イベントストーリー /孤高の炎を求めて のバックアップソース(No.3)

**第1話  [#story1]
#region(ネタバレ注意)
|つーちゃん|にゃーん。|
|八神庵|……なんだ、ツァラトゥストラ。じゃれつくな。&br;今は貴様の相手をしている時間はない。|
|〇×(主人公)|あ、邪魔しちゃダメだよ、つーちゃん。&br;八神さんは今、新曲を作っているところだからねー。|
|つーちゃん|にゃー……。|
|〇×|ごめんね。&br;お詫びに、おやつの猫用かつおぶしをあげるから、許してくれる?|
|つーちゃん|みゃあ!|
|八神庵|…………。|
|〇×|……新曲づくり、大変そうですね。&br;今回はどんな曲を作る予定なんですか?|
|八神庵|……なんでも好きに作っていいと言われている。|
|〇×|なるほど。&br;お題がないのは、かえって難しそうですね。|
|〇×|……うーん。&br;それじゃあ、先にテーマを決めるのはどうですか?|
|八神庵|ほう?|
|〇×|桜やクリスマス……卒業とか。&br;何かしらテーマのある曲って多いじゃないですか。|
|〇×|そうやって、ある程度イメージを先に決めておけば&br;作りやすいと思うんです。|
|八神庵|フン、悪くない。&br;……が、まだ足りんな。|
|八神庵|貴様なら、何をテーマにする?|
|〇×|私ですか?&br;そうですね……。|
|〇×|やっぱり、自分の好きなものをテーマにした歌を&br;作ってみたいです。|
|〇×|あとは――誰かに贈る曲だとか。&br;……あ。つーちゃんに贈る歌なんてどうですか?|
|八神庵|…………。|
|〇×|な、なーんて。……ダメですよね。&br;八神さんのバンド、カッコイイ曲がメインですし……。|
|八神庵|…………。|
|八神庵|ならば、貴様に贈る曲にする。|
|〇×|(…………。)|
|八神庵|何を呆けた顔をしている。&br;好きなものをテーマにしろと言ったのは貴様だぞ。|
|〇×|え?|
|〇×|す、好きなもの!?|
|〇×|(……って、ビックリした。&br;好きって多分、目についたものぐらいの意味だよね。)|
|〇×|(確かに私が言い出したことだけど……。&br;まさか自分自身がテーマになるなんて思わなかったな。)|
|八神庵|……フッ。できあがったら、まず一番に聴かせてやる。&br;覚悟しておけ。|
|〇×|はい、楽しみに待っていますね!|
|〇×|(八神さん、迷いがなくなってる。&br;少しでもお手伝いできたのなら、嬉しいな。)|
|>|その日の夜――|
|八神庵|……血が、騒ぐ。|
|八神庵|(ここ数日、オロチの血がやけに騒ぐ。&br;それも日に日に、増していくように……。)|
|八神庵|(血の暴走の予兆か。&br;だとすれば、あの女ともしばらく距離を置くべきだが……。)|
|つーちゃん|みゃぁ……。|
|八神庵|……なんだ、その顔は。&br;心配など無用だ。そこで寝ていろ。|
|つーちゃん|にゃあ。|
|八神庵|……フッ。|
|八神庵|(まあいい。もう少し様子を見るとしよう……。)|
|八神庵|……俺も、焼きが回ったものだ。|
#endregion

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**第2話  [#story2]
#region(ネタバレ注意)
|>|翌日――|
|〇×|(今日のつーちゃんのおやぐ&br;久しぶりに猫用にぼしにしてみようかな。)|
|〇×|(うーん、でもおやつのあげすぎは良くないっていうし……。)|
|ナギ|やあ、×。&br;おでかけかい?|
|〇×|あ、ナギさん、こんにちは!&br;はい、これから八神さんのところへ向かう予定です。|
|ナギ|そうなんだね。&br;……ところで×、最近何か変わったことはない?|
|〇×|変わったことですか? 特にはないですけど。|
|ナギ|そっか。&br;ならいいんだけど……。|
|〇×|えっと……何かあったんですか?|
|ナギ|うん。……実はね、近頃『気』が乱れているみたいなんだ。|
|ナギ|ほんのごくわずかなのだけれど……。&br;どこからか、邪悪な気が発生しているようでね。|
|〇×|邪悪な気?&br;それってまさか、ケガレとか……?|
|ナギ|うーん……。&br;あるいはもしかしたら、オロチが……。|
|〇×|オロチ?|
|ナギ|……いや、そんなはずないか。&br;なんでもないよ。|
|ナギ|ただ×も気をつけて。&br;困ったことがあったら、いつでも僕を頼ってくれていいからね。|
|〇×|わかりました。気にしておきます。|
|〇×|(邪悪な気……前はナギさんがそれを操っていたけど、&br;今回は何か別の理由で発生しているのかな。)|
|〇×|(悪いことが起きなければいいけど……。)|
|草薙京|ん? どっか出かけんのか、マネージャー。|
|〇×|あ、京さん。&br;はい、これからつーちゃんに会いに行くんです。|
|草薙京|つーちゃん?&br;……ああ、八神の猫だっけか。|
|草薙京|……なぁ。&br;あんた、八神に変なこととかされてねぇか?|
|〇×|八神さんにですか? いえ、特にはないですけど。|
|草薙京|……なら良いんだけどよ。|
|草薙京|ま、なんかあったらいつでも言えよ。&br;八神の扱いなら慣れてっから。|
|〇×|は、はい。|
#endregion

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**第3話  [#story3]
#region(ネタバレ注意)
|八神庵|来たか、入れ。|
|〇×|はい、お邪魔します。|
|つーちゃん|にゃあ!|
|〇×|つーちゃんもこんにちは。&br;お出迎えしてくれて、ありがとうね。|
|八神庵|……俺は曲を作る。&br;猫の相手は任せたぞ。|
|〇×|わかりました。|
|八神庵|ところで……今、道場に奴はいるのか。|
|〇×|奴? ……ああ、京さんですね。&br;はい、先ほど見送って頂いたので、いると思いますよ。|
|八神庵|ほう。京は今ひとりか。|
|〇×|あ、いえ。&br;たぶん大門さんもいると思いますけど。|
|八神庵|……そうか。|
|〇×|(今のって……。&br;もしかして、また京さんと戦いに行こうとしたのかな。)|
|〇×|(八神さんらしいといえばらしいけど……。&br;うーん、もう少し仲良くするのは難しいのかな。)|
|〇×|あの……八神さん。前から気になっていたんですけど。|
|八神庵|なんだ。|
|〇×|京さんとはどうしても殺し合わなきゃいけないんですか?|
|八神庵|……なんだと。|
|〇×|あ、いえ。ただ、私はお二人とも大好きなので&br;戦わずにすめば良いなと……。|
|八神庵|…………。|
|八神庵|……そんな日は永遠に来ない。&br;この手で京を殺すことだけが俺の宿願だ。|
|八神庵|奴と共に歩む道があるとしたら&br;それは、血塗られた戦いの道以外あり得ない。|
|〇×|そ、そうですよね……。|
|〇×|(いけない。つい踏み込み過ぎちゃった。)|
|〇×|(八神さんには八神さんの事情があるんだし……。&br;余計な口きいちゃったかな……。)|
|八神庵|…………。|
|〇×|(ええっと、なにか別の話題は……あ!)|
|〇×|そうだ、今日ナギさんにもお会いしたんですよ。&br;ただ、少し気になることを聞いたと言いますか……。|
|〇×|なんでもナギさんが言うには、&br;ここ最近気が乱れているみたいなんです。|
|八神庵|気……だと。|
|八神庵|気が乱れてるとは、どういうことだ。&br;説明しろ。|
|〇×|(えっ? 八神さん、怖い顔をしてる……?)|
|〇×|は、はい。ナギさんが言うには、どこからか少しずつ&br;邪悪な気が発生しているということみたいなんですけど……。|
|八神庵|…………。|
|八神庵|他には。&br;奴は何か言っていなかったか。|
|〇×|他ですか? あとは……。&br;確か、オロチがどうとか……。|
|八神庵|……クソッ!&br;気のせいではなかったか!|
|〇×|あの、八神さん? どうかしたんですか?|
|八神庵|……女。|
|〇×|は、はい。|
|八神庵|今すぐ、道場へ帰れ。|
|〇×|…………え?|
|八神庵|俺はここを離れる。&br;猫の面倒は貴様が見ておけ。|
|〇×|八神さん……?&br;急にどうしたんですか?|
|〇×|(急に荷物をまとめ始めてる……。&br;突然どうして?)|
|八神庵|ここの鍵は開けておけ。どうせ盗まれるようなものもない。|
|〇×|ま、待ってください――&br;八神さん!|
|八神庵|触るなっ!|
|〇×|!|
|〇×|(今、手が触れた一瞬だけ、嫌な気配がしたような……?)|
|八神庵|…………。|
|八神庵|……もう、ここには来るな。|
|〇×|八神さん!&br;待っ――|
|〇×|……どうなってるの?|
#endregion

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**第4話  [#story4]
#region(ネタバレ注意)
|八神庵|(腑抜けていた……! 近頃やけに血が騒ぐとは思っていたが&br;やはり血の暴走の予兆だったか!)|
|八神庵|(しかし、何故だ。今になって――)|
|〇×|他ですか? あとは……。&br;確か、オロチがどうとか……。|
|八神庵|オロチの封印に異常が起きたとでもいうのか。|
|八神庵|いや、あれは神楽が護っているはず。|
|八神庵|だが、この気配……。&br;そうではなければ説明が……。|
|八神庵|……まさか、奴らが?|
|八神庵|……グゥッ! 血が……焼ける……!|
|八神庵|(尋常ではない熱……普段の比ではないということか……!)|
|八神庵|忌まわしき血め。&br;だがそう易々と屈する俺ではないぞ……!|
|八神庵|(ともかく今は……あの女と距離を取らねば。&br;己を失い、あの女を傷つけるなど……。)|
|八神庵|(たとえ、もう正気に戻ることがなかったとしても&br;それだけは……!)|
|八神庵|……オオ……ウオオ……グオオオオッ!!|
|〇×|(八神さん、突然どうしたんだろう……。&br;もう、ここには来るな……って。)|
|〇×|(私が余計なことを言ったから?&br;それとも別の理由が……?)|
|つーちゃん|……にゃぁ。|
|〇×|…………。|
|草薙京|おう、マネージャー。帰ったか。&br;今日の飯は……って、なんだその猫?|
|〇×|……京さん。&br;あの、私……。|
|草薙京|……まさか、八神に何かされたのか?|
|〇×|いえ。違うんです。&br;でも……私、どうしたらいいのかわからなくて……。|
|草薙京|……とにかく、中に入れ。&br;話はそこで聞く。|
|>|同時刻、路地裏――|
|K'|……?|
|八神庵|…………。|
|K'|……チッ、避けて帰るか。|
|八神庵|……オオ……。|
|K'|……なんだ?|
|八神庵|……グッ、ウオオオオ……ッ!!|
|K'|テメェ、まさか……暴走してんのか?|
|〇×|――それから急に、八神さんが出て行ってしまって。&br;もう、ここには来るなと……。|
|草薙京|で、猫を連れて帰ってきたってわけか。|
|〇×|はい……。|
|草薙京|……んー、八神の野郎が意味不明なのはいつものことだけどよ。&br;いまいち状況が掴めねえな。|
|草薙京|なぁ、八神が出て行った原因に心当たりはあんのか?|
|〇×|(出て行った原因……確信はない、けど。)|
|〇×|わかりません。ほとんど世間話しかしていなくて……。&br;ただ、もしかしたら……。|
|草薙京|ん?|
|〇×|私、つい言ってしまったんです。&br;八神さんと京さんが、殺し合わずにすめばいいのにって……。|
|草薙京|それは……。|
|草薙京|まぁ……無理だろうな。|
|〇×|京さんも、そう思うんですか?|
|草薙京|あー……。&br;その辺、説明が難しいんだよなぁ。|
|草薙京|確かに、八神のヤツとは色々な因縁がある。|
|草薙京|話し出すと長くなるから省くが……。&br;それこそオレたちが生まれる前から色々とな。|
|草薙京|けどま、んなモン関係ねぇんだよ。|
|〇×|関係ない?|
#endregion

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**第5話  [#story5]
#region(ネタバレ注意)
|草薙京|オレと八神が戦うのは、理屈じゃねぇんだ。|
|草薙京|八神はオレを殺してぇし&br;オレはそんな八神をぶん殴ってやりてぇ。|
|草薙京|だから戦う。それだけだ。|
|〇×|(殺したいから命を狙って……狙われたから戦う。&br;そう言われれば、シンプルなのかもしれないけれど……。)|
|〇×|……私には、少し難しいです。|
|草薙京|だろうな。|
|草薙京|あと、原因はそれじゃねえと思うぜ。|
|〇×|そう、でしょうか……?|
|草薙京|わかんねぇけど、八神の気まぐれじゃねえの?&br;しばらくしたらまた現れんだろ。ほっとけ。|
|〇×|(京さんはそう言うけれど……。&br;でも、あんな八神さんを放っておいていいの……?)|
|〇×|ま、待ってください――八神さん!|
|八神庵|触るなっ!|
|〇×|!|
|〇×|(今、手が触れた一瞬だけ、嫌な気配がしたような……?)|
|〇×|(あの気配には覚えがある。&br;前に、八神さんが暴走した時とすごく似ていた……。)|
|〇×|(理由はわからない。&br;でも、もし八神さんが、私のせいで暴走しているとしたら……。)|
|〇×|あの、京さん――|
|草薙京|っと、悪い。&br;オレのスマホだ。|
|草薙京|誰だよ、こんな時に……。&br;って、マキシマ?|
|〇×|マキシマさん?|
|草薙京|どうした。マキシマ。|
|草薙京|……はあ? 八神が……って、またかよ!|
|草薙京|おう。――なるほどな。&br;で、K'は?|
|草薙京|……わかった。そこに行けばいいんだな。&br;すぐ行く。|
|〇×|どうしたんですか?|
|草薙京|ああ……。&br;どうも、八神が暴走してんのをK'が見かけたらしい。|
|〇×|(八神さん、やっぱり暴走しているんだ……!)|
|草薙京|K'が後を追ってっけど、一般人に危害が及ぶ前に&br;戦えるヤツをよこせだってよ。|
|草薙京|マキシマは事情があって動けないみてぇだから、&br;ちょっくら助っ人に行ってくるわ。|
|草薙京|つーことで、あんたはここで待ってな。&br;すぐ片付けてくっからよ。|
|〇×|あの……京さん。|
|草薙京|ん?|
|〇×|私も……連れて行ってもらえませんか。|
#endregion

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**第6話  [#story6]
#region(ネタバレ注意)
|草薙京|連れてけって……あんたを八神のところにか?|
|〇×|……はい。|
|草薙京|ダメだ。猫の世話とはワケが違う。&br;暴走した八神には理性がない。あんたも襲われかねねぇんだぞ。|
|〇×|(京さんの言うことはもっともだよね。&br;だけど……。)|
|〇×|……はい。|
|〇×|足手まといなのはわかっています。&br;戦っている間、みなさんには近づきません。|
|〇×|怪我の手当てをさせてもらえるだけで良いんです。&br;どうかお願いできませんか。|
|草薙京|……なんだって、そこまで。|
|〇×|わかりません。&br;でも……。|
|八神庵|……もう、ここには来るな。|
|〇×|このままだと、八神さんに二度と会えないような……。&br;そんな気がするんです。|
|草薙京|…………。&br;どうしてもか。|
|〇×|はい。|
|草薙京|~~~~っ!|
|草薙京|……ったく、しょうがねぇな。&br;意地でもついてくって顔しやがって。|
|〇×|京さん、それじゃあ……!|
|草薙京|勝手について来られる方が面倒くせぇからな。|
|草薙京|いいか。絶対オレから離れんなよ。&br;無茶だけは絶対にすんな。|
|〇×|はい! ありがとうございます!|
|>|数時間後――|
|草薙京|K'が立ってる。あそこだな。|
|〇×|はい、行きましょう。|
|K'|来たか……って。|
|K'|草薙、なんでコイツを連れてきた。|
|草薙京|あ?|
|〇×|ち、違うんです!&br;私が無理矢理お願いしたんです……!|
|〇×|あの、お二人の邪魔はしないようにします。&br;できるだけ遠くに離れていますので……。|
|〇×|ダメ、でしょうか……。|
|K'|……勝手にしな。|
|草薙京|それで、八神は?|
|K'|あっちだ。&br;あそこでずっと呻いている。|
|八神庵|オオオオ……グゥ、ガアアアアッ!!|
|〇×|八神さん……!|
#endregion

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**第7話  [#story7]
#region(ネタバレ注意)
|八神庵|キョオ……?&br;キョオオオオッ!|
|草薙京|チッ、こっちに気付きやがった。&br;ったく、何回暴走すれば気が済むんだよ。|
|草薙京|マネージャー、あんたは下がってろ。&br;行くぞ、K'!|
|K'|アンタの指図は受けない。|
|草薙京|あ、一人で行くんじゃねえ!&br;……ったく、どいつもこいつも!|
|八神庵|コオオオオ、ロオオオオ、スウウウウッ!|
|草薙京|気をつけろ、K'!&br;八神は暴走中、スピードが跳ね上がる!|
|K'|当たらなければいいだけだ。|
|〇×|(すごい……!&br;K'さんが一瞬で、八神さんの背後へ……!)|
|〇×|(これなら、八神さんを捕まえられるかも……あっ!)|
|八神庵|ウオオオオッ!|
|K'|グッ……!|
|〇×|(後ろを見ないまま、攻撃!?&br;どうしてわかったの!?)|
|〇×|(しかも続けて、K'さんを狙ってる……!)|
|〇×|K'さん、危ないっ!|
|八神庵|ガアアアアッ!|
|K'|チ……ッ!|
|草薙京|どこ見てんだ、八神っ!&br;てめぇの相手はオレだろうが!|
|八神庵|キョオオオオッ!!|
|〇×|(良かった! 京さんが間に合った……!)|
|草薙京|K'、左右から挟み込むぞ!|
|草薙京|ボディが、お留守だぜ!|
|K'|オラァッ!!|
|〇×|(二人とも……すごい攻撃……!&br;これなら八神さんも、少しは動きを止めてくれるかも……!)|
|八神庵|オオオオ……。|
|〇×|(そんな、全然効いてない……!?)|
|八神庵|キョオ……コロスウウウウッ!|
|草薙京|クッ……!|
|K'|チィッ……!|
|〇×|京さん! K'さん!|
|八神庵|……アアッ?|
|〇×|(っ、いけない! 大きな声を出しすぎた……!?)|
|〇×|(八神さんがこっちを見てる……!)|
|八神庵|……イザ、ナミ……。|
|八神庵|コロ、ス……!!|
|〇×|きゃああああ!|
|草薙京|――危ねぇっ! ×!!|
#endregion

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**第8話  [#story8]
#region(ネタバレ注意)
|八神庵|グアアアアッ!|
|草薙京|逃げろ、×!!|
|〇×|っ……!|
|〇×|(逃げる? ううん、ダメ……追いつかれる!&br;京さんが走って来るけど……きっと間に合わない……!)|
|〇×|(どうしよう、怖い……! でも……!)|
|八神庵|グオオオオッ……!!|
|〇×|(逃げちゃダメ!&br;私に出来ることをしなきゃ……!)|
|〇×|――八神さんっ!&br;お願いです! 目を覚ましてくださいっ!|
|八神庵|――――ッ!!|
|〇×|(動きが……止まった!?)|
|K'|なめんじゃねぇぞ!&br;オラァッ!!|
|八神庵|ガッ……!|
|〇×|K'さん!|
|〇×|(八神さんの足が止まった!&br;今なら……京さんが追いつける!)|
|草薙京|うおおおおっ!|
|草薙京|くらい……やがれええええっ!!|
|八神庵|グアアアアッ!|
|〇×|(た、倒せた……?)|
|草薙京|……はぁっ、満足したかよ、八神。|
|〇×|京さん!|
|〇×|大丈夫ですか!?&br;今、手当てしますね!|
|草薙京|おう、頼む。&br;……さすがに疲れたわ。|
|〇×|傷は……よかった。そこまで深くないみたいです。&br;出血も止まってますね。|
|〇×|まずは、傷口を消毒して、包帯を巻きますね。&br;K'さんも――|
|K'|待て、見ろ。|
|八神庵|…………。|
|草薙京|……八神!|
|K'|チッ、まだか……!|
|八神庵|…………俺は。|
|八神庵|クッ、血に呑まれていたか……。|
|〇×|八神さん……!|
|〇×|良かった、正気に戻ったんですね!|
|八神庵|女……?&br;貴様、何故ここに……?|
#endregion

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**第9話  [#story9]
#region(ネタバレ注意)
|〇×|八神さんが心配で、ついてきてしまいました……。&br;でも、無事で良かったです。|
|八神庵|……っ、俺に近寄るな。|
|〇×|どこに行くんですか。&br;八神さんも手当てしないと……!|
|八神庵|不要だ。その手を離せ。|
|〇×|でも……。|
|八神庵|……もし俺がまた暴走したらどうする。&br;そもそも、なんのために貴様を遠ざけたと思っているのだ。|
|〇×|え……?|
|八神庵|今回の『血の暴走』は、ひときわ強大なものだった。&br;下手をすれば、二度と元に戻らない可能性もあった……。|
|八神庵|そんな俺に、うかつに近づくな。&br;死にたいのか。|
|〇×|(……じゃあ、八神さんが急に離れたのって&br;私を守るため……?)|
|〇×|そうだったんですね……。&br;でも、もう大丈夫ですよ。|
|〇×|八神さんは今こうして、元に戻っているじゃないですか。|
|草薙京|×の声と、オレたちの炎のおかげでな。|
|八神庵|……京。|
|八神庵|礼は言わんぞ。|
|草薙京|いらねえよ。&br;第一、そんなタマじゃねぇだろ、てめぇはよ。|
|八神庵|……フン。|
|〇×|ええ!? や、八神さん!?&br;寝るなら私の肩じゃなくて、ちゃんとお布団で……!|
|草薙京|そういう問題かよ……。|
|K'|……くだらねぇ。|
|K'|もう用は済んだろ。&br;帰る。|
|〇×|ま、待ってください!&br;K'さんもまだ手当てが……。|
|K'|いらねぇ。|
|〇×|せめて消毒だけでも――|
|〇×|って、行っちゃった……。|
|草薙京|……仕方ねぇな。ほら、消毒液貸せ。|
|〇×|京さん?|
|草薙京|渡してきてやる。&br;じゃねえと、気が済まねえんだろ?|
|〇×|……すみません。ありがとうございます。|
|草薙京|すぐ戻る。&br;何かあったら、大声で呼べよ。|
|〇×|わかりました。|
|八神庵|…………。|
|〇×|八神さん……すっかり眠っちゃった。|
|〇×|……どうか、今はゆっくり休んでください。|
#endregion

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**第10話  [#story10]
#region(ネタバレ注意)
|〇×|すー……すー……。|
|八神庵|…………。|
|草薙京|お。&br;目ぇ覚めたかよ、八神。|
|草薙京|×は……眠っちまったか。&br;まぁ、ずっと張り詰めてたみてぇだしな。しゃあねぇか。|
|八神庵|……京。|
|草薙京|……なぁ、八神。|
|草薙京|オレは×を、ここに連れてきたくなかった。&br;けど×は自分の意志でついてきた。てめぇのために。|
|草薙京|その意味、しっかり噛みしめな。|
|八神庵|…………。|
|八神庵|次は……ない。|
|八神庵|この女が離れないというのなら……それが宿命なら&br;共に、地獄を歩むまでだ。|
|草薙京|……ヘッ。覚悟決めたみてぇな面しやがって。&br;ま、その様子なら、ひとまず暴走することはなさそうだな。|
|草薙京|あと、オレに礼はいらねぇけど、×には感謝しとけよ。|
|草薙京|オレが暴走したてめぇを止められたのは&br;×がお前の名を呼んで、動きを鈍らせてくれたからだ。|
|八神庵|フン、余計な世話だ。&br;貴様に言われるまでもない。|
|八神庵|……京。貴様と俺に安楽の時などない。|
|草薙京|はあ? いきなりなんだよ。|
|八神庵|宿縁の輪廻の中で、命を奪い合う。&br;何度生まれ変わっても、そのたびに貴様を狙い、殺す。|
|八神庵|血で血を洗う死闘への道だけが、貴様との道だ。&br;偽りの楽園に、安住するような真似はするな。|
|草薙京|……何が言いてぇのか知ったこっちゃねえけどよ。|
|草薙京|オレはてめぇが嫌いだし、オレを狙うってんならぶっ飛ばす。&br;何度だってな。|
|八神庵|……フッ。&br;ならばいい。|
|八神庵|この女は預けておく。|
|草薙京|……もう行くのか?&br;今日は殺り合わねぇのかよ。|
|八神庵|興がそがれた。&br;万全ではない貴様を倒したところで、意味がない。|
|草薙京|ああ、そうかよ。&br;そうしてくれると助かるね。|
|八神庵|だが……次会うときが、貴様の最期だ。&br;覚悟しておけ。|
|草薙京|おう。|
|草薙京|……ったく、面倒くせぇヤツ。|
|>|数日後――|
|〇×|よし。これで、洗濯物は全部畳めたかな。|
|〇×|仕分けは真吾くんが手伝ってくれるって言ってたし……。&br;どうしよう。少しだけ時間があくな。|
|〇×|(それにしても……まさか、あの後眠っちゃうなんて。&br;ちゃんと八神さんに挨拶できなかったな。)|
|〇×|(あれから八神さんから連絡はないし……。&br;怪我の様子とか聞きたいんだけどな。)|
|〇×|(勝手に、おうちにお邪魔するわけにはいかないし……。&br;そもそも、もう来るなって言われたままだしなぁ……。)|
|つーちゃん|みゃあ。|
|〇×|つーちゃん……。&br;もしかして、つーちゃんも八神さんに会いたいの?|
|つーちゃん|みゃ!|
|〇×|ふふっ、そうだよね。&br;ずっと会えていないから、寂しいよね。|
|〇×|よし、連絡だけでもしてみよっと。&br;もしかしたら、八神さんから折り返してくれるかもしれないし。|
|〇×|って、メッセージだ。&br;……八神さんから?|
|>|新曲ができた。&br;ツァラトゥストラと共に聴きに来い。|
|〇×|……ふふっ。|
|〇×|つーちゃん、ご主人様が帰ってきていいって。&br;一緒に行こうか。|
|つーちゃん|にゃー!|
#endregion

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