サイドストーリー /1st/二階堂紅丸

Last-modified: Tue, 23 Mar 2021 10:38:55 JST (1132d)
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エピローグ70メインストーリー4章29話読了
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序章 Edit

1話 Edit

+  ネタバレ注意
道場・出発前――
矢吹真吾KOFに向けて出発する前に、戸締りしてきます!
草薙京オレも行く。留守中、さっきみたいな野郎に入り込まれちゃ
敵わねぇからな。
〇×(主人公)あ、私も手伝います!
二階堂紅丸×ちゃんはここにいな。
道場に来たばかりで、右も左も分からないだろ?
〇×でも……。
二階堂紅丸開会式から戻ったら、道場の中を案内するよ。
それまでは任せておけばいい。
〇×は、はい……。
(開会式……
行くって決めたけど、やっぱり不安……。)
(招待状の差出人……ナギって、知り合いなのかな。
でも、心当たりはないし……。)
二階堂紅丸…………。
そんな不安そうな顔をしなくても
俺たちがついているんだから、大丈夫だぜ。
〇×は、はい……。
二階堂紅丸ま、不安そうなキミもかわいいけどね。
〇×え?
二階堂紅丸小動物みたいで、かわいいよ。
でも、やっぱりかわいい子には笑っていて欲しいな。
〇×しょ、小動物ですか?
二階堂紅丸さっきも言ったけど、
キミみたいな可憐な人がマネージャーなら負ける気がしないぜ。
試合中は、俺から目を離さないで欲しい。
キミが応援してくれたら、百人力だよ。
〇×え、えっと……。
二階堂紅丸応援のお礼に、俺は全ての勝利をキミに捧げよう。
もちろん、受け取ってくれるよな?
〇×え、ええ?
あ、ありがとうございます……?
二階堂紅丸かわいい反応だな、子猫ちゃん。
これからよろしく。
〇×ひゃっ!?
な、何するんですか……!
二階堂紅丸何って、最上級の挨拶なんだけど。
お気に召さなかったかな?
草薙京紅丸、そいつをからかうのもいい加減にしろ。
面倒ごとはゴメンだ。
二階堂紅丸からかってはいないんだけどなぁ。
あ、俺も準備手伝うよ。
〇×(いきなり手の甲にキスするなんて。
び、びっくりした……。)
矢吹真吾大丈夫っすか?
〇×う、うん……。
ちょっとびっくりしただけ。
矢吹真吾……紅丸さんのこと、悪く思わないでくれたらうれしいっす。
〇×え?
矢吹真吾ちょっと軽い感じだけど、悪い人じゃないっていうか……。
きっと、紅丸さんなりに〇さんの不安を少しでも
軽くしようと思ってのことだと思います。
〇×……うん。
(紅丸さん、どんな人なんだろう……。)

1章 Edit

2話 Edit

+  ネタバレ注意
道場・朝――
〇×(いい天気……。
よーし、朝ご飯張り切って作らなきゃ!)
〇×(あれ……台所からいい匂いが漂ってくるような。
大門さん、かな?)
〇×おはようございます。
二階堂紅丸お、おはよう。もっとゆっくり寝ても良かったのに。
朝早いんだね。
〇×紅丸さん!? 台所で何を……?
二階堂紅丸台所ですることは、料理って相場が決まってるだろ?
朝食の支度をしてたんだよ。
〇×で、でも……食事の支度は私の仕事で。
〇×はっ!
〇×もしかして、
昨夜の私の料理が本当はおいしくなかったんじゃ……。
二階堂紅丸おいしかったよ!
本当に、心の底からおいしかった。
〇×じゃあ、どうして……。
二階堂紅丸×ちゃんは道場に来て、まだ間もないだろ?
二階堂紅丸それにナギとかいう野郎から
身に覚えのないKOFの招待状が来て不安でいっぱいだ。
二階堂紅丸そんな時に、あんまり無理してほしくなかったんだよ。
料理なら俺、得意だからさ。
〇×紅丸さん……。
二階堂紅丸ま、起きてきたんなら手伝ってくれるかい?
一緒においしい朝ご飯を作ろうぜ。
〇×はい!
朝もやっぱり魚料理ですか?
二階堂紅丸魚も肉も使うよ。
格闘家には良質なタンパク質が必要だからね。
〇×タンパク質……じゃあ、お汁はつみれ汁にしましょうか。
昨日、好評でしたし。
二階堂紅丸お、いいな!
じゃあ俺は鮭をさばくとしよう。
〇×鮭!? 丸々一匹ですか!?
二階堂紅丸ゴローちゃんが安かったとか言って買ってきたんだよ。
これぐらいなら俺がさばけるからな。
〇×すごいですね、器用……。
二階堂紅丸慣れだよ。
みんなよく食べるからね、さばく機会も必然的に増えるんだ。
〇×私もそんな風にさばけるようになりたいです。
二階堂紅丸それなら、俺が手取り足取り腰取り教えてやろうか?
〇×え?
二階堂紅丸……なーんてな。
〇×お願いします!
二階堂紅丸へ?
〇×あ、もしかして冗談のつもりでした? す、すみません!
二階堂紅丸いや、別に魚のさばき方くらいいつでも教えてあげるけど。
〇×あげるけど……? 何です?
二階堂紅丸……いや、みんなの為においしい料理を作りたい。
その気持ちはいいね! 益々気に入ったぜ!
二階堂紅丸おっと……みんなが来るまで時間がないぞ。
さばくのを教えるのは今度にして、準備を急ごう。
〇×はい!
二階堂紅丸あ、あと……俺が手伝ったっていうのは、あいつらには内緒な。
〇×どうしてですか?
二階堂紅丸どうしても。
さ、急いで準備するぞ。
〇×(紅丸さん、良い人だなぁ……。)

3話 Edit

+  ネタバレ注意
キムチームVSリョウチーム試合当日・朝――
〇×(今日は京さんたちの試合はないから観戦だけだよね。
荷物はこれで大丈夫なはず……。)
草薙京おい、あんた。手が空いてるなら紅丸を呼んできてくれ。
〇×紅丸さんですね、わかりました。
〇×紅丸さーん!
〇×うーん、ここにはいないみたい……。
矢吹真吾あれ、紅丸さんを探してるんすか?
〇×うん、そうなの。
真吾くん、見なかった?
矢吹真吾さっき道場の方に歩いて行くのを見ましたよ。
まだいるかはわかんないんすけど……。
〇×ありがとう! 行ってみるね。
〇×紅丸さん、いますか?
〇×あ……っ!
二階堂紅丸…………。
〇×(何か考え事をしているみたい。
邪魔したくはないけど、京さんが呼んでるし……。)
〇×(声を掛けた方がいいよね?)
〇×あの、紅丸さん……。
二階堂紅丸……ああ、×ちゃんか。
どうしたんだい?
〇×京さんに頼まれて紅丸さんを呼びに来たんです。
……考え事ですか?
二階堂紅丸まあな。
〇×もしかして、ヨミさんのことですか……?
二階堂紅丸へぇ……鋭いね。
〇×さっき京さんたちと話していた時、調べたそうでしたから。
オフィシャルチーム、気になりますよね。
二階堂紅丸ああ、今のところ情報が少なすぎるからな。
二階堂紅丸例え表舞台に立ったことのない地下格闘家でも
調べればある程度の情報は上がってくる……。
二階堂紅丸いずれ戦うであろう相手だ。
調べておいて損はないのに、京は頭が固いぜ。
〇×でも、京さんには京さんの考えがあると思いますし……。
二階堂紅丸それもわかってるさ。
だけど、妙な胸騒ぎがするんだ。
〇×胸騒ぎ、ですか?
二階堂紅丸ああ、格闘家としての勘だよ。
あのチームには何かある。そんな気がするんだ。
〇×…………。
二階堂紅丸悪い。
キミを不安がらせるつもりはなかったんだ。
二階堂紅丸何でかな……。
×ちゃんには、つい心の内を喋っちゃうみたいだ。
二階堂紅丸キミはいつでも優しく受け止めてくれるし、
それに時々鋭いからね。
〇×そんな。私はただ、聞くだけしか……。
二階堂紅丸聞いてくれるだけでいいことって、意外と多いと思うよ。
〇×そうでしょうか。
二階堂紅丸そうだよ。現に俺は助かってるぜ!
〇×そう言ってくれるとうれしいです。
二階堂紅丸そういえば、京が呼んでるんだっけ?
きっと遅いって怒ってるぞ。
〇×あ……忘れてました!
二階堂紅丸ハハッ!
じゃあ、仲良く一緒に怒られに行くとしようか。
〇×はい!

4話 Edit

+  ネタバレ注意
歓迎会から帰ったあと・道場――
〇×(眠れないなぁ……。
今日はいろいろあったから、目が冴えちゃったのかな。)
〇×(……少し散歩してこよう。
道場の敷地内なら、大丈夫だよね。)
〇×気持ちいい風……。
〇×(紅丸さんと京さんは二次会から帰って来たのかな?
盛り上がってそうだし、まだ飲んでいるかも……。)
〇×(でも明日は試合なのに、大丈夫かな。)
二階堂紅丸おや、天女が舞い降りたのかと思ったら、×ちゃんか。
こんな夜中にひとり歩きなんて感心しないな。
〇×べ、紅丸さん……!?
二階堂紅丸あれ。そんなにびっくりした?
〇×その、ちょうど紅丸さんのことを考えていたので……。
二階堂紅丸……へぇ。
キミは本当に、……面白い子だね。
〇×面白い……ですか?
二階堂紅丸なんでもないさ。
それで、どうしたんだい? もう夜も遅いよ。
〇×ちょっと眠れなくて散歩してたんです。
敷地内なら大丈夫かなって。
二階堂紅丸眠れない時、気分転換したいのはわかるけどひとりはダメだ。
俺に声を掛けてくれたら、いつでもお供するよ。
〇×ありがとうございます。
次から、お願いするようにしますね。
二階堂紅丸ん、素直でよろしい。
二階堂紅丸今夜は風が気持ちいいね。
芝生に転がって、寝てしまいたいくらいだ。
〇×ふふ。気持ちよさそうですけど、風邪引きますよ?
二階堂紅丸このくらいで風邪を引くほど、やわな鍛え方はしてないよ。
ん-……気持ちいいなぁ。
〇×(本当に芝生に寝転がっちゃった……。)
二階堂紅丸×ちゃんもおいで。星がきれいに見えるよ。
〇×星が?
〇×うわぁ……きれいですね!
二階堂紅丸立ったまま顔を上げてちゃ首が疲れちゃうよ。
キミの特等席を作ってあげたから、隣においで。
〇×ええっ、そんな……。
うれしいですけど、紅丸さんのタオルが汚れちゃいます!
二階堂紅丸タオルが汚れたら洗濯すればいいだけだろ。
それとも、俺の隣にくるのはイヤなのかい?
〇×そ、そんなことは! お邪魔します……!
二階堂紅丸はい、いらっしゃい。
寝心地はいかがかな?
〇×え? えっと……大変よろしいです。
二階堂紅丸それは良かった。
ほら、上を見てごらん。
〇×うわぁ……!
星って、こんなにたくさん見えるんですね。
二階堂紅丸意外と見えるものだろ?
〇×はい……会社に勤めていた時は、
こんな風に夜空を見上げることもなかったです。
二階堂紅丸こうやって星空を眺めていると、
星のシャワーを浴びているみたいだよな。
〇×星のシャワー……ふふ、ロマンチストですね。
二階堂紅丸ナギの招待状よりセンスがいいだろ?
〇×ふふ、そうですね。
二階堂紅丸知ってるかい? 今見えている星の光は、
100年も200年も前のものなんだ。
〇×100年前の光ってことですか?
二階堂紅丸そう。宇宙の彼方で100年前に瞬いた光が、長い年月を掛け
地球まで届いて……俺たちの目に映っているんだ。
二階堂紅丸そんな光を浴びていると思うと、
自分の悩みなんてちっぽけに感じてこないか?
〇×……そうかもしれませんね。
二階堂紅丸今日は初めてKOFの試合を見たり、大勢の格闘家と食事に
行ったり……初めて尽くしで疲れただろ。
〇×はい……でも、楽しかったです。
二階堂紅丸よしよし、×ちゃんは本当にいい子だな。
〇×(ん……何だか急に眠たくなってきちゃった。)
二階堂紅丸明日の試合、俺たちが必ず勝つ。
そして勝利を小鳥のようにかわいいキミに捧げるよ。
〇×……スースー。
二階堂紅丸ん?
二階堂紅丸なんだ、眠っちゃったのか。
今日は疲れただろうし、無理もないな。
二階堂紅丸おやすみ、×ちゃん。良い夢を――

5話 Edit

+  ネタバレ注意
試合当日・朝――
〇×(みなさん、すごいなぁ。
昨日飲み会で遅かったはずなのに、朝早くから稽古して……。)
〇×(私も美味しいご飯を作って
みなさんをサポートしなくちゃ……!)
〇×(つみれ汁、卵焼き、焼き鮭、納豆、おひたし。
それに炊きたての美味しいご飯!)
〇×(あとはお漬物を出して……あれ?
そういえば、昨日どうやって自分の部屋に戻ったんだっけ。)
〇×…………。
〇×(ど、どうしよう!
昨日どうやって自分の部屋に戻ったのか記憶がない!)
〇×(昨日の夜は、眠れなくて散歩してたら紅丸さんに会って、
一緒に芝生の上に転がって星を眺めて……。)
〇×(ああ……そこから記憶がない!)
矢吹真吾おお、いい匂い!
今日の朝食もうまそうっすね!
〇×え、あ……真吾くん。
矢吹真吾あれ?
何だか疲れているみたいですけど、どうかしたんすか?
〇×な、何でも無いよ。大丈夫、いつも通りだから。
矢吹真吾そ、そうっすか?
〇×(記憶がないなんて、言えるわけないよ……。)
草薙京おい、真吾! シャワーを浴びたらちゃんと頭を拭けよ。
廊下が水浸しじゃねぇか!
矢吹真吾ああ! すんません!!
すぐ拭きます!
草薙京ったく……。
〇×…………。
草薙京そういや、いつの間に仲良くなったんだ?
〇×え? あ、京さん……。
仲良くなったって、何のことですか?
草薙京紅丸とのことだ。
昨夜、紅丸に抱えられてただろ。
〇×抱えられ……ああ――――っ!
草薙京!?
な、なんだよ。急に大声を出して……。
〇×(そ、そうだ……私、星空を見ながら寝ちゃったんだ。
それで紅丸さんが私を部屋まで……。)
〇×(私ってば、何て醜態を……。)
草薙京×?
おい、あんた。大丈夫か?
二階堂紅丸ふぅ……水もしたたるいい男とは今の俺の為にある言葉だぜ。
草薙京はぁ……。
二階堂紅丸×ちゃん、どうかしたのか?
もしや、俺の美しさにあてられたのかい?
草薙京アホか!
……お前、昨日こいつを部屋まで運んでただろ?
二階堂紅丸ああ、それがどうかしたのか?
草薙京念の為聞くが、何もしなかっただろうな?
これ以上の面倒ごとはゴメンだぜ。
二階堂紅丸この俺が、眠っているレディーに手を出すような男に
見えるか?
草薙京……それならいいけどよ。
二階堂紅丸×ちゃん、お茶がいい? それともコーヒーかな?
〇×あ……お茶でお願いします。
二階堂紅丸お茶ね、了解。
〇×あの、紅丸さん。
昨日は、その……すみませんでした。
二階堂紅丸ん? ああ、寝ちゃったことなら気にしないでいいよ。
〇×でも、部屋まで運んでもらってしまって……。
私、重いのに……。
二階堂紅丸そんなこと気にするもんじゃないさ。
二階堂紅丸それより、可愛い寝顔を拝ませてもらって役得だったよ。
〇×ひぇぇぇ……!
二階堂紅丸さ、お茶も入ったしご飯にしよう。
真吾、ご飯をよそってくれるか?
矢吹真吾はいっす!
〇×(すごく迷惑を掛けてしまったのに……。
紅丸さん、私が気にしないようにしてくれてるみたい。)
〇×(優しいなぁ……。)

6話 Edit

+  ネタバレ注意
KOF会場――
〇×(京さんも、紅丸さんも、真吾くんもすごかったなぁ……。
KOFの戦いって、見てるこっちまでドキドキしちゃう。)
〇×あ、いけない!
控え室に戻って、いろいろ準備しないと……!
〇×(えっと……荷物は、これとこれと……あと、これかな。
う、結構重いかも……。)
〇×(でも、これもマネージャーの仕事なんだし、
頑張らないと!)
二階堂紅丸×ちゃん、持つよ。
〇×えっ、紅丸さん!?
二階堂紅丸レディーの細腕で持てる荷物じゃないだろ?
こういう時は俺を頼りな。
〇×で、でも……勝利インタビュー始まっちゃいます。
ここは大丈夫ですから、行ってください。
二階堂紅丸勝利インタビューなんて、
KOF開催中は何度も受けることになるんだ。
二階堂紅丸だから、今はこっちが優先。わかった?
〇×(すごい自信……。
それだけの実力を持っているからこそ言えるんだろうな。)
〇×(甘えてもいいのかな……。)
二階堂紅丸ほら、道の真ん中で俺に見とれてちゃ危ないぜ。
×ちゃんは壁側を歩きな。
〇×あ、ありがとうございます。
二階堂紅丸それで、どうだったかな? 華麗に戦う俺の姿は……。
〇×すごく格好よかったです!
二階堂紅丸ん、キミのその笑顔を見る為に戦ったんだよ。
その瞳に俺だけを映してほしくてね。
〇×え、えっと……。
二階堂紅丸キミは、かわいいな。
〇×(そんなこと言われたら返答に困るよ……!
……でも、心地いいのはどうして?)
ファンAああっ、紅丸様! どうしてこんなところに!?
ファンB試合、見ました!
かっこよすぎて、天にも昇る気持ちでしたわ!
二階堂紅丸サンキュー、子猫ちゃんたち。
ファンAはぁぁん、紅丸様のウインクが……。
ファンB素敵すぎますぅぅ。
ファンA……ところで、その女は何です?
見ない顔ですね。
ファンB新しい紅丸様のファン?
それなら、私たち紅丸様ファンクラブを通してくださいな!
二階堂紅丸ハハッ。
この子は俺たち京チームのマネージャーだよ。
二階堂紅丸栄養管理や雑務まで、色々な仕事をやってもらってるんだ。
ファンAそうでしたの!
紅丸様の特別ではなく……マネージャーでしたのね!
ファンBそれでしたら、写真撮影をお願いできます?
紅丸様、いいですか?
二階堂紅丸もちろん。
かわいい子猫ちゃんにせがまれちゃ、ノーとは言えないさ。
ファンBやーん、紅丸様ったら。
はい、カメラ。落とさないよう注意してくださいね?
〇×は、はい……。
〇×(一眼レフカメラ……すごく高そう。)
ファンB紅丸様、私たちを持ち上げてくださらない?
ファンAいいですわね! お願いしますわ!
二階堂紅丸はいはい、お姫様
ファンA&Bきゃあっ♪
〇×撮りますね! はい、チーズ……!
〇×(……あれ? 胸が痛い?)
ファンBありがとうございますぅ。
きゃぁ、素敵な写真! 宝物にしますね!
〇×(私……どうして、こんなに胸が痛むの?)

7話 Edit

+  ネタバレ注意
母屋・早朝――
〇×(鳥の声が聞こえる……。もう朝なんだ。
起きて、朝食を作ろう。)
〇×(昨夜は遅くまで盛り上がっていたみたい。)
〇×(それでも、いつも通りの時間に朝練をするんだから、
格闘家って、すごいなぁ。)
〇×(朝食のメニューは、つみれ汁、メインがサケの塩焼き。
小鉢は、ひじきの煮物と切り干し大根の煮物でいいかな?)
〇×(そういえばテリーさんたち、朝に和食って大丈夫なのかな?
パンの方がいいのかも? うーん……。)
〇×(でも、和食と洋食両方作るのは大変だし……。)
二階堂紅丸おはよう、×ちゃん。
〇×あ、おはようございます。
って……どうして裸なんですか!?
二階堂紅丸裸って……上半身だけだろ?
髪を乾かさないうちにシャツを着るのは嫌いなんだよ。
〇×確かに服が濡れちゃいますけど……。
二階堂紅丸だろ?
それに、×ちゃんになら見られても構わないぜ?
二階堂紅丸ふふ、上半身くらいで大げさだよ。
〇×(そう言われても、目のやり場に困っちゃう。
確かにすごくきれいな上半身だけど……。)
二階堂紅丸お、見るのに抵抗なくなったかな?
〇×ち、違います!
二階堂紅丸でも、海に行けば男なんて海パン一枚だけだし、
KOFの大会でもズボンだけの選手もいるぜ?
二階堂紅丸初(うぶ)なのもかわいいけどさ。
これくらい慣れておかないと、大変だぜ?
〇×は、はい……。
〇×(私だって海やプールにくらい行ったことあるし、
その時は照れたりしなかったのに……。)
〇×(こんなにドキドキしちゃうのは、紅丸さんだから……?)
二階堂紅丸朝食の支度だよね?
〇×えっ!? あ……はい。
和食でいいのか、洋食がいいのか悩み所なんですけど。
二階堂紅丸ん-……別にいつも通り和食でいいんじゃないかな?
あいつらに気を遣うことないって。
二階堂紅丸それより……料理を手伝うからさ、
ちょっと俺のお願いも聞いてくれないかな?
〇×お願い……ですか?
二階堂紅丸そ。
毎朝、髪のセットするの……ひとりじゃ大変なんだよな。
〇×あ、確かに大変そうです。
二階堂紅丸だろ? あの髪形は俺のアイデンティティだからね。
バッチリ決めたいんだ。手伝ってくれるかい?
〇×はい。……でも服は着てくださいね?
二階堂紅丸ハハッ、こだわるな!
〇×だって……。
〇×(ドキドキしちゃう。)
二階堂紅丸わかったよ、プリンセスの仰せのままに。
〇×あの髪形って、セットにどれくらいの時間がかかるんですか?
二階堂紅丸んー……だいたい一時間くらいかな?
〇×い、一時間ですか!?
二階堂紅丸あの髪形は、
俺にとっちゃ戦う為の儀式みたいなもんだからな。
二階堂紅丸妥協は一切しない。
バッチリ決まらないと、試合相手にも申し訳ないだろ?
〇×そういうものですか……。
〇×(髪を下ろしてる紅丸さんも素敵だけどな……。)
二階堂紅丸ああ。KOFに行くからには、セットは必須。
バッチリ頼むぜ、マネージャー。
〇×はい、頑張ります!

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2章 Edit

8話 Edit

+  ネタバレ注意
母屋・夕方――
〇×(腹が減っては、冷静に判断を下せないってことで
先に食事をすることになったんだけど……。)
矢吹真吾〇さん、おかわりお願いします!
二階堂紅丸ん……このだし巻き卵も最高だよ。
可憐な人が作ると、食事まで華やかになるんだな。
テリー・ボガードおお! この魚、うまいな。焼き具合も最高だぜ!
アンディ・ボガードアジという魚だよ、兄さん。
ジョー・東納豆のおやきっつーのも最高だぜ!
×ちゃんって、本当に料理が上手いんだな。
〇×あ、ありがとうございます。
草薙京飯、まだあるか?
〇×もちろんです。
大盛りでいいですか?
草薙京ああ、わかってるじゃねぇか。
〇×(あんな力を使っちゃった後なのに、みなさんすごく普通……。
というか、普通すぎる……。)
〇×(敢えてそう振る舞ってくれているのかも……。)
〇×はい、ご飯大盛りです。
草薙京お、サンキュ。
〇×きゃっ!
草薙京おっと……。
矢吹真吾さすが草薙さん、ナイスキャッチです!
草薙京……どうした? 虫でもいたのか?
〇×い、いえ……何でもありません。
すみませんでした。
草薙京別にいいけどよ。
急に悲鳴あげられたら、びっくりすんだろうが。
〇×そ、そうですよね……。
二階堂紅丸…………。
〇×話し合いの前に、ざっと片付けてきますね。
草薙京ああ。
二階堂紅丸手伝うよ。
〇×えっ、大丈夫ですよ。
これはマネージャーである私の仕事で……。
二階堂紅丸いいから。
手伝った方が早く終わるだろ。
僕も手伝うよ!
二階堂紅丸俺と×ちゃんでやるから大丈夫だ。
お前は、これからの話し合いの準備をしておいてくれ。
はーい!
〇×紅丸さんも話し合いの準備をしてくださって大丈夫ですよ?
ここはひとりでも……。
二階堂紅丸ひとりよりふたりの方がいいだろ。
食器は俺が運ぶから、キミは洗い物担当な。
〇×……わかりました。ありがとうございます。
二階堂紅丸ん、素直でよろしい。
〇×ふー……終わりました!
紅丸さんのおかげで、捗りました。
〇×あ、お皿を一枚しまい忘れてました!
きゃっ!
二階堂紅丸危ない!
二階堂紅丸ふー……危ないところだったな。
危うく食器棚に顔面強打するところだったぜ?
〇×すみません! ありがとうございますっ!
二階堂紅丸ん? なんでそんなにすぐ俺から離れようとするのかな?
〇×えっ……。
二階堂紅丸俺が気づいてないとでも思ってたのか?
さっきから、俺たちに触れないよう気をつけてただろ。
二階堂紅丸なぜだ?
〇×……ご、ごめんなさい。
二階堂紅丸…………悪い、脅かすつもりはなかったんだ。
ただ、急に接触を避けるからさ、なんでかなって。
〇×私、そんなに露骨でしたか……?
二階堂紅丸いや、自然に振る舞えてたと思うぜ?
ただし……俺の目は誤魔化せなかったけどな。
〇×…………。
二階堂紅丸どうして、避けたりしたんだい?
俺にも話せないこと?
〇×…………から。
二階堂紅丸ん?
〇×私……気味が悪いから。
二階堂紅丸は?
〇×だって、あんな得体の知れない力が
手のひらからでたんですよ?
〇×みなさん普通に接してくれていましたけど
気味が悪くないわけがないです……。
二階堂紅丸×ちゃん。
〇×ダメです、手に触らないで。
もし何か変なことになったりでもしたら……!
二階堂紅丸変なことになんてならないよ。
こんな可愛い手のどこが気味悪いって言うのさ。
〇×あ、危ないですよ……。
二階堂紅丸危なくないよ。
そんなに言うなら、ほら――
二階堂紅丸こうやって、手を握っておいてあげる。
〇×べ、紅丸さん……。
二階堂紅丸ね、どこも気味悪くなんてない。
力があってもなくてもキミはキミじゃないか。
二階堂紅丸今後、×ちゃんがどうなろうと、
俺がキミを嫌いになることなんてないよ。
二階堂紅丸例え、天地がひっくり返ろうとね。
〇×紅丸さん……!
〇×私、本当に気味悪くないですか?
二階堂紅丸まだ言うの?
手を握るので足りないなら、キスしようか?
〇×え……! そ、それはちょっと……。
二階堂紅丸ハハッ! 大丈夫、キミは気味悪くなんてない。
とっても魅力的で頑張り屋の可憐な女性さ。
〇×(不安な気持ちは完全には消えないけど……。
でも、すごく気持ちが楽になった気がする。)
〇×……ありがとうございます、紅丸さん。
二階堂紅丸俺は何もしてないよ。
二階堂紅丸じゃ、そろそろ行こうか。
話し合いからは逃げられないからね。
〇×はい!

9話 Edit

+  ネタバレ注意
母屋・夜――
二階堂紅丸×ちゃん、ちょっといい?
〇×え? あ……はい。
〇×(なんだろう?)
矢吹真吾紅丸さん、どうかしたんですか?
二階堂紅丸ん、ちょっとな。
二階堂紅丸……×ちゃん、足に怪我してるだろ。
〇×えっ!?
二階堂紅丸さっきつまずいた時に、足首でも捻ったんじゃないか?
右足を少し引きずってるぜ。
二階堂紅丸見せてみろ。
〇×はい……。
〇×(確かにさっき、少し捻っちゃったけど……。
もうあまり痛くないのに……紅丸さん、よく気づいたなぁ。)
〇×(それだけ、見てくれてるってこと?
ううん、そんな……自意識過剰だよ。)
二階堂紅丸やっぱり捻ってるな……。
一度医者に診てもらって、早めに治しておいた方がいい。
〇×お医者さん!? このくらい放っておいても治りますよ。
二階堂紅丸バカだなぁ……。
こういう怪我こそ、初めの処置が大事なんだ。
二階堂紅丸放っておいて、もう一度捻ったりしてみろ。
かなり長引くぞ。
〇×う……。
二階堂紅丸ナギがこのまま引き下がるとも思えない。
走って逃げなければいけない状況に陥る可能性だってある。
二階堂紅丸その時、大人しく俺に担がれるならいいが……。
運悪くひとりだったらどうする。
〇×……痛くても走って逃げます。
二階堂紅丸ハハッ、その度胸はいいな!
だけど、治せるもんは治しておこうぜ。
二階堂紅丸その方が、俺もキミも他のメンバーだって安心だ。
二階堂紅丸京に伝えてくるから、ちょっと待ってな。
〇×……はい。
〇×(捻っちゃったくらいで病院へ行くなんて……。
でも、紅丸さんが言うことは正しい。)
〇×(病院で診てもらって、早く治そう。)
二階堂紅丸ついたぜ。
ここ、オレのかかりつけの医者がいる病院なんだ。
〇×紅丸さんの……?
二階堂紅丸KOFで戦えば、大なり小なり怪我はするものだからな。
ついておいで。
〇×はい。
二階堂紅丸この部屋だ。
先生、入るぜ。
医者こんばんは、紅丸くん。
後ろにいるのが、今夜の患者さんかな?
二階堂紅丸ああ。
〇×〇×です。よろしくお願いします。
医者礼儀正しいお嬢さんだ。
それで、ケガは?
〇×えっと……足を捻っただけで、大したことないんですけど。
二階堂紅丸いろいろと事情があってな。
いつでも全力で走れるように調整してやって欲しいんだ。
医者陸上の選手か何かなのかい?
〇×い、いえ……そうではなく……。
医者うん?
二階堂紅丸とにかく、痛みを軽減させて欲しいのと、
治りやすくしてやって欲しいんだ。先生にならできるだろ?
医者まあ、できるけど……。
二階堂紅丸何も聞かずに、やってくれ。
医者……わかったよ。
ちょっと治療するから、君は外に出て待っててくれ。
二階堂紅丸わかった。
医者くくく……面白いね。
このくらいの怪我であんなにムキになる彼は初めて見たよ!
〇×す、すみません……。
医者どうして謝るの。大切にされてるってことだろ。
君は彼の恋人かな?
〇×いえ、違います。
医者じゃあ、あいつの片思いかな?
〇×え……そんなことないと思います。
医者どうしてそう思うんだい?
〇×だって紅丸さんは、女の子みんなに優しいし……。
少し優しくしてもらったからって特別なんて……。
医者ハハ、もっと自信を持ったらいいのに。
医者確かにあいつは女の子には平等に優しいヤツだけど、
ここへ連れてきた女の子は、君が初めてだよ。
〇×え……。

10話 Edit

+  ネタバレ注意
渋谷・夜――
〇×あの、紅丸さん! 私……歩けますから!
二階堂紅丸ダーメ。足首を捻挫してるんだ、歩かせられないよ。
先生だって、しばらく安静にって言ってただろ?
〇×でも、軽い捻挫って言ってましたし……。
二階堂紅丸あの先生、とんでもなく腕がいいからさ。
固定してもらったまま一晩寝れば大分動かせるようになる。
二階堂紅丸だから、今は我慢して俺におんぶされてな。
〇×が、我慢だなんて……。
二階堂紅丸それともお姫様抱っこの方が良かったかな?
〇×そ、そんなことないです!
〇×(お姫様抱っこなんて、もっと恥ずかしい……。
だって、お互いの顔が見えちゃう……。)
〇×(ああ、想像しただけで恥ずかしくなってきちゃった。)
二階堂紅丸……お、雨が強くなってきた。傘ちゃんと差しとけよ。
濡れて風邪でも引いたら、大変だぜ?
〇×はい……。
〇×(紅丸さんも濡れないように……。)
二階堂紅丸俺はいいから、×ちゃんが濡れないように差しな。
〇×でも、これくらいしかできないから……。
せめて紅丸さんが濡れないようにしたいです。
二階堂紅丸……それなら、もっとぎゅってくっついてよ。
こうすればふたりで傘に入っていられるだろ?
〇×……は、はい。
〇×(恥ずかしいなんて言ってる場合じゃないよね……。
紅丸さんの背中……広くて温かい。)
二階堂紅丸よしよし……素直でいい子だ。
二階堂紅丸怪我も大したことなくて良かったよ。
次からは少しでもおかしいって思ったら、すぐ俺に言えよ?
〇×次って……そんな頻繁にケガなんてしませんよ。
二階堂紅丸……わからないぜ。
二階堂紅丸×ちゃんに何かしらの力が目覚めた今、
状況はきっと目まぐるしく変わっていく。
二階堂紅丸そんな気がするんだ。
〇×KOF……どうなるんでしょう。
二階堂紅丸なるようになるさ。
×ちゃんは、俺たちについてくればいい。
二階堂紅丸俺たちのチームのマネージャーなんだからな。
〇×はい。
二階堂紅丸それより、今日は疲れただろ。
背中で寝てていいぜ。ちゃんと部屋まで運んであげるからさ。
〇×だ、大丈夫です。起きてますから。
二階堂紅丸いいから。遠慮せず、寝てな。
〇×(そんなこと言われても……。
ドキドキしすぎて眠るなんて無理です……!)
二階堂紅丸ん? どうかした?
〇×な、なんでもありません……!

11話 Edit

+  ネタバレ注意
母屋・夜――
ビリー・カーンおい、ちょっといいか?
草薙京ああ?
〇×ビリーさん、傷の手当てをしないと……。
ビリー・カーン便所だ。
すぐ戻るから、ちょっと待っててくれ。
〇×す、すみません!
ゆっくり行ってきてください。
ビリー・カーンおう。
矢吹真吾あの、ビリーさん。便所はこっちじゃないですよ?
ビリー・カーンるせーな。
便所はあの嬢ちゃんから離れる言い訳だ。
ビリー・カーン女じゃあるめぇし、仲良しこよしで便所に行く訳ねぇだろ。
二階堂紅丸……それで、話とは何だ?
草薙京くだらねぇ話じゃねぇだろうな。
ビリー・カーン……明日、KOF開催者たちのパーティーが開かれる。
この状況下だが、説明も兼ねて続行だそうだ。
ビリー・カーンこっちからナギに近づけるチャンスは滅多にねぇ。
諸々探るには打って付けだ。
二階堂紅丸……なるほどね。
草薙京探るにしても、敵の手の内だ。
リスクの方がデカいんじゃねぇか?
二階堂紅丸虎穴に入らずんば虎子を得ず……だろ。
草薙京まあ、そうとも言うが……。
二階堂紅丸心配しなくとも忍び込むなんてマネはしないよ。
矢吹真吾じゃあ、どうするんですか?
二階堂紅丸正規の招待状を手に入れる。
矢吹真吾え、手に入るんですか!?
二階堂紅丸うちの財閥をなめてもらっちゃ困るな。
すぐに手配しよう。
ビリー・カーンアンタらに話して正解だったな。
頼むぜ。
母屋・朝――
〇×(朝ご飯の準備もバッチリ。
みなさんを呼びに行かなくちゃ……。)
〇×あ、真吾く……。
矢吹真吾紅丸さん! 例の招待状、届いたっすよ!
二階堂紅丸おう、サンキュ!
〇×……例の招待状って、何のことですか?
二階堂紅丸×ちゃん……。
矢吹真吾えっと、これは紅丸さんの好きなアーティストの
ライブの招待状でして!
〇×こんな時にライブですか……?
矢吹真吾う!
二階堂紅丸その言い訳は下手すぎるだろ。
矢吹真吾だって、招待状といえばライブくらいしか思いつかなくて。
あとKOFとか……。
二階堂紅丸はー……ったく、しょうがねぇな。
二階堂紅丸実は,KOF開催者たちのパーティーが今夜開かれる。
きっとナギとヨミも来るだろう。
〇×ナギさんとヨミさんが来る……。
そのパーティーの招待状ですか?
二階堂紅丸ああ。
矢吹真吾ナギとヨミのこと……あと、〇さんの力についても
可能な限り調べてきますね!
〇×……私も連れて行ってください!
矢吹真吾ええ!?
〇×だって、私のことですよね……?
それなのにただ待ってるだけなんてできません。
二階堂紅丸ダメだ。
二階堂紅丸パーティーと言えば聞こえはいいが、KOF開催者たちが
一堂に会するんだ。何が起こるかわからない。
二階堂紅丸そんなところに可愛いキミを連れていける訳がないだろ。
〇×でも……もしかしたら開催者のみなさんも
ビリーさんたちみたいに洗脳されてるかもしれません。
〇×私なら、みなさんを元に戻すことができます!
お願いです、連れて行ってください。
二階堂紅丸……キミに危険な思いをして欲しくないんだ。
わかってくれ。
〇×紅丸さんが優しいのはわかっています。
でも……嫌な予感がするんです。
二階堂紅丸………………。
〇×紅丸さん。
二階堂紅丸……わかったよ、キミには敵わないな。
〇×あ、ありがとうございます!
二階堂紅丸その代わり、俺の傍を決して離れないこと。
あと、今日中にパーティーのマナーなどを覚えること。
二階堂紅丸いいね?
〇×はい!
二階堂紅丸着いたよ、入って。
〇×え……ここですか?
〇×(た、高そうなお店……。)
二階堂紅丸そうだよ。
はい、どうぞ……プリンセス。
〇×あ、ありがとうございます。
〇×うわぁ……素敵なお店!
オーナーいらっしゃいませ。
嬉しいお言葉、ありがとうございます。
二階堂紅丸オーナー、久しぶり。
電話で話した通り、この子を変身させて欲しいんだ。
オーナーパーティーに出席できるように、でしたわね。
お任せ下さいませ。
二階堂紅丸サンキュ。さあ、プリンセス。
俺はここで待っているから、行っておいで。
〇×は、はい……。
〇×(こんなに素敵なドレス、初めて着た……。
メイクもアクセサリーも……自分じゃないみたい。)
オーナーはい、できましたわ。
二階堂様にお披露目と参りましょう。
〇×は、はい……。
〇×(緊張する……。)
〇×べ、紅丸さん……。
二階堂紅丸…………。
〇×紅丸さん?
二階堂紅丸あ……いや、あまりにもキレイで言葉を失っていたよ。
どこの花の妖精かと思ってしまったくらいさ。
〇×そ、そんな……。
二階堂紅丸ありがとう、オーナー。
じゃあ、行こうか。
〇×あの、この服は……!?
二階堂紅丸俺からキミへのプレゼント。
さ、他にもしなければいけないことは山積みだ。
二階堂紅丸次は食事のマナーを学びに、レストランだよ。
〇×は、はい……! よろしくお願いします!
二階堂紅丸食事のマナー、立ち振る舞いは、こんなもんで大丈夫だろ。
あとは……社交ダンスだな。
〇×社交ダンス……ですか?
二階堂紅丸パーティーに出席するなら、絶対に踊れないと。
俺が教えるから、その通りに動いてみて。
〇×は、はい……!
〇×(社交ダンスなんて、初めて……。私にできるのかな。)
二階堂紅丸右手は繋いで、左手は俺の肩において。
まずは基本のステップから。
二階堂紅丸ワン・ツー、ワン・ツー……っ!
〇×す、すみません!
二階堂紅丸ノープロブレム。初めの頃は誰でも相手の足を踏むものだ。
気にせず、もう一度いくよ。
二階堂紅丸ワン・ツー、ワン・ツー……そう、その調子。
〇×(足を踏まないように、よく見て……。)
二階堂紅丸(今日一日、みっちりしごいたけど一度も弱音を吐かない。
この子、なかなかいい根性してるな。)

12話 Edit

+  ネタバレ注意
パーティー会場・夜――
〇×うわぁ……すごい人ですね。
二階堂紅丸あっちは政治家の方、向こうは教育評論家。
芸能人も結構いるね。
〇×みなさん、KOF開催に関わっている人なんですか?
二階堂紅丸どうなんだろうね。
どこまで絡んでいるか全ては把握できていないからな。
二階堂紅丸まあ、ここにいる大半の人が関わっていると
思っておけばいい。
〇×はい……。
二階堂紅丸ナギたちは、ホールにはいないみたいだな。
控え室か……?
〇×本当に来るんでしょうか……?
二階堂紅丸必ず来るさ。
お、今かかった曲……練習した曲じゃないか。
二階堂紅丸おいで。
せっかくだから踊ろう。
〇×ええ!?
二階堂紅丸大丈夫、俺がリードしてあげるよ。
〇×で、でも……目立ったりして大丈夫ですか?
二階堂紅丸踊っている人も結構いるし、そんな目立たないよ。
〇×(紅丸さんが目立つのに……
ほら、ダンススペースに入っただけで女性が色めいてる。)
二階堂紅丸おいで、俺のプリンセス。
〇×は、はい……。
〇×(ちょっと、心地いいかも。)
二階堂紅丸お、いい感じに踊れてるじゃないか。
一日でここまでとは、×ちゃんは筋がいいな。
〇×そんなこと……。
紅丸さんの教え方が上手だからですよ。
二階堂紅丸謙遜しなくていいのに。
ま、そこがキミの美点でもあるけどな。
〇×(あ……気を抜くと、紅丸さんの足を踏んづけちゃいそう。)
二階堂紅丸顔を上げて。
〇×え?
二階堂紅丸失敗を恐れず、楽しめばいいんだよ。
ほら、俺に花のような笑顔を見せて。
〇×……はい。
ヨミあれは……ナギ様に報告しなければ。
二階堂紅丸曲が終わるよ、はい……決めポーズ。
二階堂紅丸パーフェクトだったよ、×ちゃん。
〇×ありがとうございます!
女性A次は私と踊ってくださらない?
女性Bいいえ、私よ!
二階堂紅丸ごめんね、可憐な子猫ちゃんたち。
今日は彼女以外と踊らないって決めてるんだ。
女性Aそんな……。
二階堂紅丸さ、あっちでドリンクをもらおうか。
おいで、俺のプリンセス。
〇×はい。
ヨミその前に、こちらへ来てもらおうか。
〇×……ヨミさん!
二階堂紅丸来たな。
×ちゃん、こっちだ!
ヨミの手下たち無駄だ。
ヨミエリート格闘家の貴様でも、一般人が多くいるこの場で
自由に戦うことはできない。
ヨミついてこい。
〇×……紅丸さん。
二階堂紅丸心配するな、これも計画通りさ。
ナギ愛しのヒメ。僕に会いに来てくれたんだね。
〇×……あなたにいろいろと聞きたい事があってきました。
ナギ僕に? 何かな。何でも聞いてくれていいよ。
答えられる範囲で答えてあげる。
〇×(……この人の瞳を見ると、引き込まれそうで怖い。)
二階堂紅丸(……×ちゃん、怖いのか。)
二階堂紅丸大丈夫、俺がついてる。
〇×……はい。
ナギ……へぇ、僕の前で何見せつけてくれてるのかな?
別にどうとも思わないけど、気分が良いものでもないね。
ナギヨミ。
ヨミはっ!
ナギ気分が変わった。
君は僕がつれて帰るよ、本当の君の居場所へね。
〇×な、何!?
二階堂紅丸×ちゃん、絶対に俺の傍を離れるなよ。
ヨミこの人数相手に勝てると思っているのか。
二階堂紅丸勝てるね。
正義は必ず勝つって言葉、知らないのか?
ヨミ正義だと……? 笑わせるな。
本当の正義は、ナギ様だ。
二階堂紅丸やれやれ……困ったちゃんだな?
ヨミやれ!
ヨミ手下たち(原文ママ)はっ!
二階堂紅丸いくら集まったところで、ザコはザコだよ。
幻影ハリケーン!
二階堂紅丸×ちゃん、今だ。逃げるぞ!
〇×は、はい……!
ヨミくっ……追え!
ヨミ手下たちはっ!
二階堂紅丸ここまでくれば大丈夫だろ。
〇×すみません。危険を冒して連れて行ってもらったのに、
何も聞き出せなくて……。
二階堂紅丸いや、×ちゃんは悪くないよ。
俺たちの計算が甘かっただけのことさ。
二階堂紅丸…………。
ヨミ…………。
〇×紅丸さん?
二階堂紅丸いや、何でも無い。
今日はもう遅い。早く部屋へ戻っておやすみ。
〇×あれ……何だか急に眠気が……?
紅丸さんも早めに休んでくださいね。
二階堂紅丸ああ。
二階堂紅丸……道場のみんなに何かしたのはお前か。
ヨミ少し眠ってもらっただけだ。
二階堂紅丸(催眠性のある霧か……。)
ヨミお前も限界に近いんじゃないか?
二階堂紅丸……何が目的だ。
ヨミナギ様の伝言だ。
彼女にこれ以上近づくことは神が許さない。
ヨミ忠告を守らなければ、
彼女を洗脳し神の元へ強制的に連れ戻す。
二階堂紅丸なぜ彼女にそこまでこだわる。
あの力のせいなのか?
ヨミお前が知る必要はない。
二階堂紅丸何っ?
ヨミお前の体は限界だ。
ゾウでも一分も持たない睡眠薬を含ませた霧だ。
二階堂紅丸はっ、すげーもんを使うな。
ヨミ伝えたからな。
二階堂紅丸ま……待て……く、くそ。眠気が……。
くそっ……た……れ…………。
矢吹真吾紅丸さん、どこで寝てるんすか!
早く起きてくださいよ。
二階堂紅丸!?
二階堂紅丸俺……眠ってしまっていたのか。
矢吹真吾昨日のパーティー、どうだったんですか?
みんなで待ってたはずなのに、気づいたら眠ってしまってて。
二階堂紅丸…………。
矢吹真吾紅丸さん?
二階堂紅丸いや、何でも無い。
草薙京真吾、紅丸……こんなところにいたのか。
〇×朝食ができましたので、先に食べちゃってください。
矢吹真吾今、行きます!
二階堂紅丸俺はあとでいい。
〇×紅丸さん……。
草薙京昨日、何かあったのか?
〇×……私のせいで、何も聞き出すことができなくて。
紅丸さん、呆れてしまったんだと思います。
草薙京そのくらいのことで呆れるようなヤツだとは
思えないけどな……。
〇×……でも…………。
草薙京…………。
矢吹真吾大丈夫ですよ。
外で寝たりなんかしたから、きっと腹でも冷やしたんですよ!
草薙京……それはないだろ。
矢吹真吾え、ないですかね!?
〇×(元気づけようとしてくれたのかな……。)
〇×冷めないうちにご飯にしましょうか。
たくさん食べてくださいね。
〇×(あとで紅丸さんに改めて謝ろう……。
お礼も言えてないままだし……。ちゃんと話さなきゃ。)

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3章 Edit

13話 Edit

+  ネタバレ注意
K'とマキシマの本拠地――
〇×(紅丸さん、表面上は普通に接してくれるけど
どこか素っ気ない気がする……。)
〇×(ふたりでパーティーに行ってからずっと……。
私、何かしたのかな……。)
〇×(山崎さんに情報料を払ってくれたお礼は
ちゃんと言わないと……。)
〇×あの、紅丸さん……。
二階堂紅丸何かな?
〇×山崎さんの件……。
その、情報を買ってくださりありがとうございます。
二階堂紅丸別に君だけの為じゃない。
話はそれだけかな?
〇×え……あ、はい。
二階堂紅丸なら、もう行くな。
〇×…………。
〇×(やっぱりどこか変……。
いつもならもっとかまってくれるのに……寂しい。))
二階堂紅丸…………。
二階堂紅丸(こうするしかないんだ。)
二階堂紅丸はぁ……。
矢吹真吾こんなの紅丸さんらしくないです!
二階堂紅丸し、真吾!?
矢吹真吾なーんか変ですよ、紅丸さん。
〇さんと無理に距離を取っているように見えるっす。
二階堂紅丸…………。
二階堂紅丸んなことねぇよ。
矢吹真吾そんなことありますよ!
〇さん、寂しそうな顔してましたよ。
矢吹真吾紅丸さんを怒らせたのかもって、心配もしてました!
二階堂紅丸×ちゃんが……?
矢吹真吾みんなといる時は変わらないけど、
ふたりきりになったら急によそよそしくなるって……。
矢吹真吾何かあったんなら、話してあげて欲しいっす。
あんな〇さん、見ているだけで辛いです。
二階堂紅丸…………そうか。
矢吹真吾紅丸さん!
おれには話せなくても、〇さんには……。
二階堂紅丸バーカ。
大事だからこそ、話せないこともあんだよ。
二階堂紅丸お子ちゃまの真吾にはわからねぇだろうけどな。
矢吹真吾はいいいい!?
〇さんを泣かす紅丸さんに言われたくないっす!
二階堂紅丸……そうだな。
矢吹真吾こんなの紅丸さんらしくないですよ。
本当に何があったんですか?
二階堂紅丸こっちにはこっちの事情があるんだ。
放っておいてくれ!
矢吹真吾……紅丸さん!
矢吹真吾こんなの……おかしいっすよ。

14話 Edit

+  ネタバレ注意
大阪市立博物館前――
〇×(自信ない……なんて、言ってられないよね。
がんばらなくちゃ……。)
マキシマよし、行くか。
〇×あ……その前にお手洗いに行ってきていいですか?
マキシマああ、もちろんだ。
〇×ありがとうございます。すぐ戻ります。
〇×(はぁ……緊張する。でも、がんばらないと……。)
草薙京よぉ。
〇×えっ!? あ……待ってくれてたんですか?
草薙京そういう訳じゃねぇよ。
オレもこっちに用事があっただけだ。
〇×そうでしたか。
でも、待っていてくれてありがとうございます。
草薙京だから、ちげぇって言ってんだろ。
〇×ふふ。
〇×(そんなこと言って、京さんが優しいのは知ってる……。)
草薙京緊張は大丈夫か?
〇×あ……はい。
草薙京じゃあ、行くか。
〇×はい、頑張りますね!
〇×(やっぱり、優しいなぁ……。
パーティーに行く前は紅丸さんも優しかったのに……。)
〇×(ううん、今はこんなこと考えないの!)
二階堂紅丸楽しそうに何を話してるのかな?
草薙京紅丸……。
二階堂紅丸ふたりきりで何してたのか、気になってさ。ん?
草薙京お前なぁ……。
〇×紅丸さん……この間からずっと変です……。
二階堂紅丸え?
草薙京あ? ×?
〇×私のこと避けたり、急にこんなこと言ったり……。
私は……前みたいにいっぱい紅丸さんとお喋りしたいです……!
〇×本当のことを言ってください!
二階堂紅丸なっ!?
草薙京お前のことだから、なんかヘマして、×を避けてんだろ。
違うか?
二階堂紅丸ヘマって……俺がそんなことするとでも?
草薙京相手が相手だからな。人の弱みを突くのが上手い連中だ。
お前が弱みを握られてもおかしくねぇ。
二階堂紅丸…………。
〇×私は、紅丸さんが何の理由もなく
こんなことをするとは思えません。
〇×お願いです……本当の、本当のことを
教えてください。
二階堂紅丸…………。
二階堂紅丸ハハッ……。
二階堂紅丸……参ったな。
二階堂紅丸そうだよ、京の言う通り……ナギとヨミに脅されていた。
これ以上、×ちゃんに近づくなとね。
草薙京……予想通りだな。
二階堂紅丸ハハ、全てお見通しかよ。
草薙京お前がこいつにつらく当たるなんぞ、
そんな理由がなけりゃあり得ねぇからな。
二階堂紅丸……まあな。
二階堂紅丸お前はライバルだが……。
恋の方までライバルじゃなくて良かったよ。
草薙京ハッ、寝言は寝て言え。
草薙京10分やる。
大仕事の前に、ふたりで話して誤解を解いとくんだな。
二階堂紅丸サンキュ。
草薙京おー。
二階堂紅丸…………えっと、ごめんな?
〇×本当ですよ。
私がどれだけ寂しかったか……わかってますか?
二階堂紅丸俺も寂しかった。
〇×紅丸さん、もっと私を信用してください。
ナギさんにもヨミさんにも、私……負けませんから!
二階堂紅丸……!
ハハハ、本当……キミには敵わないな。
二階堂紅丸……抱きしめてもいいかい?
〇×そ、そういうこと……聞かないでください。
二階堂紅丸そう? なら、もっと大胆なこともしちゃおうかな。
〇×え!?
二階堂紅丸……したいけど、今はおでこで我慢しとくよ。
二階堂紅丸大好きだよ。
〇×私も……好きです。
二階堂紅丸行こう、×ちゃんをみんなが待ってる。
〇×はい!

15話 Edit

+  ネタバレ注意
コレクター邸宅からの帰り道――
二階堂紅丸この辺りまでくれば大丈夫だろう。
少し休憩しよう。
〇×はい……。
〇×(お姫様抱っこでここまで運んでもらっちゃった……。
一休憩(原文ママ)したら、自分の足で歩かなきゃ。)
二階堂紅丸水しかないけど、飲んで。
〇×ありがとうございます、いただきます。
二階堂紅丸熱はないみたいだな。体調はどうだい?
〇×大丈夫です。
〇×(まだ少し目眩がするけど、
少し休めばきっと大丈夫になるはず……。)
二階堂紅丸ダメ、本当のことを言って。
〇×え?
二階堂紅丸顔色、まだ悪いぜ……。
リョウじゃないが、やせ我慢はダメだ。
二階堂紅丸それに……俺の前で無理して欲しくない。
俺には甘えていい。だろ?
〇×……はい。
二階堂紅丸よし……! 俺によりかかってちょっと休みな。
座っているより、少しは楽だろ?
〇×あ、ありがとうございます……。
〇×(でも、ドキドキして、休まるどころじゃないかも……。
だけど……幸せ。)
〇×(紅丸さんの心臓の音がする……。
すごく、心地いい……。)
二階堂紅丸キレイな星空だな。
〇×本当ですね。
二階堂紅丸今日の星は、特別キレイに見えるな……。
キミと見ているから、かな?
〇×え……?
二階堂紅丸大切な人と一緒にいるだけで、景色が輝いて見える。
そう聞いたことはあったけど……まさか本当だったとはね。
〇×紅丸さん……。
二階堂紅丸キミのかわいいつぶらな瞳にも、
今日の星空が特別美しく映っていたらいいな。
〇×……そうですね、今まで見た中で一番かもしれません。
二階堂紅丸…………幸せだなぁ。
二階堂紅丸なんて、こんな非常時に不謹慎かな。
〇×……不謹慎かもしれませんが、私も幸せです。
ずっと、こうしていたいくらい。
二階堂紅丸こうしていると、世界にふたりだけしかいないようだね。
〇×ふふ、そうですね。
二階堂紅丸ごめんな。
〇×え? どうして謝るんですか?
二階堂紅丸本当は代わってあげたいのに……何もできない。
そんな自分が時々憎らしくてしょうがないんだ。
〇×そんなことないですよ……。
紅丸さんは、私にいろいろなことをしてくれています。
〇×これから一緒にしたいこともたくさんあります。
世界が平和になったら……。
〇×(その時、私は生きているのかな……。
紅丸さんとこうやって一緒にいられるのかな……。)
〇×私……死にたくない。紅丸さんとずっと一緒にいたいです。
おじいちゃんとおばあちゃんになるまで、ずっと……!
二階堂紅丸……やっと本音を言ってくれたね。
二階堂紅丸ずっと強がって弱音を吐かなかったから、
心配だったんだ。
二階堂紅丸こんなに女性のことを心配したのは、初めてだよ。
同時に、尊敬もしてるけどね。
〇×そ、尊敬なんて……。
二階堂紅丸だって、自分の好きな女性が世界の為にがんばってるんだよ?
誇りに思わない訳がないでしょ。
二階堂紅丸でも、頑張りすぎないで。
たまには、ゆっくり翼を休めて……俺の女神様。
二階堂紅丸キミは死なないよ。
絶対に……死なせない。
〇×紅丸さん……。
二階堂紅丸一緒におじいちゃんおばあちゃんになるんでしょ?
〇×……はい!

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4章 Edit

16話 Edit

+  ネタバレ注意
飛行場――
二階堂紅丸×ちゃん、あーんしな。
〇×ちょっと紅丸さん……みなさんが見てます!
二階堂紅丸見せつけてやればいいさ。
こうやってふたりきりでのんびりできるのも今のうちだぜ。
〇×ふ、ふたりきりじゃないです……!
草薙京はぁ……非常時に何やってんだ。
テリー・ボガードハハ、仲が良くていいことじゃないか。
矢吹真吾目のやり場にちょっと困りますけど、
本当……仲直りできて良かったです。
テリー・ボガード仲直り?
ふたりはケンカでもしてたのか?
矢吹真吾ケンカというか……ちょっと、事情があって。
テリー・ボガード事情?
アンディ・ボガード兄さん、プライベートにあまり首を突っ込んじゃダメだよ。
アンディ・ボガードそれに、人の恋路を邪魔する者は
馬に蹴られて死んでしまうとも言うし……。
リョウ・サカザキお、都都逸(どどいつ)か。よく知っているな。
テリー・ボガードおいおい、邪魔とは聞き捨てならないな。
邪魔どころか、応援してるっていうのにな。
矢吹真吾おれも、応援というか……。
〇さんには幸せになって欲しいです!
アンディ・ボガードそうだね。僕も同感だよ。
草薙京アイツには相当なもんを背負わしちまってるしな。
テリー・ボガードああ……。
で、事情ってなんだ?
矢吹真吾それは、ヨミさんが紅丸さんを脅して……。
草薙京おい、真吾。
矢吹真吾はっ! しまったぁ!
テリーさん、その聞き方ズルイですよ!
テリー・ボガードハハ、どうしても気になってな。スマンスマン。
アンディ・ボガードだけど、ヨミに脅されていたとは……?
ヨミ……あの件か。
ヨミ二階堂紅丸、あの時はすまなかった。
二階堂紅丸ん?
二階堂紅丸ああ……あの時な。
どうした急に謝るなんて、お前らしくないぜ。
ヨミ皆が〇×の幸せを願う中、
俺のやったことが、ふたりを不仲にしたと聞いてな。
ヨミあの時の俺の行動はナギ様の命令によるもの……。
後悔はしていない。
ヨミだが、間違っていたのかも知れない……そう思った。
だから謝罪した。
二階堂紅丸ふーん?
お前も少しずつ変わってきたという訳か。
二階堂紅丸だけど、別にお前のせいじゃないぜ。
俺の弱さが原因でこの子に寂しい想いをさせてしまった。
二階堂紅丸これからはずっと傍にいて、この子を守るぜ。
〇×私も……。私も紅丸さんを守ります。
二階堂紅丸ハハッ、俺のプリンセスは時々強くて困る。
守るのはナイトの役目と決まっているだろ?
〇×でも……私にしかできない守り方もありますから。
二階堂紅丸……ああ、そうだな。
二階堂紅丸×ちゃん。
全てが終わったら、俺だけのものになってくれるか?
〇×えっ……!
えっと……あの……!!
テリー・ボガード俺たちは何も聞いてないぜ! なあ、アンディ。
アンディ・ボガードなんだか急に耳が遠くなったような……。
矢吹真吾おれは急に眠気が……ぐーぐー。
ビリー・カーンなんだ、その気の遣い方は……。茶番かよ。
〇×え、えっと……。
二階堂紅丸答えてくれないのか?
〇×えっ……あ、あの……。よろしくお願いします。
二階堂紅丸×ちゃん!
〇×わああ、紅丸さん!
みなさんが見てますってば……!

17話 Edit

+  ネタバレ注意
コテージ・夕方――
〇×(みなさん、おなかすいてるよね……。
何か作れるものは……。)
二階堂紅丸×ちゃん、やっと見つけた。
そこで何をやってるのかな?
〇×あ、紅丸さん……。何か食事をと思いまして……。
二階堂紅丸こんなフラフラで料理なんてダメに決まってるだろ。
はい、×ちゃんはそこに座って。
二階堂紅丸何か食べたいものは?
〇×うーん……。
やはりみなさんガッツリしたものがいいのでしょうか?
二階堂紅丸他のヤツじゃなくて、キミが食べたいものを聞いてるんだよ。
〇×私の……?
二階堂紅丸そうだよ。
少しでも食べられそうなものはあるかい?
〇×食欲があまりなくて……。
二階堂紅丸果物でも何でもいい。少しでも食べて欲しい。
あ、りんごがある。食べられそうなら剥くけど、どうかな。
〇×りんごなら、食べられそうです。
二階堂紅丸良かった。
ただ剥くより、すりおろした方がいいかい?
〇×そこまでしなくても大丈夫です。
ふふ……紅丸さんってば、過保護ですね。
二階堂紅丸キミに対してだけはね。
こんな自分、生まれて初めてだよ。
二階堂紅丸……怪我はない?
〇×はい、大丈夫です。紅丸さんが守ってくれましたから……。
二階堂紅丸守れるのは、暴徒からだけだ。
ケガレからはキミを守れていない……。
〇×紅丸さん……。
浄化は私の我が儘でしてるだけですから。
二階堂紅丸我が儘なんかじゃないさ。
そうしないと、人が……世界が傷つくからそうしてるだけだろ。
二階堂紅丸本当は、どこか安全な場所に閉じ込めてしまいたい……。
でも世界の浄化は、キミにしかできないことだもんな。
〇×その気持ちだけでもうれしいです。
二階堂紅丸心の底から代わりたいと思ったのは、初めてだよ。
本当、キミといると初めてのこと尽くしだな。
二階堂紅丸だけど、そういうこと込みでキミのことを好きになったんだ。
ずっと傍にいて、サポートするよ。
〇×紅丸さん……ありがとうございます。
二階堂紅丸×ちゃん、こっちにおいで?
〇×え……は、はい。
二階堂紅丸…………こうしてると、落ち着くな。
二階堂紅丸一つだけ、お願いしてもいいかい?
〇×お願い……ですか?
二階堂紅丸ああ。
二階堂紅丸ナギを止める為に、命を使うのだけはやめて欲しい。
その為なら何でもする。
二階堂紅丸どんな強敵だって倒してみせる。
だから……キミの命だけは! 頼む……。
〇×紅丸さん……苦しいですよ。
二階堂紅丸わ、悪い!
〇×……きっと大丈夫です。
だって、約束したじゃないですか。
〇×全てが終わったら…………ですよね?
〇×それに、私だって紅丸さんと一緒に
おじいちゃんおばあちゃんになりたいです。
二階堂紅丸……ああ、そうだったな。
〇×(本当は怖い……。でも、今は死ぬことが怖いんじゃない。
この人と……紅丸さんと離れ離れになることが怖いの。)
〇×大好きです、紅丸さん……。

18話 Edit

+  ネタバレ注意
コテージ・夜――
二階堂紅丸×ちゃん、体調はどうかな?
〇×さっき少し食べたからか、だいぶいい感じです。
二階堂紅丸良かった……。
少し出掛けるんだけど、付き合ってもらえるかな?
〇×お出かけですか?
二階堂紅丸ああ、キミも買っておきたいものがあるだろ?
それと……何か体に良いものでも食べてこよう。
二階堂紅丸少しでも食べて、英気を養っておかないとね。
沖縄のレストラン――
二階堂紅丸買い忘れはないね?
〇×はい、大丈夫です。
その……全部出してもらっちゃって、いいんでしょうか。
二階堂紅丸もちろん。キミは、俺のお姫様なんだから……。
そんなことを気にする必要はないよ。
〇×で、でも……何だか申し訳なくて。
二階堂紅丸笑顔を見せてくれたら、それでいいよ。
俺にとって、キミの笑った顔が一番のご褒美なんだからな。
〇×紅丸さん……。
二階堂紅丸さて、ディナーにしよう。
沖縄に来たら必ず来る、お気に入りのレストランなんだ。
二階堂紅丸食べられそうなものを適当に見繕って頼んでみたから、
好きなものを食べて。
〇×ありがとうございます。
〇×(わぁ、どれもおいしそう。)
〇×……ん、おいしいです。すごく優しい味付けですね。
二階堂紅丸だろ?
×ちゃんも気に入ってくれると思ったんだ。
〇×(幸せだなぁ……。
明日から決戦が始まるなんて……まるで嘘みたい。)
二階堂紅丸こっちのもおいしいから食べてみて。
〇×はい。
〇×……え?
二階堂紅丸あーん……だろ?
ここなら、誰の目も気にすることない。
〇×えっと……い、いただきます。
二階堂紅丸ふふ、かわいい。おいしいかな?
〇×は、はい……。
〇×(恥ずかしくて、味どころじゃないけど……。
でも、すごく幸せ……。)
二階堂紅丸顔色、少し良くなったね。でも無理はしちゃダメだよ。
〇×気をつけます……。
二階堂紅丸ん、よろしい。
二階堂紅丸全てが終わって、東京に戻れたら……キミとデートがしたいな。
行きたいところとか、してみたいデートってある?
〇×……笑いません?
二階堂紅丸大好きな子の希望を笑う訳がないだろ。
〇×じゃあ、その……ベタなんですけど。
二階堂紅丸うん。
〇×待ち合わせ先に彼が来てて、待った? って聞いたら、
今きたとこって応えてくれて……。
〇×そのあと、当たり前のように手を繋いで歩きたいです。
時々、腕をぎゅって抱きしめたりしながら……。
二階堂紅丸任せておいて。二人の理想のデートをしよう。
二階堂紅丸待ち合わせは渋谷駅かな。
二階堂紅丸お昼前に待ち合わせて、俺が時間前に着いてて……。
キミは時間ギリギリに駆けてくる。
二階堂紅丸そんな小走りのキミをかわいいなぁ……と眺めながら、
俺はキミの到着を待つんだ。
〇×ふふ、楽しみです。
二階堂紅丸俺もだ。
おっと……そろそろ戻って休まないとな。
〇×……はい。
二階堂紅丸ん? 名残惜しい?
〇×少し……。
でも、終わったらきっと……また来られますよね。
二階堂紅丸ああ、いつでも連れてきてあげるよ
二階堂紅丸…………。
〇×紅丸さん?
二階堂紅丸いや、何でも無いよ。行こう。

19話 Edit

+  ネタバレ注意
コテージ・寝室――
〇×(……私、どうして、泣いて……。)
〇×え……?
二階堂紅丸大丈夫? 悪い夢でも見たのかい?
〇×紅丸さん……? どうして私の部屋に?
二階堂紅丸覚えていないのか?
夜中にすごい高熱が出て、大騒ぎだったんだぜ?
二階堂紅丸医者を呼んで、診てもらって……。
もう体はだるくないかい?
〇×はい……。
二階堂紅丸熱も下がったみたいだな、良かったよ。
〇×夢を見ていたみたいです……。
二階堂紅丸どんな夢?
〇×昔のこと、ううん……前世の夢だと思います。
〇×夢を見て……全て思い出しました。
〇×ナギさんを残して逝ってしまったナミさんの気持ちも、
ナギさんを愛していたナミさんの気持ちも……。
二階堂紅丸…………それって……。
〇×心配しないでください。
今の私は〇×。ナミさんではありませんから。
二階堂紅丸なんだ……驚かすなよな。
〇×すみません。
〇×夢の中で、私はナミさんでした。
ナミさんはこの世界を愛していました……。
〇×ナギさんにも同じように、
この世界を愛して欲しいと願っていました。
〇×それをナギさんも分かっていたはずなのに……。
長い年月の孤独がナギさんを変えてしまったんだと思います。
〇×数千年もの間、ずっとひとりなんて……。
そんなの私なら耐えられない。
〇×紅丸さんと離れて数千年も生きるなんて……。
私だって狂っちゃうと思います。
二階堂紅丸そう言われればそうかも知れないけど……。
それでも世界を滅ぼしていい理由にはならないぜ。
〇×はい、それはその通りです……。
〇×ナギさんに同情している訳じゃないんですけど……。
〇×きっとナギさんにもナギさんの事情があるんだなって、
夢を見ながら思ったんです。
〇×ナギさんだって、救われなきゃいけないって。
それが……きっと私の、ナミさんの責任なんだって。
二階堂紅丸責任……運命ってことか。
〇×はい……。
〇×(紅丸さん、嫌な気持ちでいっぱいだよね。)
〇×(私なら……紅丸さんが他の女性のことをこんな風に言ったら
すごく嫌だもの。)
〇×(嫌われても、仕方ない……。)
二階堂紅丸……それで、キミはどうしたいんだい?
〇×え?
二階堂紅丸どうしたいのか、言ってごらん。
俺にできることなら協力するぜ。
〇×紅丸さん……!
二階堂紅丸ん? どうしたんだ?
〇×(この人はすごい……。
すごく心が広くて、優しくて……。)
〇×(私の想像の上をずっと歩いてくれる人。)
〇×ナミさんの気持ちがわかった今、なおさら思うんです。
ナギさんを止めないといけないって。
〇×世界を変えるなんて……。
そんなこと、ナミさんは望んでいないのだから。
〇×お願いです。一緒にナギさんを止めてください!
できれば……彼も救う形で。
二階堂紅丸…………わかった。
だが、最優先は世界を救うこと、そしてキミの命だ。
二階堂紅丸ナギを救えるかどうかはわからない。
だけど――
二階堂紅丸プリンセスの頼みは、叶えてあげるのがナイトの務めさ。
〇×……ありがとうございます!
二階堂紅丸×ちゃん、約束は覚えているよな?
〇×はい、もちろんです。
忘れるわけがありませんよ。
二階堂紅丸それなら、オーケーだよ。
二階堂紅丸行こうか。
ナギを救いに……そして、俺たちの幸せな未来の為にね。
〇×はいっ!

エピローグ Edit

+  ネタバレ注意
道場――
〇×ああ、待ち合わせに遅れちゃう!
〇×(なかなか服が決まらなくて、遅くなっちゃった!)
〇×行ってきます!
草薙京ああ? アイツ、確か紅丸と出かけるんだろ?
同じ家に住んでるのに、何でわざわざ待ち合わせしてんだ?
矢吹真吾初めてのデートだから、待ち合わせがしたかったそうですよ。
草薙京はぁ……?
よくわからんが……幸せそうでなによりだな。
矢吹真吾はい、おれも同感です!
渋谷駅――
女性Aわぁ、紅丸じゃない。
今日はひとりなの? 私と遊ぼうよ~。
二階堂紅丸ん……?
女性A私のこと、覚えてないのー?
二階堂紅丸ああ、前にクラブで会った子かな?
二階堂紅丸ごめんね、キミの気持ちは嬉しいけど……。
〇×(ああ、時間ギリギリ!)
二階堂紅丸あっ……×ちゃん!
〇×紅丸さん……!
二階堂紅丸ハハ、本当に時間通り。
キミに会いたくて死にそうだったよ!
〇×死にそうって……朝も会いましたよ!?
二階堂紅丸キミに会えない一分一秒がどれだけ長く感じるか……。
教えてあげないといけないみたいだね。
女性Aだ、誰……その女……。
二階堂紅丸今日は俺だけのお姫様とデートなんだ。
女性Aはぁ!?
二階堂紅丸さあ、行こうか!
〇×はい。
女性Aうそでしょ~……。
二階堂紅丸あ、ちょっと待った。何か忘れてないか?
〇×え?
二階堂紅丸待った? って聞くんだろ?
〇×あ……そうでした!
えっと……ま、待ちました?
二階堂紅丸今来たところだよ、×ちゃん。
〇×ふふふ。
二階堂紅丸さ、今日は何がしたい?
キミがしたいことなら、何だって叶えてあげるよ。
〇×え、えっと……。
二階堂紅丸ん? 聞こえないよ。
〇×その……手を繋いで歩きたいです。
二階堂紅丸…………。
二階堂紅丸今日は敬語禁止。デートだからね。
〇×ええっ!?
二階堂紅丸可愛い恋人に敬語を使われると寂しいなって思ってさ。ほら。
〇×手を繋いで、歩きたい……な?
二階堂紅丸ハハッ、よくできました!
二階堂紅丸あ、そっちの手も貸して。
〇×え? 左手も……?
二階堂紅丸うん、ちょっと待ってね。
二階堂紅丸……はい、できた。

 
SSスチル_二階堂紅丸.jpg
 

〇×……ゆ、指輪?
二階堂紅丸本当は沖縄のレストランで渡したかったんだけど、
渡しそこねてさ。
〇×(左手の薬指……こ、これってまさか……。)
二階堂紅丸おじいちゃんおばあちゃんになっても
ずっと一緒にいてくれるかな?
〇×は、はい……!
二階堂紅丸こら、敬語禁止だって。
〇×ん!? 鼻摘ままないでくだひゃい!
二階堂紅丸ハハ、本当に……キミといるのは永遠に飽きそうにないな。
〇×……私は永遠にドキドキしてそうです。
二階堂紅丸お望みなら……ずっとドキドキさせてあげるよ。
〇×し、心臓が持たない……!
二階堂紅丸そう? キミの心臓だから大切にしてあげないとな。
〇×ふふ、お手柔らかにお願いします!
二階堂紅丸はーい、また敬語~。
次から敬語で話すたびにキスしようかな。
〇×ええっ!?
二階堂紅丸あははっ、冗談だよ。
〇×もう、紅丸さんったら。
二階堂紅丸…………ありがとな。
〇×え?
二階堂紅丸生きていてくれて……。
そして、俺を選んでくれて……嬉しいよ。
〇×私の方こそ……選んでくれてありがとうございます。
これからもよろしくおね……じゃなくて、よろしくね!
二階堂紅丸ああ、よろしくな!

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