりました。|
|~〇×|紅丸さーん!|
|~〇×|うーん、ここにはいないみたい……。|
|~矢吹真吾|あれ、紅丸さんを探してるんすか?|
|~〇×|うん、そうなの。&br;真吾くん、見なかった?|
|~矢吹真吾|さっき道場の方に歩いて行くのを見ましたよ。&br;まだいるかはわかんないんすけど……。|
|~〇×|ありがとう! 行ってみるね。|
|~〇×|紅丸さん、いますか?|
|~〇×|あ……っ!|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~〇×|(何か考え事をしているみたい。&br;邪魔したくはないけど、京さんが呼んでるし……。)|
|~〇×|(声を掛けた方がいいよね?)|
|~〇×|あの、紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|……ああ、×ちゃんか。&br;どうしたんだい?|
|~〇×|京さんに頼まれて紅丸さんを呼びに来たんです。&br;……考え事ですか?|
|~二階堂紅丸|まあな。|
|~〇×|もしかして、ヨミさんのことですか……?|
|~二階堂紅丸|へぇ……鋭いね。|
|~〇×|さっき京さんたちと話していた時、調べたそうでしたから。&br;オフィシャルチーム、気になりますよね。|
|~二階堂紅丸|ああ、今のところ情報が少なすぎるからな。|
|~二階堂紅丸|例え表舞台に立ったことのない地下格闘家でも&br;調べればある程度の情報は上がってくる……。|
|~二階堂紅丸|いずれ戦うであろう相手だ。&br;調べておいて損はないのに、京は頭が固いぜ。|
|~〇×|でも、京さんには京さんの考えがあると思いますし……。|
|~二階堂紅丸|それもわかってるさ。&br;だけど、妙な胸騒ぎがするんだ。|
|~〇×|胸騒ぎ、ですか?|
|~二階堂紅丸|ああ、格闘家としての勘だよ。&br;あのチームには何かある。そんな気がするんだ。|
|~〇×|…………。|
|~二階堂紅丸|悪い。&br;キミを不安がらせるつもりはなかったんだ。|
|~二階堂紅丸|何でかな……。&br;×ちゃんには、つい心の内を喋っちゃうみたいだ。|
|~二階堂紅丸|キミはいつでも優しく受け止めてくれるし、&br;それに時々鋭いからね。|
|~〇×|そんな。私はただ、聞くだけしか……。|
|~二階堂紅丸|聞いてくれるだけでいいことって、意外と多いと思うよ。|
|~〇×|そうでしょうか。|
|~二階堂紅丸|そうだよ。現に俺は助かってるぜ!|
|~〇×|そう言ってくれるとうれしいです。|
|~二階堂紅丸|そういえば、京が呼んでるんだっけ?&br;きっと遅いって怒ってるぞ。|
|~〇×|あ……忘れてました!|
|~二階堂紅丸|ハハッ!&br;じゃあ、仲良く一緒に怒られに行くとしようか。|
|~〇×|はい!|

#endregion

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**4話 [#story_04]
#region(ネタバレ注意)
|>|歓迎会から帰ったあと・道場――|
|~〇×|(眠れないなぁ……。&br;今日はいろいろあったから、目が冴えちゃったのかな。)|
|~〇×|(……少し散歩してこよう。&br;道場の敷地内なら、大丈夫だよね。)|
|~〇×|気持ちいい風……。|
|~〇×|(紅丸さんと京さんは二次会から帰って来たのかな?&br;盛り上がってそうだし、まだ飲んでいるかも……。)|
|~〇×|(でも明日は試合なのに、大丈夫かな。)|
|~二階堂紅丸|おや、天女が舞い降りたのかと思ったら、×ちゃんか。&br;こんな夜中にひとり歩きなんて感心しないな。|
|~〇×|べ、紅丸さん……!?|
|~二階堂紅丸|あれ。そんなにびっくりした?|
|~〇×|その、ちょうど紅丸さんのことを考えていたので……。|
|~二階堂紅丸|……へぇ。&br;キミは本当に、……面白い子だね。|
|~〇×|面白い……ですか?|
|~二階堂紅丸|なんでもないさ。&br;それで、どうしたんだい? もう夜も遅いよ。|
|~〇×|ちょっと眠れなくて散歩してたんです。&br;敷地内なら大丈夫かなって。|
|~二階堂紅丸|眠れない時、気分転換したいのはわかるけどひとりはダメだ。&br;俺に声を掛けてくれたら、いつでもお供するよ。|
|~〇×|ありがとうございます。&br;次から、お願いするようにしますね。|
|~二階堂紅丸|ん、素直でよろしい。|
|~二階堂紅丸|今夜は風が気持ちいいね。&br;芝生に転がって、寝てしまいたいくらいだ。|
|~〇×|ふふ。気持ちよさそうですけど、風邪引きますよ?|
|~二階堂紅丸|このくらいで風邪を引くほど、やわな鍛え方はしてないよ。&br;ん-……気持ちいいなぁ。|
|~〇×|(本当に芝生に寝転がっちゃった……。)|
|~二階堂紅丸|×ちゃんもおいで。星がきれいに見えるよ。|
|~〇×|星が?|
|~〇×|うわぁ……きれいですね!|
|~二階堂紅丸|立ったまま顔を上げてちゃ首が疲れちゃうよ。&br;キミの特等席を作ってあげたから、隣においで。|
|~〇×|ええっ、そんな……。&br;うれしいですけど、紅丸さんのタオルが汚れちゃいます!|
|~二階堂紅丸|タオルが汚れたら洗濯すればいいだけだろ。&br;それとも、俺の隣にくるのはイヤなのかい?|
|~〇×|そ、そんなことは! お邪魔します……!|
|~二階堂紅丸|はい、いらっしゃい。&br;寝心地はいかがかな?|
|~〇×|え? えっと……大変よろしいです。|
|~二階堂紅丸|それは良かった。&br;ほら、上を見てごらん。|
|~〇×|うわぁ……!&br;星って、こんなにたくさん見えるんですね。|
|~二階堂紅丸|意外と見えるものだろ?|
|~〇×|はい……会社に勤めていた時は、&br;こんな風に夜空を見上げることもなかったです。|
|~二階堂紅丸|こうやって星空を眺めていると、&br;星のシャワーを浴びているみたいだよな。|
|~〇×|星のシャワー……ふふ、ロマンチストですね。|
|~二階堂紅丸|ナギの招待状よりセンスがいいだろ?|
|~〇×|ふふ、そうですね。|
|~二階堂紅丸|知ってるかい? 今見えている星の光は、&br;100年も200年も前のものなんだ。|
|~〇×|100年前の光ってことですか?|
|~二階堂紅丸|そう。宇宙の彼方で100年前に瞬いた光が、長い年月を掛け&br;地球まで届いて……俺たちの目に映っているんだ。|
|~二階堂紅丸|そんな光を浴びていると思うと、&br;自分の悩みなんてちっぽけに感じてこないか?|
|~〇×|……そうかもしれませんね。|
|~二階堂紅丸|今日は初めてKOFの試合を見たり、大勢の格闘家と食事に&br;行ったり……初めて尽くしで疲れただろ。|
|~〇×|はい……でも、楽しかったです。|
|~二階堂紅丸|よしよし、×ちゃんは本当にいい子だな。|
|~〇×|(ん……何だか急に眠たくなってきちゃった。)|
|~二階堂紅丸|明日の試合、俺たちが必ず勝つ。&br;そして勝利を小鳥のようにかわいいキミに捧げるよ。|
|~〇×|……スースー。|
|~二階堂紅丸|ん?|
|~二階堂紅丸|なんだ、眠っちゃったのか。&br;今日は疲れただろうし、無理もないな。|
|~二階堂紅丸|おやすみ、×ちゃん。良い夢を――|
#endregion

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**5話 [#story_05]
#region(ネタバレ注意)
|>|試合当日・朝――|
|~〇×|(みなさん、すごいなぁ。&br;昨日飲み会で遅かったはずなのに、朝早くから稽古して……。)|
|~〇×|(私も美味しいご飯を作って&br;みなさんをサポートしなくちゃ……!)|
|~〇×|(つみれ汁、卵焼き、焼き鮭、納豆、おひたし。&br;それに炊きたての美味しいご飯!)|
|~〇×|(あとはお漬物を出して……あれ?&br;そういえば、昨日どうやって自分の部屋に戻ったんだっけ。)|
|~〇×|…………。|
|~〇×|(ど、どうしよう!&br;昨日どうやって自分の部屋に戻ったのか記憶がない!)|
|~〇×|(昨日の夜は、眠れなくて散歩してたら紅丸さんに会って、&br;一緒に芝生の上に転がって星を眺めて……。)|
|~〇×|(ああ……そこから記憶がない!)|
|~矢吹真吾|おお、いい匂い!&br;今日の朝食もうまそうっすね!|
|~〇×|え、あ……真吾くん。|
|~矢吹真吾|あれ?&br;何だか疲れているみたいですけど、どうかしたんすか?|
|~〇×|な、何でも無いよ。大丈夫、いつも通りだから。|
|~矢吹真吾|そ、そうっすか?|
|~〇×|(記憶がないなんて、言えるわけないよ……。)|
|~草薙京|おい、真吾! シャワーを浴びたらちゃんと頭を拭けよ。&br;廊下が水浸しじゃねぇか!|
|~矢吹真吾|ああ! すんません!!&br;すぐ拭きます!|
|~草薙京|ったく……。|
|~〇×|…………。|
|~草薙京|そういや、いつの間に仲良くなったんだ?|
|~〇×|え? あ、京さん……。&br;仲良くなったって、何のことですか?|
|~草薙京|紅丸とのことだ。&br;昨夜、紅丸に抱えられてただろ。|
|~〇×|抱えられ……ああ――――っ!|
|~草薙京|!?&br;な、なんだよ。急に大声を出して……。|
|~〇×|(そ、そうだ……私、星空を見ながら寝ちゃったんだ。&br;それで紅丸さんが私を部屋まで……。)|
|~〇×|(私ってば、何て醜態を……。)|
|~草薙京|×?&br;おい、あんた。大丈夫か?|
|~二階堂紅丸|ふぅ……水もしたたるいい男とは今の俺の為にある言葉だぜ。|
|~草薙京|はぁ……。|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、どうかしたのか?&br;もしや、俺の美しさにあてられたのかい?|
|~草薙京|アホか!&br;……お前、昨日こいつを部屋まで運んでただろ?|
|~二階堂紅丸|ああ、それがどうかしたのか?|
|~草薙京|念の為聞くが、何もしなかっただろうな?&br;これ以上の面倒ごとはゴメンだぜ。|
|~二階堂紅丸|この俺が、眠っているレディーに手を出すような男に&br;見えるか?|
|~草薙京|……それならいいけどよ。|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、お茶がいい? それともコーヒーかな?|
|~〇×|あ……お茶でお願いします。|
|~二階堂紅丸|お茶ね、了解。|
|~〇×|あの、紅丸さん。&br;昨日は、その……すみませんでした。|
|~二階堂紅丸|ん? ああ、寝ちゃったことなら気にしないでいいよ。|
|~〇×|でも、部屋まで運んでもらってしまって……。&br;私、重いのに……。|
|~二階堂紅丸|そんなこと気にするもんじゃないさ。|
|~二階堂紅丸|それより、可愛い寝顔を拝ませてもらって役得だったよ。|
|~〇×|ひぇぇぇ……!|
|~二階堂紅丸|さ、お茶も入ったしご飯にしよう。&br;真吾、ご飯をよそってくれるか?|
|~矢吹真吾|はいっす!|
|~〇×|(すごく迷惑を掛けてしまったのに……。&br;紅丸さん、私が気にしないようにしてくれてるみたい。)|
|~〇×|(優しいなぁ……。)|
#endregion

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**6話 [#story_06]
#region(ネタバレ注意)
|>|KOF会場――|
|~〇×|(京さんも、紅丸さんも、真吾くんもすごかったなぁ……。&br;KOFの戦いって、見てるこっちまでドキドキしちゃう。)|
|~〇×|あ、いけない!&br;控え室に戻って、いろいろ準備しないと……!|
|~〇×|(えっと……荷物は、これとこれと……あと、これかな。&br;う、結構重いかも……。)|
|~〇×|(でも、これもマネージャーの仕事なんだし、&br;頑張らないと!)|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、持つよ。|
|~〇×|えっ、紅丸さん!?|
|~二階堂紅丸|レディーの細腕で持てる荷物じゃないだろ?&br;こういう時は俺を頼りな。|
|~〇×|で、でも……勝利インタビュー始まっちゃいます。&br;ここは大丈夫ですから、行ってください。|
|~二階堂紅丸|勝利インタビューなんて、&br;KOF開催中は何度も受けることになるんだ。|
|~二階堂紅丸|だから、今はこっちが優先。わかった?|
|~〇×|(すごい自信……。&br;それだけの実力を持っているからこそ言えるんだろうな。)|
|~〇×|(甘えてもいいのかな……。)|
|~二階堂紅丸|ほら、道の真ん中で俺に見とれてちゃ危ないぜ。&br;×ちゃんは壁側を歩きな。|
|~〇×|あ、ありがとうございます。|
|~二階堂紅丸|それで、どうだったかな? 華麗に戦う俺の姿は……。|
|~〇×|すごく格好よかったです!|
|~二階堂紅丸|ん、キミのその笑顔を見る為に戦ったんだよ。&br;その瞳に俺だけを映してほしくてね。|
|~〇×|え、えっと……。|
|~二階堂紅丸|キミは、かわいいな。|
|~〇×|(そんなこと言われたら返答に困るよ……!&br;……でも、心地いいのはどうして?)|
|~ファンA|ああっ、紅丸様! どうしてこんなところに!?|
|~ファンB|試合、見ました!&br;かっこよすぎて、天にも昇る気持ちでしたわ!|
|~二階堂紅丸|サンキュー、子猫ちゃんたち。|
|~ファンA|はぁぁん、紅丸様のウインクが……。|
|~ファンB|素敵すぎますぅぅ。|
|~ファンA|……ところで、その女は何です?&br;見ない顔ですね。|
|~ファンB|新しい紅丸様のファン?&br;それなら、私たち紅丸様ファンクラブを通してくださいな!|
|~二階堂紅丸|ハハッ。&br;この子は俺たち京チームのマネージャーだよ。|
|~二階堂紅丸|栄養管理や雑務まで、色々な仕事をやってもらってるんだ。|
|~ファンA|そうでしたの!&br;紅丸様の特別ではなく……マネージャーでしたのね!|
|~ファンB|それでしたら、写真撮影をお願いできます?&br;紅丸様、いいですか?|
|~二階堂紅丸|もちろん。&br;かわいい子猫ちゃんにせがまれちゃ、ノーとは言えないさ。|
|~ファンB|やーん、紅丸様ったら。&br;はい、カメラ。落とさないよう注意してくださいね?|
|~〇×|は、はい……。|
|~〇×|(一眼レフカメラ……すごく高そう。)|
|~ファンB|紅丸様、私たちを持ち上げてくださらない?|
|~ファンA|いいですわね! お願いしますわ!|
|~二階堂紅丸|はいはい、お姫様|
|~ファンA&B|きゃあっ♪|
|~〇×|撮りますね! はい、チーズ……!|
|~〇×|(……あれ? 胸が痛い?)|
|~ファンB|ありがとうございますぅ。&br;きゃぁ、素敵な写真! 宝物にしますね!|
|~〇×|(私……どうして、こんなに胸が痛むの?)|
#endregion

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**7話 [#story_07]
#region(ネタバレ注意)
|>|母屋・早朝――|
|~〇×|(鳥の声が聞こえる……。もう朝なんだ。&br;起きて、朝食を作ろう。)|
|~〇×|(昨夜は遅くまで盛り上がっていたみたい。)|
|~〇×|(それでも、いつも通りの時間に朝練をするんだから、&br;格闘家って、すごいなぁ。)|
|~〇×|(朝食のメニューは、つみれ汁、メインがサケの塩焼き。&br;小鉢は、ひじきの煮物と切り干し大根の煮物でいいかな?)|
|~〇×|(そういえばテリーさんたち、朝に和食って大丈夫なのかな?&br;パンの方がいいのかも? うーん……。)|
|~〇×|(でも、和食と洋食両方作るのは大変だし……。)|
|~二階堂紅丸|おはよう、×ちゃん。|
|~〇×|あ、おはようございます。&br;って……どうして裸なんですか!?|
|~二階堂紅丸|裸って……上半身だけだろ?&br;髪を乾かさないうちにシャツを着るのは嫌いなんだよ。|
|~〇×|確かに服が濡れちゃいますけど……。|
|~二階堂紅丸|だろ?&br;それに、×ちゃんになら見られても構わないぜ?|
|~二階堂紅丸|ふふ、上半身くらいで大げさだよ。|
|~〇×|(そう言われても、目のやり場に困っちゃう。&br;確かにすごくきれいな上半身だけど……。)|
|~二階堂紅丸|お、見るのに抵抗なくなったかな?|
|~〇×|ち、違います!|
|~二階堂紅丸|でも、海に行けば男なんて海パン一枚だけだし、&br;KOFの大会でもズボンだけの選手もいるぜ?|
|~二階堂紅丸|初(うぶ)なのもかわいいけどさ。&br;これくらい慣れておかないと、大変だぜ?|
|~〇×|は、はい……。|
|~〇×|(私だって海やプールにくらい行ったことあるし、&br;その時は照れたりしなかったのに……。)|
|~〇×|(こんなにドキドキしちゃうのは、紅丸さんだから……?)|
|~二階堂紅丸|朝食の支度だよね?|
|~〇×|えっ!? あ……はい。&br;和食でいいのか、洋食がいいのか悩み所なんですけど。|
|~二階堂紅丸|ん-……別にいつも通り和食でいいんじゃないかな?&br;あいつらに気を遣うことないって。|
|~二階堂紅丸|それより……料理を手伝うからさ、&br;ちょっと俺のお願いも聞いてくれないかな?|
|~〇×|お願い……ですか?|
|~二階堂紅丸|そ。&br;毎朝、髪のセットするの……ひとりじゃ大変なんだよな。|
|~〇×|あ、確かに大変そうです。|
|~二階堂紅丸|だろ? あの髪形は俺のアイデンティティだからね。&br;バッチリ決めたいんだ。手伝ってくれるかい?|
|~〇×|はい。……でも服は着てくださいね?|
|~二階堂紅丸|ハハッ、こだわるな!|
|~〇×|だって……。|
|~〇×|(ドキドキしちゃう。)|
|~二階堂紅丸|わかったよ、プリンセスの仰せのままに。|
|~〇×|あの髪形って、セットにどれくらいの時間がかかるんですか?|
|~二階堂紅丸|んー……だいたい一時間くらいかな?|
|~〇×|い、一時間ですか!?|
|~二階堂紅丸|あの髪形は、&br;俺にとっちゃ戦う為の儀式みたいなもんだからな。|
|~二階堂紅丸|妥協は一切しない。&br;バッチリ決まらないと、試合相手にも申し訳ないだろ?|
|~〇×|そういうものですか……。|
|~〇×|(髪を下ろしてる紅丸さんも素敵だけどな……。)|
|~二階堂紅丸|ああ。KOFに行くからには、セットは必須。&br;バッチリ頼むぜ、マネージャー。|
|~〇×|はい、頑張ります!|
#endregion

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*2章 [#chapter_2]

**8話 [#story_08]
#region(ネタバレ注意)
|>|母屋・夕方――|
|~〇×|(腹が減っては、冷静に判断を下せないってことで&br;先に食事をすることになったんだけど……。)|
|~矢吹真吾|〇さん、おかわりお願いします!|
|~二階堂紅丸|ん……このだし巻き卵も最高だよ。&br;可憐な人が作ると、食事まで華やかになるんだな。|
|~テリー・ボガード|おお! この魚、うまいな。焼き具合も最高だぜ!|
|~アンディ・ボガード|アジという魚だよ、兄さん。|
|~ジョー・東|納豆のおやきっつーのも最高だぜ!&br;×ちゃんって、本当に料理が上手いんだな。|
|~〇×|あ、ありがとうございます。|
|~草薙京|飯、まだあるか?|
|~〇×|もちろんです。&br;大盛りでいいですか?|
|~草薙京|ああ、わかってるじゃねぇか。|
|~〇×|(あんな力を使っちゃった後なのに、みなさんすごく普通……。&br;というか、普通すぎる……。)|
|~〇×|(敢えてそう振る舞ってくれているのかも……。)|
|~〇×|はい、ご飯大盛りです。|
|~草薙京|お、サンキュ。|
|~〇×|きゃっ!|
|~草薙京|おっと……。|
|~矢吹真吾|さすが草薙さん、ナイスキャッチです!|
|~草薙京|……どうした? 虫でもいたのか?|
|~〇×|い、いえ……何でもありません。&br;すみませんでした。|
|~草薙京|別にいいけどよ。&br;急に悲鳴あげられたら、びっくりすんだろうが。|
|~〇×|そ、そうですよね……。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~〇×|話し合いの前に、ざっと片付けてきますね。|
|~草薙京|ああ。|
|~二階堂紅丸|手伝うよ。|
|~〇×|えっ、大丈夫ですよ。&br;これはマネージャーである私の仕事で……。|
|~二階堂紅丸|いいから。&br;手伝った方が早く終わるだろ。|
|~包|僕も手伝うよ!|
|~二階堂紅丸|俺と×ちゃんでやるから大丈夫だ。&br;お前は、これからの話し合いの準備をしておいてくれ。|
|~包|はーい!|
|~〇×|紅丸さんも話し合いの準備をしてくださって大丈夫ですよ?&br;ここはひとりでも……。|
|~二階堂紅丸|ひとりよりふたりの方がいいだろ。&br;食器は俺が運ぶから、キミは洗い物担当な。|
|~〇×|……わかりました。ありがとうございます。|
|~二階堂紅丸|ん、素直でよろしい。|
|~〇×|ふー……終わりました!&br;紅丸さんのおかげで、捗りました。|
|~〇×|あ、お皿を一枚しまい忘れてました!&br;きゃっ!|
|~二階堂紅丸|危ない!|
|~二階堂紅丸|ふー……危ないところだったな。&br;危うく食器棚に顔面強打するところだったぜ?|
|~〇×|すみません! ありがとうございますっ!|
|~二階堂紅丸|ん? なんでそんなにすぐ俺から離れようとするのかな?|
|~〇×|えっ……。|
|~二階堂紅丸|俺が気づいてないとでも思ってたのか?&br;さっきから、俺たちに触れないよう気をつけてただろ。|
|~二階堂紅丸|なぜだ?|
|~〇×|……ご、ごめんなさい。|
|~二階堂紅丸|…………悪い、脅かすつもりはなかったんだ。&br;ただ、急に接触を避けるからさ、なんでかなって。|
|~〇×|私、そんなに露骨でしたか……?|
|~二階堂紅丸|いや、自然に振る舞えてたと思うぜ?&br;ただし……俺の目は誤魔化せなかったけどな。|
|~〇×|…………。|
|~二階堂紅丸|どうして、避けたりしたんだい?&br;俺にも話せないこと?|
|~〇×|…………から。|
|~二階堂紅丸|ん?|
|~〇×|私……気味が悪いから。|
|~二階堂紅丸|は?|
|~〇×|だって、あんな得体の知れない力が&br;手のひらからでたんですよ?|
|~〇×|みなさん普通に接してくれていましたけど&br;気味が悪くないわけがないです……。|
|~二階堂紅丸|×ちゃん。|
|~〇×|ダメです、手に触らないで。&br;もし何か変なことになったりでもしたら……!|
|~二階堂紅丸|変なことになんてならないよ。&br;こんな可愛い手のどこが気味悪いって言うのさ。|
|~〇×|あ、危ないですよ……。|
|~二階堂紅丸|危なくないよ。&br;そんなに言うなら、ほら――|
|~二階堂紅丸|こうやって、手を握っておいてあげる。|
|~〇×|べ、紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|ね、どこも気味悪くなんてない。&br;力があってもなくてもキミはキミじゃないか。|
|~二階堂紅丸|今後、×ちゃんがどうなろうと、&br;俺がキミを嫌いになることなんてないよ。|
|~二階堂紅丸|例え、天地がひっくり返ろうとね。|
|~〇×|紅丸さん……!|
|~〇×|私、本当に気味悪くないですか?|
|~二階堂紅丸|まだ言うの?&br;手を握るので足りないなら、キスしようか?|
|~〇×|え……! そ、それはちょっと……。|
|~二階堂紅丸|ハハッ! 大丈夫、キミは気味悪くなんてない。&br;とっても魅力的で頑張り屋の可憐な女性さ。|
|~〇×|(不安な気持ちは完全には消えないけど……。&br;でも、すごく気持ちが楽になった気がする。)|
|~〇×|……ありがとうございます、紅丸さん。|
|~二階堂紅丸|俺は何もしてないよ。|
|~二階堂紅丸|じゃ、そろそろ行こうか。&br;話し合いからは逃げられないからね。|
|~〇×|はい!|
#endregion

//----------
**9話 [#story_09]
#region(ネタバレ注意)
|>|母屋・夜――|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、ちょっといい?|
|~〇×|え? あ……はい。|
|~〇×|(なんだろう?)|
|~矢吹真吾|紅丸さん、どうかしたんですか?|
|~二階堂紅丸|ん、ちょっとな。|
|~二階堂紅丸|……×ちゃん、足に怪我してるだろ。|
|~〇×|えっ!?|
|~二階堂紅丸|さっきつまずいた時に、足首でも捻ったんじゃないか?&br;右足を少し引きずってるぜ。|
|~二階堂紅丸|見せてみろ。|
|~〇×|はい……。|
|~〇×|(確かにさっき、少し捻っちゃったけど……。&br;もうあまり痛くないのに……紅丸さん、よく気づいたなぁ。)|
|~〇×|(それだけ、見てくれてるってこと?&br;ううん、そんな……自意識過剰だよ。)|
|~二階堂紅丸|やっぱり捻ってるな……。&br;一度医者に診てもらって、早めに治しておいた方がいい。|
|~〇×|お医者さん!? このくらい放っておいても治りますよ。|
|~二階堂紅丸|バカだなぁ……。&br;こういう怪我こそ、初めの処置が大事なんだ。|
|~二階堂紅丸|放っておいて、もう一度捻ったりしてみろ。&br;かなり長引くぞ。|
|~〇×|う……。|
|~二階堂紅丸|ナギがこのまま引き下がるとも思えない。&br;走って逃げなければいけない状況に陥る可能性だってある。|
|~二階堂紅丸|その時、大人しく俺に担がれるならいいが……。&br;運悪くひとりだったらどうする。|
|~〇×|……痛くても走って逃げます。|
|~二階堂紅丸|ハハッ、その度胸はいいな!&br;だけど、治せるもんは治しておこうぜ。|
|~二階堂紅丸|その方が、俺もキミも他のメンバーだって安心だ。|
|~二階堂紅丸|京に伝えてくるから、ちょっと待ってな。|
|~〇×|……はい。|
|~〇×|(捻っちゃったくらいで病院へ行くなんて……。&br;でも、紅丸さんが言うことは正しい。)|
|~〇×|(病院で診てもらって、早く治そう。)|
|~二階堂紅丸|ついたぜ。&br;ここ、オレのかかりつけの医者がいる病院なんだ。|
|~〇×|紅丸さんの……?|
|~二階堂紅丸|KOFで戦えば、大なり小なり怪我はするものだからな。&br;ついておいで。|
|~〇×|はい。|
|~二階堂紅丸|この部屋だ。&br;先生、入るぜ。|
|~医者|こんばんは、紅丸くん。&br;後ろにいるのが、今夜の患者さんかな?|
|~二階堂紅丸|ああ。|
|~〇×|〇×です。よろしくお願いします。|
|~医者|礼儀正しいお嬢さんだ。&br;それで、ケガは?|
|~〇×|えっと……足を捻っただけで、大したことないんですけど。|
|~二階堂紅丸|いろいろと事情があってな。&br;いつでも全力で走れるように調整してやって欲しいんだ。|
|~医者|陸上の選手か何かなのかい?|
|~〇×|い、いえ……そうではなく……。|
|~医者|うん?|
|~二階堂紅丸|とにかく、痛みを軽減させて欲しいのと、&br;治りやすくしてやって欲しいんだ。先生にならできるだろ?|
|~医者|まあ、できるけど……。|
|~二階堂紅丸|何も聞かずに、やってくれ。|
|~医者|……わかったよ。&br;ちょっと治療するから、君は外に出て待っててくれ。|
|~二階堂紅丸|わかった。|
|~医者|くくく……面白いね。&br;このくらいの怪我であんなにムキになる彼は初めて見たよ!|
|~〇×|す、すみません……。|
|~医者|どうして謝るの。大切にされてるってことだろ。&br;君は彼の恋人かな?|
|~〇×|いえ、違います。|
|~医者|じゃあ、あいつの片思いかな?|
|~〇×|え……そんなことないと思います。|
|~医者|どうしてそう思うんだい?|
|~〇×|だって紅丸さんは、女の子みんなに優しいし……。&br;少し優しくしてもらったからって特別なんて……。|
|~医者|ハハ、もっと自信を持ったらいいのに。|
|~医者|確かにあいつは女の子には平等に優しいヤツだけど、&br;ここへ連れてきた女の子は、君が初めてだよ。|
|~〇×|え……。|
#endregion

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**10話 [#story_10]
#region(ネタバレ注意)
|>|渋谷・夜――|
|~〇×|あの、紅丸さん! 私……歩けますから!|
|~二階堂紅丸|ダーメ。足首を捻挫してるんだ、歩かせられないよ。&br;先生だって、しばらく安静にって言ってただろ?|
|~〇×|でも、軽い捻挫って言ってましたし……。|
|~二階堂紅丸|あの先生、とんでもなく腕がいいからさ。&br;固定してもらったまま一晩寝れば大分動かせるようになる。|
|~二階堂紅丸|だから、今は我慢して俺におんぶされてな。|
|~〇×|が、我慢だなんて……。|
|~二階堂紅丸|それともお姫様抱っこの方が良かったかな?|
|~〇×|そ、そんなことないです!|
|~〇×|(お姫様抱っこなんて、もっと恥ずかしい……。&br;だって、お互いの顔が見えちゃう……。)|
|~〇×|(ああ、想像しただけで恥ずかしくなってきちゃった。)|
|~二階堂紅丸|……お、雨が強くなってきた。傘ちゃんと差しとけよ。&br;濡れて風邪でも引いたら、大変だぜ?|
|~〇×|はい……。|
|~〇×|(紅丸さんも濡れないように……。)|
|~二階堂紅丸|俺はいいから、×ちゃんが濡れないように差しな。|
|~〇×|でも、これくらいしかできないから……。&br;せめて紅丸さんが濡れないようにしたいです。|
|~二階堂紅丸|……それなら、もっとぎゅってくっついてよ。&br;こうすればふたりで傘に入っていられるだろ?|
|~〇×|……は、はい。|
|~〇×|(恥ずかしいなんて言ってる場合じゃないよね……。&br;紅丸さんの背中……広くて温かい。)|
|~二階堂紅丸|よしよし……素直でいい子だ。|
|~二階堂紅丸|怪我も大したことなくて良かったよ。&br;次からは少しでもおかしいって思ったら、すぐ俺に言えよ?|
|~〇×|次って……そんな頻繁にケガなんてしませんよ。|
|~二階堂紅丸|……わからないぜ。|
|~二階堂紅丸|×ちゃんに何かしらの力が目覚めた今、&br;状況はきっと目まぐるしく変わっていく。|
|~二階堂紅丸|そんな気がするんだ。|
|~〇×|KOF……どうなるんでしょう。|
|~二階堂紅丸|なるようになるさ。&br;×ちゃんは、俺たちについてくればいい。|
|~二階堂紅丸|俺たちのチームのマネージャーなんだからな。|
|~〇×|はい。|
|~二階堂紅丸|それより、今日は疲れただろ。&br;背中で寝てていいぜ。ちゃんと部屋まで運んであげるからさ。|
|~〇×|だ、大丈夫です。起きてますから。|
|~二階堂紅丸|いいから。遠慮せず、寝てな。|
|~〇×|(そんなこと言われても……。&br;ドキドキしすぎて眠るなんて無理です……!)|
|~二階堂紅丸|ん? どうかした?|
|~〇×|な、なんでもありません……!|
#endregion

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**11話 [#story_11]
#region(ネタバレ注意)
|>|母屋・夜――|
|~ビリー・カーン|おい、ちょっといいか?|
|~草薙京|ああ?|
|~〇×|ビリーさん、傷の手当てをしないと……。|
|~ビリー・カーン|便所だ。&br;すぐ戻るから、ちょっと待っててくれ。|
|~〇×|す、すみません!&br;ゆっくり行ってきてください。|
|~ビリー・カーン|おう。|
|~矢吹真吾|あの、ビリーさん。便所はこっちじゃないですよ?|
|~ビリー・カーン|るせーな。&br;便所はあの嬢ちゃんから離れる言い訳だ。|
|~ビリー・カーン|女じゃあるめぇし、仲良しこよしで便所に行く訳ねぇだろ。|
|~二階堂紅丸|……それで、話とは何だ?|
|~草薙京|くだらねぇ話じゃねぇだろうな。|
|~ビリー・カーン|……明日、KOF開催者たちのパーティーが開かれる。&br;この状況下だが、説明も兼ねて続行だそうだ。|
|~ビリー・カーン|こっちからナギに近づけるチャンスは滅多にねぇ。&br;諸々探るには打って付けだ。|
|~二階堂紅丸|……なるほどね。|
|~草薙京|探るにしても、敵の手の内だ。&br;リスクの方がデカいんじゃねぇか?|
|~二階堂紅丸|虎穴に入らずんば虎子を得ず……だろ。|
|~草薙京|まあ、そうとも言うが……。|
|~二階堂紅丸|心配しなくとも忍び込むなんてマネはしないよ。|
|~矢吹真吾|じゃあ、どうするんですか?|
|~二階堂紅丸|正規の招待状を手に入れる。|
|~矢吹真吾|え、手に入るんですか!?|
|~二階堂紅丸|うちの財閥をなめてもらっちゃ困るな。&br;すぐに手配しよう。|
|~ビリー・カーン|アンタらに話して正解だったな。&br;頼むぜ。|
|>|母屋・朝――|
|~〇×|(朝ご飯の準備もバッチリ。&br;みなさんを呼びに行かなくちゃ……。)|
|~〇×|あ、真吾く……。|
|~矢吹真吾|紅丸さん! 例の招待状、届いたっすよ!|
|~二階堂紅丸|おう、サンキュ!|
|~〇×|……例の招待状って、何のことですか?|
|~二階堂紅丸|×ちゃん……。|
|~矢吹真吾|えっと、これは紅丸さんの好きなアーティストの&br;ライブの招待状でして!|
|~〇×|こんな時にライブですか……?|
|~矢吹真吾|う!|
|~二階堂紅丸|その言い訳は下手すぎるだろ。|
|~矢吹真吾|だって、招待状といえばライブくらいしか思いつかなくて。&br;あとKOFとか……。|
|~二階堂紅丸|はー……ったく、しょうがねぇな。|
|~二階堂紅丸|実は,KOF開催者たちのパーティーが今夜開かれる。&br;きっとナギとヨミも来るだろう。|
|~〇×|ナギさんとヨミさんが来る……。&br;そのパーティーの招待状ですか?|
|~二階堂紅丸|ああ。|
|~矢吹真吾|ナギとヨミのこと……あと、〇さんの力についても&br;可能な限り調べてきますね!|
|~〇×|……私も連れて行ってください!|
|~矢吹真吾|ええ!?|
|~〇×|だって、私のことですよね……?&br;それなのにただ待ってるだけなんてできません。|
|~二階堂紅丸|ダメだ。|
|~二階堂紅丸|パーティーと言えば聞こえはいいが、KOF開催者たちが&br;一堂に会するんだ。何が起こるかわからない。|
|~二階堂紅丸|そんなところに可愛いキミを連れていける訳がないだろ。|
|~〇×|でも……もしかしたら開催者のみなさんも&br;ビリーさんたちみたいに洗脳されてるかもしれません。|
|~〇×|私なら、みなさんを元に戻すことができます!&br;お願いです、連れて行ってください。|
|~二階堂紅丸|……キミに危険な思いをして欲しくないんだ。&br;わかってくれ。|
|~〇×|紅丸さんが優しいのはわかっています。&br;でも……嫌な予感がするんです。|
|~二階堂紅丸|………………。|
|~〇×|紅丸さん。|
|~二階堂紅丸|……わかったよ、キミには敵わないな。|
|~〇×|あ、ありがとうございます!|
|~二階堂紅丸|その代わり、俺の傍を決して離れないこと。&br;あと、今日中にパーティーのマナーなどを覚えること。|
|~二階堂紅丸|いいね?|
|~〇×|はい!|
|~二階堂紅丸|着いたよ、入って。|
|~〇×|え……ここですか?|
|~〇×|(た、高そうなお店……。)|
|~二階堂紅丸|そうだよ。&br;はい、どうぞ……プリンセス。|
|~〇×|あ、ありがとうございます。|
|~〇×|うわぁ……素敵なお店!|
|~オーナー|いらっしゃいませ。&br;嬉しいお言葉、ありがとうございます。|
|~二階堂紅丸|オーナー、久しぶり。&br;電話で話した通り、この子を変身させて欲しいんだ。|
|~オーナー|パーティーに出席できるように、でしたわね。&br;お任せ下さいませ。|
|~二階堂紅丸|サンキュ。さあ、プリンセス。&br;俺はここで待っているから、行っておいで。|
|~〇×|は、はい……。|
|~〇×|(こんなに素敵なドレス、初めて着た……。&br;メイクもアクセサリーも……自分じゃないみたい。)|
|~オーナー|はい、できましたわ。&br;二階堂様にお披露目と参りましょう。|
|~〇×|は、はい……。|
|~〇×|(緊張する……。)|
|~〇×|べ、紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~〇×|紅丸さん?|
|~二階堂紅丸|あ……いや、あまりにもキレイで言葉を失っていたよ。&br;どこの花の妖精かと思ってしまったくらいさ。|
|~〇×|そ、そんな……。|
|~二階堂紅丸|ありがとう、オーナー。&br;じゃあ、行こうか。|
|~〇×|あの、この服は……!?|
|~二階堂紅丸|俺からキミへのプレゼント。&br;さ、他にもしなければいけないことは山積みだ。|
|~二階堂紅丸|次は食事のマナーを学びに、レストランだよ。|
|~〇×|は、はい……! よろしくお願いします!|
|~二階堂紅丸|食事のマナー、立ち振る舞いは、こんなもんで大丈夫だろ。&br;あとは……社交ダンスだな。|
|~〇×|社交ダンス……ですか?|
|~二階堂紅丸|パーティーに出席するなら、絶対に踊れないと。&br;俺が教えるから、その通りに動いてみて。|
|~〇×|は、はい……!|
|~〇×|(社交ダンスなんて、初めて……。私にできるのかな。)|
|~二階堂紅丸|右手は繋いで、左手は俺の肩において。&br;まずは基本のステップから。|
|~二階堂紅丸|ワン・ツー、ワン・ツー……っ!|
|~〇×|す、すみません!|
|~二階堂紅丸|ノープロブレム。初めの頃は誰でも相手の足を踏むものだ。&br;気にせず、もう一度いくよ。|
|~二階堂紅丸|ワン・ツー、ワン・ツー……そう、その調子。|
|~〇×|(足を踏まないように、よく見て……。)|
|~二階堂紅丸|(今日一日、みっちりしごいたけど一度も弱音を吐かない。&br;この子、なかなかいい根性してるな。)|
#endregion

//----------
**12話 [#story_12]
#region(ネタバレ注意)
|>|パーティー会場・夜――|
|~〇×|うわぁ……すごい人ですね。|
|~二階堂紅丸|あっちは政治家の方、向こうは教育評論家。&br;芸能人も結構いるね。|
|~〇×|みなさん、KOF開催に関わっている人なんですか?|
|~二階堂紅丸|どうなんだろうね。&br;どこまで絡んでいるか全ては把握できていないからな。|
|~二階堂紅丸|まあ、ここにいる大半の人が関わっていると&br;思っておけばいい。|
|~〇×|はい……。|
|~二階堂紅丸|ナギたちは、ホールにはいないみたいだな。&br;控え室か……?|
|~〇×|本当に来るんでしょうか……?|
|~二階堂紅丸|必ず来るさ。&br;お、今かかった曲……練習した曲じゃないか。|
|~二階堂紅丸|おいで。&br;せっかくだから踊ろう。|
|~〇×|ええ!?|
|~二階堂紅丸|大丈夫、俺がリードしてあげるよ。|
|~〇×|で、でも……目立ったりして大丈夫ですか?|
|~二階堂紅丸|踊っている人も結構いるし、そんな目立たないよ。|
|~〇×|(紅丸さんが目立つのに……&br;ほら、ダンススペースに入っただけで女性が色めいてる。)|
|~二階堂紅丸|おいで、俺のプリンセス。|
|~〇×|は、はい……。|
|~〇×|(ちょっと、心地いいかも。)|
|~二階堂紅丸|お、いい感じに踊れてるじゃないか。&br;一日でここまでとは、×ちゃんは筋がいいな。|
|~〇×|そんなこと……。&br;紅丸さんの教え方が上手だからですよ。|
|~二階堂紅丸|謙遜しなくていいのに。&br;ま、そこがキミの美点でもあるけどな。|
|~〇×|(あ……気を抜くと、紅丸さんの足を踏んづけちゃいそう。)|
|~二階堂紅丸|顔を上げて。|
|~〇×|え?|
|~二階堂紅丸|失敗を恐れず、楽しめばいいんだよ。&br;ほら、俺に花のような笑顔を見せて。|
|~〇×|……はい。|
|~ヨミ|あれは……ナギ様に報告しなければ。|
|~二階堂紅丸|曲が終わるよ、はい……決めポーズ。|
|~二階堂紅丸|パーフェクトだったよ、×ちゃん。|
|~〇×|ありがとうございます!|
|~女性A|次は私と踊ってくださらない?|
|~女性B|いいえ、私よ!|
|~二階堂紅丸|ごめんね、可憐な子猫ちゃんたち。&br;今日は彼女以外と踊らないって決めてるんだ。|
|~女性A|そんな……。|
|~二階堂紅丸|さ、あっちでドリンクをもらおうか。&br;おいで、俺のプリンセス。|
|~〇×|はい。|
|~ヨミ|その前に、こちらへ来てもらおうか。|
|~〇×|……ヨミさん!|
|~二階堂紅丸|来たな。&br;×ちゃん、こっちだ!|
|~ヨミの手下たち|無駄だ。|
|~ヨミ|エリート格闘家の貴様でも、一般人が多くいるこの場で&br;自由に戦うことはできない。|
|~ヨミ|ついてこい。|
|~〇×|……紅丸さん。|
|~二階堂紅丸|心配するな、これも計画通りさ。|
|~ナギ|愛しのヒメ。僕に会いに来てくれたんだね。|
|~〇×|……あなたにいろいろと聞きたい事があってきました。|
|~ナギ|僕に? 何かな。何でも聞いてくれていいよ。&br;答えられる範囲で答えてあげる。|
|~〇×|(……この人の瞳を見ると、引き込まれそうで怖い。)|
|~二階堂紅丸|(……×ちゃん、怖いのか。)|
|~二階堂紅丸|大丈夫、俺がついてる。|
|~〇×|……はい。|
|~ナギ|……へぇ、僕の前で何見せつけてくれてるのかな?&br;別にどうとも思わないけど、気分が良いものでもないね。|
|~ナギ|ヨミ。|
|~ヨミ|はっ!|
|~ナギ|気分が変わった。&br;君は僕がつれて帰るよ、本当の君の居場所へね。|
|~〇×|な、何!?|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、絶対に俺の傍を離れるなよ。|
|~ヨミ|この人数相手に勝てると思っているのか。|
|~二階堂紅丸|勝てるね。&br;正義は必ず勝つって言葉、知らないのか?|
|~ヨミ|正義だと……? 笑わせるな。&br;本当の正義は、ナギ様だ。|
|~二階堂紅丸|やれやれ……困ったちゃんだな?|
|~ヨミ|やれ!|
|~ヨミ手下たち(原文ママ)|はっ!|
|~二階堂紅丸|いくら集まったところで、ザコはザコだよ。&br;幻影ハリケーン!|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、今だ。逃げるぞ!|
|~〇×|は、はい……!|
|~ヨミ|くっ……追え!|
|~ヨミ手下たち|はっ!|
|~二階堂紅丸|ここまでくれば大丈夫だろ。|
|~〇×|すみません。危険を冒して連れて行ってもらったのに、&br;何も聞き出せなくて……。|
|~二階堂紅丸|いや、×ちゃんは悪くないよ。&br;俺たちの計算が甘かっただけのことさ。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~ヨミ|…………。|
|~〇×|紅丸さん?|
|~二階堂紅丸|いや、何でも無い。&br;今日はもう遅い。早く部屋へ戻っておやすみ。|
|~〇×|あれ……何だか急に眠気が……?&br;紅丸さんも早めに休んでくださいね。|
|~二階堂紅丸|ああ。|
|~二階堂紅丸|……道場のみんなに何かしたのはお前か。|
|~ヨミ|少し眠ってもらっただけだ。|
|~二階堂紅丸|(催眠性のある霧か……。)|
|~ヨミ|お前も限界に近いんじゃないか?|
|~二階堂紅丸|……何が目的だ。|
|~ヨミ|ナギ様の伝言だ。&br;彼女にこれ以上近づくことは神が許さない。|
|~ヨミ|忠告を守らなければ、&br;彼女を洗脳し神の元へ強制的に連れ戻す。|
|~二階堂紅丸|なぜ彼女にそこまでこだわる。&br;あの力のせいなのか?|
|~ヨミ|お前が知る必要はない。|
|~二階堂紅丸|何っ?|
|~ヨミ|お前の体は限界だ。&br;ゾウでも一分も持たない睡眠薬を含ませた霧だ。|
|~二階堂紅丸|はっ、すげーもんを使うな。|
|~ヨミ|伝えたからな。|
|~二階堂紅丸|ま……待て……く、くそ。眠気が……。&br;くそっ……た……れ…………。|
|~矢吹真吾|紅丸さん、どこで寝てるんすか!&br;早く起きてくださいよ。|
|~二階堂紅丸|!?|
|~二階堂紅丸|俺……眠ってしまっていたのか。|
|~矢吹真吾|昨日のパーティー、どうだったんですか?&br;みんなで待ってたはずなのに、気づいたら眠ってしまってて。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~矢吹真吾|紅丸さん?|
|~二階堂紅丸|いや、何でも無い。|
|~草薙京|真吾、紅丸……こんなところにいたのか。|
|~〇×|朝食ができましたので、先に食べちゃってください。|
|~矢吹真吾|今、行きます!|
|~二階堂紅丸|俺はあとでいい。|
|~〇×|紅丸さん……。|
|~草薙京|昨日、何かあったのか?|
|~〇×|……私のせいで、何も聞き出すことができなくて。&br;紅丸さん、呆れてしまったんだと思います。|
|~草薙京|そのくらいのことで呆れるようなヤツだとは&br;思えないけどな……。|
|~〇×|……でも…………。|
|~草薙京|…………。|
|~矢吹真吾|大丈夫ですよ。&br;外で寝たりなんかしたから、きっと腹でも冷やしたんですよ!|
|~草薙京|……それはないだろ。|
|~矢吹真吾|え、ないですかね!?|
|~〇×|(元気づけようとしてくれたのかな……。)|
|~〇×|冷めないうちにご飯にしましょうか。&br;たくさん食べてくださいね。|
|~〇×|(あとで紅丸さんに改めて謝ろう……。&br;お礼も言えてないままだし……。ちゃんと話さなきゃ。)|
#endregion

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//----------------------------------------
*3章 [#chapter_3]

**13話 [#story_13]
#region(ネタバレ注意)
|>|K'とマキシマの本拠地――|
|~〇×|(紅丸さん、表面上は普通に接してくれるけど&br;どこか素っ気ない気がする……。)|
|~〇×|(ふたりでパーティーに行ってからずっと……。&br;私、何かしたのかな……。)|
|~〇×|(山崎さんに情報料を払ってくれたお礼は&br;ちゃんと言わないと……。)|
|~〇×|あの、紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|何かな?|
|~〇×|山崎さんの件……。&br;その、情報を買ってくださりありがとうございます。|
|~二階堂紅丸|別に君だけの為じゃない。&br;話はそれだけかな?|
|~〇×|え……あ、はい。|
|~二階堂紅丸|なら、もう行くな。|
|~〇×|…………。|
|~〇×|(やっぱりどこか変……。&br;いつもならもっとかまってくれるのに……寂しい。))|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~二階堂紅丸|(こうするしかないんだ。)|
|~二階堂紅丸|はぁ……。|
|~矢吹真吾|こんなの紅丸さんらしくないです!|
|~二階堂紅丸|し、真吾!?|
|~矢吹真吾|なーんか変ですよ、紅丸さん。&br;〇さんと無理に距離を取っているように見えるっす。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~二階堂紅丸|んなことねぇよ。|
|~矢吹真吾|そんなことありますよ!&br;〇さん、寂しそうな顔してましたよ。|
|~矢吹真吾|紅丸さんを怒らせたのかもって、心配もしてました!|
|~二階堂紅丸|×ちゃんが……?|
|~矢吹真吾|みんなといる時は変わらないけど、&br;ふたりきりになったら急によそよそしくなるって……。|
|~矢吹真吾|何かあったんなら、話してあげて欲しいっす。&br;あんな〇さん、見ているだけで辛いです。|
|~二階堂紅丸|…………そうか。|
|~矢吹真吾|紅丸さん!&br;おれには話せなくても、〇さんには……。|
|~二階堂紅丸|バーカ。&br;大事だからこそ、話せないこともあんだよ。|
|~二階堂紅丸|お子ちゃまの真吾にはわからねぇだろうけどな。|
|~矢吹真吾|はいいいい!?&br;〇さんを泣かす紅丸さんに言われたくないっす!|
|~二階堂紅丸|……そうだな。|
|~矢吹真吾|こんなの紅丸さんらしくないですよ。&br;本当に何があったんですか?|
|~二階堂紅丸|こっちにはこっちの事情があるんだ。&br;放っておいてくれ!|
|~矢吹真吾|……紅丸さん!|
|~矢吹真吾|こんなの……おかしいっすよ。|
#endregion

//----------
**14話 [#story_14]
#region(ネタバレ注意)
|>|大阪市立博物館前――|
|~〇×|(自信ない……なんて、言ってられないよね。&br;がんばらなくちゃ……。)|
|~マキシマ|よし、行くか。|
|~〇×|あ……その前にお手洗いに行ってきていいですか?|
|~マキシマ|ああ、もちろんだ。|
|~〇×|ありがとうございます。すぐ戻ります。|
|~〇×|(はぁ……緊張する。でも、がんばらないと……。)|
|~草薙京|よぉ。|
|~〇×|えっ!? あ……待ってくれてたんですか?|
|~草薙京|そういう訳じゃねぇよ。&br;オレもこっちに用事があっただけだ。|
|~〇×|そうでしたか。&br;でも、待っていてくれてありがとうございます。|
|~草薙京|だから、ちげぇって言ってんだろ。|
|~〇×|ふふ。|
|~〇×|(そんなこと言って、京さんが優しいのは知ってる……。)|
|~草薙京|緊張は大丈夫か?|
|~〇×|あ……はい。|
|~草薙京|じゃあ、行くか。|
|~〇×|はい、頑張りますね!|
|~〇×|(やっぱり、優しいなぁ……。&br;パーティーに行く前は紅丸さんも優しかったのに……。)|
|~〇×|(ううん、今はこんなこと考えないの!)|
|~二階堂紅丸|楽しそうに何を話してるのかな?|
|~草薙京|紅丸……。|
|~二階堂紅丸|ふたりきりで何してたのか、気になってさ。ん?|
|~草薙京|お前なぁ……。|
|~〇×|紅丸さん……この間からずっと変です……。|
|~二階堂紅丸|え?|
|~草薙京|あ? ×?|
|~〇×|私のこと避けたり、急にこんなこと言ったり……。&br;私は……前みたいにいっぱい紅丸さんとお喋りしたいです……!|
|~〇×|本当のことを言ってください!|
|~二階堂紅丸|なっ!?|
|~草薙京|お前のことだから、なんかヘマして、×を避けてんだろ。&br;違うか?|
|~二階堂紅丸|ヘマって……俺がそんなことするとでも?|
|~草薙京|相手が相手だからな。人の弱みを突くのが上手い連中だ。&br;お前が弱みを握られてもおかしくねぇ。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~〇×|私は、紅丸さんが何の理由もなく&br;こんなことをするとは思えません。|
|~〇×|お願いです……本当の、本当のことを&br;教えてください。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~二階堂紅丸|ハハッ……。|
|~二階堂紅丸|……参ったな。|
|~二階堂紅丸|そうだよ、京の言う通り……ナギとヨミに脅されていた。&br;これ以上、×ちゃんに近づくなとね。|
|~草薙京|……予想通りだな。|
|~二階堂紅丸|ハハ、全てお見通しかよ。|
|~草薙京|お前がこいつにつらく当たるなんぞ、&br;そんな理由がなけりゃあり得ねぇからな。|
|~二階堂紅丸|……まあな。|
|~二階堂紅丸|お前はライバルだが……。&br;恋の方までライバルじゃなくて良かったよ。|
|~草薙京|ハッ、寝言は寝て言え。|
|~草薙京|10分やる。&br;大仕事の前に、ふたりで話して誤解を解いとくんだな。|
|~二階堂紅丸|サンキュ。|
|~草薙京|おー。|
|~二階堂紅丸|…………えっと、ごめんな?|
|~〇×|本当ですよ。&br;私がどれだけ寂しかったか……わかってますか?|
|~二階堂紅丸|俺も寂しかった。|
|~〇×|紅丸さん、もっと私を信用してください。&br;ナギさんにもヨミさんにも、私……負けませんから!|
|~二階堂紅丸|……!&br;ハハハ、本当……キミには敵わないな。|
|~二階堂紅丸|……抱きしめてもいいかい?|
|~〇×|そ、そういうこと……聞かないでください。|
|~二階堂紅丸|そう? なら、もっと大胆なこともしちゃおうかな。|
|~〇×|え!?|
|~二階堂紅丸|……したいけど、今はおでこで我慢しとくよ。|
|~二階堂紅丸|大好きだよ。|
|~〇×|私も……好きです。|
|~二階堂紅丸|行こう、×ちゃんをみんなが待ってる。|
|~〇×|はい!|
#endregion

//----------
**15話 [#story_15]
#region(ネタバレ注意)
|>|コレクター邸宅からの帰り道――|
|~二階堂紅丸|この辺りまでくれば大丈夫だろう。&br;少し休憩しよう。|
|~〇×|はい……。|
|~〇×|(お姫様抱っこでここまで運んでもらっちゃった……。&br;一休憩(原文ママ)したら、自分の足で歩かなきゃ。)|
|~二階堂紅丸|水しかないけど、飲んで。|
|~〇×|ありがとうございます、いただきます。|
|~二階堂紅丸|熱はないみたいだな。体調はどうだい?|
|~〇×|大丈夫です。|
|~〇×|(まだ少し目眩がするけど、&br;少し休めばきっと大丈夫になるはず……。)|
|~二階堂紅丸|ダメ、本当のことを言って。|
|~〇×|え?|
|~二階堂紅丸|顔色、まだ悪いぜ……。&br;リョウじゃないが、やせ我慢はダメだ。|
|~二階堂紅丸|それに……俺の前で無理して欲しくない。&br;俺には甘えていい。だろ?|
|~〇×|……はい。|
|~二階堂紅丸|よし……! 俺によりかかってちょっと休みな。&br;座っているより、少しは楽だろ?|
|~〇×|あ、ありがとうございます……。|
|~〇×|(でも、ドキドキして、休まるどころじゃないかも……。&br;だけど……幸せ。)|
|~〇×|(紅丸さんの心臓の音がする……。&br;すごく、心地いい……。)|
|~二階堂紅丸|キレイな星空だな。|
|~〇×|本当ですね。|
|~二階堂紅丸|今日の星は、特別キレイに見えるな……。&br;キミと見ているから、かな?|
|~〇×|え……?|
|~二階堂紅丸|大切な人と一緒にいるだけで、景色が輝いて見える。&br;そう聞いたことはあったけど……まさか本当だったとはね。|
|~〇×|紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|キミのかわいいつぶらな瞳にも、&br;今日の星空が特別美しく映っていたらいいな。|
|~〇×|……そうですね、今まで見た中で一番かもしれません。|
|~二階堂紅丸|…………幸せだなぁ。|
|~二階堂紅丸|なんて、こんな非常時に不謹慎かな。|
|~〇×|……不謹慎かもしれませんが、私も幸せです。&br;ずっと、こうしていたいくらい。|
|~二階堂紅丸|こうしていると、世界にふたりだけしかいないようだね。|
|~〇×|ふふ、そうですね。|
|~二階堂紅丸|ごめんな。|
|~〇×|え? どうして謝るんですか?|
|~二階堂紅丸|本当は代わってあげたいのに……何もできない。&br;そんな自分が時々憎らしくてしょうがないんだ。|
|~〇×|そんなことないですよ……。&br;紅丸さんは、私にいろいろなことをしてくれています。|
|~〇×|これから一緒にしたいこともたくさんあります。&br;世界が平和になったら……。|
|~〇×|(その時、私は生きているのかな……。&br;紅丸さんとこうやって一緒にいられるのかな……。)|
|~〇×|私……死にたくない。紅丸さんとずっと一緒にいたいです。&br;おじいちゃんとおばあちゃんになるまで、ずっと……!|
|~二階堂紅丸|……やっと本音を言ってくれたね。|
|~二階堂紅丸|ずっと強がって弱音を吐かなかったから、&br;心配だったんだ。|
|~二階堂紅丸|こんなに女性のことを心配したのは、初めてだよ。&br;同時に、尊敬もしてるけどね。|
|~〇×|そ、尊敬なんて……。|
|~二階堂紅丸|だって、自分の好きな女性が世界の為にがんばってるんだよ?&br;誇りに思わない訳がないでしょ。|
|~二階堂紅丸|でも、頑張りすぎないで。&br;たまには、ゆっくり翼を休めて……俺の女神様。|
|~二階堂紅丸|キミは死なないよ。&br;絶対に……死なせない。|
|~〇×|紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|一緒におじいちゃんおばあちゃんになるんでしょ?|
|~〇×|……はい!|

#endregion

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//----------------------------------------
*4章 [#chapter_4]

**16話 [#story_16]
#region(ネタバレ注意)
|>|飛行場――|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、あーんしな。|
|~〇×|ちょっと紅丸さん……みなさんが見てます!|
|~二階堂紅丸|見せつけてやればいいさ。&br;こうやってふたりきりでのんびりできるのも今のうちだぜ。|
|~〇×|ふ、ふたりきりじゃないです……!|
|~草薙京|はぁ……非常時に何やってんだ。|
|~テリー・ボガード|ハハ、仲が良くていいことじゃないか。|
|~矢吹真吾|目のやり場にちょっと困りますけど、&br;本当……仲直りできて良かったです。|
|~テリー・ボガード|仲直り?&br;ふたりはケンカでもしてたのか?|
|~矢吹真吾|ケンカというか……ちょっと、事情があって。|
|~テリー・ボガード|事情?|
|~アンディ・ボガード|兄さん、プライベートにあまり首を突っ込んじゃダメだよ。|
|~アンディ・ボガード|それに、人の恋路を邪魔する者は&br;馬に蹴られて死んでしまうとも言うし……。|
|~リョウ・サカザキ|お、都都逸(どどいつ)か。よく知っているな。|
|~テリー・ボガード|おいおい、邪魔とは聞き捨てならないな。&br;邪魔どころか、応援してるっていうのにな。|
|~矢吹真吾|おれも、応援というか……。&br;〇さんには幸せになって欲しいです!|
|~アンディ・ボガード|そうだね。僕も同感だよ。|
|~草薙京|アイツには相当なもんを背負わしちまってるしな。|
|~テリー・ボガード|ああ……。&br;で、事情ってなんだ?|
|~矢吹真吾|それは、ヨミさんが紅丸さんを脅して……。|
|~草薙京|おい、真吾。|
|~矢吹真吾|はっ! しまったぁ!&br;テリーさん、その聞き方ズルイですよ!|
|~テリー・ボガード|ハハ、どうしても気になってな。スマンスマン。|
|~アンディ・ボガード|だけど、ヨミに脅されていたとは……?|
|~ヨミ|……あの件か。|
|~ヨミ|二階堂紅丸、あの時はすまなかった。|
|~二階堂紅丸|ん?|
|~二階堂紅丸|ああ……あの時な。&br;どうした急に謝るなんて、お前らしくないぜ。|
|~ヨミ|皆が〇×の幸せを願う中、&br;俺のやったことが、ふたりを不仲にしたと聞いてな。|
|~ヨミ|あの時の俺の行動はナギ様の命令によるもの……。&br;後悔はしていない。|
|~ヨミ|だが、間違っていたのかも知れない……そう思った。&br;だから謝罪した。|
|~二階堂紅丸|ふーん?&br;お前も少しずつ変わってきたという訳か。|
|~二階堂紅丸|だけど、別にお前のせいじゃないぜ。&br;俺の弱さが原因でこの子に寂しい想いをさせてしまった。|
|~二階堂紅丸|これからはずっと傍にいて、この子を守るぜ。|
|~〇×|私も……。私も紅丸さんを守ります。|
|~二階堂紅丸|ハハッ、俺のプリンセスは時々強くて困る。&br;守るのはナイトの役目と決まっているだろ?|
|~〇×|でも……私にしかできない守り方もありますから。|
|~二階堂紅丸|……ああ、そうだな。|
|~二階堂紅丸|×ちゃん。&br;全てが終わったら、俺だけのものになってくれるか?|
|~〇×|えっ……!&br;えっと……あの……!!|
|~テリー・ボガード|俺たちは何も聞いてないぜ! なあ、アンディ。|
|~アンディ・ボガード|なんだか急に耳が遠くなったような……。|
|~矢吹真吾|おれは急に眠気が……ぐーぐー。|
|~ビリー・カーン|なんだ、その気の遣い方は……。茶番かよ。|
|~〇×|え、えっと……。|
|~二階堂紅丸|答えてくれないのか?|
|~〇×|えっ……あ、あの……。よろしくお願いします。|
|~二階堂紅丸|×ちゃん!|
|~〇×|わああ、紅丸さん!&br;みなさんが見てますってば……!|

#endregion

//----------
**17話 [#story_17]
#region(ネタバレ注意)
|>|コテージ・夕方――|
|~〇×|(みなさん、おなかすいてるよね……。&br;何か作れるものは……。)|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、やっと見つけた。&br;そこで何をやってるのかな?|
|~〇×|あ、紅丸さん……。何か食事をと思いまして……。|
|~二階堂紅丸|こんなフラフラで料理なんてダメに決まってるだろ。&br;はい、×ちゃんはそこに座って。|
|~二階堂紅丸|何か食べたいものは?|
|~〇×|うーん……。&br;やはりみなさんガッツリしたものがいいのでしょうか?|
|~二階堂紅丸|他のヤツじゃなくて、キミが食べたいものを聞いてるんだよ。|
|~〇×|私の……?|
|~二階堂紅丸|そうだよ。&br;少しでも食べられそうなものはあるかい?|
|~〇×|食欲があまりなくて……。|
|~二階堂紅丸|果物でも何でもいい。少しでも食べて欲しい。&br;あ、りんごがある。食べられそうなら剥くけど、どうかな。|
|~〇×|りんごなら、食べられそうです。|
|~二階堂紅丸|良かった。&br;ただ剥くより、すりおろした方がいいかい?|
|~〇×|そこまでしなくても大丈夫です。&br;ふふ……紅丸さんってば、過保護ですね。|
|~二階堂紅丸|キミに対してだけはね。&br;こんな自分、生まれて初めてだよ。|
|~二階堂紅丸|……怪我はない?|
|~〇×|はい、大丈夫です。紅丸さんが守ってくれましたから……。|
|~二階堂紅丸|守れるのは、暴徒からだけだ。&br;ケガレからはキミを守れていない……。|
|~〇×|紅丸さん……。&br;浄化は私の我が儘でしてるだけですから。|
|~二階堂紅丸|我が儘なんかじゃないさ。&br;そうしないと、人が……世界が傷つくからそうしてるだけだろ。|
|~二階堂紅丸|本当は、どこか安全な場所に閉じ込めてしまいたい……。&br;でも世界の浄化は、キミにしかできないことだもんな。|
|~〇×|その気持ちだけでもうれしいです。|
|~二階堂紅丸|心の底から代わりたいと思ったのは、初めてだよ。&br;本当、キミといると初めてのこと尽くしだな。|
|~二階堂紅丸|だけど、そういうこと込みでキミのことを好きになったんだ。&br;ずっと傍にいて、サポートするよ。|
|~〇×|紅丸さん……ありがとうございます。|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、こっちにおいで?|
|~〇×|え……は、はい。|
|~二階堂紅丸|…………こうしてると、落ち着くな。|
|~二階堂紅丸|一つだけ、お願いしてもいいかい?|
|~〇×|お願い……ですか?|
|~二階堂紅丸|ああ。|
|~二階堂紅丸|ナギを止める為に、命を使うのだけはやめて欲しい。&br;その為なら何でもする。|
|~二階堂紅丸|どんな強敵だって倒してみせる。&br;だから……キミの命だけは! 頼む……。|
|~〇×|紅丸さん……苦しいですよ。|
|~二階堂紅丸|わ、悪い!|
|~〇×|……きっと大丈夫です。&br;だって、約束したじゃないですか。|
|~〇×|全てが終わったら…………ですよね?|
|~〇×|それに、私だって紅丸さんと一緒に&br;おじいちゃんおばあちゃんになりたいです。|
|~二階堂紅丸|……ああ、そうだったな。|
|~〇×|(本当は怖い……。でも、今は死ぬことが怖いんじゃない。&br;この人と……紅丸さんと離れ離れになることが怖いの。)|
|~〇×|大好きです、紅丸さん……。|
#endregion

//----------
**18話 [#story_18]
#region(ネタバレ注意)
|>|コテージ・夜――|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、体調はどうかな?|
|~〇×|さっき少し食べたからか、だいぶいい感じです。|
|~二階堂紅丸|良かった……。&br;少し出掛けるんだけど、付き合ってもらえるかな?|
|~〇×|お出かけですか?|
|~二階堂紅丸|ああ、キミも買っておきたいものがあるだろ?&br;それと……何か体に良いものでも食べてこよう。|
|~二階堂紅丸|少しでも食べて、英気を養っておかないとね。|
|>|沖縄のレストラン――|
|~二階堂紅丸|買い忘れはないね?|
|~〇×|はい、大丈夫です。&br;その……全部出してもらっちゃって、いいんでしょうか。|
|~二階堂紅丸|もちろん。キミは、俺のお姫様なんだから……。&br;そんなことを気にする必要はないよ。|
|~〇×|で、でも……何だか申し訳なくて。|
|~二階堂紅丸|笑顔を見せてくれたら、それでいいよ。&br;俺にとって、キミの笑った顔が一番のご褒美なんだからな。|
|~〇×|紅丸さん……。|
|~二階堂紅丸|さて、ディナーにしよう。&br;沖縄に来たら必ず来る、お気に入りのレストランなんだ。|
|~二階堂紅丸|食べられそうなものを適当に見繕って頼んでみたから、&br;好きなものを食べて。|
|~〇×|ありがとうございます。|
|~〇×|(わぁ、どれもおいしそう。)|
|~〇×|……ん、おいしいです。すごく優しい味付けですね。|
|~二階堂紅丸|だろ?&br;×ちゃんも気に入ってくれると思ったんだ。|
|~〇×|(幸せだなぁ……。&br;明日から決戦が始まるなんて……まるで嘘みたい。)|
|~二階堂紅丸|こっちのもおいしいから食べてみて。|
|~〇×|はい。|
|~〇×|……え?|
|~二階堂紅丸|あーん……だろ?&br;ここなら、誰の目も気にすることない。|
|~〇×|えっと……い、いただきます。|
|~二階堂紅丸|ふふ、かわいい。おいしいかな?|
|~〇×|は、はい……。|
|~〇×|(恥ずかしくて、味どころじゃないけど……。&br;でも、すごく幸せ……。)|
|~二階堂紅丸|顔色、少し良くなったね。でも無理はしちゃダメだよ。|
|~〇×|気をつけます……。|
|~二階堂紅丸|ん、よろしい。|
|~二階堂紅丸|全てが終わって、東京に戻れたら……キミとデートがしたいな。&br;行きたいところとか、してみたいデートってある?|
|~〇×|……笑いません?|
|~二階堂紅丸|大好きな子の希望を笑う訳がないだろ。|
|~〇×|じゃあ、その……ベタなんですけど。|
|~二階堂紅丸|うん。|
|~〇×|待ち合わせ先に彼が来てて、待った? って聞いたら、&br;今きたとこって応えてくれて……。|
|~〇×|そのあと、当たり前のように手を繋いで歩きたいです。&br;時々、腕をぎゅって抱きしめたりしながら……。|
|~二階堂紅丸|任せておいて。二人の理想のデートをしよう。|
|~二階堂紅丸|待ち合わせは渋谷駅かな。|
|~二階堂紅丸|お昼前に待ち合わせて、俺が時間前に着いてて……。&br;キミは時間ギリギリに駆けてくる。|
|~二階堂紅丸|そんな小走りのキミをかわいいなぁ……と眺めながら、&br;俺はキミの到着を待つんだ。|
|~〇×|ふふ、楽しみです。|
|~二階堂紅丸|俺もだ。&br;おっと……そろそろ戻って休まないとな。|
|~〇×|……はい。|
|~二階堂紅丸|ん? 名残惜しい?|
|~〇×|少し……。&br;でも、終わったらきっと……また来られますよね。|
|~二階堂紅丸|ああ、いつでも連れてきてあげるよ|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~〇×|紅丸さん?|
|~二階堂紅丸|いや、何でも無いよ。行こう。|
#endregion

//----------
**19話 [#story_19]
#region(ネタバレ注意)
|>|コテージ・寝室――|
|~〇×|(……私、どうして、泣いて……。)|
|~〇×|え……?|
|~二階堂紅丸|大丈夫? 悪い夢でも見たのかい?|
|~〇×|紅丸さん……? どうして私の部屋に?|
|~二階堂紅丸|覚えていないのか?&br;夜中にすごい高熱が出て、大騒ぎだったんだぜ?|
|~二階堂紅丸|医者を呼んで、診てもらって……。&br;もう体はだるくないかい?|
|~〇×|はい……。|
|~二階堂紅丸|熱も下がったみたいだな、良かったよ。|
|~〇×|夢を見ていたみたいです……。|
|~二階堂紅丸|どんな夢?|
|~〇×|昔のこと、ううん……前世の夢だと思います。|
|~〇×|夢を見て……全て思い出しました。|
|~〇×|ナギさんを残して逝ってしまったナミさんの気持ちも、&br;ナギさんを愛していたナミさんの気持ちも……。|
|~二階堂紅丸|…………それって……。|
|~〇×|心配しないでください。&br;今の私は〇×。ナミさんではありませんから。|
|~二階堂紅丸|なんだ……驚かすなよな。|
|~〇×|すみません。|
|~〇×|夢の中で、私はナミさんでした。&br;ナミさんはこの世界を愛していました……。|
|~〇×|ナギさんにも同じように、&br;この世界を愛して欲しいと願っていました。|
|~〇×|それをナギさんも分かっていたはずなのに……。&br;長い年月の孤独がナギさんを変えてしまったんだと思います。|
|~〇×|数千年もの間、ずっとひとりなんて……。&br;そんなの私なら耐えられない。|
|~〇×|紅丸さんと離れて数千年も生きるなんて……。&br;私だって狂っちゃうと思います。|
|~二階堂紅丸|そう言われればそうかも知れないけど……。&br;それでも世界を滅ぼしていい理由にはならないぜ。|
|~〇×|はい、それはその通りです……。|
|~〇×|ナギさんに同情している訳じゃないんですけど……。|
|~〇×|きっとナギさんにもナギさんの事情があるんだなって、&br;夢を見ながら思ったんです。|
|~〇×|ナギさんだって、救われなきゃいけないって。&br;それが……きっと私の、ナミさんの責任なんだって。|
|~二階堂紅丸|責任……運命ってことか。|
|~〇×|はい……。|
|~〇×|(紅丸さん、嫌な気持ちでいっぱいだよね。)|
|~〇×|(私なら……紅丸さんが他の女性のことをこんな風に言ったら&br;すごく嫌だもの。)|
|~〇×|(嫌われても、仕方ない……。)|
|~二階堂紅丸|……それで、キミはどうしたいんだい?|
|~〇×|え?|
|~二階堂紅丸|どうしたいのか、言ってごらん。&br;俺にできることなら協力するぜ。|
|~〇×|紅丸さん……!|
|~二階堂紅丸|ん? どうしたんだ?|
|~〇×|(この人はすごい……。&br;すごく心が広くて、優しくて……。)|
|~〇×|(私の想像の上をずっと歩いてくれる人。)|
|~〇×|ナミさんの気持ちがわかった今、なおさら思うんです。&br;ナギさんを止めないといけないって。|
|~〇×|世界を変えるなんて……。&br;そんなこと、ナミさんは望んでいないのだから。|
|~〇×|お願いです。一緒にナギさんを止めてください!&br;できれば……彼も救う形で。|
|~二階堂紅丸|…………わかった。&br;だが、最優先は世界を救うこと、そしてキミの命だ。|
|~二階堂紅丸|ナギを救えるかどうかはわからない。&br;だけど――|
|~二階堂紅丸|プリンセスの頼みは、叶えてあげるのがナイトの務めさ。|
|~〇×|……ありがとうございます!|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、約束は覚えているよな?|
|~〇×|はい、もちろんです。&br;忘れるわけがありませんよ。|
|~二階堂紅丸|それなら、オーケーだよ。|
|~二階堂紅丸|行こうか。&br;ナギを救いに……そして、俺たちの幸せな未来の為にね。|
|~〇×|はいっ!|
#endregion

//----------
**エピローグ [#story_20]
#region(ネタバレ注意)
|>|道場――|
|~〇×|ああ、待ち合わせに遅れちゃう!|
|~〇×|(なかなか服が決まらなくて、遅くなっちゃった!)|
|~〇×|行ってきます!|
|~草薙京|ああ? アイツ、確か紅丸と出かけるんだろ?&br;同じ家に住んでるのに、何でわざわざ待ち合わせしてんだ?|
|~矢吹真吾|初めてのデートだから、待ち合わせがしたかったそうですよ。|
|~草薙京|はぁ……?&br;よくわからんが……幸せそうでなによりだな。|
|~矢吹真吾|はい、おれも同感です!|
|>|渋谷駅――|
|~女性A|わぁ、紅丸じゃない。&br;今日はひとりなの? 私と遊ぼうよ~。|
|~二階堂紅丸|ん……?|
|~女性A|私のこと、覚えてないのー?|
|~二階堂紅丸|ああ、前にクラブで会った子かな?|
|~二階堂紅丸|ごめんね、キミの気持ちは嬉しいけど……。|
|~〇×|(ああ、時間ギリギリ!)|
|~二階堂紅丸|あっ……×ちゃん!|
|~〇×|紅丸さん……!|
|~二階堂紅丸|ハハ、本当に時間通り。&br;キミに会いたくて死にそうだったよ!|
|~〇×|死にそうって……朝も会いましたよ!?|
|~二階堂紅丸|キミに会えない一分一秒がどれだけ長く感じるか……。&br;教えてあげないといけないみたいだね。|
|~女性A|だ、誰……その女……。|
|~二階堂紅丸|今日は俺だけのお姫様とデートなんだ。|
|~女性A|はぁ!?|
|~二階堂紅丸|さあ、行こうか!|
|~〇×|はい。|
|~女性A|うそでしょ~……。|
|~二階堂紅丸|あ、ちょっと待った。何か忘れてないか?|
|~〇×|え?|
|~二階堂紅丸|待った? って聞くんだろ?|
|~〇×|あ……そうでした!&br;えっと……ま、待ちました?|
|~二階堂紅丸|今来たところだよ、×ちゃん。|
|~〇×|ふふふ。|
|~二階堂紅丸|さ、今日は何がしたい?&br;キミがしたいことなら、何だって叶えてあげるよ。|
|~〇×|え、えっと……。|
|~二階堂紅丸|ん? 聞こえないよ。|
|~〇×|その……手を繋いで歩きたいです。|
|~二階堂紅丸|…………。|
|~二階堂紅丸|今日は敬語禁止。デートだからね。|
|~〇×|ええっ!?|
|~二階堂紅丸|可愛い恋人に敬語を使われると寂しいなって思ってさ。ほら。|
|~〇×|手を繋いで、歩きたい……な?|
|~二階堂紅丸|ハハッ、よくできました!|
|~二階堂紅丸|あ、そっちの手も貸して。|
|~〇×|え? 左手も……?|
|~二階堂紅丸|うん、ちょっと待ってね。|
|~二階堂紅丸|……はい、できた。|
 
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|~〇×|……ゆ、指輪?|
|~二階堂紅丸|本当は沖縄のレストランで渡したかったんだけど、&br;渡しそこねてさ。|
|~〇×|(左手の薬指……こ、これってまさか……。)|
|~二階堂紅丸|おじいちゃんおばあちゃんになっても&br;ずっと一緒にいてくれるかな?|
|~〇×|は、はい……!|
|~二階堂紅丸|こら、敬語禁止だって。|
|~〇×|ん!? 鼻摘ままないでくだひゃい!|
|~二階堂紅丸|ハハ、本当に……キミといるのは永遠に飽きそうにないな。|
|~〇×|……私は永遠にドキドキしてそうです。|
|~二階堂紅丸|お望みなら……ずっとドキドキさせてあげるよ。|
|~〇×|し、心臓が持たない……!|
|~二階堂紅丸|そう? キミの心臓だから大切にしてあげないとな。|
|~〇×|ふふ、お手柔らかにお願いします!|
|~二階堂紅丸|はーい、また敬語~。&br;次から敬語で話すたびにキスしようかな。|
|~〇×|ええっ!?|
|~二階堂紅丸|あははっ、冗談だよ。|
|~〇×|もう、紅丸さんったら。|
|~二階堂紅丸|…………ありがとな。|
|~〇×|え?|
|~二階堂紅丸|生きていてくれて……。&br;そして、俺を選んでくれて……嬉しいよ。|
|~〇×|私の方こそ……選んでくれてありがとうございます。&br;これからもよろしくおね……じゃなくて、よろしくね!|
|~二階堂紅丸|ああ、よろしくな!|
#endregion

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