**第1話 [#story1]
#region(ネタバレ注意)
|〇×(主人公)|うーん、いい天気！ 掃除がはかどるなあ。|
|草薙京|真吾、飛び上がり方がなってねえ。&br;もっとこう、踏み込みをだな……。|
|矢吹真吾|こ、こうですか？&br;おりゃああっ！|
|草薙京|そうそう、その調子だ。|
|矢吹真吾|ありがとうございます草薙さん！&br;へへっ、これならいつか炎出せますかね？|
|草薙京|そりゃどうかな。|
|矢吹真吾|絶対出しますよ！ だから見ててくださいね！|
|矢吹真吾|よーし、次はスクワット５００回だ！&br;気合入れるぞー！|
|ジョー・東|おおっ、いいじゃねぇか真吾！&br;オレもやるぜ！|
|マキシマ|ははは、楽しそうじゃないか。&br;なあ相棒？|
|K'|…………知るかよ。|
|〇×|（ふふっ、今日もみなさん、&br;トレーニング頑張ってるみたい。）|
|〇×|（えーっと、ゴミは全部まとめたから、&br;ゴミ捨て場に……。）|
|草薙京|お、×、掃除お疲れさん。&br;これからゴミ出しか？|
|〇×|はい、そうです。|
|草薙京|結構ゴミの量多そうだな。&br;そこに置いとけばオレが燃やしとくぜ。|
|〇×|えっ？ だ、大丈夫なんですか？|
|草薙京|……大丈夫なわけねえだろ。&br;ギャグだギャグ。|
|矢吹真吾|ごみはちゃんと分別が必要ですもんね。|
|矢吹真吾|でも、やっぱりそうやって炎を&br;さっと出せるの憧れます！|
|矢吹真吾|お願いします草薙さん！ もっと技見せてください！&br;炎を出すコツ教えてください！|
|草薙京|んじゃ、焼きそばパンな。|
|矢吹真吾|了解っす！ 他のみなさんも、&br;買ってきてほしいものとかありますか？|
|矢吹真吾|そろそろお昼時ですし、お昼ご飯買ってきますよ！|
|〇×|いいの？ 真吾くん。|
|矢吹真吾|はい！ もちろんですよ！&br;草薙さんに技を見せてもらうときはいつもこうですし。|
|ジョー・東|あ、オレ減量中だからサラダチキン頼むわ。|
|マキシマ|俺はコンビニのプリンパフェを頼む。|
|矢吹真吾|わかりました！ あと大門さんの分と、&br;それと――|
|矢吹真吾|よしっ、それじゃあ即行で行ってきまーす！|
|〇×|気を付けて行ってきてね～！|
|草薙京|さて、今日は何分で戻ってくるかな。|
|草薙京|しかし真吾の奴……。&br;炎なんて出せるわけねえのによくやるよな……。|
#endregion
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**第2話 [#story2]
#region(ネタバレ注意)
|〇×(主人公)|そういえば京さんの炎って、&br;先祖代々伝わるもの……でしたよね？|
|草薙京|ああ。草薙家の血を引いてなきゃ、&br;この炎を出すことはできない。|
|草薙京|正直な話、トレーニングとか練習とか、&br;そういうのでどうにかなるもんじゃねえんだ。|
|〇×|それなのに真吾くんは、&br;炎を出そうと頑張ってるんですよね。|
|草薙京|そうだ。……まあ、&br;あいつも気づいているんだろうとは思う。|
|草薙京|気づいてるクセに意固地になってんのが&br;諦めが悪いっつーか……。|
|草薙京|……ま、格闘家としての腕は悪くねえと思うから、&br;付き合ってやってんだ。|
|ジョー・東|真吾もよくやるけどよ、&br;京も案外真面目だよなぁ。|
|ジョー・東|まあでも、諦めないっつーのは大事だよな！|
|ジョー・東|あの調子で頑張れば、&br;いつかはマジで炎出せるかもしれないぜ！|
|マキシマ|炎を出す……か。|
|K'|……んだよ、なんでこっち見やがる。|
|マキシマ|いや、さすがに草薙の炎の移植手術を&br;するわけにはいかんなと思ってな。|
|K'|くだらねぇこと言ってんじゃねぇ。|
|草薙京|同感だ。てめぇと意見が合うのも珍しいな。|
|マキシマ|ははは、そう怒りなさんなおふたりさん。&br;ただの冗談だ。|
|K'|笑えねぇ冗談は冗談とは言わねぇ。|
|草薙京|そもそもお前笑うのかよ。|
|〇×|（きょ、京さんとK'さんが&br;ちょっと険悪なムードに……。）|
|矢吹真吾|お待たせしました～！ お昼買ってき……&br;あれ、なんか空気が重い……。|
|草薙京|…………。|
|K'|…………。|
|〇×|お、おかえり真吾くん！&br;買い出しありがとう、お疲れ様。|
|矢吹真吾|い、いえ……。あ、あの、&br;草薙さんとK'さんどうしたんすかね？|
|矢吹真吾|もしかして、おれが買い出し遅かったから&br;怒ってるんですか！？|
|マキシマ|いやいや、そんなことじゃないから安心しな。&br;若い奴にはいろいろあるのさ。|
|矢吹真吾|……？ はい……。|
|K'|空気悪くした張本人が何言ってやがる……。|
|草薙京|そんなことより真吾、&br;京は前回より３分遅かったな。|
|矢吹真吾|途中で赤信号に引っかかっちゃいまして……。|
|草薙京|まあでも、よくやったほうだと思うぜ。|
|矢吹真吾|ありがとうございます！&br;それじゃあ早速、技見せてください技！|
|草薙京|ああ、何がいい？|
|矢吹真吾|神塵（かむくら）見たいっす神塵！|
|草薙京|……神塵やらされるんなら、もう２，３個&br;なんか買ってこさせりゃよかったな……。|
|草薙京|まあ、いいか。&br;危ねぇからお前らちょっとオレから離れろ。|
|矢吹真吾|〇さん、おれの後ろに隠れててくださいね。|
|〇×|あ、うん……。|
|草薙京|…………。|
|草薙京|遊びは終わりだ！&br;オレからは逃げられねえんだよ！ 響けぇえ！|
|〇×|（す、すごい勢いで炎が……！&br;京さん、やっぱりさすがだな……。）|
#endregion
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**第3話 [#story3]
#region(ネタバレ注意)
|大門五郎|ほう、やるではないか京。&br;また腕を上げたようだな。|
|草薙京|へっ、当然だろ？|
|矢吹真吾|すげー……草薙さん、かっこいい～……。|
|草薙京|どうだ真吾。技の出し方はわかったか？|
|矢吹真吾|はいっ！&br;動きとか全部ばっちりメモしました！|
|矢吹真吾|あとは炎出しながら動けたら&br;完璧ですね！|
|草薙京|そうだな。……あー、腹減った。&br;真吾、焼きそばパンくれ。|
|矢吹真吾|あっ、はい、どうぞ！|
|ジョー・東|そんじゃ、トレーニングは休憩して&br;昼飯にするとすっか。|
|矢吹真吾|……ここで踏み込んで、拳を前に出して、&br;ジャンプして……。|
|矢吹真吾|うーん、やっぱり神塵は動きが難しいな……。&br;見様見真似でやるのも大変だ……。|
|ジョー・東|おっ、真吾、練習中か？&br;頑張ってんなあ。|
|矢吹真吾|はいっ！ 復習は格闘技でも勉強でも&br;どんなときでも大事ですからね！|
|ジョー・東|炎を出す為に頑張る姿……&br;くーっ、泣かせるねえ！|
|ジョー・東|よーし、真吾！ お前が炎を出せるように&br;オレもトレーニング付き合ってやるぜ！|
|矢吹真吾|ほんとですか！？&br;ありがとうございます、ジョーさん！|
|ジョー・東|うっし、そうと決まったら、&br;真吾が炎を出す方法を考える会議だ！|
|ジョー・東|お前らも何か案出せよ！|
|マキシマ|ふむ、面白そうだな。|
|草薙京|オレは技見せたからもういいだろ。|
|K'|……くだらねぇ……。|
|大門五郎|ワシはそういったことは専門外だな。|
|ジョー・東|なんだよ、やる気があるのはマキシマだけかよ。|
|ジョー・東|な、×ちゃんはどうだ？&br;真吾が炎を出す方法、一緒に考えねえ？|
|〇×|お役に立てるかどうかはわかりませんが、&br;真吾くんのお手伝いはしたいと思います。|
|矢吹真吾|〇さん……！ ありがとうございます！&br;〇さんって本当に優しくていい人です！|
|ジョー・東|ああ、まるで女神みてえだ！|
|〇×|そ、そんな大げさですよふたりとも。|
|ジョー・東|会議となると頭使うし腹が減るな……。&br;わりぃ、×ちゃん、何か食うものあるか？|
|〇×|おにぎりで良ければすぐ作れますよ。|
|ジョー・東|よっしゃ、なら頼むぜ！|
|矢吹真吾|お腹空いたならおれが買い出し行きますよ。|
|ジョー・東|何言ってんだ真吾！&br;お前は会議の主役なんだからここにいろ！|
|矢吹真吾|あっ、そ、そっか……！|
|ジョー・東|京！ お前も師匠なんだから、&br;会議に参加くらいはしろよな！|
|草薙京|……めんどくせえ……。|
|矢吹真吾|お願いします、草薙さん！&br;いいとか悪いとかアドバイスくれるだけでもいいんで！|
|草薙京|……はぁ、しょうがねえな。&br;見てるだけだからな。|
|矢吹真吾|はい！|
|〇×|（京さん、やっぱりなんだかんだで&br;真吾くんに優しいよね。）|
|〇×|（にしても炎を出す方法か……&br;どんなものがあるかな……？）|
#endregion
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**第4話 [#story4]
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|ジョー・東|真吾が炎を出せるようになる方法か……。|
|マキシマ|そうだな……京と二人羽織して、&br;後ろから京に炎を出してもらうとかどうだ？|
|草薙京|無茶言うな。|
|矢吹真吾|さすがに草薙さんをおんぶしながら&br;動くのは無理です！|
|矢吹真吾|……あ、でもそれはそれで特訓になりますかね？|
|草薙京|やめとけ。|
|ジョー・東|マッチとかライターをこう、&br;なんかしたらいけるんじゃねえか？|
|矢吹真吾|なんかってなんですかね……？|
|ジョー・東|なんかって、なんかだよ。|
|草薙京|なんだよそれ、&br;なんの提案にもなってねえだろ。|
|大門五郎|ふむ、摩擦熱や電力を利用する、&br;という方法もあると思うが。|
|矢吹真吾|あっ、虫メガネと太陽の光で&br;火を起こすってのはどうですか！？|
|〇×(主人公)|あ、小学校のとき理科の実験でやったようなやつ？|
|矢吹真吾|そう、それですそれ！|
|ジョー・東|だが、それだと時間かかるんじゃねえか？&br;火力出すにもいろいろ用意しなきゃだろ。|
|矢吹真吾|あ、そっか……。&br;じゃあやっぱりマッチとかライターですかね。|
|草薙京|時間かからねえならやる気だったのか……？|
|マキシマ|ふむ……手軽に素早く火力を出すならば、&br;やはり火炎放射器がいいだろうな。|
|ジョー・東|火炎放射器ぃ？&br;そんなもん、どうやって手に入れるんだよ。|
|マキシマ|買うのが一番手っ取り早いが、&br;一般人に売ってくれるところは無いだろうな。|
|マキシマ|だがな、火炎放射器というのは&br;案外簡単に手作りできるもんなんだ。|
|〇×|あ、火炎放射器の手作り……ですか。|
|マキシマ|ああ、ガスボンベと水道管に使うパイプ、&br;それと――|
|マキシマ|それをこうくっつけてだな――|
|〇×|（ま、マキシマさん……まるで料理のレシピみたいに&br;火炎放射器の作り方を教えてくれてる……。）|
|ジョー・東|へえ、ホームセンターで買えそうなやつとか&br;結構あるんだな。|
|矢吹真吾|なるほどなるほど……メモメモ、っと。|
|マキシマ|で、作った火炎放射器を服の中に仕込んで、&br;まるで手から炎を出しているように見せるんだ。|
|マキシマ|仕込み刀ならぬ仕込み火炎放射器、ってな。|
|矢吹真吾|仕込み火炎放射器……！&br;か、かっこいい……。|
|ジョー・東|けど、服に引火したら危なくねえか？|
|マキシマ|服の素材を防火布に変えればいい。&br;これもホームセンターで買えるはずだ。|
|ジョー・東|へえー、よくそういうのボンボン思いつくよなあ。|
|マキシマ|おたくとは経験や、ここの出来が違うからな。&br;ははは！|
|ジョー・東|へっ、よく言うぜ。まあでも、&br;いい感じに案が固まってきたんじゃねえか？|
|矢吹真吾|はい！ 仕込み火炎放射器、やってみたいです！|
|ジョー・東|そうと決まったら早速買い出しだ！&br;行くぜ真吾！|
|矢吹真吾|はい！|
|草薙京|…………大丈夫か、あいつら。|
|〇×|だ、大丈夫だと思います……多分。|
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**第5話 [#story5]
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|矢吹真吾|えーっと、火炎放射器に必要な材料は買ったから&br;あとは防火布だけっすね。|
|矢吹真吾|〇さん、買い出し手伝ってくれて&br;ありがとうございます。|
|〇×(主人公)|ううん、大変そうだったし、気にしないで。|
|〇×|（……いろいろあって手伝うことになっちゃったけど、&br;みんな本気で作る気なんだなぁ……。）|
|矢吹真吾|マキシマさん、あとなんか買っておくものって&br;ありますかね？|
|マキシマ|そうだなあ。せっかく火炎放射器仕込むんなら&br;もうちょっと別のギミックが欲しいよな。|
|ジョー・東|別のギミックってーと？|
|マキシマ|俺が使ってるようなビーム砲とか、&br;銃撃ができるようなやつとかどうだ。|
|矢吹真吾|そ、そういうのって人体改造しなくても&br;できたりするんすか？|
|マキシマ|ああ！ 服をこう、ちょっと改造するだけでな……。&br;それでここを……。|
|矢吹真吾|へえ……な、なるほど……。|
|草薙京|おいマキシマ、真吾に変なこと教えてんじゃねえ。|
|草薙京|それにそもそも、銃とかビーム砲とか、&br;そんなもんどうやって準備するんだよ。|
|矢吹真吾|そ、そうですよね。さすがにホームセンターで&br;手作りできるようなもんじゃなさそうですし……。|
|マキシマ|そこは俺が保管しているものの中から&br;いくつか良さそうなものを見繕うぜ。|
|マキシマ|あとは銃なら軍人に掛け合えばいけるか？&br;KOFによく顔を出すあいつらに聞いてみるか。|
|矢吹真吾|あっ、あの人たちすごいですよね。&br;まさに破壊力って感じで。|
|矢吹真吾|パンチしながら爆発起こしたり、&br;イヤリングの爆弾投げて来たり……。|
|〇×|（……KOFってそんな人たちも&br;参加してるんだ……。）|
|草薙京|ありゃ、あいつらだからできることだろ。&br;それに簡単に応じるとも思えねえしな。|
|マキシマ|まあ、確かに。部隊の機密を持ち出すようなもんだしな。|
|矢吹真吾|じゃあやっぱ、&br;火炎放射器一本に絞るのが良さそうですね。|
|草薙京|そもそもオレは火炎放射器もどうかと思うが……。|
|ジョー・東|なーにビビってんだよ京！&br;何事もやってみなくちゃわかんねえだろ？|
|草薙京|いや、ビビってるとかじゃなくてだな……。|
|ジョー・東|やらずに後悔するよりやって後悔だ！&br;真吾、お前は絶対炎を出せる！ 頑張ろうぜ！|
|矢吹真吾|は、はい！|
|草薙京|ハァ……どうしようもなさそうだな。&br;おい、×。|
|草薙京|こいつらが変に突っ走らないように、&br;お前が見張っててやってくれねえか。|
|草薙京|そういうのもマネージャーの仕事だろ？&br;だから、頼んだぜ。|
|〇×|（……って、京さんに言われて&br;買い出しのお手伝いしに来たんだよね……。）|
|ジョー・東|マキシマ、材料はこんなもんで十分か？|
|マキシマ|ああ、ガスボンベでうまく行かなかったとき用に&br;固形燃料も用意したし、大丈夫だろう。|
|矢吹真吾|いよいよ本格的に作り始めるんですね！&br;お、おれ、ドキドキしてきました……！|
|ジョー・東|最高の火炎放射器を作ろうな、真吾！|
|矢吹真吾|もちろんです！|
|〇×|（すみません、京さん……&br;私にはみんなを止められそうにありません……。）|
|〇×|（止められないなりに、せめて&br;少しでも危険を取り除けるよう頑張ろう。）|
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**第6話 [#story6]
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|ジョー・東|よーっし、それじゃあ早速、&br;火炎放射器作りを始めるとすっか！|
|矢吹真吾|はい！ 〇さんは&br;防火仕様の服の量産をお願いします！|
|マキシマ|万が一失敗した時の為に、&br;防火服は多めに用意しときたいからな。|
|矢吹真吾|〇さんの裁縫技術、&br;期待してます！|
|〇×(主人公)|う、うん、任せて！|
|草薙京|おい×。&br;なんであんたまで加担してるんだよ。|
|〇×|なりゆきで……。|
|草薙京|別に、無理に付き合う必要はねえんだぞ？|
|草薙京|真吾とジョーはともかく、&br;マキシマは冗談半分だろうしな。|
|〇×|でも、何かをやろうと一生懸命になってるところを&br;見ると、応援したくなるんです。|
|〇×|やる気があって頑張ってるところに&br;水を差すのも申し訳ないな、と思って。|
|〇×|それでもやっぱり火を扱うのは危ないですし、&br;少しでも危険を回避できる手助けがしたくて……。|
|草薙京|それで防火服作りの手伝いか？&br;ハァ……あんたがそう言うんなら、もう好きにしろ。|
|マキシマ|水道管のパイプをこう繋げるだろ。&br;で、ここから炎が放射されるようにするんだ。|
|マキシマ|ガスボンベを服の裏に仕込んで、&br;繋げて……――こうだ！|
|矢吹真吾|うわっ、炎出た！|
|ジョー・東|すっげえなあ。こんな簡単にできるんだな。|
|マキシマ|とりあえずの試作品だけどな。&br;真吾、試しに技撃ってみろ。|
|矢吹真吾|あっ、はい！&br;えっと、火炎放射器をつけて、袖に通して……。|
|矢吹真吾|うおおおりゃあ！！|
|矢吹真吾|……や、やった！ 炎が出ました！&br;やりましたよ草薙さん！！|
|草薙京|そりゃ出るだろ。|
|矢吹真吾|今なら闇払いも大蛇薙も撃てそうな気がします！|
|マキシマ|そうなるともう少し火力調整がいるな。&br;それと服の強度も上げなきゃならん。|
|ジョー・東|×ちゃん！&br;全速力で真吾の服作ってやってくれよな！|
|〇×|は、はい、頑張ります！|
|矢吹真吾|うおおおっ！ 〇さんが服を補強して&br;くれたおかげでめちゃくちゃ炎出せます！|
|マキシマ|簡単には引火しない、動きやすさも申し分ない。&br;さすがの腕だな。|
|〇×|い、いえ、それほどでも！|
|〇×|（お裁縫がこういう形で役に立つ日が来るなんて&br;思いもしなかったな……。）|
|ジョー・東|かっこいいぜ真吾！&br;これなら次のKOFは準優勝間違いなしだな！|
|矢吹真吾|えぇ～……準優勝なんですか？|
|ジョー・東|当たり前だろ！ 優勝はオレのチームが&br;いただくに決まってんだからな！|
|矢吹真吾|いや！ ぜったいおれたちのチームが優勝です！&br;ね、草薙さん！|
|草薙京|次、お前とチーム組むとは限らねえぞ。|
|矢吹真吾|がーん！！ そ、そんなあ……。|
|矢吹真吾|で、でも草薙さんとチーム組めなくても&br;この炎でおれは頑張ります！！|
|ジョー・東|その意気だぜ真吾！&br;もっと熱い炎を見せろ！|
|矢吹真吾|はいっ！！ おりゃああああっ！！|
|草薙京|……ありゃ技っていうより、&br;どっちかといえば大道芸だよな。|
|男性|……あ、あの、ちょっといいですか？&br;外から様子を見てたんですが……。|
|〇×|はい、どうしましたか？|
|〇×|（もしかして、近所迷惑になってたかな……？&br;だったら謝らないと……。）|
|男性|そこの、炎を出してた青い服の子！&br;お願いだ、僕と一緒に来てくれ！|
|矢吹真吾|え、えええっ、おれ！？|
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**第7話 [#story7]
#region(ネタバレ注意)
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|男性|君の姿を見た時から、&br;君しかいないと思ったんだ！|
|矢吹真吾|そ、そんな、急に言われても困ります……。|
|ジョー・東|お、おいおい、何事だよ。|
|マキシマ|ふむ……ただ事じゃなさそうだな。|
|男性|すみません、興奮のあまり申し遅れてしまい……。&br;自分、こういう者でして。|
|矢吹真吾|テレビ局のプロデューサー？|
|男性|はい。先程、君の炎を見て、&br;これはぜひうちの番組に出てほしいと思ったんです。|
|男性|近頃視聴率が低迷して困ってて……&br;でも君の力があれば、高視聴率間違いなしのはず！|
|男性|お願いします！ どうか、一緒に来てください！！|
|矢吹真吾|い、いきなり言われても、おれ……。|
|ジョー・東|すげえじゃねえか真吾！&br;タレントデビューだぜ、タレントデビュー！|
|〇×(主人公)|こんなことってあるんですね……。|
|マキシマ|真吾、お前さんはどうしたいんだ？|
|矢吹真吾|なんか困ってるみたいですし、&br;おれで助けになれるならなりたいですけど……。|
|矢吹真吾|おれまだ学生ですし、&br;とりあえずまずは親に聞いてみないと……。|
|男性|返事はいつでもいいですから！&br;その名刺の連絡先にお願いしますね！ では！|
|〇×|行っちゃった……。&br;真吾くん、大丈夫？|
|矢吹真吾|は、はい。テレビのスカウトなんて、&br;こんないきなり来るものなんですね。|
|矢吹真吾|視聴率が低くて困ってるって&br;言ってましたし、助けになりたいな……。|
|草薙京|どんな番組なんだ？&br;ちょっと名刺見せてみろ真吾。|
|草薙京|…………びっくり人間大活躍ショー……？&br;いやこれ、すげえうさんくせえだろ。|
|矢吹真吾|ですがおれを見るあの人の目は、&br;番組を盛り上げたい気持ちで燃え上がってました！|
|矢吹真吾|あの人の想いに間違いはないと思うんです！&br;だからおれは、あの人の気持ちに応えたい！|
|ジョー・東|くーっ、泣かせるじゃねえか！&br;お前のその心意気、オレの胸に響いた！|
|ジョー・東|応援させてもらうぜ、真吾！&br;もし親の反対に遭っても、オレが許す！|
|矢吹真吾|ジョーさん……！|
|マキシマ|テレビ出演となると、更なる改良が必要になるな。&br;俺も手を貸そう。|
|矢吹真吾|マキシマさん……！|
|草薙京|なあおい×、&br;あいつら、どんどん変な方向に行ってねえか？|
|〇×|そうですね……。でもその、&br;もう止まりそうにないというか……。|
|草薙京|ハァ……オレは知らないからな。|
|〇×|（真吾くんのテレビ出演……どうなるんだろう？）|
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**第8話 [#story8]
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|矢吹真吾|〇さん、こんにちは！&br;お疲れ様です！|
|〇×(主人公)|真吾くん、お疲れ様。なんだか嬉しそうだね。|
|矢吹真吾|はい！ 先日、テレビのスカウトがあったでしょう？|
|矢吹真吾|あれ、無事に親からオーケーもらえました！|
|〇×|本当？ 良かった！|
|矢吹真吾|でも、最初は危ないからって猛反対されたんです。&br;当然と言えば当然ですけど。|
|矢吹真吾|でも、これはおれにしかできないことなんだって&br;頑張って親を説得したんです。|
|矢吹真吾|困っている人を助けたい。&br;いや、絶対に助けるんだって！|
|矢吹真吾|おれの思いの丈をぶつけたら両親も懲りて&br;「やるだけやってみろ」って言ってくれたんです！|
|〇×|真吾くんの頑張りたい気持ち、&br;ご両親に伝わって良かったね。|
|矢吹真吾|はい！ それで、〇さんにお礼が言いたくて。|
|〇×|私に？|
|矢吹真吾|危なくないぞってことを両親に説明するときに、&br;〇さんに作ってもらった服を使ったんです。|
|矢吹真吾|防火素材しっかり！ 防御力が高いながらに&br;身動きも取りやすくて、もしものときはすぐ脱げる！|
|矢吹真吾|そういうところをしっかりアピールしたら、&br;両親もそれなら安心かもって思ってくれたんです。|
|矢吹真吾|だから、親が納得してくれたのも&br;〇さんのおかげです！ ありがとうございます！|
|〇×|役に立てたなら良かったよ。&br;私も、真吾くんに危ない目には遭ってほしくないし。|
|〇×|服のこと、もっと気になるところがあったら&br;なんでも言ってね。修繕するから。|
|矢吹真吾|はい、よろしくお願いします！|
|〇×|それで、テレビの収録はいつなの？|
|矢吹真吾|明日打ち合わせとかして、収録は来週らしいです！&br;なんか本格的にテレビって感じで緊張しますね！|
|〇×|そうなんだね。それじゃあ、真吾くんが精いっぱい&br;頑張れるよう、お弁当作っておくよ。|
|矢吹真吾|ほんとですか！？ ありがとうございます！|
|矢吹真吾|おれ、絶対にこのテレビ出演、&br;成功させて見せますからね！|
|矢吹真吾|最高に熱い炎をお見せします！|
|〇×|うん、頑張ってね！|
|〇×|（……なんだか最初の目的から&br;どんどんずれている気がするけど……。）|
|〇×|（真吾くんが頑張ろうとしてるなら、&br;応援してあげたいな。）|
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**第9話 [#story9]
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|矢吹真吾|遊びは終わりです！&br;おれからは逃げられないですよー！！|
|包|うわあっ！ 真吾さんすごーい！&br;どこから炎が出てるの！？|
|矢吹真吾|えっと、服の袖に――|
|マキシマ|おいおい真吾。こういうのは&br;秘密にしておくのが面白いってもんだぜ。|
|矢吹真吾|あ、そ、そっか。秘密、秘密です！！|
|包|えー、つまんなーい。|
|二階堂紅丸|真吾、結構堂々とテレビに出てるな。&br;いい感じだと思うぜ。|
|矢吹真吾|へへ……ありがとうございます。|
|矢吹真吾|こうやって〇さんのおいしいごはんを&br;みんなで囲みながら、テレビでおれの姿を見る……。|
|矢吹真吾|こんな日が来るなんて、&br;思いもしなかったですよ。|
|〇×(主人公)|ふふっ、おかわりあるからどんどん食べてね。|
|矢吹真吾|はいっ！&br;もうおれ、ガンガン食べますよ～！|
|矢吹真吾|…………。|
|ジョー・東|ん？ どうした真吾。元気ないじゃねえか。|
|矢吹真吾|あ……すみません、わかっちゃいましたか？|
|二階堂紅丸|テレビ出演は成功したんだろ？ 会場も&br;盛り上がってるようだし、良かったんじゃないか？|
|矢吹真吾|テレビは良かったんですけど……&br;でも、やっぱりなんか違うなって思って……。|
|ジョー・東|違うってどういうことだ？|
|矢吹真吾|確かに炎は出せましたけど、でもこれは&br;草薙の炎じゃないんですよね。|
|草薙京|そりゃ、発火元はガスボンベだしな。|
|矢吹真吾|おれが出したいのは草薙の炎なんです！&br;見た目が似てても、やっぱり違います！|
|矢吹真吾|火炎放射器も、防火服も、みなさんに作るの&br;手伝ってもらったのは感謝してます。|
|矢吹真吾|でもやっぱり、物に頼るんじゃなくて、&br;自分自身の力で炎を出したいんです！|
|ジョー・東|そうか……それだけお前は、&br;草薙の炎に情熱を燃やしてるってことだな！|
|矢吹真吾|はい！ もう、メラメラしてます！！&br;おれ、絶対に草薙の炎を出して見せます！|
|矢吹真吾|そういうわけで草薙さん！&br;またこれから特訓よろしくお願いします！|
|草薙京|……しゃーねえなあ、ったく。&br;ようやく面倒事から解放されると思ったのによ。|
|二階堂紅丸|そんなこと言って、本当は真吾が弟子じゃなくなるかも&br;しれなくて、寂しかったんじゃないか？|
|矢吹真吾|そうなんですか？ 嬉しいっす草薙さん！|
|草薙京|勝手なこと言うな。|
|ジョー・東|熱い師弟愛、いいねえ！&br;よっしゃ真吾！ オレも特訓付き合うぜ！|
|ジョー・東|そのためには腹ごしらえが必要だ！&br;×ちゃん、飯おかわり！|
|矢吹真吾|あっ、おれもお願いします！|
|〇×|はい！ どんどん食べてくださいね。|
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**第10話 [#story10]
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|矢吹真吾|草薙さーん！&br;焼きそばパン買ってきましたよ～！|
|〇×(主人公)|（真吾くんのテレビ出演が一段落ついて、&br;いつも通りの光景が広がってる。）|
|草薙京|なんか今日はやたらと遅かったな。&br;いつもより10分以上かかってるぞ？|
|矢吹真吾|いや、この間のテレビを見たって人から&br;声をかけられちゃいまして……。|
|矢吹真吾|サインくださいとか言われちゃって、無視するのは&br;良くないと思ってたらどんどん人が来て……。|
|ジョー・東|一気に有名人だなあ、真吾。|
|矢吹真吾|いやあ、照れくさいです。学校でも、&br;テレビ見たって声かけてもらえるんすよ。|
|矢吹真吾|他にもテレビとか動画配信サイトとかの&br;オファーがあったんですけど、全部断りました。|
|ジョー・東|そうなのか。|
|矢吹真吾|はい。だっておれの目標は草薙の炎！ 一人前の&br;格闘家になって草薙さんに認めてもらうことですから！|
|矢吹真吾|テレビとか動画とかで&br;有名になりたいわけじゃないんです。|
|矢吹真吾|というわけで草薙さん！&br;今日は大蛇薙見せてください！|
|草薙京|へいへい、わかったよ。|
|草薙京|喰らい……やがれえええっ！|
|矢吹真吾|はあ～！ 草薙さん、ほんとかっこいいっす！|
|矢吹真吾|草薙さんみたいになれるよう、&br;もっともっとトレーニングしないと！|
|矢吹真吾|よし、それじゃ今からランニング行ってきます！|
|ジョー・東|さっき走って焼きそばパン買いに行ったばかり&br;だってのにまた行くのかよ。|
|ジョー・東|そういうところ最高だぜ！&br;オレも付き合ってやる！|
|矢吹真吾|ありがとうございます！&br;それじゃ行きましょう！！|
|草薙京|元気だなあ、あいつら。|
|〇×|あの調子なら、本当に真吾くん、&br;自分で炎を出せるようになるかもしれませんよ。|
|草薙京|んなわけねえだろ。&br;まあ、でも万が一そんなことになったら……。|
|草薙京|いや、あるわけねえか。&br;ったく、オレも変に毒されちまってるみたいだ。|
|草薙京|まあでも、せいぜい気張ってほしいと思うぜ。&br;便利なパシリだしな。|
|〇×|（京さん、素直に言うことはないけど、&br;やっぱり真吾くんのこと応援してるんだよね。）|
|〇×|（草薙家の血を引いていないと&br;草薙の炎は出せない。それでも真吾くんは頑張ってる。）|
|〇×|（いつか、本当に出せる日が来るといいな。）|
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