イベントストーリー /乾きの丘に降る彩雨 の変更点

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**第1話  [#story1]
#region(ネタバレ注意)
|>|ある日の午後――|
|~矢吹真吾|〇さん、これでどうですか?&br;ちゃんと塞がったと思うんですけど。|
|~〇×(主人公)|わっ、すごくきれいに仕上がってる!&br;ありがとう、真吾くん。|
|~〇×|ごめんね。壁の修理なんて面倒なこと任せちゃって。&br;業者に頼めたらよかったんだけど……。|
|~矢吹真吾|穴開けちゃったのはおれたちなんで、&br;〇さんが気にすることじゃないです!|
|~矢吹真吾|それに全部業者に頼んでたら、&br;お金がいくらあっても足りないですよ。|
|~〇×|(真吾くんの言う通りなんだよね。&br;最近は人も増えて、食費もかさんでいるし。)|
|~〇×|道場にもう少しお金があったら……。|
|~矢吹真吾|うっ、おれ、お金はすぐに用意できないですけど、&br;修理ならいつでも手伝うので!|
|~矢吹真吾|また声かけてください!|
|~〇×|ありがとう、真吾くん。|
|~〇×|(真吾くんもこう言ってくれてるし、&br;お金がないなんて言ってられない。)|
|~〇×|(こういう時こそ、&br;道場の管理人としてうまくやりくりしなきゃ!)|
|~矢吹真吾|おれならいつでも大歓迎なんで、&br;また声かけてください!|
|~〇×|ありがとう。|
|~ナギ|……ねえヨミ。|
|~ナギ|お金ってどうやったら手に入るのかな?|
|~ヨミ|はい。調べてまいります。|
|>|その日の夕食時――|
|~〇×|(あれ、ヨミさんどこにいったんだろう。&br;今日はご飯、一緒に食べるのかと思ったんだけど……。)|
|~アンディ・ボガード|何か気になることでもあったのかい?&br;そわそわしているようだけど……。|
|~〇×|あ、すみません。&br;ヨミさん、どこにいったのかなって。|
|~アンディ・ボガード|今日は1日中ここで特訓させてもらっているけど。&br;そういえば、昼から姿を見ていないな。|
|~マキシマ|ヨミなら大丈夫だとは思うが、&br;俺も気にかけておこう。|
|~〇×|ありがとうございます。|
|~〇×|(マキシマさんに任せておけば、&br;大丈夫だよね。)|
|>|その日の夜――|
|~ヨミ|…………。|
|~マキシマ|帰ったか。&br;なにか調べものでもしてるようだな。|
|~ヨミ|こんな時間に待ち伏せか。|
|~マキシマ|そんなに警戒しなくていい。&br;調査したいなら助言してやれるぞ。|
|~ヨミ|お節介は相変わらずのようだな。&br;貴様には関係ない。と言いたいところだが……。|
|~マキシマ|困ってんだろう?|
|~ヨミ|…………。|
|~ヨミ|金を手に入れるにはどうすべきか調べていた。&br;貴様の意見も聞いておこう。|
|~マキシマ|金……? それはナギの指示か?&br;金に困っているようには見えないが。|
|~ヨミ|そのナギ様が言うくらいだ。&br;より多くの金が必要なのだろう。|
|~マキシマ|より多くの金……ね。&br;いっそ石油王にでもなってみるか?|
|~ヨミ|石油王……?|
|~マキシマ|そうだ。&br;もしも石油王になれたら、金には困らんだろうな。|
|~ビリー・カーン|…………。|
|~ビリー・カーン|アイツら、こんな時間に何をコソコソやってんだ……?|
#endregion

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**第2話  [#story2]
#region(ネタバレ注意)
|>|翌日、朝食後――|
|~ナギ|ヒメ。この後、一緒にいきたい場所があるんだ。&br;付き合ってくれるかな。|
|~〇×|片づけが終わった後でしたら、&br;大丈夫ですよ。|
|~ナギ|ありがとう!&br;僕が石油王になって、ヒメを救うよ。|
|~〇×|え……?|
|~〇×|(今、石油王って聞こえたような……。&br;それに私を救うって?)|
|~〇×|あの、どういう意味ですか?|
|~ナギ|ふふ、なにも心配しなくていい。&br;僕に任せて。|
|>| |
|~〇×|…………。|
|~〇×|(「大丈夫」とは言ったけど。)|
|~ナギ|やっと着いたね。|
|~〇×|ええっと……ずいぶん遠くまで連れてきてくれたんですね。&br;サプライズ旅行……ということでしょうか……?|
|~ナギ|ふふ、道場のことを心配しているなら問題ないよ。&br;大門だって、たまには羽を伸ばすよう話していただろう?|
|~〇×|はい、それはそうなんですけど……。|
|~〇×|(旅行の理由、&br;石油王になるとしか聞かされていないけど……。)|
|~〇×|(それでこんなところまで来ちゃうなんて、&br;ナギさんは面白いなぁ。)|
|~ヨミ|ところで――|
|~ヨミ|なぜ貴様らまでついてきた。|
|~矢吹真吾|ん? おれですか?|
|~矢吹真吾|なんかすごい計画があるんですよね!&br;それを聞いたらいてもたってもいられなくって。|
|~矢吹真吾|おれ、協力します!|
|~ナギ|ふふ、頼もしいね。|
|~アンディ・ボガード|僕は最近、観光目的の旅行をしていなかったからね。&br;便乗させてもらったよ。|
|~アンディ・ボガード|でも、話を聞いていると別の目的があるようだね。|
|~ナギ|うん。素敵な計画だよ。ヨミが提案してくれたんだ。|
|~マキシマ|やっぱりか。そうなると今回のことは、&br;俺にも半分くらい責任がありそうだな。|
|~ナギ|責任?|
|~マキシマ|いや。それより、お前さんまでついてくるとはな。|
|~ビリー・カーン|監視だ、監視。&br;なんか企んでるみてぇだったからな。|
|~ビリー・カーン|アンタも何のこのこついて来てんだ。&br;事情とか、わかってねェんだろ。|
|~〇×|そうですよね……。&br;もう少し詳しく聞いておくべきでした。|
|~ナギ|ヒメには事情を話したよ。|
|~〇×|え、事情ってもしかして……石油王になるっていう……?|
|~ナギ|うん。そうすれば、ヒメを救うことができるんだよね?&br;ヨミ?|
|~ヨミ|はい。ですが、俺とナギ様だけでもよかったのではありませんか?|
|~ナギ|…………。|
#endregion

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**第3話  [#story3]
#region(ネタバレ注意)
|~ヨミ|――俺とナギ様だけで来てもよかったのではありませんか?|
|~ナギ|……そうだね。&br;でも、そんなに時間をかけてはいられないだろう?|
|~ヨミ|それは……。|
|~ナギ|だから、みんなの力を借りようと思ったんだ。&br;僕が石油王になるために。|
|~ビリー・カーン|おい、今コイツ石油王って言ったか?|
|~アンディ・ボガード|ああ。僕にもはっきりそう聞こえたよ。|
|~矢吹真吾|それが「すごい計画」ってことなんですかね?|
|~マキシマ|どうやらそうらしいな。|
|~〇×|ナギさん、石油王についてなんですが、&br;そんな簡単になれるものじゃないと思うんです。|
|~矢吹真吾|たしかに難しそうですけど……。&br;でもここまで来た以上は、おれ、お手伝いします!|
|~アンディ・ボガード|そうだね。そういうツアーの一環と思えば、&br;楽しめるかもしれない。|
|~ビリー・カーン|は? どんなツアーだよ。|
|~アンディ・ボガード|化石発掘体験ツアーとかあるだろう。|
|~マキシマ|石油発掘ツアーか。&br;新しいな。|
|~マキシマ|無理のない範囲で、やれるだけやってみるとするか。&br;普段いかない土地をじっくり見て回るいい機会だ。|
|~〇×|(ナギさんには特別な力があるし、&br;他のみなさんもすごい人たちばかりだから、もしかして……?)|
|~ビリー・カーン|仕方ねェな。|
|~ナギ|ありがとう、みんな。&br;それじゃ、早速穴を掘ろうか。|
|~ヨミ|はい。ナギ様。|
|~ビリー・カーン|おい、まさか人力で石油を掘り起こす気か?&br;マジで化石かなんかと勘違いしてんじゃねぇだろうな。|
|~矢吹真吾|石油って、砂漠のすっごい地下にあるんですよね?|
|~マキシマ|砂漠の中とは限らないが、&br;人の住んでる場所を掘るわけにもいかないからな。|
|~マキシマ|まずは場所を特定するところから始めたほうがいいだろう。|
|~アンディ・ボガード|そうだね。それに手で掘るわけにもいかないから、&br;どこかで道具を調達しないと。|
|~矢吹真吾|あと水も必要ですよね!|
|~ビリー・カーン|それから服もだ。&br;着の身着のまま来ちまったからな。|
|~〇×|そうですね。日本とはだいぶ気候も違いますし。&br;みなさんもその格好じゃ、暑いですよね。|
|~ナギ|なるほど。&br;石油王になるためにはいろいろと準備が必要なんだね。|
|~矢吹真吾|あっ! 服なら、あそこにいろいろあるみたいです!&br;女性ものはこっちですね。|
|~〇×|それじゃあ、後でまた合流しましょう。|
|~〇×|(あまり待たせないように、早く選ばないと。)|
|~???|恵ミノ雨ヲモタラス巫女ヨ……我ラト共ニ……。|
|~〇×|な……なに……!?|
|~〇×|(すごい力で引っ張られて――&br;誰か助けて……!)|
#endregion

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**第4話  [#story4]
#region(ネタバレ注意)
|~矢吹真吾|こういう日差しが強い地域の場合、&br;長袖がいいんですかね。|
|~アンディ・ボガード|発掘に適した服も買っておくべきだろうか。|
|~ナギ|……ヒメ?|
|~ヨミ|ナギ様、いかがされましたか?|
|~ナギ|ヒメがいない……!|
|~矢吹真吾|〇さん!?&br;おれ、探してきます!|
|~マキシマ|店員さん、このくらいの背丈の女性がいたはずなんだが、&br;知らないか。|
|~店員|えっと……。さきほどまでいたような……。&br;でも確か、別の人と店を出て行かれましたよ……?|
|~ビリー・カーン|どっちに行った!?|
|~店員|あっち……だったような……?|
|~ビリー・カーン|あっちか!&br;――おい見ろ、あのラクダの上に乗せられてるの……!|
|~ナギ|ヒメ!! ……追おう、&br;絶対に見失うわけにはいかないよ。|
|>|怪しい人影を追い、&br;街の端まで来てみるが――|
|~マキシマ|くっ……やめだ。&br;このまま追いかけても離される。|
|~ナギ|僕は諦めない。|
|~矢吹真吾|そ、そうです!&br;おれも……!|
|~アンディ・ボガード|いや、気持ちはわかるが冷静になった方がいい。&br;現にここまででも、少しも近づいたように見えない……。|
|~アンディ・ボガード|この先の砂漠地帯で、土地勘のある者が操るラクダに追いつこう&br;なんていうのは無謀だ。|
|~ビリー・カーン|クソッ……。|
|~ヨミ|ナギ様、申し訳ありません。&br;私が見張ってさえいればこんなことには……。|
|~ナギ|ううん、ヒメとの旅行が嬉しくて、&br;僕の気が緩んでしまっていたんだ……。|
|~マキシマ|いや、いきなりさらわれるなんて、誰だって想定外だ。&br;お前さんたちのせいじゃない。|
|~マキシマ|それよりラクダ使いが向かった先に何があるのか、&br;聞き込みをして対策を立てるとしよう。|
|~矢吹真吾|はぁ……。&br;ラクダがあんなに速いなんて……。|
|>|砂漠の中の宮殿――|
|~〇×|(ここって宮殿?&br;なんで私こんなところに連れて来られたんだろう。)|
|~砂漠の街の住人A|ヨクゾイラッシャイマシタ!|
|~砂漠の街の住人B|ドウゾ、タベテクダサイ!|
|~〇×|あの、結構です。&br;それより、街に戻る方法を……。|
|~砂漠の街の住人B|トテモオイシイデス!&br;ドウゾ! ドウゾ!|
|~〇×|(よく聞き取れないし、&br;こっちの言葉も通じてないみたい。)|
|~〇×|(なんとなく、&br;料理を勧めてくれているってことはわかるんだけど。)|
|~〇×|どうしよう……。|
|~砂漠の街の青年|突然すみません。&br;彼らはあなたを歓迎しているのです。|
|~〇×|(よかった! 言葉が通じる人がいて!)|
|~〇×|あの、どうして私をここに連れてきたんですか?|
|~砂漠の街の青年|実はあなたにお願いがあるのです。|
#endregion

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**第5話  [#story5]
#region(ネタバレ注意)
|~砂漠の街の青年|――実はあなたにお願いがあるのです。|
|~〇×|お願いですか?|
|~砂漠の街の青年|はい。あなたには数日後に行われる儀式の日に&br;踊り子として舞っていただきたいのです。|
|~〇×|踊り子として、舞う……?|
|~〇×|(たったそれだけの理由で、&br;こんな人さらいみたいなことを……?)|
|~〇×|(ううん、まだ裏があるのかも。&br;ここからもっと遠い場所に連れ去られるとか。)|
|~〇×|私、踊り子なんてできません。&br;他のちゃんとした人に頼んでください。|
|~砂漠の街の青年|重要なのは、誰が舞うかです。&br;選ばれた者でないと、意味がないのです。|
|~〇×|選ばれた者って言われても……。|
|~砂漠の街の青年|この街には、&br;異国の女性が街を救う、という言い伝えがあります。|
|~〇×|異国の女性が街を救うって……。&br;ここで一体何が起こってるんですか?|
|~砂漠の街の青年|それは――|
|~砂漠の街の住人C|ドウゾ、オ納メクダサイ。&br;ドウゾ……ドウゾ……!|
|~〇×|ええっと……。|
|~〇×|(何か困ってるみたいだけど、&br;まずはみなさんと連絡を取らないと。)|
|~〇×|あの、一緒に来た人と連絡を取りたいんですけど、&br;私の鞄、知りませんか?|
|~砂漠の街の青年|僕があなたを見たときには、鞄はなかったかと。&br;道中で落としてしまったのでは……。|
|~〇×|え! 困ります。&br;いますぐ探しに……!|
|~砂漠の街の青年|こんな夜遅くに出ても見つかりません。&br;ひとまず今日は、お休みください。|
|~〇×|(もう夜なんだ。&br;残念だけど、仕方ないか……。)|
|>|一方その頃――|
|~ナギ|ごめん、水を使ってヒメを見てみようと思ったけれど、&br;この辺りには水がないみたいで、うまくいかなかった。|
|~ナギ|みんなは何か掴めた?|
|~ビリー・カーン|ここ最近、人さらいの集団がうろついているって噂があるらしい。&br;狙われているのは海外の旅行者、それも女だとか。|
|~アンディ・ボガード|ただ、身代金や金品を求めているわけではないそうだよ……。|
|~矢吹真吾|それじゃあ目的はいったいなんなんすかね。|
|~マキシマ|まさか体か?|
|~アンディ・ボガード|体……臓器売買ということかい?|
|~矢吹真吾|そ、そんなことあるんですか!?&br;お、恐ろしいです……。|
|~マキシマ|……まあ、そういうことにしておくか。|
|~ヨミ|どうやら砂漠の中には街があるようです。&br;閉鎖的で実態はわからないそうですが……。|
|~ナギ|ヒメはそこにいるんだね。&br;いますぐ向かおう。|
|~ヨミ|ではラクダを手配します。|
|~マキシマ|いや、金品の要求はないにしろ、&br;人質を取られているようなもんだ。|
|~マキシマ|ここは、慎重に動いた方がいいんじゃないか。|
|~ビリー・カーン|早いに越したことねェだろ。|
|~アンディ・ボガード|こんな夜更けに砂漠を越えるのは危険だ。&br;辿り着いたところで不審者扱いされかねない。|
|~矢吹真吾|〇さんの安全のためにも、&br;警戒されないようにしないといけませんね。|
|~マキシマ|そういうことだ。&br;早朝、潜入捜査といこうじゃないか。|
|~ナギ|……わかったよ。&br;それで手を打とう。|
#endregion

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**第6話  [#story6]
#region(ネタバレ注意)
|>|翌日――|
|~〇×|(あまり眠れなかったけど、&br;まずはみなさんに連絡しないと。)|
|~砂漠の街の青年|はっ! どこへ向かわれるおつもりですか。|
|~〇×|あ、昨日の……。&br;鞄を探しにいこうと思って。|
|~砂漠の街の青年|それはできません。&br;どうか儀式の日まで、ここから出ないでください。|
|~〇×|連絡が取りたいんです。&br;協力の話なら、後でまた……。|
|~砂漠の街の青年|それなら僕が鞄を探します。&br;ここまでの経路も把握していますので。|
|~〇×|(たしかに、砂漠の中を歩いて探すわけにもいかないし、&br;どのみち、協力してもらわないと無理なんだけど……。)|
|~???|ちょっと、いいか?|
|~砂漠の街の青年|ん? あなたは……。&br;見かけない顔ですね。|
|~〇×|え……。|
|~マキシマ|教育係として雇われたもんだ。&br;最近ここに来たってのはその子だろ?|
|~〇×|(マキシマさん!)|
|~砂漠の街の青年|教育係、ですか?&br;そういった話は聞いてないのですが。|
|~マキシマ|儀式の準備で忙しいっていう話は聞いてる。もしかしたら、&br;あんたには連絡がまだ行ってなかったのかもしれないな。|
|~〇×|(身分を偽って潜入してくれてるんだ。&br;それならマキシマさんに合わせたほうがいいよね!)|
|~〇×|踊りができない私のためにわざわざ用意してくれたんですね。&br;ありがとうございます!|
|~砂漠の街の青年|え、それは……。|
|~〇×|ここを出てはいけないっていう話でしたし、それならこの方に儀式&br;のことを教えてもらうことにします。いいですよね?|
|~砂漠の街の青年|え、ええ。わかりました。&br;では、僕はいったん失礼いたします……。|
|~マキシマ|……行ったか。&br;〇が合わせてくれて助かった。|
|~〇×|いえ。|
|~マキシマ|みたところケガはなさそうだが、大丈夫か?|
|~〇×|はい、意外と丁重にもてなされているんです。&br;ただ、鞄がなくなってしまって連絡が……。|
|~マキシマ|ここに来るまでの間には、見かけなかったな。&br;盗まれたか、あるいは――|
|~マキシマ|しかし、なんでお前さんが誘拐されたんだ。&br;なにか要求はあったか?|
|~〇×|実は、儀式で踊って欲しいと言われてるんです。|
|~〇×|私が踊ることで街の人を救えるのなら、&br;協力したいと思ってるんですが……。|
|~マキシマ|だったらいますぐ帰るってわけにもいかないな。&br;お前さんの気持ちも大事だ。|
|~マキシマ|他のやつらにも様子を覗きに来させる。&br;そのときはまた話を合わせてやってくれ。|
|~〇×|わかりました。|
|~〇×|(とりあえず状況は伝えられた。)|
|~〇×|(ナギさんたちを待たせてしまうことにはなるけど、&br;儀式を終えられれば、無事に帰れるはず。)|
|~〇×|一応、踊りの練習もしておいた方がいいよね。|
|~砂漠の街の住人A|入ッテコナイデクダサイ!|
|~砂漠の街の住人B|何ノ用デスカ!|
|~〇×|(な、なんだろう。ずいぶん騒がしいけど……。&br;なにかあったのかな。)|
|~アンディ・ボガード|このお方は、隣国では知らぬ者などいない、&br;さる富豪の御曹司です。|
|~アンディ・ボガード|少々気性が荒いため、&br;逆らえばどうなることか。|
|~ビリー・カーン|珍しい女がいると聞いた、そいつだな。|
|~〇×|(あ、これがマキシマさんが言ってた――&br;……二人は、付き人と御曹司ってところかな。)|
|~砂漠の街の住人A|ダメデス!&br;彼女ニハ近ヅケサセマセン!|
|~ビリー・カーン|ああ?|
|~〇×|(マキシマさんに言われた通り、話を合わせないと……!)|
|~〇×|私なら大丈夫です。&br;この人たちと話してみます。|
|~砂漠の街の住人B|救世主サマ……!|
|~〇×|(言葉は通じていないみたいだけど、&br;なんとなく伝わったみたい。)|
|~〇×|二人とも、どうぞこちらへ。|
|~アンディ・ボガード|〇さん……。&br;無事でよかった。|
|~ビリー・カーン|全員ぶっ飛ばしてとっとと帰るぞ。|
#endregion

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**第7話  [#story7]
#region(ネタバレ注意)
|~〇×|(全員ぶっ飛ばすって、どういうこと?)|
|~アンディ・ボガード|まだ相手の戦力を見極められたわけじゃない。&br;それは最終手段だと来る前に話したはずだ。|
|~ビリー・カーン|街の規模くらいは把握した。&br;全員でかかれば、なんとかなるだろ。|
|~〇×|あの、ビリーさん。&br;マキシマさんとは話しましたか?|
|~ビリー・カーン|ああ、話は聞いてる。|
|~ビリー・カーン|アンタ、いきなり人をさらっておいて、&br;踊らせるようなやつらを信じてんのか。|
|~〇×|(たしかに、信用できるかどうかって言われたら、&br;少し……かなり怪しい部分もあるけど。)|
|~〇×|まだ敵と決まったわけではありません。&br;それに、すごく困っているみたいなんです。|
|~〇×|私が踊るだけで済むのなら、助けたいです。&br;儀式の日まで待ってもらえませんか。|
|~ビリー・カーン|……お人よしすぎんだろ。&br;踊るだけで済むとは限らねぇ。|
|~ビリー・カーン|大体、そいつら何に困ってんだ?|
|~〇×|それは……わかりませんけど。|
|~〇×|()そういえば、結局何に困ってるのか聞けてなかったな……。|
|~アンディ・ボガード|なんのための踊りか、&br;儀式について詳しく聞いておいた方がよさそうだね。|
|~ビリー・カーン|……話つけてくる。|
|~〇×|ビ、ビリーさん!|
|~ビリー・カーン|おい、そこの男!&br;言葉はわかるようだな。|
|~ビリー・カーン|金ならいくらでも出す。この女を寄越せ。|
|~砂漠の街の青年|彼女をお金に換えることなどできません。&br;お引き取りください。|
|~ビリー・カーン|……やっぱり、金には困ってねぇようだな。&br;なら聞くが、なんでそこまでコイツを必要とする?|
|~アンディ・ボガード|彼女が踊ることで、君たちはいったいどう助かるんだ?|
|~砂漠の街の青年|我々が求めているのは恵の雨です。&br;彼女は、雨をもたらしてくれるのです。|
|~〇×|え、ええ……!?|
|~〇×|(つまり、雨乞いしろってこと?)|
|~アンディ・ボガード|もし雨が降らなかったら、&br;彼女はどうなる?|
|~砂漠の街の青年|雨は降ると信じています。&br;降らなかったときのことなど考える必要はありません。|
|~ビリー・カーン|テメェ、ふざけんな!|
|~砂漠の街の青年|いいえ、ここで降らなければ我々も限界……。&br;命がかかっているのは彼女だけではありません。|
|~〇×|二人とも少し落ち着いてください!&br;何か方法を考えましょう!|
|~アンディ・ボガード|……〇さん、&br;雨を降らせるなんて現実的じゃない。|
|~アンディ・ボガード|助けたい気持ちもわかるけど、&br;どうにか抜け出す方法を考えた方がいいかもしれない。|
|~〇×|そうかもしれませんけど……。|
|~〇×|(でも、もし私が抜けだしたら、&br;きっと誰かが私の代わりに誘拐される。)|
|~〇×|(そんなこと、させられない……。)|
#endregion

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**第8話  [#story8]
#region(ネタバレ注意)
|~矢吹真吾|あ、戻ってきましたよ。&br;ビリーさん、アンディさん!|
|~ナギ|ヒメとは話せた?&br;なにかの儀式に出るって聞いたけど。|
|~アンディ・ボガード|ああ、儀式は雨を降らせるためのものらしい。&br;その日までは丁重に扱ってもらえるだろう。|
|~アンディ・ボガード|〇さんが恵の雨をもたらしてくれると、&br;本気で思い込んでいるようだ。|
|~矢吹真吾|なんでそんなことになっちゃったんですかね。&br;〇さんに、本当にそんな力が……。|
|~ビリー・カーン|んなわけねぇだろ。br適当な言い伝えを信仰してるってだけだ。|
|~ビリー・カーン|んなわけねぇだろ。&br;適当な言い伝えを信仰してるってだけだ。|
|~ヨミ|丁重にもてなされているのなら、&br;ひとまず安心か。|
|~アンディ・ボガード|いや、雨が降らなかった場合には――&br;あの雰囲気からして、生贄にするつもりなのかもしれない。|
|~ヨミ|生贄……?|
|~ビリー・カーン|んなことさせるか。brひとまず、×がいる宮殿内を調べてみた。|
|~ビリー・カーン|これだけの人数で押しかければ、&br;強行突破で連れ出せる。|
|~マキシマ|だが、&br;〇はそれを望んではいないんだろう?|
|~アンディ・ボガード|そうだとしても彼女を危険な目には遭わせられない。|
|~ナギ|街の人たちは、雨を降らせてほしいんだね?|
|~アンディ・ボガード|ああ。ここで雨が降らなければ限界だと言っていた。|
|~ナギ|確かにあの街は、ヒメの様子を覗くこともできないほど&br;極端に水が少ない……。|
|~ナギ|追い詰められた人々が人身御供を求めるというのは、ある話だ。&br;よその土地から来た者を狙うというのも――|
|~ビリー・カーン|……テメェ! 何で早くそれを言わなかった!|
|~ヨミ|水不足が誘拐の理由になるなど、&br;ナギ様でもないと思いつかなかっただろう。|
|~マキシマ|それもそうか。&br;だが、住人の悩みがわかったところで、どうにも――|
|~ヨミ|いや……ナギ様なら……。|
|~矢吹真吾|も、もしかしてナギさん、&br;雨とか降らせられるんですか……?|
|~ナギ|あの街の上空から水を落とせばいいのかな。|
|~マキシマ|何なら雨雲でも発生させてくれたら、完璧なんだが。|
|~ナギ|かなり多くの水を扱うことになるね。&br;少し時間はかかってしまいそうだけど、可能だよ。|
|~アンディ・ボガード|本当にそんなことが……?|
|~ヨミ|ナギ様の力をもってすれば、可能だ。|
|~ビリー・カーン|あいかわらず、&br;とんでもねぇヤロウだな。|
|~矢吹真吾|これで〇さんも街の人も助かりますね!&br;おれ、急いで〇さんに伝えてきます!|
|~ナギ|頼んだよ、真吾。|
|~矢吹真吾|任せてください!|
|~ナギ|それじゃ、僕も急いで準備に取りかかろう。|
|~ヨミ|お手伝いいたします、ナギ様。|
|~マキシマ|よし。俺たちもできる限りナギのサポートをするぞ。|
#endregion

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**第9話  [#story9]
#region(ネタバレ注意)
|>|その頃、宮殿の中では――|
|~〇×|(みなさんがいれば、おそらくここから抜け出せる。&br;でも、それは街の人を見捨ててしまうことになる。)|
|~〇×|(それだけじゃなく、&br;誰かがまた私の代わりに……。)|
|~〇×|(踊りの練習なんてしている場合じゃないんだろうけど、&br;考えがまとまらない。)|
|~矢吹真吾|……〇さん!|
|~〇×|あ、真吾くん!&br;その格好……。|
|~矢吹真吾|おれは踊り子用の服を用意する商人です!&br;これで堂々と〇さんと話せます!|
|~矢吹真吾|みんなが準備を進めてくれてるんで、&br;もう安心していいですよ!|
|~〇×|準備って、もしかして……。|
|~矢吹真吾|あ、安心してください。抜け出す方じゃないです。&br;雨を降らせる準備です!|
|~〇×|そんなこと出来るの?|
|~矢吹真吾|おれもびっくりしたんですけど、&br;ナギさんならなんとかなるって話で――|
|~矢吹真吾|なにかおれも出来たらよかったんですが……せめてお手伝いを、&br;と思ってここに来ました。|
|~矢吹真吾|まあ、来ただけ、なんですけど……。|
|~〇×|そんなことないよ、さっきまで全然考えがまとまらなくて&br;不安だったから、来てくれてすごく嬉しいよ。|
|~矢吹真吾|〇さん……。|
|~矢吹真吾|ナギさんならきっと儀式までに間に合わせてくれます。&br;信じて、一緒に待ちましょう!|
|>|儀式の当日――|
|~〇×|(ど、どうしよう。儀式が始まっちゃう。&br;ナギさん、どこにいるんだろう。)|
|~砂漠の街の青年|こちらへどうぞ。&br;祈りの舞をご披露願います。|
|~〇×|(こうなったらナギさんが来るまで、&br;私の踊りで時間を稼ぐしか……。)|
|~ヨミ|お待ちください!|
|~砂漠の街の青年|だ、誰ですか?&br;今は神聖な儀式の最中です!|
|~ナギ|その儀式、参加させてもらうよ。|
|~〇×|(ヨミさん、ナギさん……!)|
|~ナギ|そちらにいる踊り子さんの前に、&br;踊らせてもらいたい。いいかな。|
|~砂漠の街の住人A|踊リ子ノ前ニ踊ルナンテ……。|
|~砂漠の街の青年|前代未聞です……!|
|~ナギ|変化をもたらしたいのなら、&br;変化を恐れてはいけない。|
|~砂漠の街の青年|変化を……恐れてはいけない……&br;それが天の導き……なのでしょうか。|
|~〇×|(街の人たちがナギさんに見入ってる。&br;これなら踊らせてもらえそう。)|
|~ナギ|待たせたね、ヒメ。&br;ここからは僕に任せて。|
|~〇×|(わっ……。ナギさんの踊りって柔らかくて、すごくきれい……。)|
|~〇×|あっ……。|
|~ナギ|少しばかり時間がかかってしまったけど……。&br;上手くいったみたいだ。|
#endregion

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**第10話  [#story10]
#region(ネタバレ注意)
|~砂漠の街の住人A|本当ニ雨ガ降ッテ来タゾ!|
|~砂漠の街の住人B|アリガトウゴザイマス! アリガトウゴザイマス!|
|~ナギ|ふふ、喜んでもらえたみたいだね。&br;どういたしまして。|
|~〇×|すごい、ナギさん……。&br;本当に雨を降らせられるなんて。|
|~ヨミ|さすがです、ナギ様。|
|~〇×|(これでこの土地の人たちも安心できるかな。)|
|~砂漠の街の青年|……すみません。これを……。|
|~〇×|え? あ、私の鞄……!|
|~砂漠の街の青年|あなたをここに引き止めるために、&br;あなたを誘拐した者が隠していたようです。|
|~砂漠の街の青年|申し訳ございません。|
|~ヨミ|どこまでも身勝手な。|
|~〇×|いいんです。ちゃんと返してくれましたし。&br;ありがとうございます。|
|~砂漠の街の青年|とんでもないです! これはお詫びと、&br;街のことを救ってくださったお礼です。|
|~〇×|え……これって宝石……?&br;こ、こんなの受け取れません!|
|~砂漠の街の住人A|ドウゾ、ドウゾ!|
|~〇×|それなら、私ではなくナギさんに……。&br;あの方に渡してください。|
|~ナギ|僕ならもう受け取ったよ。&br;ほら、こんなにたくさん。|
|~〇×|いつの間に……。|
|~ヨミ|雨を降らせた後、&br;お前以上に注目を集めていたからな。|
|~ナギ|ヒメ。せっかくの厚意だよ。&br;受け取っておこう。|
|~〇×|……はい、そうですね。&br;みなさん、本当にありがとうございます。|
|~アンディ・ボガード|一時はどうなることかと思ったけど、&br;これで解決だね。|
|~ビリー・カーン|この石、結構いい値がつきそうだな。|
|~ナギ|それはお金になるということ?|
|~ヨミ|はい。この石を売れば石油発掘の資金になるかと。|
|~〇×|(石油王のこと、すっかり忘れてた!)|
|~〇×|あの、そもそもナギさんは、&br;なんで石油王になりたいと思ったんですか?|
|~ナギ|もちろん、ヒメを救うためだよ。&br;お金がないと話していたからね。|
|~〇×|え! もしかして、真吾くんとの話聞いてたんですか?|
|~マキシマ|金に困っていたのは、お前さんだったのか?|
|~〇×|いえ、私ではなくて……道場の資金不足というか。&br;少し修繕に困ることがあったので……。|
|~ビリー・カーン|修繕費程度だったらわざわざ石油王になる必要なんてねェだろ。|
|~アンディ・ボガード|というか、今回の旅費をそちらに回せば&br;よかったんじゃないかな……。|
|~矢吹真吾|あ……。|
|~ビリー・カーン|はぁ……結局、ナギに振り回されたってことか。|
|~ヨミ|貴様らは、勝手についてきただけだろう。|
|~マキシマ|いまさらだが、&br;ヨミに助言したのは俺だ、悪い。|
|~〇×|いえ。もとはと言えば私の発言が原因ですし。|
|~〇×|ナギさんは私のことを考えてくれたんですよね。&br;ありがとうございます。|
|~ナギ|ヒメ……。|
|~〇×|それからみなさんもありがとうございました。&br;おかげで助かりました。|
|~〇×|道場の資金のことは心配しなくても大丈夫です。&br;そこは管理人としてしっかりやりくりしますから。|
|~ナギ|……そう、わかった。石油王は諦めるよ。|
|~ナギ|でも、この石……すべてとは言わないから、&br;せめて半分くらいは道場のために使ってくれないかな?|
|~〇×|……はい。|
|~ナギ|ありがとう。&br;そうだ。もう半分は旅行中にみんなで使うのはどうかな?|
|~矢吹真吾|え? いいんですか?|
|~ビリー・カーン|普通の観光にはならねぇぞ。&br;こりゃ、とんでもなく豪華な旅行だな。|
|~マキシマ|ははっ。それじゃあ、お言葉に甘えて、&br;楽しませてもらうとするか!|
#endregion

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