〇× | すー……すー……。 |
八神庵 | …………。 |
草薙京 | お。 目ぇ覚めたかよ、八神。 |
草薙京 | ×は……眠っちまったか。 まぁ、ずっと張り詰めてたみてぇだしな。しゃあねぇか。 |
八神庵 | ……京。 |
草薙京 | ……なぁ、八神。 |
草薙京 | オレは×を、ここに連れてきたくなかった。 けど×は自分の意志でついてきた。てめぇのために。 |
草薙京 | その意味、しっかり噛みしめな。 |
八神庵 | …………。 |
八神庵 | 次は……ない。 |
八神庵 | この女が離れないというのなら……それが宿命なら 共に、地獄を歩むまでだ。 |
草薙京 | ……ヘッ。覚悟決めたみてぇな面しやがって。 ま、その様子なら、ひとまず暴走することはなさそうだな。 |
草薙京 | あと、オレに礼はいらねぇけど、×には感謝しとけよ。 |
草薙京 | オレが暴走したてめぇを止められたのは ×がお前の名を呼んで、動きを鈍らせてくれたからだ。 |
八神庵 | フン、余計な世話だ。 貴様に言われるまでもない。 |
八神庵 | ……京。貴様と俺に安楽の時などない。 |
草薙京 | はあ? いきなりなんだよ。 |
八神庵 | 宿縁の輪廻の中で、命を奪い合う。 何度生まれ変わっても、そのたびに貴様を狙い、殺す。 |
八神庵 | 血で血を洗う死闘への道だけが、貴様との道だ。 偽りの楽園に、安住するような真似はするな。 |
草薙京 | ……何が言いてぇのか知ったこっちゃねえけどよ。 |
草薙京 | オレはてめぇが嫌いだし、オレを狙うってんならぶっ飛ばす。 何度だってな。 |
八神庵 | ……フッ。 ならばいい。 |
八神庵 | この女は預けておく。 |
草薙京 | ……もう行くのか? 今日は殺り合わねぇのかよ。 |
八神庵 | 興がそがれた。 万全ではない貴様を倒したところで、意味がない。 |
草薙京 | ああ、そうかよ。 そうしてくれると助かるね。 |
八神庵 | だが……次会うときが、貴様の最期だ。 覚悟しておけ。 |
草薙京 | おう。 |
草薙京 | ……ったく、面倒くせぇヤツ。 |
数日後―― |
〇× | よし。これで、洗濯物は全部畳めたかな。 |
〇× | 仕分けは真吾くんが手伝ってくれるって言ってたし……。 どうしよう。少しだけ時間があくな。 |
〇× | (それにしても……まさか、あの後眠っちゃうなんて。 ちゃんと八神さんに挨拶できなかったな。) |
〇× | (あれから八神さんから連絡はないし……。 怪我の様子とか聞きたいんだけどな。) |
〇× | (勝手に、おうちにお邪魔するわけにはいかないし……。 そもそも、もう来るなって言われたままだしなぁ……。) |
つーちゃん | みゃあ。 |
〇× | つーちゃん……。 もしかして、つーちゃんも八神さんに会いたいの? |
つーちゃん | みゃ! |
〇× | ふふっ、そうだよね。 ずっと会えていないから、寂しいよね。 |
〇× | よし、連絡だけでもしてみよっと。 もしかしたら、八神さんから折り返してくれるかもしれないし。 |
〇× | って、メッセージだ。 ……八神さんから? |
新曲ができた。 ツァラトゥストラと共に聴きに来い。 |
〇× | ……ふふっ。 |
〇× | つーちゃん、ご主人様が帰ってきていいって。 一緒に行こうか。 |
つーちゃん | にゃー! |