イベントストーリー /乾きの丘に降る彩雨

Last-modified: Sun, 03 May 2020 23:50:14 JST (1455d)
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第1話 Edit

+  ネタバレ注意
ある日の午後――
矢吹真吾〇さん、これでどうですか?
ちゃんと塞がったと思うんですけど。
〇×(主人公)わっ、すごくきれいに仕上がってる!
ありがとう、真吾くん。
〇×ごめんね。壁の修理なんて面倒なこと任せちゃって。
業者に頼めたらよかったんだけど……。
矢吹真吾穴開けちゃったのはおれたちなんで、
〇さんが気にすることじゃないです!
矢吹真吾それに全部業者に頼んでたら、
お金がいくらあっても足りないですよ。
〇×(真吾くんの言う通りなんだよね。
最近は人も増えて、食費もかさんでいるし。)
〇×道場にもう少しお金があったら……。
矢吹真吾うっ、おれ、お金はすぐに用意できないですけど、
修理ならいつでも手伝うので!
矢吹真吾また声かけてください!
〇×ありがとう、真吾くん。
〇×(真吾くんもこう言ってくれてるし、
お金がないなんて言ってられない。)
〇×(こういう時こそ、
道場の管理人としてうまくやりくりしなきゃ!)
矢吹真吾おれならいつでも大歓迎なんで、
また声かけてください!
〇×ありがとう。
ナギ……ねえヨミ。
ナギお金ってどうやったら手に入るのかな?
ヨミはい。調べてまいります。
その日の夕食時――
〇×(あれ、ヨミさんどこにいったんだろう。
今日はご飯、一緒に食べるのかと思ったんだけど……。)
アンディ・ボガード何か気になることでもあったのかい?
そわそわしているようだけど……。
〇×あ、すみません。
ヨミさん、どこにいったのかなって。
アンディ・ボガード今日は1日中ここで特訓させてもらっているけど。
そういえば、昼から姿を見ていないな。
マキシマヨミなら大丈夫だとは思うが、
俺も気にかけておこう。
〇×ありがとうございます。
〇×(マキシマさんに任せておけば、
大丈夫だよね。)
その日の夜――
ヨミ…………。
マキシマ帰ったか。
なにか調べものでもしてるようだな。
ヨミこんな時間に待ち伏せか。
マキシマそんなに警戒しなくていい。
調査したいなら助言してやれるぞ。
ヨミお節介は相変わらずのようだな。
貴様には関係ない。と言いたいところだが……。
マキシマ困ってんだろう?
ヨミ…………。
ヨミ金を手に入れるにはどうすべきか調べていた。
貴様の意見も聞いておこう。
マキシマ金……? それはナギの指示か?
金に困っているようには見えないが。
ヨミそのナギ様が言うくらいだ。
より多くの金が必要なのだろう。
マキシマより多くの金……ね。
いっそ石油王にでもなってみるか?
ヨミ石油王……?
マキシマそうだ。
もしも石油王になれたら、金には困らんだろうな。
ビリー・カーン…………。
ビリー・カーンアイツら、こんな時間に何をコソコソやってんだ……?

第2話 Edit

+  ネタバレ注意
翌日、朝食後――
ナギヒメ。この後、一緒にいきたい場所があるんだ。
付き合ってくれるかな。
〇×片づけが終わった後でしたら、
大丈夫ですよ。
ナギありがとう!
僕が石油王になって、ヒメを救うよ。
〇×え……?
〇×(今、石油王って聞こえたような……。
それに私を救うって?)
〇×あの、どういう意味ですか?
ナギふふ、なにも心配しなくていい。
僕に任せて。
 
〇×…………。
〇×(「大丈夫」とは言ったけど。)
ナギやっと着いたね。
〇×ええっと……ずいぶん遠くまで連れてきてくれたんですね。
サプライズ旅行……ということでしょうか……?
ナギふふ、道場のことを心配しているなら問題ないよ。
大門だって、たまには羽を伸ばすよう話していただろう?
〇×はい、それはそうなんですけど……。
〇×(旅行の理由、
石油王になるとしか聞かされていないけど……。)
〇×(それでこんなところまで来ちゃうなんて、
ナギさんは面白いなぁ。)
ヨミところで――
ヨミなぜ貴様らまでついてきた。
矢吹真吾ん? おれですか?
矢吹真吾なんかすごい計画があるんですよね!
それを聞いたらいてもたってもいられなくって。
矢吹真吾おれ、協力します!
ナギふふ、頼もしいね。
アンディ・ボガード僕は最近、観光目的の旅行をしていなかったからね。
便乗させてもらったよ。
アンディ・ボガードでも、話を聞いていると別の目的があるようだね。
ナギうん。素敵な計画だよ。ヨミが提案してくれたんだ。
マキシマやっぱりか。そうなると今回のことは、
俺にも半分くらい責任がありそうだな。
ナギ責任?
マキシマいや。それより、お前さんまでついてくるとはな。
ビリー・カーン監視だ、監視。
なんか企んでるみてぇだったからな。
ビリー・カーンアンタも何のこのこついて来てんだ。
事情とか、わかってねェんだろ。
〇×そうですよね……。
もう少し詳しく聞いておくべきでした。
ナギヒメには事情を話したよ。
〇×え、事情ってもしかして……石油王になるっていう……?
ナギうん。そうすれば、ヒメを救うことができるんだよね?
ヨミ?
ヨミはい。ですが、俺とナギ様だけでもよかったのではありませんか?
ナギ…………。

第3話 Edit

+  ネタバレ注意
ヨミ――俺とナギ様だけで来てもよかったのではありませんか?
ナギ……そうだね。
でも、そんなに時間をかけてはいられないだろう?
ヨミそれは……。
ナギだから、みんなの力を借りようと思ったんだ。
僕が石油王になるために。
ビリー・カーンおい、今コイツ石油王って言ったか?
アンディ・ボガードああ。僕にもはっきりそう聞こえたよ。
矢吹真吾それが「すごい計画」ってことなんですかね?
マキシマどうやらそうらしいな。
〇×ナギさん、石油王についてなんですが、
そんな簡単になれるものじゃないと思うんです。
矢吹真吾たしかに難しそうですけど……。
でもここまで来た以上は、おれ、お手伝いします!
アンディ・ボガードそうだね。そういうツアーの一環と思えば、
楽しめるかもしれない。
ビリー・カーンは? どんなツアーだよ。
アンディ・ボガード化石発掘体験ツアーとかあるだろう。
マキシマ石油発掘ツアーか。
新しいな。
マキシマ無理のない範囲で、やれるだけやってみるとするか。
普段いかない土地をじっくり見て回るいい機会だ。
〇×(ナギさんには特別な力があるし、
他のみなさんもすごい人たちばかりだから、もしかして……?)
ビリー・カーン仕方ねェな。
ナギありがとう、みんな。
それじゃ、早速穴を掘ろうか。
ヨミはい。ナギ様。
ビリー・カーンおい、まさか人力で石油を掘り起こす気か?
マジで化石かなんかと勘違いしてんじゃねぇだろうな。
矢吹真吾石油って、砂漠のすっごい地下にあるんですよね?
マキシマ砂漠の中とは限らないが、
人の住んでる場所を掘るわけにもいかないからな。
マキシマまずは場所を特定するところから始めたほうがいいだろう。
アンディ・ボガードそうだね。それに手で掘るわけにもいかないから、
どこかで道具を調達しないと。
矢吹真吾あと水も必要ですよね!
ビリー・カーンそれから服もだ。
着の身着のまま来ちまったからな。
〇×そうですね。日本とはだいぶ気候も違いますし。
みなさんもその格好じゃ、暑いですよね。
ナギなるほど。
石油王になるためにはいろいろと準備が必要なんだね。
矢吹真吾あっ! 服なら、あそこにいろいろあるみたいです!
女性ものはこっちですね。
〇×それじゃあ、後でまた合流しましょう。
〇×(あまり待たせないように、早く選ばないと。)
???恵ミノ雨ヲモタラス巫女ヨ……我ラト共ニ……。
〇×な……なに……!?
〇×(すごい力で引っ張られて――
誰か助けて……!)

第4話 Edit

+  ネタバレ注意
矢吹真吾こういう日差しが強い地域の場合、
長袖がいいんですかね。
アンディ・ボガード発掘に適した服も買っておくべきだろうか。
ナギ……ヒメ?
ヨミナギ様、いかがされましたか?
ナギヒメがいない……!
矢吹真吾〇さん!?
おれ、探してきます!
マキシマ店員さん、このくらいの背丈の女性がいたはずなんだが、
知らないか。
店員えっと……。さきほどまでいたような……。
でも確か、別の人と店を出て行かれましたよ……?
ビリー・カーンどっちに行った!?
店員あっち……だったような……?
ビリー・カーンあっちか!
――おい見ろ、あのラクダの上に乗せられてるの……!
ナギヒメ!! ……追おう、
絶対に見失うわけにはいかないよ。
怪しい人影を追い、
街の端まで来てみるが――
マキシマくっ……やめだ。
このまま追いかけても離される。
ナギ僕は諦めない。
矢吹真吾そ、そうです!
おれも……!
アンディ・ボガードいや、気持ちはわかるが冷静になった方がいい。
現にここまででも、少しも近づいたように見えない……。
アンディ・ボガードこの先の砂漠地帯で、土地勘のある者が操るラクダに追いつこう
なんていうのは無謀だ。
ビリー・カーンクソッ……。
ヨミナギ様、申し訳ありません。
私が見張ってさえいればこんなことには……。
ナギううん、ヒメとの旅行が嬉しくて、
僕の気が緩んでしまっていたんだ……。
マキシマいや、いきなりさらわれるなんて、誰だって想定外だ。
お前さんたちのせいじゃない。
マキシマそれよりラクダ使いが向かった先に何があるのか、
聞き込みをして対策を立てるとしよう。
矢吹真吾はぁ……。
ラクダがあんなに速いなんて……。
砂漠の中の宮殿――
〇×(ここって宮殿?
なんで私こんなところに連れて来られたんだろう。)
砂漠の街の住人Aヨクゾイラッシャイマシタ!
砂漠の街の住人Bドウゾ、タベテクダサイ!
〇×あの、結構です。
それより、街に戻る方法を……。
砂漠の街の住人Bトテモオイシイデス!
ドウゾ! ドウゾ!
〇×(よく聞き取れないし、
こっちの言葉も通じてないみたい。)
〇×(なんとなく、
料理を勧めてくれているってことはわかるんだけど。)
〇×どうしよう……。
砂漠の街の青年突然すみません。
彼らはあなたを歓迎しているのです。
〇×(よかった! 言葉が通じる人がいて!)
〇×あの、どうして私をここに連れてきたんですか?
砂漠の街の青年実はあなたにお願いがあるのです。

第5話 Edit

+  ネタバレ注意
砂漠の街の青年――実はあなたにお願いがあるのです。
〇×お願いですか?
砂漠の街の青年はい。あなたには数日後に行われる儀式の日に
踊り子として舞っていただきたいのです。
〇×踊り子として、舞う……?
〇×(たったそれだけの理由で、
こんな人さらいみたいなことを……?)
〇×(ううん、まだ裏があるのかも。
ここからもっと遠い場所に連れ去られるとか。)
〇×私、踊り子なんてできません。
他のちゃんとした人に頼んでください。
砂漠の街の青年重要なのは、誰が舞うかです。
選ばれた者でないと、意味がないのです。
〇×選ばれた者って言われても……。
砂漠の街の青年この街には、
異国の女性が街を救う、という言い伝えがあります。
〇×異国の女性が街を救うって……。
ここで一体何が起こってるんですか?
砂漠の街の青年それは――
砂漠の街の住人Cドウゾ、オ納メクダサイ。
ドウゾ……ドウゾ……!
〇×ええっと……。
〇×(何か困ってるみたいだけど、
まずはみなさんと連絡を取らないと。)
〇×あの、一緒に来た人と連絡を取りたいんですけど、
私の鞄、知りませんか?
砂漠の街の青年僕があなたを見たときには、鞄はなかったかと。
道中で落としてしまったのでは……。
〇×え! 困ります。
いますぐ探しに……!
砂漠の街の青年こんな夜遅くに出ても見つかりません。
ひとまず今日は、お休みください。
〇×(もう夜なんだ。
残念だけど、仕方ないか……。)
一方その頃――
ナギごめん、水を使ってヒメを見てみようと思ったけれど、
この辺りには水がないみたいで、うまくいかなかった。
ナギみんなは何か掴めた?
ビリー・カーンここ最近、人さらいの集団がうろついているって噂があるらしい。
狙われているのは海外の旅行者、それも女だとか。
アンディ・ボガードただ、身代金や金品を求めているわけではないそうだよ……。
矢吹真吾それじゃあ目的はいったいなんなんすかね。
マキシマまさか体か?
アンディ・ボガード体……臓器売買ということかい?
矢吹真吾そ、そんなことあるんですか!?
お、恐ろしいです……。
マキシマ……まあ、そういうことにしておくか。
ヨミどうやら砂漠の中には街があるようです。
閉鎖的で実態はわからないそうですが……。
ナギヒメはそこにいるんだね。
いますぐ向かおう。
ヨミではラクダを手配します。
マキシマいや、金品の要求はないにしろ、
人質を取られているようなもんだ。
マキシマここは、慎重に動いた方がいいんじゃないか。
ビリー・カーン早いに越したことねェだろ。
アンディ・ボガードこんな夜更けに砂漠を越えるのは危険だ。
辿り着いたところで不審者扱いされかねない。
矢吹真吾〇さんの安全のためにも、
警戒されないようにしないといけませんね。
マキシマそういうことだ。
早朝、潜入捜査といこうじゃないか。
ナギ……わかったよ。
それで手を打とう。

第6話 Edit

+  ネタバレ注意
翌日――
〇×(あまり眠れなかったけど、
まずはみなさんに連絡しないと。)
砂漠の街の青年はっ! どこへ向かわれるおつもりですか。
〇×あ、昨日の……。
鞄を探しにいこうと思って。
砂漠の街の青年それはできません。
どうか儀式の日まで、ここから出ないでください。
〇×連絡が取りたいんです。
協力の話なら、後でまた……。
砂漠の街の青年それなら僕が鞄を探します。
ここまでの経路も把握していますので。
〇×(たしかに、砂漠の中を歩いて探すわけにもいかないし、
どのみち、協力してもらわないと無理なんだけど……。)
???ちょっと、いいか?
砂漠の街の青年ん? あなたは……。
見かけない顔ですね。
〇×え……。
マキシマ教育係として雇われたもんだ。
最近ここに来たってのはその子だろ?
〇×(マキシマさん!)
砂漠の街の青年教育係、ですか?
そういった話は聞いてないのですが。
マキシマ儀式の準備で忙しいっていう話は聞いてる。もしかしたら、
あんたには連絡がまだ行ってなかったのかもしれないな。
〇×(身分を偽って潜入してくれてるんだ。
それならマキシマさんに合わせたほうがいいよね!)
〇×踊りができない私のためにわざわざ用意してくれたんですね。
ありがとうございます!
砂漠の街の青年え、それは……。
〇×ここを出てはいけないっていう話でしたし、それならこの方に儀式
のことを教えてもらうことにします。いいですよね?
砂漠の街の青年え、ええ。わかりました。
では、僕はいったん失礼いたします……。
マキシマ……行ったか。
〇が合わせてくれて助かった。
〇×いえ。
マキシマみたところケガはなさそうだが、大丈夫か?
〇×はい、意外と丁重にもてなされているんです。
ただ、鞄がなくなってしまって連絡が……。
マキシマここに来るまでの間には、見かけなかったな。
盗まれたか、あるいは――
マキシマしかし、なんでお前さんが誘拐されたんだ。
なにか要求はあったか?
〇×実は、儀式で踊って欲しいと言われてるんです。
〇×私が踊ることで街の人を救えるのなら、
協力したいと思ってるんですが……。
マキシマだったらいますぐ帰るってわけにもいかないな。
お前さんの気持ちも大事だ。
マキシマ他のやつらにも様子を覗きに来させる。
そのときはまた話を合わせてやってくれ。
〇×わかりました。
〇×(とりあえず状況は伝えられた。)
〇×(ナギさんたちを待たせてしまうことにはなるけど、
儀式を終えられれば、無事に帰れるはず。)
〇×一応、踊りの練習もしておいた方がいいよね。
砂漠の街の住人A入ッテコナイデクダサイ!
砂漠の街の住人B何ノ用デスカ!
〇×(な、なんだろう。ずいぶん騒がしいけど……。
なにかあったのかな。)
アンディ・ボガードこのお方は、隣国では知らぬ者などいない、
さる富豪の御曹司です。
アンディ・ボガード少々気性が荒いため、
逆らえばどうなることか。
ビリー・カーン珍しい女がいると聞いた、そいつだな。
〇×(あ、これがマキシマさんが言ってた――
……二人は、付き人と御曹司ってところかな。)
砂漠の街の住人Aダメデス!
彼女ニハ近ヅケサセマセン!
ビリー・カーンああ?
〇×(マキシマさんに言われた通り、話を合わせないと……!)
〇×私なら大丈夫です。
この人たちと話してみます。
砂漠の街の住人B救世主サマ……!
〇×(言葉は通じていないみたいだけど、
なんとなく伝わったみたい。)
〇×二人とも、どうぞこちらへ。
アンディ・ボガード〇さん……。
無事でよかった。
ビリー・カーン全員ぶっ飛ばしてとっとと帰るぞ。

第7話 Edit

+  ネタバレ注意
〇×(全員ぶっ飛ばすって、どういうこと?)
アンディ・ボガードまだ相手の戦力を見極められたわけじゃない。
それは最終手段だと来る前に話したはずだ。
ビリー・カーン街の規模くらいは把握した。
全員でかかれば、なんとかなるだろ。
〇×あの、ビリーさん。
マキシマさんとは話しましたか?
ビリー・カーンああ、話は聞いてる。
ビリー・カーンアンタ、いきなり人をさらっておいて、
踊らせるようなやつらを信じてんのか。
〇×(たしかに、信用できるかどうかって言われたら、
少し……かなり怪しい部分もあるけど。)
〇×まだ敵と決まったわけではありません。
それに、すごく困っているみたいなんです。
〇×私が踊るだけで済むのなら、助けたいです。
儀式の日まで待ってもらえませんか。
ビリー・カーン……お人よしすぎんだろ。
踊るだけで済むとは限らねぇ。
ビリー・カーン大体、そいつら何に困ってんだ?
〇×それは……わかりませんけど。
〇×()そういえば、結局何に困ってるのか聞けてなかったな……。
アンディ・ボガードなんのための踊りか、
儀式について詳しく聞いておいた方がよさそうだね。
ビリー・カーン……話つけてくる。
〇×ビ、ビリーさん!
ビリー・カーンおい、そこの男!
言葉はわかるようだな。
ビリー・カーン金ならいくらでも出す。この女を寄越せ。
砂漠の街の青年彼女をお金に換えることなどできません。
お引き取りください。
ビリー・カーン……やっぱり、金には困ってねぇようだな。
なら聞くが、なんでそこまでコイツを必要とする?
アンディ・ボガード彼女が踊ることで、君たちはいったいどう助かるんだ?
砂漠の街の青年我々が求めているのは恵の雨です。
彼女は、雨をもたらしてくれるのです。
〇×え、ええ……!?
〇×(つまり、雨乞いしろってこと?)
アンディ・ボガードもし雨が降らなかったら、
彼女はどうなる?
砂漠の街の青年雨は降ると信じています。
降らなかったときのことなど考える必要はありません。
ビリー・カーンテメェ、ふざけんな!
砂漠の街の青年いいえ、ここで降らなければ我々も限界……。
命がかかっているのは彼女だけではありません。
〇×二人とも少し落ち着いてください!
何か方法を考えましょう!
アンディ・ボガード……〇さん、
雨を降らせるなんて現実的じゃない。
アンディ・ボガード助けたい気持ちもわかるけど、
どうにか抜け出す方法を考えた方がいいかもしれない。
〇×そうかもしれませんけど……。
〇×(でも、もし私が抜けだしたら、
きっと誰かが私の代わりに誘拐される。)
〇×(そんなこと、させられない……。)

第8話 Edit

+  ネタバレ注意
矢吹真吾あ、戻ってきましたよ。
ビリーさん、アンディさん!
ナギヒメとは話せた?
なにかの儀式に出るって聞いたけど。
アンディ・ボガードああ、儀式は雨を降らせるためのものらしい。
その日までは丁重に扱ってもらえるだろう。
アンディ・ボガード〇さんが恵の雨をもたらしてくれると、
本気で思い込んでいるようだ。
矢吹真吾なんでそんなことになっちゃったんですかね。
〇さんに、本当にそんな力が……。
ビリー・カーンんなわけねぇだろ。
適当な言い伝えを信仰してるってだけだ。
ヨミ丁重にもてなされているのなら、
ひとまず安心か。
アンディ・ボガードいや、雨が降らなかった場合には――
あの雰囲気からして、生贄にするつもりなのかもしれない。
ヨミ生贄……?
ビリー・カーンんなことさせるか。brひとまず、×がいる宮殿内を調べてみた。
ビリー・カーンこれだけの人数で押しかければ、
強行突破で連れ出せる。
マキシマだが、
〇はそれを望んではいないんだろう?
アンディ・ボガードそうだとしても彼女を危険な目には遭わせられない。
ナギ街の人たちは、雨を降らせてほしいんだね?
アンディ・ボガードああ。ここで雨が降らなければ限界だと言っていた。
ナギ確かにあの街は、ヒメの様子を覗くこともできないほど
極端に水が少ない……。
ナギ追い詰められた人々が人身御供を求めるというのは、ある話だ。
よその土地から来た者を狙うというのも――
ビリー・カーン……テメェ! 何で早くそれを言わなかった!
ヨミ水不足が誘拐の理由になるなど、
ナギ様でもないと思いつかなかっただろう。
マキシマそれもそうか。
だが、住人の悩みがわかったところで、どうにも――
ヨミいや……ナギ様なら……。
矢吹真吾も、もしかしてナギさん、
雨とか降らせられるんですか……?
ナギあの街の上空から水を落とせばいいのかな。
マキシマ何なら雨雲でも発生させてくれたら、完璧なんだが。
ナギかなり多くの水を扱うことになるね。
少し時間はかかってしまいそうだけど、可能だよ。
アンディ・ボガード本当にそんなことが……?
ヨミナギ様の力をもってすれば、可能だ。
ビリー・カーンあいかわらず、
とんでもねぇヤロウだな。
矢吹真吾これで〇さんも街の人も助かりますね!
おれ、急いで〇さんに伝えてきます!
ナギ頼んだよ、真吾。
矢吹真吾任せてください!
ナギそれじゃ、僕も急いで準備に取りかかろう。
ヨミお手伝いいたします、ナギ様。
マキシマよし。俺たちもできる限りナギのサポートをするぞ。

第9話 Edit

+  ネタバレ注意
その頃、宮殿の中では――
〇×(みなさんがいれば、おそらくここから抜け出せる。
でも、それは街の人を見捨ててしまうことになる。)
〇×(それだけじゃなく、
誰かがまた私の代わりに……。)
〇×(踊りの練習なんてしている場合じゃないんだろうけど、
考えがまとまらない。)
矢吹真吾……〇さん!
〇×あ、真吾くん!
その格好……。
矢吹真吾おれは踊り子用の服を用意する商人です!
これで堂々と〇さんと話せます!
矢吹真吾みんなが準備を進めてくれてるんで、
もう安心していいですよ!
〇×準備って、もしかして……。
矢吹真吾あ、安心してください。抜け出す方じゃないです。
雨を降らせる準備です!
〇×そんなこと出来るの?
矢吹真吾おれもびっくりしたんですけど、
ナギさんならなんとかなるって話で――
矢吹真吾なにかおれも出来たらよかったんですが……せめてお手伝いを、
と思ってここに来ました。
矢吹真吾まあ、来ただけ、なんですけど……。
〇×そんなことないよ、さっきまで全然考えがまとまらなくて
不安だったから、来てくれてすごく嬉しいよ。
矢吹真吾〇さん……。
矢吹真吾ナギさんならきっと儀式までに間に合わせてくれます。
信じて、一緒に待ちましょう!
儀式の当日――
〇×(ど、どうしよう。儀式が始まっちゃう。
ナギさん、どこにいるんだろう。)
砂漠の街の青年こちらへどうぞ。
祈りの舞をご披露願います。
〇×(こうなったらナギさんが来るまで、
私の踊りで時間を稼ぐしか……。)
ヨミお待ちください!
砂漠の街の青年だ、誰ですか?
今は神聖な儀式の最中です!
ナギその儀式、参加させてもらうよ。
〇×(ヨミさん、ナギさん……!)
ナギそちらにいる踊り子さんの前に、
踊らせてもらいたい。いいかな。
砂漠の街の住人A踊リ子ノ前ニ踊ルナンテ……。
砂漠の街の青年前代未聞です……!
ナギ変化をもたらしたいのなら、
変化を恐れてはいけない。
砂漠の街の青年変化を……恐れてはいけない……
それが天の導き……なのでしょうか。
〇×(街の人たちがナギさんに見入ってる。
これなら踊らせてもらえそう。)
ナギ待たせたね、ヒメ。
ここからは僕に任せて。
〇×(わっ……。ナギさんの踊りって柔らかくて、すごくきれい……。)
〇×あっ……。
ナギ少しばかり時間がかかってしまったけど……。
上手くいったみたいだ。

第10話 Edit

+  ネタバレ注意
砂漠の街の住人A本当ニ雨ガ降ッテ来タゾ!
砂漠の街の住人Bアリガトウゴザイマス! アリガトウゴザイマス!
ナギふふ、喜んでもらえたみたいだね。
どういたしまして。
〇×すごい、ナギさん……。
本当に雨を降らせられるなんて。
ヨミさすがです、ナギ様。
〇×(これでこの土地の人たちも安心できるかな。)
砂漠の街の青年……すみません。これを……。
〇×え? あ、私の鞄……!
砂漠の街の青年あなたをここに引き止めるために、
あなたを誘拐した者が隠していたようです。
砂漠の街の青年申し訳ございません。
ヨミどこまでも身勝手な。
〇×いいんです。ちゃんと返してくれましたし。
ありがとうございます。
砂漠の街の青年とんでもないです! これはお詫びと、
街のことを救ってくださったお礼です。
〇×え……これって宝石……?
こ、こんなの受け取れません!
砂漠の街の住人Aドウゾ、ドウゾ!
〇×それなら、私ではなくナギさんに……。
あの方に渡してください。
ナギ僕ならもう受け取ったよ。
ほら、こんなにたくさん。
〇×いつの間に……。
ヨミ雨を降らせた後、
お前以上に注目を集めていたからな。
ナギヒメ。せっかくの厚意だよ。
受け取っておこう。
〇×……はい、そうですね。
みなさん、本当にありがとうございます。
アンディ・ボガード一時はどうなることかと思ったけど、
これで解決だね。
ビリー・カーンこの石、結構いい値がつきそうだな。
ナギそれはお金になるということ?
ヨミはい。この石を売れば石油発掘の資金になるかと。
〇×(石油王のこと、すっかり忘れてた!)
〇×あの、そもそもナギさんは、
なんで石油王になりたいと思ったんですか?
ナギもちろん、ヒメを救うためだよ。
お金がないと話していたからね。
〇×え! もしかして、真吾くんとの話聞いてたんですか?
マキシマ金に困っていたのは、お前さんだったのか?
〇×いえ、私ではなくて……道場の資金不足というか。
少し修繕に困ることがあったので……。
ビリー・カーン修繕費程度だったらわざわざ石油王になる必要なんてねェだろ。
アンディ・ボガードというか、今回の旅費をそちらに回せば
よかったんじゃないかな……。
矢吹真吾あ……。
ビリー・カーンはぁ……結局、ナギに振り回されたってことか。
ヨミ貴様らは、勝手についてきただけだろう。
マキシマいまさらだが、
ヨミに助言したのは俺だ、悪い。
〇×いえ。もとはと言えば私の発言が原因ですし。
〇×ナギさんは私のことを考えてくれたんですよね。
ありがとうございます。
ナギヒメ……。
〇×それからみなさんもありがとうございました。
おかげで助かりました。
〇×道場の資金のことは心配しなくても大丈夫です。
そこは管理人としてしっかりやりくりしますから。
ナギ……そう、わかった。石油王は諦めるよ。
ナギでも、この石……すべてとは言わないから、
せめて半分くらいは道場のために使ってくれないかな?
〇×……はい。
ナギありがとう。
そうだ。もう半分は旅行中にみんなで使うのはどうかな?
矢吹真吾え? いいんですか?
ビリー・カーン普通の観光にはならねぇぞ。
こりゃ、とんでもなく豪華な旅行だな。
マキシマははっ。それじゃあ、お言葉に甘えて、
楽しませてもらうとするか!