ナギ | 寝転がってもいいんだよ。 広いし、ふたりで横になっても平気じゃないかな? |
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〇× | い、いえ、さすがに図々しいので……! |
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ナギ | そんなこと気にしなくていいのに。 ヒメは奥ゆかしいね。 |
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ナギ | じゃあ僕も、ヒメと一緒に座っていようかな。 |
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〇× | (ランプの明かりといい、こんないい雰囲気の部屋で、 ナギさんと並んでベッドに……お、落ち着かない!) |
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ナギ | ――×。 |
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〇× | は、はい! |
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ナギ | …………。 |
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〇× | (どうしたんだろう。 なんだかナギさん、思いつめているような……。) |
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ナギ | ×が無事に戻って来てくれて、本当によかった。 |
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〇× | えっ? |
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ナギ | 僕がこの国に連れてきたせいで、 ヒメを失うようなことがあったら、どうしようかと思ったよ。 |
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ナギ | そんなことになったら、僕は耐えられない……。 |
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〇× | ナギさん……。 |
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〇× | (昼間は楽しそうに見えたけど、 本当はずっと責任を感じてたんじゃ……。) |
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〇× | (でもナギさんだって、この国に来たのは、 道場を救いたいと思ってのことだし――) |
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〇× | 私は大丈夫ですよ。ナギさんが助けてくれましたから。 |
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ナギ | ×……。 |
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〇× | 儀式の時、ナギさんが来てくれて すごくほっとしたんです。もう大丈夫だって。 |
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〇× | 助けに来てくれて、ありがとうございます。 |
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ナギ | 言っただろう? 僕はヒメのためなら、何でもする。 ヒメが助かるならいくらでも舞うよ。 |
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〇× | ナギさん……。 |
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〇× | (時々びっくりするようなことをする人だけど、 優しくて、頼もしいな。) |
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ナギ | でも、舞は久しぶりだったから あんまり上手に踊れなかったな……。 |
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〇× | そんなことなかったです! すごく綺麗な舞でした。私、見惚れちゃって……。 |
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ナギ | 待たせたね、ヒメ。 ここからは僕に任せて。 |
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〇× | (わっ……。ナギさんの踊りって柔らかくて、すごくきれい……。) |
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ナギ | ふふ、ヒメの目を楽しませることができたなら、よかったよ。 |
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ナギ | でも、ヒメの舞も見てみたかったけどね。 |
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〇× | 私じゃ、ナギさんみたいに上手に踊れませんよ。 |
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〇× | 一応、儀式に備えて練習はたくさんしてたんですけど、 全然上達しなくって……。 |
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ナギ | ちょっと待って。 |
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〇× | ? どうかしました? |
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ナギ | 練習してたって、 それじゃあ他のみんなは、ヒメが踊る姿を見たっていうの? |
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〇× | え? は、はい。ちゃんと踊れてるか 確認もしてもらいましたし……。 |
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ナギ | …………。 |
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〇× | (あ、あれ? ナギさん、急に黙り込んじゃった。 どうしたんだろう。) |
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〇× | あの、ナギさん? |
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ナギ | ……それって、納得いかないなあ。 |
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ナギ | 僕も、ヒメが踊っている姿が見たいよ。 |
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〇× | え……。 |
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ナギ | ねえ、踊ってみせて。僕だけのために。 |
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