イベントストーリー /孤高の炎を求めて

Last-modified: Sun, 19 Apr 2020 16:52:44 JST (1470d)
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第1話 Edit

+  ネタバレ注意
つーちゃんにゃーん。
八神庵……なんだ、ツァラトゥストラ。じゃれつくな。
今は貴様の相手をしている時間はない。
〇×(主人公)あ、邪魔しちゃダメだよ、つーちゃん。
八神さんは今、新曲を作っているところだからねー。
つーちゃんにゃー……。
〇×ごめんね。
お詫びに、おやつの猫用かつおぶしをあげるから、許してくれる?
つーちゃんみゃあ!
八神庵…………。
〇×……新曲づくり、大変そうですね。
今回はどんな曲を作る予定なんですか?
八神庵……なんでも好きに作っていいと言われている。
〇×なるほど。
お題がないのは、かえって難しそうですね。
〇×……うーん。
それじゃあ、先にテーマを決めるのはどうですか?
八神庵ほう?
〇×桜やクリスマス……卒業とか。
何かしらテーマのある曲って多いじゃないですか。
〇×そうやって、ある程度イメージを先に決めておけば
作りやすいと思うんです。
八神庵フン、悪くない。
……が、まだ足りんな。
八神庵貴様なら、何をテーマにする?
〇×私ですか?
そうですね……。
〇×やっぱり、自分の好きなものをテーマにした歌を
作ってみたいです。
〇×あとは――誰かに贈る曲だとか。
……あ。つーちゃんに贈る歌なんてどうですか?
八神庵…………。
〇×な、なーんて。……ダメですよね。
八神さんのバンド、カッコイイ曲がメインですし……。
八神庵…………。
八神庵ならば、貴様に贈る曲にする。
〇×(…………。)
八神庵何を呆けた顔をしている。
好きなものをテーマにしろと言ったのは貴様だぞ。
〇×え?
〇×す、好きなもの!?
〇×(……って、ビックリした。
好きって多分、目についたものぐらいの意味だよね。)
〇×(確かに私が言い出したことだけど……。
まさか自分自身がテーマになるなんて思わなかったな。)
八神庵……フッ。できあがったら、まず一番に聴かせてやる。
覚悟しておけ。
〇×はい、楽しみに待っていますね!
〇×(八神さん、迷いがなくなってる。
少しでもお手伝いできたのなら、嬉しいな。)
その日の夜――
八神庵……血が、騒ぐ。
八神庵(ここ数日、オロチの血がやけに騒ぐ。
それも日に日に、増していくように……。)
八神庵(血の暴走の予兆か。
だとすれば、あの女ともしばらく距離を置くべきだが……。)
つーちゃんみゃぁ……。
八神庵……なんだ、その顔は。
心配など無用だ。そこで寝ていろ。
つーちゃんにゃあ。
八神庵……フッ。
八神庵(まあいい。もう少し様子を見るとしよう……。)
八神庵……俺も、焼きが回ったものだ。

第2話 Edit

+  ネタバレ注意
翌日――
〇×(今日のつーちゃんのおやぐ
久しぶりに猫用にぼしにしてみようかな。)
〇×(うーん、でもおやつのあげすぎは良くないっていうし……。)
ナギやあ、×。
おでかけかい?
〇×あ、ナギさん、こんにちは!
はい、これから八神さんのところへ向かう予定です。
ナギそうなんだね。
……ところで×、最近何か変わったことはない?
〇×変わったことですか? 特にはないですけど。
ナギそっか。
ならいいんだけど……。
〇×えっと……何かあったんですか?
ナギうん。……実はね、近頃『気』が乱れているみたいなんだ。
ナギほんのごくわずかなのだけれど……。
どこからか、邪悪な気が発生しているようでね。
〇×邪悪な気?
それってまさか、ケガレとか……?
ナギうーん……。
あるいはもしかしたら、オロチが……。
〇×オロチ?
ナギ……いや、そんなはずないか。
なんでもないよ。
ナギただ×も気をつけて。
困ったことがあったら、いつでも僕を頼ってくれていいからね。
〇×わかりました。気にしておきます。
〇×(邪悪な気……前はナギさんがそれを操っていたけど、
今回は何か別の理由で発生しているのかな。)
〇×(悪いことが起きなければいいけど……。)
草薙京ん? どっか出かけんのか、マネージャー。
〇×あ、京さん。
はい、これからつーちゃんに会いに行くんです。
草薙京つーちゃん?
……ああ、八神の猫だっけか。
草薙京……なぁ。
あんた、八神に変なこととかされてねぇか?
〇×八神さんにですか? いえ、特にはないですけど。
草薙京……なら良いんだけどよ。
草薙京ま、なんかあったらいつでも言えよ。
八神の扱いなら慣れてっから。
〇×は、はい。

第3話 Edit

+  ネタバレ注意
八神庵来たか、入れ。
〇×はい、お邪魔します。
つーちゃんにゃあ!
〇×つーちゃんもこんにちは。
お出迎えしてくれて、ありがとうね。
八神庵……俺は曲を作る。
猫の相手は任せたぞ。
〇×わかりました。
八神庵ところで……今、道場に奴はいるのか。
〇×奴? ……ああ、京さんですね。
はい、先ほど見送って頂いたので、いると思いますよ。
八神庵ほう。京は今ひとりか。
〇×あ、いえ。
たぶん大門さんもいると思いますけど。
八神庵……そうか。
〇×(今のって……。
もしかして、また京さんと戦いに行こうとしたのかな。)
〇×(八神さんらしいといえばらしいけど……。
うーん、もう少し仲良くするのは難しいのかな。)
〇×あの……八神さん。前から気になっていたんですけど。
八神庵なんだ。
〇×京さんとはどうしても殺し合わなきゃいけないんですか?
八神庵……なんだと。
〇×あ、いえ。ただ、私はお二人とも大好きなので
戦わずにすめば良いなと……。
八神庵…………。
八神庵……そんな日は永遠に来ない。
この手で京を殺すことだけが俺の宿願だ。
八神庵奴と共に歩む道があるとしたら
それは、血塗られた戦いの道以外あり得ない。
〇×そ、そうですよね……。
〇×(いけない。つい踏み込み過ぎちゃった。)
〇×(八神さんには八神さんの事情があるんだし……。
余計な口きいちゃったかな……。)
八神庵…………。
〇×(ええっと、なにか別の話題は……あ!)
〇×そうだ、今日ナギさんにもお会いしたんですよ。
ただ、少し気になることを聞いたと言いますか……。
〇×なんでもナギさんが言うには、
ここ最近気が乱れているみたいなんです。
八神庵気……だと。
八神庵気が乱れてるとは、どういうことだ。
説明しろ。
〇×(えっ? 八神さん、怖い顔をしてる……?)
〇×は、はい。ナギさんが言うには、どこからか少しずつ
邪悪な気が発生しているということみたいなんですけど……。
八神庵…………。
八神庵他には。
奴は何か言っていなかったか。
〇×他ですか? あとは……。
確か、オロチがどうとか……。
八神庵……クソッ!
気のせいではなかったか!
〇×あの、八神さん? どうかしたんですか?
八神庵……女。
〇×は、はい。
八神庵今すぐ、道場へ帰れ。
〇×…………え?
八神庵俺はここを離れる。
猫の面倒は貴様が見ておけ。
〇×八神さん……?
急にどうしたんですか?
〇×(急に荷物をまとめ始めてる……。
突然どうして?)
八神庵ここの鍵は開けておけ。どうせ盗まれるようなものもない。
〇×ま、待ってください――
八神さん!
八神庵触るなっ!
〇×
〇×(今、手が触れた一瞬だけ、嫌な気配がしたような……?)
八神庵…………。
八神庵……もう、ここには来るな。
〇×八神さん!
待っ――
〇×……どうなってるの?

第4話 Edit

+  ネタバレ注意
八神庵(腑抜けていた……! 近頃やけに血が騒ぐとは思っていたが
やはり血の暴走の予兆だったか!)
八神庵(しかし、何故だ。今になって――)
〇×他ですか? あとは……。
確か、オロチがどうとか……
八神庵オロチの封印に異常が起きたとでもいうのか。
八神庵いや、あれは神楽が護っているはず。
八神庵だが、この気配……。
そうではなければ説明が……。
八神庵……まさか、奴らが?
八神庵……グゥッ! 血が……焼ける……!
八神庵(尋常ではない熱……普段の比ではないということか……!)
八神庵忌まわしき血め。
だがそう易々と屈する俺ではないぞ……!
八神庵(ともかく今は……あの女と距離を取らねば。
己を失い、あの女を傷つけるなど……。)
八神庵(たとえ、もう正気に戻ることがなかったとしても
それだけは……!)
八神庵……オオ……ウオオ……グオオオオッ!!
〇×(八神さん、突然どうしたんだろう……。
もう、ここには来るな……って。)
〇×(私が余計なことを言ったから?
それとも別の理由が……?)
つーちゃん……にゃぁ。
〇×…………。
草薙京おう、マネージャー。帰ったか。
今日の飯は……って、なんだその猫?
〇×……京さん。
あの、私……。
草薙京……まさか、八神に何かされたのか?
〇×いえ。違うんです。
でも……私、どうしたらいいのかわからなくて……。
草薙京……とにかく、中に入れ。
話はそこで聞く。
同時刻、路地裏――
K' ……?
八神庵…………。
K' ……チッ、避けて帰るか。
八神庵……オオ……。
K' ……なんだ?
八神庵……グッ、ウオオオオ……ッ!!
K' テメェ、まさか……暴走してんのか?
〇×――それから急に、八神さんが出て行ってしまって。
もう、ここには来るなと……。
草薙京で、猫を連れて帰ってきたってわけか。
〇×はい……。
草薙京……んー、八神の野郎が意味不明なのはいつものことだけどよ。
いまいち状況が掴めねえな。
草薙京なぁ、八神が出て行った原因に心当たりはあんのか?
〇×(出て行った原因……確信はない、けど。)
〇×わかりません。ほとんど世間話しかしていなくて……。
ただ、もしかしたら……。
草薙京ん?
〇×私、つい言ってしまったんです。
八神さんと京さんが、殺し合わずにすめばいいのにって……。
草薙京それは……。
草薙京まぁ……無理だろうな。
〇×京さんも、そう思うんですか?
草薙京あー……。
その辺、説明が難しいんだよなぁ。
草薙京確かに、八神のヤツとは色々な因縁がある。
草薙京話し出すと長くなるから省くが……。
それこそオレたちが生まれる前から色々とな。
草薙京けどま、んなモン関係ねぇんだよ。
〇×関係ない?

第5話 Edit

+  ネタバレ注意
草薙京オレと八神が戦うのは、理屈じゃねぇんだ。
草薙京八神はオレを殺してぇし
オレはそんな八神をぶん殴ってやりてぇ。
草薙京だから戦う。それだけだ。
〇×(殺したいから命を狙って……狙われたから戦う。
そう言われれば、シンプルなのかもしれないけれど……。)
〇×……私には、少し難しいです。
草薙京だろうな。
草薙京あと、原因はそれじゃねえと思うぜ。
〇×そう、でしょうか……?
草薙京わかんねぇけど、八神の気まぐれじゃねえの?
しばらくしたらまた現れんだろ。ほっとけ。
〇×(京さんはそう言うけれど……。
でも、あんな八神さんを放っておいていいの……?)
〇×ま、待ってください――八神さん!
八神庵触るなっ!
〇×
〇×(今、手が触れた一瞬だけ、嫌な気配がしたような……?)
〇×(あの気配には覚えがある。
前に、八神さんが暴走した時とすごく似ていた……。)
〇×(理由はわからない。
でも、もし八神さんが、私のせいで暴走しているとしたら……。)
〇×あの、京さん――
草薙京っと、悪い。
オレのスマホだ。
草薙京誰だよ、こんな時に……。
って、マキシマ?
〇×マキシマさん?
草薙京どうした。マキシマ。
草薙京……はあ? 八神が……って、またかよ!
草薙京おう。――なるほどな。
で、K'は?
草薙京……わかった。そこに行けばいいんだな。
すぐ行く。
〇×どうしたんですか?
草薙京ああ……。
どうも、八神が暴走してんのをK'が見かけたらしい。
〇×(八神さん、やっぱり暴走しているんだ……!)
草薙京K'が後を追ってっけど、一般人に危害が及ぶ前に
戦えるヤツをよこせだってよ。
草薙京マキシマは事情があって動けないみてぇだから、
ちょっくら助っ人に行ってくるわ。
草薙京つーことで、あんたはここで待ってな。
すぐ片付けてくっからよ。
〇×あの……京さん。
草薙京ん?
〇×私も……連れて行ってもらえませんか。

第6話 Edit

+  ネタバレ注意
草薙京連れてけって……あんたを八神のところにか?
〇×……はい。
草薙京ダメだ。猫の世話とはワケが違う。
暴走した八神には理性がない。あんたも襲われかねねぇんだぞ。
〇×(京さんの言うことはもっともだよね。
だけど……。)
〇×……はい。
〇×足手まといなのはわかっています。
戦っている間、みなさんには近づきません。
〇×怪我の手当てをさせてもらえるだけで良いんです。
どうかお願いできませんか。
草薙京……なんだって、そこまで。
〇×わかりません。
でも……。
八神庵……もう、ここには来るな。
〇×このままだと、八神さんに二度と会えないような……。
そんな気がするんです。
草薙京…………。
どうしてもか。
〇×はい。
草薙京~~~~っ!
草薙京……ったく、しょうがねぇな。
意地でもついてくって顔しやがって。
〇×京さん、それじゃあ……!
草薙京勝手について来られる方が面倒くせぇからな。
草薙京いいか。絶対オレから離れんなよ。
無茶だけは絶対にすんな。
〇×はい! ありがとうございます!
数時間後――
草薙京K'が立ってる。あそこだな。
〇×はい、行きましょう。
K' 来たか……って。
K' 草薙、なんでコイツを連れてきた。
草薙京あ?
〇×ち、違うんです!
私が無理矢理お願いしたんです……!
〇×あの、お二人の邪魔はしないようにします。
できるだけ遠くに離れていますので……。
〇×ダメ、でしょうか……。
K' ……勝手にしな。
草薙京それで、八神は?
K' あっちだ。
あそこでずっと呻いている。
八神庵オオオオ……グゥ、ガアアアアッ!!
〇×八神さん……!

第7話 Edit

+  ネタバレ注意
八神庵キョオ……?
キョオオオオッ!
草薙京チッ、こっちに気付きやがった。
ったく、何回暴走すれば気が済むんだよ。
草薙京マネージャー、あんたは下がってろ。
行くぞ、K'!
K' アンタの指図は受けない。
草薙京あ、一人で行くんじゃねえ!
……ったく、どいつもこいつも!
八神庵コオオオオ、ロオオオオ、スウウウウッ!
草薙京気をつけろ、K'!
八神は暴走中、スピードが跳ね上がる!
K' 当たらなければいいだけだ。
〇×(すごい……!
K'さんが一瞬で、八神さんの背後へ……!)
〇×(これなら、八神さんを捕まえられるかも……あっ!)
八神庵ウオオオオッ!
K' グッ……!
〇×(後ろを見ないまま、攻撃!?
どうしてわかったの!?)
〇×(しかも続けて、K'さんを狙ってる……!)
〇×K'さん、危ないっ!
八神庵ガアアアアッ!
K' チ……ッ!
草薙京どこ見てんだ、八神っ!
てめぇの相手はオレだろうが!
八神庵キョオオオオッ!!
〇×(良かった! 京さんが間に合った……!)
草薙京K'、左右から挟み込むぞ!
草薙京ボディが、お留守だぜ!
K' オラァッ!!
〇×(二人とも……すごい攻撃……!
これなら八神さんも、少しは動きを止めてくれるかも……!)
八神庵オオオオ……。
〇×(そんな、全然効いてない……!?)
八神庵キョオ……コロスウウウウッ!
草薙京クッ……!
K' チィッ……!
〇×京さん! K'さん!
八神庵……アアッ?
〇×(っ、いけない! 大きな声を出しすぎた……!?)
〇×(八神さんがこっちを見てる……!)
八神庵……イザ、ナミ……。
八神庵コロ、ス……!!
〇×きゃああああ!
草薙京――危ねぇっ! ×!!

第8話 Edit

+  ネタバレ注意
八神庵グアアアアッ!
草薙京逃げろ、×!!
〇×っ……!
〇×(逃げる? ううん、ダメ……追いつかれる!
京さんが走って来るけど……きっと間に合わない……!)
〇×(どうしよう、怖い……! でも……!)
八神庵グオオオオッ……!!
〇×(逃げちゃダメ!
私に出来ることをしなきゃ……!)
〇×――八神さんっ!
お願いです! 目を覚ましてくださいっ!
八神庵――――ッ!!
〇×(動きが……止まった!?)
K' なめんじゃねぇぞ!
オラァッ!!
八神庵ガッ……!
〇×K'さん!
〇×(八神さんの足が止まった!
今なら……京さんが追いつける!)
草薙京うおおおおっ!
草薙京くらい……やがれええええっ!!
八神庵グアアアアッ!
〇×(た、倒せた……?)
草薙京……はぁっ、満足したかよ、八神。
〇×京さん!
〇×大丈夫ですか!?
今、手当てしますね!
草薙京おう、頼む。
……さすがに疲れたわ。
〇×傷は……よかった。そこまで深くないみたいです。
出血も止まってますね。
〇×まずは、傷口を消毒して、包帯を巻きますね。
K'さんも――
K' 待て、見ろ。
八神庵…………。
草薙京……八神!
K' チッ、まだか……!
八神庵…………俺は。
八神庵クッ、血に呑まれていたか……。
〇×八神さん……!
〇×良かった、正気に戻ったんですね!
八神庵女……?
貴様、何故ここに……?

第9話 Edit

+  ネタバレ注意
〇×八神さんが心配で、ついてきてしまいました……。
でも、無事で良かったです。
八神庵……っ、俺に近寄るな。
〇×どこに行くんですか。
八神さんも手当てしないと……!
八神庵不要だ。その手を離せ。
〇×でも……。
八神庵……もし俺がまた暴走したらどうする。
そもそも、なんのために貴様を遠ざけたと思っているのだ。
〇×え……?
八神庵今回の『血の暴走』は、ひときわ強大なものだった。
下手をすれば、二度と元に戻らない可能性もあった……。
八神庵そんな俺に、うかつに近づくな。
死にたいのか。
〇×(……じゃあ、八神さんが急に離れたのって
私を守るため……?)
〇×そうだったんですね……。
でも、もう大丈夫ですよ。
〇×八神さんは今こうして、元に戻っているじゃないですか。
草薙京×の声と、オレたちの炎のおかげでな。
八神庵……京。
八神庵礼は言わんぞ。
草薙京いらねえよ。
第一、そんなタマじゃねぇだろ、てめぇはよ。
八神庵……フン。
〇×ええ!? や、八神さん!?
寝るなら私の肩じゃなくて、ちゃんとお布団で……!
草薙京そういう問題かよ……。
K' ……くだらねぇ。
K' もう用は済んだろ。
帰る。
〇×ま、待ってください!
K'さんもまだ手当てが……。
K' いらねぇ。
〇×せめて消毒だけでも――
〇×って、行っちゃった……。
草薙京……仕方ねぇな。ほら、消毒液貸せ。
〇×京さん?
草薙京渡してきてやる。
じゃねえと、気が済まねえんだろ?
〇×……すみません。ありがとうございます。
草薙京すぐ戻る。
何かあったら、大声で呼べよ。
〇×わかりました。
八神庵…………。
〇×八神さん……すっかり眠っちゃった。
〇×……どうか、今はゆっくり休んでください。

第10話 Edit

+  ネタバレ注意
〇×すー……すー……。
八神庵…………。
草薙京お。
目ぇ覚めたかよ、八神。
草薙京×は……眠っちまったか。
まぁ、ずっと張り詰めてたみてぇだしな。しゃあねぇか。
八神庵……京。
草薙京……なぁ、八神。
草薙京オレは×を、ここに連れてきたくなかった。
けど×は自分の意志でついてきた。てめぇのために。
草薙京その意味、しっかり噛みしめな。
八神庵…………。
八神庵次は……ない。
八神庵この女が離れないというのなら……それが宿命なら
共に、地獄を歩むまでだ。
草薙京……ヘッ。覚悟決めたみてぇな面しやがって。
ま、その様子なら、ひとまず暴走することはなさそうだな。
草薙京あと、オレに礼はいらねぇけど、×には感謝しとけよ。
草薙京オレが暴走したてめぇを止められたのは
×がお前の名を呼んで、動きを鈍らせてくれたからだ。
八神庵フン、余計な世話だ。
貴様に言われるまでもない。
八神庵……京。貴様と俺に安楽の時などない。
草薙京はあ? いきなりなんだよ。
八神庵宿縁の輪廻の中で、命を奪い合う。
何度生まれ変わっても、そのたびに貴様を狙い、殺す。
八神庵血で血を洗う死闘への道だけが、貴様との道だ。
偽りの楽園に、安住するような真似はするな。
草薙京……何が言いてぇのか知ったこっちゃねえけどよ。
草薙京オレはてめぇが嫌いだし、オレを狙うってんならぶっ飛ばす。
何度だってな。
八神庵……フッ。
ならばいい。
八神庵この女は預けておく。
草薙京……もう行くのか?
今日は殺り合わねぇのかよ。
八神庵興がそがれた。
万全ではない貴様を倒したところで、意味がない。
草薙京ああ、そうかよ。
そうしてくれると助かるね。
八神庵だが……次会うときが、貴様の最期だ。
覚悟しておけ。
草薙京おう。
草薙京……ったく、面倒くせぇヤツ。
数日後――
〇×よし。これで、洗濯物は全部畳めたかな。
〇×仕分けは真吾くんが手伝ってくれるって言ってたし……。
どうしよう。少しだけ時間があくな。
〇×(それにしても……まさか、あの後眠っちゃうなんて。
ちゃんと八神さんに挨拶できなかったな。)
〇×(あれから八神さんから連絡はないし……。
怪我の様子とか聞きたいんだけどな。)
〇×(勝手に、おうちにお邪魔するわけにはいかないし……。
そもそも、もう来るなって言われたままだしなぁ……。)
つーちゃんみゃあ。
〇×つーちゃん……。
もしかして、つーちゃんも八神さんに会いたいの?
つーちゃんみゃ!
〇×ふふっ、そうだよね。
ずっと会えていないから、寂しいよね。
〇×よし、連絡だけでもしてみよっと。
もしかしたら、八神さんから折り返してくれるかもしれないし。
〇×って、メッセージだ。
……八神さんから?
新曲ができた。
ツァラトゥストラと共に聴きに来い。
〇×……ふふっ。
〇×つーちゃん、ご主人様が帰ってきていいって。
一緒に行こうか。
つーちゃんにゃー!