イベントストーリー /Fire in the Darkness の編集 Top > イベントストーリー > Fire in the Darkness **第1話 [#story1] #region(ネタバレ注意) |>|とある日、車中にて――| |〇×(主人公)|…………。| |マキシマ|〇、どうだ?&br;普段と違う景色を見るのもいいもんだろ?| |〇×|……! そうですね。なんだか新鮮です。| |マキシマ|せっかくの旅行だ。景色だけじゃなく、何かうまいものも&br;食べられるといいな。| |K'|浮かれてねぇで、前見ろ。| |〇×|(浮かれてないで、か……。)| |〇×|(こうやってマキシマさんが運転してる車に揺られてると、&br;本当にただの旅行みたいだけど……。)| |〇×|(こうなった理由は、&br;そんなに楽しいものじゃないんだよね……。)| |〇×|あのっ、K'さん……!&br;急に『ついてこい』なんてどうしたんですか?| |K'|…………。| |〇×|(買い物してたら問答無用で腕を掴まれて、ここまで連れて&br;来られちゃったけど……。)| |〇×|(K'さん、なんだかピリピリしてるような気がするし、&br;本当にどうしたんだろう……。)| |〇×|あれ、ナギさん?| |〇×|(マキシマさんがいるのはわかるけど、&br;どうしてナギさんまで?)| |ナギ|驚いたな。&br;×も連れてこられたんだね。| |〇×|はい。ナギさんは、どうしてここに?| |ナギ|ついさっき、マキシマに連れてこられたんだよ。&br;理由はあとで話す、って言われてね。| |ナギ|それでマキシマ、K'。&br;用があるなら手短に済ませてもらっていいかな?| |ナギ|僕がいないことにヨミが気づいたら大騒ぎしちゃうから。| |マキシマ|そうだな。あいつに乗り込まれたりでもしたら、&br;もっとややこしいことになりそうだ。| |マキシマ|〇、ナギ。これから話すことはなかなかに&br;衝撃的だと思うが、落ち着いて聞いて欲しい。| |マキシマ|――お前さんたちを狙っている奴らがいる。| #endregion //------------------------------ **第2話 [#story2] #region(ネタバレ注意) |〇×|私たちを狙ってる人たち……ですか?| |マキシマ|ああ。| |マキシマ|お前さんたちを狙っているのは、秘密結社ネスツ。&br;正確に言うなら、その残党たちだ。| |K'|…………。| |ナギ|ネスツ……過去に君とK'が壊滅させた組織のことだね。| |ナギ|そのネスツの残党が僕と×を&br;狙っていると?| |マキシマ|そうだ。厄介なことに、奴らは……。| |マキシマ|ナギ。お前のことを、かつてのネスツの支配者・イグニスの&br;生まれ変わりだと思い込んでいる。| |ナギ|それは、また……なんというか、唐突だね?| |〇×|どうしてそんなことに……?| |マキシマ|奴らは東京KOF以降、国内各地で起きた異変が&br;ナギの仕業であると確信を得ているらしくてな。| |マキシマ|ナギがこの国に混乱をもたらしたこと。&br;そして、何よりナギのその容姿……。| |マキシマ|その姿こそ、ナギがイグニスの生まれ変わりである証というのが&br;連中の主張だ。| |ナギ|……?&br;僕は、そのイグニスにそんなに似てるのかな。| |K'|確かにテメェは、あのクソ野郎に似てる……。| |K'|と、思ったことがある。| |ナギ|……? 過去形かい?| |K'|今は、なよっちい優男にしか見えねぇよ。| |ナギ|なよ?| |マキシマ|次に、〇のことだ。| |〇×|……っ。| |マキシマ|連中の狙いはあくまでナギだが……。| |マキシマ|ナギがヒメと呼んでいた〇のことも&br;重要人物として目をつけているらしい。| |マキシマ|イグニスを神と信奉するだけあって、&br;奴らは妄信的で、どんな無茶な行動を取るかわからん。| |マキシマ|もしかしたら、明日にもナギと〇を&br;さらいに来るかもしれない。| |〇×|!?| |マキシマ|……不安にさせてすまないな、〇。&br;お前さんには言わずにおこうかと思ったんだが……。| |マキシマ|相棒と話し合った結果、お前さんにも狙われているという自覚を&br;持っていてもらったほうがいいと思ったんだ。| |マキシマ|それに連中のことは、俺たちが必ず追い払う。&br;だから、安心してくれ。| |〇×|マキシマさん……。| |ナギ|けど、それは君たちにとっても&br;危険な行為じゃないのかい?| |K'|…………。| |ナギ|君たちは、ネスツの残党たちから身を隠すために、&br;こんな生活を続けているんだよね。| |ナギ|それなら、彼らに居場所が露見するようなことは&br;避けたいはずだろう?| |マキシマ|……ああ。それについては、否定しない。| |マキシマ|奴らにとって、俺たちはネスツの……イグニスの残した遺産だ。&br;喉から手が出るほど欲しいんだろう。| |K'|…………。| |〇×|(そっか。今回のことはマキシマさんとK'さんにとっても&br;危険なことなんだ……。)| |ナギ|…………。| |ナギ|……ねぇ、僕に1つ考えがあるんだけど、いいかな?| #endregion //------------------------------ **第3話 [#story3] #region(ネタバレ注意) |店員|お待たせしました。&br;クリームブリュレパンケーキです。| |マキシマ|おおー!!| |マキシマ|レビューで見た通りだな。表面がパリッとしているし、&br;皿から溢れそうな生クリーム。美味そうだ。| |〇×|…………。| |マキシマ|ナギたちが心配か?| |〇×|……え。あっ、すみません。&br;私、ボーッとしちゃって……。| |〇×|そうですね。&br;ナギさんたちのことは、正直心配です。| |マキシマ|お前さんの気持ちはわかる。&br;まさか、ナギがあんな提案をしてくるなんてな……。| |ナギ|ネスツの残党に目をつけられたのは、僕だ。&br;だったら、彼らの相手は僕がするよ。| |ナギ|君たちはほとぼりが冷めるまで、×を連れて&br;彼らの目の届かないところに逃げて欲しい。| |ナギ|逃亡生活は、君たち二人の十八番(おはこ)でしょ?| |〇×|(あの後、ヨミさんや京さんたちにも事情を話して、&br;私はマキシマさんたちと道場を離れることになったんだよね。)| |マキシマ|ナギたちのおかげで、&br;俺たちは表舞台に出る必要がなくなった……。| |マキシマ|ナギは強くなったな。| |〇×|私もそう思います。でも……。| |〇×|……ナギさんたち、本当に大丈夫でしょうか?| |〇×|マキシマさん言ってたじゃないですか。&br;どんな無茶をしてくるかわからない連中だって。| |マキシマ|…………。| |マキシマ|〇、口を開けろ。| |〇×|え?| |マキシマ|いいから。| |〇×|えっと……こう、ですか?| |〇×|っ!?| |マキシマ|どうだ、うまいだろう?| |〇×|マ、マキシマさん! 人の口にいきなりパンケーキを&br;突っ込むのは、ちょっと……!| |マキシマ|う・ま・い・だ・ろ?| |〇×|……おいしいです。かなり。| |マキシマ|ははっ! そうか、かなりうまいか! はははっ……。| |マキシマ|心配しなくても大丈夫だ。あいつらの強さは、&br;お前さんならよくわかってるだろう?| |マキシマ|お前さんはこれを単なる『旅行』と思って、&br;楽しめばいい。| |マキシマ|……と言われても難しいかもしれんが……まあ、少なくとも&br;俺たちはそのつもりでいる。| |〇×|(旅行だと思って楽しむ、か……。)| |マキシマ|よしっ。そうと決まれば、スイーツを追加するか。&br;旬のフルーツが山盛りのパンケーキも人気らしくてな!| |〇×|(あ、K'さんからメッセージだ。ええっと……。)| |>|『そのスイーツバカを止めろ。暇すぎて死ぬ。』| |K'|……はぁ。| #endregion //------------------------------ **第4話 [#story4] #region(ネタバレ注意) |マキシマ|旅行を楽しんでくれって言っておきながら、車中泊で悪いな。&br;旅館やホテルで休ませてやりたいところなんだが……。| |マキシマ|お前さんと部屋が分かれると、何かあった時に対応が遅れる。&br;かと言って同じ部屋にするわけにもいかないからな。| |〇×|大丈夫ですよ。&br;ブランケット、ありがとうございます。| |〇×|でも、お二人はどこで休むんですか?| |マキシマ|俺たちは車の近くで休むから気にしなくていい。&br;寝袋もあるしな。| |〇×|え、でも……。| |K'|アンタと違ってこっちは慣れてんだ。&br;余計な気回してねぇでさっさと休め。| |マキシマ|まったく。もう少し優しいいいかたができないもんかね、&br;うちの相棒は。| |マキシマ|まあ、そういうことだから何か気になることがあれば、&br;遠慮せず声をかけてくれ。| |〇×|わかりました。おやすみなさい。| |〇×|…………。| |〇×|(これから、どうなるんだろう……。)| |〇×|(……いつになったら道場に戻れるのかな。)| |〇×|(……って、こんな風に悩んでたらダメだよね。&br;昼間だってマキシマさんを心配させちゃったし。)| |〇×|(明日からは、できるだけいつも通りに過ごして&br;心配かけないようにしなくちゃ。)| |マキシマ|しっかし……なんだか妙なことになったなぁ。| |マキシマ|ほとぼりが冷めるまでとはいえ、&br;〇を連れて逃亡生活とは。| |K'|そうでもないだろ。&br;あの女は、根っからの巻き込まれ体質だからな。| |マキシマ|巻き込まれ体質、か。……そうかもな。| |K'|…………。| |マキシマ|少し前までは、こうして車で逃亡しながらの&br;生活が当たり前だったな。| |マキシマ|最近はすっかり渋谷に腰を落ち着けてしまっていたが、&br;このほうが根無し草の俺たちにはちょうどいいのかもしれん。| |K'|……なら、このまま旅にでも出るか?| |マキシマ|このままって……〇はどうする?| |K'|連れてきゃいいだろ。| |K'|あの女が心配で仕方ねぇんだろ。&br;なら、目の届くとこに置いとけ。| |マキシマ|できるわけないだろう。| |マキシマ|〇にだって生活があるんだ。&br;今回のことが解決したら、すぐにでも道場に送り届けるさ。| |マキシマ|お前さんも早く休め。&br;明日も早いぞ。| |K'|…………。| #endregion //------------------------------ **第5話 [#story5] #region(ネタバレ注意) |〇×|わぁっ! 湖、すごくきれいですね!| |〇×|(どこに行くんだろうって思ってたけど、こんなに&br;きれいなところに連れてきてもらえるなんて。)| |マキシマ|ただ車を走らせるだけだと味気ないからな。&br;これでようやく『旅行』って感じがしてきただろ?| |〇×|はい!| |K'|…………。| |〇×|あれ? K'さん、どこに行くんですか?| |K'|別に。適当に散歩してくる。| |マキシマ|まぁ待て。相棒。&br;ちょっとこっちにこい。| |K'|……なんだよ。| |マキシマ|昨日はカフェについてこなかっただろう。| |K'|テメェが甘いもん食うって言ったからな。| |マキシマ|その分、今日はお前も一緒に来て〇を&br;励ましてやってくれよ。な?| |K'|…………。| |〇×|(……あっ! K'さんとマキシマさん、戻ってきた。)| |K'|……で、アンタは何がしてぇんだよ。| |〇×|えっ、えっと……K'さんは散歩がしたいんですよね?&br;なら、三人で行きましょう!| |K'|好きにしろ。| |マキシマ|よし。決まりだな。| |>|一時間後、釣り堀にて――| |K'|……っ。| |〇×|わっ! K'さん、また釣れたんですか!?| |K'|アンタはさっきから1匹も釣れてねぇな。| |〇×|うっ……。&br;K'さんと同じようにやってるつもりなんですが……。| |マキシマ|お前さんはもう少し肩の力を抜いたほうがいいな。| |〇×|な、なるほど……。| |〇×|(わっ。マキシマさんもたくさん釣ってる!)| |〇×|(私もせめて1匹くらいは……!&br;場所とか変えてみたほうがいいのかな?)| |K'|……おい、かかってんぞ。| |〇×|……え。| |〇×|わわわっ!| |K'|チッ。| |〇×|……っ。K'さん?| |K'|そのまま、釣り竿離すんじゃねぇぞ。| |〇×|は、はい!| |〇×|(K'さんが一緒に釣り竿を握ってくれて&br;さっきより楽になったかも。これなら……!)| |K'|おい、相棒!| |マキシマ|網だな、よし!| |〇×|つ、釣れました!| |マキシマ|よくやったな、〇!| |〇×|K'さんとマキシマさんのおかげですよ!| |K'|たかが1匹釣っただけで浮かれすぎだろ。| |マキシマ|まあまあ、いいじゃないか。| |〇×|(まさか、K'さんとマキシマさんとこんな時間を&br;過ごせるとは思わなかったなぁ。)| |〇×|(二人はいつも身を隠すように生活してるし……。)| |〇×|(…………。)| |〇×|(そういえば……こんなに目立つところにいて、&br;大丈夫なのかな?)| |K'|…………。| #endregion //------------------------------ **第6話 [#story6] #region(ネタバレ注意) |〇×|…………。| |K'|……おい。| |〇×|K'さん。……あれ? マキシマさんは?| |K'|アンタのために甘いもの探しに行ったぜ。| |〇×|そ、そうですか……なんだか悪いです。| |K'|好きにやらせときゃいい。&br;……それより、理由を言え。| |〇×|え……?| |K'|浮かない顔してただろ。今度はなんで落ち込んでる?| |K'|……お前を励ませって言われてんだよ。| |〇×|(隣に座っちゃった。)| |K'|早くしろ。| |〇×|あっ、はい。| |〇×|その……お二人は普段、身を隠しながら生活してますよね。| |〇×|だから、今日みたいに人目の多いところで遊ぶのは、&br;だいぶ無茶をしてるんじゃないかって気づいて……。| |〇×|あっ、もちろん、お二人が私を励ますために&br;気を遣ってくれてるのはわかってるんですけど……。| |K'|それでかえって気落ちしてんなら世話ねぇな。| |K'|いいから、アンタは余計なこと考えずに笑ってろ。| |〇×|け、K'さん。その頭のなでかたは、ちょっと痛いです……。| |K'|うるせぇ。文句言うな。| |〇×|(これも励ましてくれてるってことかな……?)| |〇×|……ありがとうございます。| |K'|…………。| |〇×|そうだ。マキシマさんにもお礼を言わないといけませんね。| |K'|…………。| |〇×|昨日、カフェに連れていってくれたこととか、&br;ちゃんとお礼言えてなかったので。| |K'|…………。| |K'|アンタ、アイツのことどう思ってる?| |〇×|え? どうって……?| |K'|好きか?| |〇×|!?| |〇×|(えっ……えええ!?)| |K'|…………。| |K'|……なんでもない。忘れろ。| |〇×|あ、あの……!| |〇×|(行っちゃった……。&br;さっきのどういう意味だったんだろう……。)| |>|逃亡生活開始から一週間がたち――| |マキシマ|ん? ……こいつは……。| |K'|どうした?| |マキシマ|ナギから着信だ。| |〇×|え!?| |K'|スピーカーにしろ。| |ナギ|……ああ。良かった。&br;ちゃんと繋がったね。| |マキシマ|そちらから連絡をよこしたってことは、&br;何か進展があったのか?| |ナギ|うん。昨日、僕の家にネスツの残党が押しかけてきたよ。| |〇×|!? だ、大丈夫だったんですか!| |ナギ|ふふふ、心配してくれてありがとう、×。&br;大丈夫だよ。僕とヨミで追い払ったからね。| |〇×|(よかった……。)| |ナギ|それから、僕がイグニスではないことと……。| |ナギ|今後、僕や×に関わることは許さないとも&br;釘を刺しておいたよ。| |ナギ|だから、×。&br;君は、安心して帰ってきていいよ。| |〇×|ありがとうございます……!| |〇×|(道場に帰れるんだ……。)| |ナギ|あ、でも……K'とマキシマは、まだしばらく都内には&br;近づかないほうがいいかもしれないね。| #endregion //------------------------------ **第7話 [#story7] #region(ネタバレ注意) |〇×|K'さんとマキシマさんは都内に近づかないほうがいいって……。&br;どういうことですか?| |ナギ|僕がイグニスの生まれ変わりではないと告げたから、&br;彼らはそのうち、この国から出ていくかもしれないけど……。| |ナギ|それは、あくまで僕らに対する脅威がなくなったというだけだ。&br;マキシマ。残党の数は君らが思っている以上に多いようだよ。| |マキシマ|……そうか。| |マキシマ|すまんが、誰か〇を迎えに来てやってくれないか?&br;俺たちは、もう少し逃亡生活を続ける。| |〇×|っ……!?| |マキシマ|それでいいな、相棒?| |K'|……ああ。| |〇×|(そんな……。それじゃまたしばらく、二人とは&br;会えなくなる……。)| |ナギ|わかった。それじゃ、×の迎はこちらで&br;手配するよ。| |マキシマ|頼む。| |〇×|(明日でこの生活も終わりか……。)| |マキシマ|この生活を始めてからずっと車中泊だったからな。&br;最後の夜くらいは、ベッドでゆっくり休んでくれ。| |マキシマ|俺たちも同じ階に部屋を取ってるから、何かあれば&br;声をかけてくれて構わない。| |マキシマ|それじゃ……おやすみ、〇。| |〇×|(ゆっくり休んでくれって言われたけど……。&br;全然眠れない。)| |〇×|(…………。)| |〇×|(……さっきのマキシマさん、なんだか悲しそうな顔してた。)| |〇×|(まさか、二人とも何も言わずに&br;姿を消しちゃったりしないよね?)| |〇×|(沖縄のときみたいに……。)| |〇×|…………。| |〇×|(……後悔しないように、ちゃんと二人に会ってこよう。)| |マキシマ|ずいぶん帰りが遅かったな。相棒。| |K'|いつ帰ってこようが俺の自由だ。| |マキシマ|はぁ……。| |マキシマ|お前さんが戻ってくるまでにナギから連絡があった。&br;明日の朝には、京たちがこっちに着くそうだ。| |K'|…………。| |マキシマ|〇をあいつらに引き渡したら、&br;俺たちの役目は終了だ。| |マキシマ|その後は、ほとぼりが冷めるまで国外にでも――| |K'|何言ってんだ。| |マキシマ|K'……?| |K'|それで終了? 違ぇだろ。| |K'|国外に行くって言うなら、あの女も一緒だ。| |マキシマ|……はぁ。それはダメだと前にも言っただろう。&br;〇には〇の生活があるんだ。| |K'|知るか。&br;俺はもう、アイツから目を離すつもりはねぇんだ。| |K'|テメェだって本当はそうしてぇんだろ?| |マキシマ|っ……。| |K'|……止めても無駄だ。&br;今から俺がアイツをかっさらってくる。| |マキシマ|待て、K'……!| |K'っ――!|| |マキシマ|……っと。おいおい……なんだ、その右腕の炎は。| |K'|見てのとおりだ。| |K'|俺を止めてぇんなら、力尽くで止めてみせろ。| #endregion //------------------------------ **第8話 [#story8] #region(ネタバレ注意) |マキシマ|……やれやれ。この不良息子は。&br;聞き訳がないにも程があるぞ。| |マキシマ|ちょっとばかしお灸を据えてやらにゃならんか?| |K'|さっさと構えろよ。| |マキシマ|…………。| |K'|――!| |マキシマ|ぐぅ……っ。| |K'|遊びじゃねぇぞ。本気だ。| |マキシマ|チッ! 言ってくれるな。&br;ふっ――!| |マキシマ|なっ……。| |K'|生温いんだよ| |マキシマ|……っ。| |K'|テメェ、いつになったら本気になるんだよ。| |マキシマ|反抗期の子供相手に、本気になっても大人げないだろう?| |K'|ハッ。言ってろ。| |K'|要は、もっともらしい理由をつけてアイツへの気持ちから&br;目ぇ逸らしてるだけだろうが。| |マキシマ|……!| |K'|気づいてねぇとでも思ったのか。&br;テメェの気持ちなんざとうに知れてんだよ。| |K'|……なのに、今にアイツを他の誰かに取られかねない態度で、&br;見ててイライラする。| |K'|このままじゃ、損するのも後悔するのもテメェだぞ。| |マキシマ|お前、何を言って……。| |K'|俺は俺のものを簡単に手放すつもりはねぇ。| |K'|テメェも男なら、そのくらい獣になれっつってんだよ。| |マキシマ|(K'……。)| |マキシマ|(こいつには、俺が〇から逃げてるように&br;見えてるってわけか。)| |マキシマ|(だが、それだけじゃあないな。)| |マキシマ|……そうか。お前さんも……。| |K'|…………。| |マキシマ|まったく……血気盛んだな、お前さんは。&br;だが、ひとつ言っておくぞ。| |マキシマ|大人の気も知らず、この想いを『本気になりきってない』とは&br;……心外だ。| |マキシマ|おうりゃあっ!| |K'――!|| |K'|やればできるじゃねぇか。| |マキシマ|お前さんを子供扱いしていたのは詫びよう。&br;ここからは、ひとりの男として本気を出させてもらう。| |K'|ハッ。エンジンかかるのが遅ぇんだよ。| |マキシマ|くっ……。| |マキシマ|俺だって、できれば彼女と離れたくはないさ。&br;……離れたくないに決まっているだろう!| #endregion //------------------------------ **第9話 [#story9] #region(ネタバレ注意) |〇×|(マキシマさんとK'さん、&br;どこに行っちゃったんだろう……。)| |〇×|(聞いてた部屋にはいなかったし……。&br;まさか、もう出発しちゃったんじゃ……。)| |K'|オラァ!!| |〇×|(……今、見えたのって……。)| |マキシマ|フッ――!| |K'|ウゼェ!!| |K'|……だったら、そうすりゃいいだろうが!| |マキシマ|彼女を危険な目に遭わせるとわかっていてできるか!| |K'|なら、テメェで守っていきゃあいいだろうが!| |マキシマ|そういう問題じゃあない!!| |〇×|(! やっぱり、K'さんとマキシマさんだ!)| |〇×|(でも、どうして二人が戦ってるの?&br;とにかく止めなきゃ……!)| |K'|くそ……!| |〇×|……あ、あの! おふたりとも!| |K'|ッ……。| |マキシマ|なっ……。| |〇×|はぁ……はぁ……。| |〇×|あの、どうしちゃったんですか?&br;どうして、お二人が戦って……。| |K'|…………。| |マキシマ|あー……いや、これは……。| |K'|なんでもねぇよ。| |〇×|で、でも……。| |K'|なんでもねぇって。……んな顔すんな。| |マキシマ|…………。| |〇×|……そうですか。事情はわかりませんけど。| |〇×|とりあえず、お二人に会えてよかったです。| |〇×|また、何も言わずに姿を消しちゃうんじゃないかって&br;不安だったので……。| |マキシマ|〇……。| |K'|…………。| |〇×|行かないでください……とは、言いません。&br;言えません。| |〇×|(もっと二人と一緒に過ごしたい気持ちはあるけど、&br;それを言ったら困らせちゃう。)| |〇×|(二人は……優しい人だから。)| |〇×|お二人が背負っている運命を思えば、いつかお別れする日が&br;来るんだろうなって覚悟はしてました。| |〇×|でも、何も言わずに出て行くのはダメです。&br;ちゃんとお礼と、お別れをさせてください。| |〇×|……ありがとうございました!&br;気を付けて行ってきてくださいね!| #endregion //------------------------------ **第10話 [#story10] #region(ネタバレ注意) |〇×|……それじゃ。私、部屋に戻ってますね。| |〇×|(あ、泣きそう……。でも、ここで涙を見せたら、&br;二人に迷惑をかけちゃう……。)| |〇×|っ……。おやすみなさい。| |K'|…………。| |マキシマ|…………。| |K'|……チッ。逆効果だ、馬鹿……。| |マキシマ|ああ。まったくだねぇ……。| |マキシマ|……。| |マキシマ|まあ、このまま国内各地のアジトを点々としつつ……でも&br;どうにかなるだろう。| |マキシマ|でもって、彼女に忘れられないように定期的に顔を見せる。&br;……それでいいか、相棒?| |K'|フン……。やればできるじゃねぇか。| |K'|テメェが最初から腹括ってれば、あんなとこアイツに&br;見られることもなかったのによ。| |マキシマ|まったく……。そういうお前は、彼女のなんなんだ?| |K'|二度も言わせるな。&br;俺はアイツを手放す気はねぇんだよ。| |マキシマ|その言葉、ライバル宣言として受け取っておくよ。| |マキシマ|……なんというか……ありがとうな、K'。| |K'|ライバルに最初に言うことが礼かよ。余裕だな。| |マキシマ|ははっ……。| |>|渋谷に戻り、しばらくたった頃――| |〇×|K'さん! また会えて嬉しいです!| |〇×|私、きっとまたしばらく会えなくなるんだろうなって&br;思ってたから……!| |K'|誰かさんが泣きそうな顔してたからな。| |〇×|!?| |〇×|(あの時、駐車場で泣きそうになってたのは本当だけど……。&br;気づかれてないと思ってたのに。)| |K'|…………。| |〇×|あ、あの!| |K'|なんだよ。| |〇×|結局、あの時の喧嘩の理由って、なんだったんですか?| |K'|チッ。余計なこと思い出しやがって。| |K'|あの時のことはもう忘れろ、いいな?| |〇×|(……?)| |〇×|(もしかして、またマキシマさんと喧嘩してるとか?&br;今日、道場に来た時もK'さんひとりだったし……。)| |マキシマ|よお、相棒。&br;それから、〇も。元気そうだな。| |〇×|マキシマさん!| |〇×|(なんだ。喧嘩してたわけじゃないんだ。&br;よかった……。)| |K'|なんかあったのか。| |マキシマ|悪いが、用があるのはお前さんじゃない。| |マキシマ|〇、ちょっといいか?| |〇×|……? はい――| |マキシマ|よっと。| |K'|……!| |〇×|(あれ? 私、なんでマキシマさんのバイクに乗せられて……?)| |マキシマ|これはお前さんのヘルメットだ。&br;しっかり被れよ。| |〇×|えっ、あ、はい。ありがとうございます。&br;って、そうじゃなくてですね……!| |K'|……何してんだ、テメェ。| |マキシマ|いや、なに。たまには、獣になろうかと思ってね?| |マキシマ|行くぞ、〇。| |K'|…………。| |K'|いや、いきなりすぎるだろ……。| |K'|(……上等だ。)| #endregion //------------------------------ ページの更新 ビジュアル編集モードに切り替える **第1話 [#story1] #region(ネタバレ注意) |>|とある日、車中にて――| |〇×(主人公)|…………。| |マキシマ|〇、どうだ?&br;普段と違う景色を見るのもいいもんだろ?| |〇×|……! そうですね。なんだか新鮮です。| |マキシマ|せっかくの旅行だ。景色だけじゃなく、何かうまいものも&br;食べられるといいな。| |K'|浮かれてねぇで、前見ろ。| |〇×|(浮かれてないで、か……。)| |〇×|(こうやってマキシマさんが運転してる車に揺られてると、&br;本当にただの旅行みたいだけど……。)| |〇×|(こうなった理由は、&br;そんなに楽しいものじゃないんだよね……。)| |〇×|あのっ、K'さん……!&br;急に『ついてこい』なんてどうしたんですか?| |K'|…………。| |〇×|(買い物してたら問答無用で腕を掴まれて、ここまで連れて&br;来られちゃったけど……。)| |〇×|(K'さん、なんだかピリピリしてるような気がするし、&br;本当にどうしたんだろう……。)| |〇×|あれ、ナギさん?| |〇×|(マキシマさんがいるのはわかるけど、&br;どうしてナギさんまで?)| |ナギ|驚いたな。&br;×も連れてこられたんだね。| |〇×|はい。ナギさんは、どうしてここに?| |ナギ|ついさっき、マキシマに連れてこられたんだよ。&br;理由はあとで話す、って言われてね。| |ナギ|それでマキシマ、K'。&br;用があるなら手短に済ませてもらっていいかな?| |ナギ|僕がいないことにヨミが気づいたら大騒ぎしちゃうから。| |マキシマ|そうだな。あいつに乗り込まれたりでもしたら、&br;もっとややこしいことになりそうだ。| |マキシマ|〇、ナギ。これから話すことはなかなかに&br;衝撃的だと思うが、落ち着いて聞いて欲しい。| |マキシマ|――お前さんたちを狙っている奴らがいる。| #endregion //------------------------------ **第2話 [#story2] #region(ネタバレ注意) |〇×|私たちを狙ってる人たち……ですか?| |マキシマ|ああ。| |マキシマ|お前さんたちを狙っているのは、秘密結社ネスツ。&br;正確に言うなら、その残党たちだ。| |K'|…………。| |ナギ|ネスツ……過去に君とK'が壊滅させた組織のことだね。| |ナギ|そのネスツの残党が僕と×を&br;狙っていると?| |マキシマ|そうだ。厄介なことに、奴らは……。| |マキシマ|ナギ。お前のことを、かつてのネスツの支配者・イグニスの&br;生まれ変わりだと思い込んでいる。| |ナギ|それは、また……なんというか、唐突だね?| |〇×|どうしてそんなことに……?| |マキシマ|奴らは東京KOF以降、国内各地で起きた異変が&br;ナギの仕業であると確信を得ているらしくてな。| |マキシマ|ナギがこの国に混乱をもたらしたこと。&br;そして、何よりナギのその容姿……。| |マキシマ|その姿こそ、ナギがイグニスの生まれ変わりである証というのが&br;連中の主張だ。| |ナギ|……?&br;僕は、そのイグニスにそんなに似てるのかな。| |K'|確かにテメェは、あのクソ野郎に似てる……。| |K'|と、思ったことがある。| |ナギ|……? 過去形かい?| |K'|今は、なよっちい優男にしか見えねぇよ。| |ナギ|なよ?| |マキシマ|次に、〇のことだ。| |〇×|……っ。| |マキシマ|連中の狙いはあくまでナギだが……。| |マキシマ|ナギがヒメと呼んでいた〇のことも&br;重要人物として目をつけているらしい。| |マキシマ|イグニスを神と信奉するだけあって、&br;奴らは妄信的で、どんな無茶な行動を取るかわからん。| |マキシマ|もしかしたら、明日にもナギと〇を&br;さらいに来るかもしれない。| |〇×|!?| |マキシマ|……不安にさせてすまないな、〇。&br;お前さんには言わずにおこうかと思ったんだが……。| |マキシマ|相棒と話し合った結果、お前さんにも狙われているという自覚を&br;持っていてもらったほうがいいと思ったんだ。| |マキシマ|それに連中のことは、俺たちが必ず追い払う。&br;だから、安心してくれ。| |〇×|マキシマさん……。| |ナギ|けど、それは君たちにとっても&br;危険な行為じゃないのかい?| |K'|…………。| |ナギ|君たちは、ネスツの残党たちから身を隠すために、&br;こんな生活を続けているんだよね。| |ナギ|それなら、彼らに居場所が露見するようなことは&br;避けたいはずだろう?| |マキシマ|……ああ。それについては、否定しない。| |マキシマ|奴らにとって、俺たちはネスツの……イグニスの残した遺産だ。&br;喉から手が出るほど欲しいんだろう。| |K'|…………。| |〇×|(そっか。今回のことはマキシマさんとK'さんにとっても&br;危険なことなんだ……。)| |ナギ|…………。| |ナギ|……ねぇ、僕に1つ考えがあるんだけど、いいかな?| #endregion //------------------------------ **第3話 [#story3] #region(ネタバレ注意) |店員|お待たせしました。&br;クリームブリュレパンケーキです。| |マキシマ|おおー!!| |マキシマ|レビューで見た通りだな。表面がパリッとしているし、&br;皿から溢れそうな生クリーム。美味そうだ。| |〇×|…………。| |マキシマ|ナギたちが心配か?| |〇×|……え。あっ、すみません。&br;私、ボーッとしちゃって……。| |〇×|そうですね。&br;ナギさんたちのことは、正直心配です。| |マキシマ|お前さんの気持ちはわかる。&br;まさか、ナギがあんな提案をしてくるなんてな……。| |ナギ|ネスツの残党に目をつけられたのは、僕だ。&br;だったら、彼らの相手は僕がするよ。| |ナギ|君たちはほとぼりが冷めるまで、×を連れて&br;彼らの目の届かないところに逃げて欲しい。| |ナギ|逃亡生活は、君たち二人の十八番(おはこ)でしょ?| |〇×|(あの後、ヨミさんや京さんたちにも事情を話して、&br;私はマキシマさんたちと道場を離れることになったんだよね。)| |マキシマ|ナギたちのおかげで、&br;俺たちは表舞台に出る必要がなくなった……。| |マキシマ|ナギは強くなったな。| |〇×|私もそう思います。でも……。| |〇×|……ナギさんたち、本当に大丈夫でしょうか?| |〇×|マキシマさん言ってたじゃないですか。&br;どんな無茶をしてくるかわからない連中だって。| |マキシマ|…………。| |マキシマ|〇、口を開けろ。| |〇×|え?| |マキシマ|いいから。| |〇×|えっと……こう、ですか?| |〇×|っ!?| |マキシマ|どうだ、うまいだろう?| |〇×|マ、マキシマさん! 人の口にいきなりパンケーキを&br;突っ込むのは、ちょっと……!| |マキシマ|う・ま・い・だ・ろ?| |〇×|……おいしいです。かなり。| |マキシマ|ははっ! そうか、かなりうまいか! はははっ……。| |マキシマ|心配しなくても大丈夫だ。あいつらの強さは、&br;お前さんならよくわかってるだろう?| |マキシマ|お前さんはこれを単なる『旅行』と思って、&br;楽しめばいい。| |マキシマ|……と言われても難しいかもしれんが……まあ、少なくとも&br;俺たちはそのつもりでいる。| |〇×|(旅行だと思って楽しむ、か……。)| |マキシマ|よしっ。そうと決まれば、スイーツを追加するか。&br;旬のフルーツが山盛りのパンケーキも人気らしくてな!| |〇×|(あ、K'さんからメッセージだ。ええっと……。)| |>|『そのスイーツバカを止めろ。暇すぎて死ぬ。』| |K'|……はぁ。| #endregion //------------------------------ **第4話 [#story4] #region(ネタバレ注意) |マキシマ|旅行を楽しんでくれって言っておきながら、車中泊で悪いな。&br;旅館やホテルで休ませてやりたいところなんだが……。| |マキシマ|お前さんと部屋が分かれると、何かあった時に対応が遅れる。&br;かと言って同じ部屋にするわけにもいかないからな。| |〇×|大丈夫ですよ。&br;ブランケット、ありがとうございます。| |〇×|でも、お二人はどこで休むんですか?| |マキシマ|俺たちは車の近くで休むから気にしなくていい。&br;寝袋もあるしな。| |〇×|え、でも……。| |K'|アンタと違ってこっちは慣れてんだ。&br;余計な気回してねぇでさっさと休め。| |マキシマ|まったく。もう少し優しいいいかたができないもんかね、&br;うちの相棒は。| |マキシマ|まあ、そういうことだから何か気になることがあれば、&br;遠慮せず声をかけてくれ。| |〇×|わかりました。おやすみなさい。| |〇×|…………。| |〇×|(これから、どうなるんだろう……。)| |〇×|(……いつになったら道場に戻れるのかな。)| |〇×|(……って、こんな風に悩んでたらダメだよね。&br;昼間だってマキシマさんを心配させちゃったし。)| |〇×|(明日からは、できるだけいつも通りに過ごして&br;心配かけないようにしなくちゃ。)| |マキシマ|しっかし……なんだか妙なことになったなぁ。| |マキシマ|ほとぼりが冷めるまでとはいえ、&br;〇を連れて逃亡生活とは。| |K'|そうでもないだろ。&br;あの女は、根っからの巻き込まれ体質だからな。| |マキシマ|巻き込まれ体質、か。……そうかもな。| |K'|…………。| |マキシマ|少し前までは、こうして車で逃亡しながらの&br;生活が当たり前だったな。| |マキシマ|最近はすっかり渋谷に腰を落ち着けてしまっていたが、&br;このほうが根無し草の俺たちにはちょうどいいのかもしれん。| |K'|……なら、このまま旅にでも出るか?| |マキシマ|このままって……〇はどうする?| |K'|連れてきゃいいだろ。| |K'|あの女が心配で仕方ねぇんだろ。&br;なら、目の届くとこに置いとけ。| |マキシマ|できるわけないだろう。| |マキシマ|〇にだって生活があるんだ。&br;今回のことが解決したら、すぐにでも道場に送り届けるさ。| |マキシマ|お前さんも早く休め。&br;明日も早いぞ。| |K'|…………。| #endregion //------------------------------ **第5話 [#story5] #region(ネタバレ注意) |〇×|わぁっ! 湖、すごくきれいですね!| |〇×|(どこに行くんだろうって思ってたけど、こんなに&br;きれいなところに連れてきてもらえるなんて。)| |マキシマ|ただ車を走らせるだけだと味気ないからな。&br;これでようやく『旅行』って感じがしてきただろ?| |〇×|はい!| |K'|…………。| |〇×|あれ? K'さん、どこに行くんですか?| |K'|別に。適当に散歩してくる。| |マキシマ|まぁ待て。相棒。&br;ちょっとこっちにこい。| |K'|……なんだよ。| |マキシマ|昨日はカフェについてこなかっただろう。| |K'|テメェが甘いもん食うって言ったからな。| |マキシマ|その分、今日はお前も一緒に来て〇を&br;励ましてやってくれよ。な?| |K'|…………。| |〇×|(……あっ! K'さんとマキシマさん、戻ってきた。)| |K'|……で、アンタは何がしてぇんだよ。| |〇×|えっ、えっと……K'さんは散歩がしたいんですよね?&br;なら、三人で行きましょう!| |K'|好きにしろ。| |マキシマ|よし。決まりだな。| |>|一時間後、釣り堀にて――| |K'|……っ。| |〇×|わっ! K'さん、また釣れたんですか!?| |K'|アンタはさっきから1匹も釣れてねぇな。| |〇×|うっ……。&br;K'さんと同じようにやってるつもりなんですが……。| |マキシマ|お前さんはもう少し肩の力を抜いたほうがいいな。| |〇×|な、なるほど……。| |〇×|(わっ。マキシマさんもたくさん釣ってる!)| |〇×|(私もせめて1匹くらいは……!&br;場所とか変えてみたほうがいいのかな?)| |K'|……おい、かかってんぞ。| |〇×|……え。| |〇×|わわわっ!| |K'|チッ。| |〇×|……っ。K'さん?| |K'|そのまま、釣り竿離すんじゃねぇぞ。| |〇×|は、はい!| |〇×|(K'さんが一緒に釣り竿を握ってくれて&br;さっきより楽になったかも。これなら……!)| |K'|おい、相棒!| |マキシマ|網だな、よし!| |〇×|つ、釣れました!| |マキシマ|よくやったな、〇!| |〇×|K'さんとマキシマさんのおかげですよ!| |K'|たかが1匹釣っただけで浮かれすぎだろ。| |マキシマ|まあまあ、いいじゃないか。| |〇×|(まさか、K'さんとマキシマさんとこんな時間を&br;過ごせるとは思わなかったなぁ。)| |〇×|(二人はいつも身を隠すように生活してるし……。)| |〇×|(…………。)| |〇×|(そういえば……こんなに目立つところにいて、&br;大丈夫なのかな?)| |K'|…………。| #endregion //------------------------------ **第6話 [#story6] #region(ネタバレ注意) |〇×|…………。| |K'|……おい。| |〇×|K'さん。……あれ? マキシマさんは?| |K'|アンタのために甘いもの探しに行ったぜ。| |〇×|そ、そうですか……なんだか悪いです。| |K'|好きにやらせときゃいい。&br;……それより、理由を言え。| |〇×|え……?| |K'|浮かない顔してただろ。今度はなんで落ち込んでる?| |K'|……お前を励ませって言われてんだよ。| |〇×|(隣に座っちゃった。)| |K'|早くしろ。| |〇×|あっ、はい。| |〇×|その……お二人は普段、身を隠しながら生活してますよね。| |〇×|だから、今日みたいに人目の多いところで遊ぶのは、&br;だいぶ無茶をしてるんじゃないかって気づいて……。| |〇×|あっ、もちろん、お二人が私を励ますために&br;気を遣ってくれてるのはわかってるんですけど……。| |K'|それでかえって気落ちしてんなら世話ねぇな。| |K'|いいから、アンタは余計なこと考えずに笑ってろ。| |〇×|け、K'さん。その頭のなでかたは、ちょっと痛いです……。| |K'|うるせぇ。文句言うな。| |〇×|(これも励ましてくれてるってことかな……?)| |〇×|……ありがとうございます。| |K'|…………。| |〇×|そうだ。マキシマさんにもお礼を言わないといけませんね。| |K'|…………。| |〇×|昨日、カフェに連れていってくれたこととか、&br;ちゃんとお礼言えてなかったので。| |K'|…………。| |K'|アンタ、アイツのことどう思ってる?| |〇×|え? どうって……?| |K'|好きか?| |〇×|!?| |〇×|(えっ……えええ!?)| |K'|…………。| |K'|……なんでもない。忘れろ。| |〇×|あ、あの……!| |〇×|(行っちゃった……。&br;さっきのどういう意味だったんだろう……。)| |>|逃亡生活開始から一週間がたち――| |マキシマ|ん? ……こいつは……。| |K'|どうした?| |マキシマ|ナギから着信だ。| |〇×|え!?| |K'|スピーカーにしろ。| |ナギ|……ああ。良かった。&br;ちゃんと繋がったね。| |マキシマ|そちらから連絡をよこしたってことは、&br;何か進展があったのか?| |ナギ|うん。昨日、僕の家にネスツの残党が押しかけてきたよ。| |〇×|!? だ、大丈夫だったんですか!| |ナギ|ふふふ、心配してくれてありがとう、×。&br;大丈夫だよ。僕とヨミで追い払ったからね。| |〇×|(よかった……。)| |ナギ|それから、僕がイグニスではないことと……。| |ナギ|今後、僕や×に関わることは許さないとも&br;釘を刺しておいたよ。| |ナギ|だから、×。&br;君は、安心して帰ってきていいよ。| |〇×|ありがとうございます……!| |〇×|(道場に帰れるんだ……。)| |ナギ|あ、でも……K'とマキシマは、まだしばらく都内には&br;近づかないほうがいいかもしれないね。| #endregion //------------------------------ **第7話 [#story7] #region(ネタバレ注意) |〇×|K'さんとマキシマさんは都内に近づかないほうがいいって……。&br;どういうことですか?| |ナギ|僕がイグニスの生まれ変わりではないと告げたから、&br;彼らはそのうち、この国から出ていくかもしれないけど……。| |ナギ|それは、あくまで僕らに対する脅威がなくなったというだけだ。&br;マキシマ。残党の数は君らが思っている以上に多いようだよ。| |マキシマ|……そうか。| |マキシマ|すまんが、誰か〇を迎えに来てやってくれないか?&br;俺たちは、もう少し逃亡生活を続ける。| |〇×|っ……!?| |マキシマ|それでいいな、相棒?| |K'|……ああ。| |〇×|(そんな……。それじゃまたしばらく、二人とは&br;会えなくなる……。)| |ナギ|わかった。それじゃ、×の迎はこちらで&br;手配するよ。| |マキシマ|頼む。| |〇×|(明日でこの生活も終わりか……。)| |マキシマ|この生活を始めてからずっと車中泊だったからな。&br;最後の夜くらいは、ベッドでゆっくり休んでくれ。| |マキシマ|俺たちも同じ階に部屋を取ってるから、何かあれば&br;声をかけてくれて構わない。| |マキシマ|それじゃ……おやすみ、〇。| |〇×|(ゆっくり休んでくれって言われたけど……。&br;全然眠れない。)| |〇×|(…………。)| |〇×|(……さっきのマキシマさん、なんだか悲しそうな顔してた。)| |〇×|(まさか、二人とも何も言わずに&br;姿を消しちゃったりしないよね?)| |〇×|(沖縄のときみたいに……。)| |〇×|…………。| |〇×|(……後悔しないように、ちゃんと二人に会ってこよう。)| |マキシマ|ずいぶん帰りが遅かったな。相棒。| |K'|いつ帰ってこようが俺の自由だ。| |マキシマ|はぁ……。| |マキシマ|お前さんが戻ってくるまでにナギから連絡があった。&br;明日の朝には、京たちがこっちに着くそうだ。| |K'|…………。| |マキシマ|〇をあいつらに引き渡したら、&br;俺たちの役目は終了だ。| |マキシマ|その後は、ほとぼりが冷めるまで国外にでも――| |K'|何言ってんだ。| |マキシマ|K'……?| |K'|それで終了? 違ぇだろ。| |K'|国外に行くって言うなら、あの女も一緒だ。| |マキシマ|……はぁ。それはダメだと前にも言っただろう。&br;〇には〇の生活があるんだ。| |K'|知るか。&br;俺はもう、アイツから目を離すつもりはねぇんだ。| |K'|テメェだって本当はそうしてぇんだろ?| |マキシマ|っ……。| |K'|……止めても無駄だ。&br;今から俺がアイツをかっさらってくる。| |マキシマ|待て、K'……!| |K'っ――!|| |マキシマ|……っと。おいおい……なんだ、その右腕の炎は。| |K'|見てのとおりだ。| |K'|俺を止めてぇんなら、力尽くで止めてみせろ。| #endregion //------------------------------ **第8話 [#story8] #region(ネタバレ注意) |マキシマ|……やれやれ。この不良息子は。&br;聞き訳がないにも程があるぞ。| |マキシマ|ちょっとばかしお灸を据えてやらにゃならんか?| |K'|さっさと構えろよ。| |マキシマ|…………。| |K'|――!| |マキシマ|ぐぅ……っ。| |K'|遊びじゃねぇぞ。本気だ。| |マキシマ|チッ! 言ってくれるな。&br;ふっ――!| |マキシマ|なっ……。| |K'|生温いんだよ| |マキシマ|……っ。| |K'|テメェ、いつになったら本気になるんだよ。| |マキシマ|反抗期の子供相手に、本気になっても大人げないだろう?| |K'|ハッ。言ってろ。| |K'|要は、もっともらしい理由をつけてアイツへの気持ちから&br;目ぇ逸らしてるだけだろうが。| |マキシマ|……!| |K'|気づいてねぇとでも思ったのか。&br;テメェの気持ちなんざとうに知れてんだよ。| |K'|……なのに、今にアイツを他の誰かに取られかねない態度で、&br;見ててイライラする。| |K'|このままじゃ、損するのも後悔するのもテメェだぞ。| |マキシマ|お前、何を言って……。| |K'|俺は俺のものを簡単に手放すつもりはねぇ。| |K'|テメェも男なら、そのくらい獣になれっつってんだよ。| |マキシマ|(K'……。)| |マキシマ|(こいつには、俺が〇から逃げてるように&br;見えてるってわけか。)| |マキシマ|(だが、それだけじゃあないな。)| |マキシマ|……そうか。お前さんも……。| |K'|…………。| |マキシマ|まったく……血気盛んだな、お前さんは。&br;だが、ひとつ言っておくぞ。| |マキシマ|大人の気も知らず、この想いを『本気になりきってない』とは&br;……心外だ。| |マキシマ|おうりゃあっ!| |K'――!|| |K'|やればできるじゃねぇか。| |マキシマ|お前さんを子供扱いしていたのは詫びよう。&br;ここからは、ひとりの男として本気を出させてもらう。| |K'|ハッ。エンジンかかるのが遅ぇんだよ。| |マキシマ|くっ……。| |マキシマ|俺だって、できれば彼女と離れたくはないさ。&br;……離れたくないに決まっているだろう!| #endregion //------------------------------ **第9話 [#story9] #region(ネタバレ注意) |〇×|(マキシマさんとK'さん、&br;どこに行っちゃったんだろう……。)| |〇×|(聞いてた部屋にはいなかったし……。&br;まさか、もう出発しちゃったんじゃ……。)| |K'|オラァ!!| |〇×|(……今、見えたのって……。)| |マキシマ|フッ――!| |K'|ウゼェ!!| |K'|……だったら、そうすりゃいいだろうが!| |マキシマ|彼女を危険な目に遭わせるとわかっていてできるか!| |K'|なら、テメェで守っていきゃあいいだろうが!| |マキシマ|そういう問題じゃあない!!| |〇×|(! やっぱり、K'さんとマキシマさんだ!)| |〇×|(でも、どうして二人が戦ってるの?&br;とにかく止めなきゃ……!)| |K'|くそ……!| |〇×|……あ、あの! おふたりとも!| |K'|ッ……。| |マキシマ|なっ……。| |〇×|はぁ……はぁ……。| |〇×|あの、どうしちゃったんですか?&br;どうして、お二人が戦って……。| |K'|…………。| |マキシマ|あー……いや、これは……。| |K'|なんでもねぇよ。| |〇×|で、でも……。| |K'|なんでもねぇって。……んな顔すんな。| |マキシマ|…………。| |〇×|……そうですか。事情はわかりませんけど。| |〇×|とりあえず、お二人に会えてよかったです。| |〇×|また、何も言わずに姿を消しちゃうんじゃないかって&br;不安だったので……。| |マキシマ|〇……。| |K'|…………。| |〇×|行かないでください……とは、言いません。&br;言えません。| |〇×|(もっと二人と一緒に過ごしたい気持ちはあるけど、&br;それを言ったら困らせちゃう。)| |〇×|(二人は……優しい人だから。)| |〇×|お二人が背負っている運命を思えば、いつかお別れする日が&br;来るんだろうなって覚悟はしてました。| |〇×|でも、何も言わずに出て行くのはダメです。&br;ちゃんとお礼と、お別れをさせてください。| |〇×|……ありがとうございました!&br;気を付けて行ってきてくださいね!| #endregion //------------------------------ **第10話 [#story10] #region(ネタバレ注意) |〇×|……それじゃ。私、部屋に戻ってますね。| |〇×|(あ、泣きそう……。でも、ここで涙を見せたら、&br;二人に迷惑をかけちゃう……。)| |〇×|っ……。おやすみなさい。| |K'|…………。| |マキシマ|…………。| |K'|……チッ。逆効果だ、馬鹿……。| |マキシマ|ああ。まったくだねぇ……。| |マキシマ|……。| |マキシマ|まあ、このまま国内各地のアジトを点々としつつ……でも&br;どうにかなるだろう。| |マキシマ|でもって、彼女に忘れられないように定期的に顔を見せる。&br;……それでいいか、相棒?| |K'|フン……。やればできるじゃねぇか。| |K'|テメェが最初から腹括ってれば、あんなとこアイツに&br;見られることもなかったのによ。| |マキシマ|まったく……。そういうお前は、彼女のなんなんだ?| |K'|二度も言わせるな。&br;俺はアイツを手放す気はねぇんだよ。| |マキシマ|その言葉、ライバル宣言として受け取っておくよ。| |マキシマ|……なんというか……ありがとうな、K'。| |K'|ライバルに最初に言うことが礼かよ。余裕だな。| |マキシマ|ははっ……。| |>|渋谷に戻り、しばらくたった頃――| |〇×|K'さん! また会えて嬉しいです!| |〇×|私、きっとまたしばらく会えなくなるんだろうなって&br;思ってたから……!| |K'|誰かさんが泣きそうな顔してたからな。| |〇×|!?| |〇×|(あの時、駐車場で泣きそうになってたのは本当だけど……。&br;気づかれてないと思ってたのに。)| |K'|…………。| |〇×|あ、あの!| |K'|なんだよ。| |〇×|結局、あの時の喧嘩の理由って、なんだったんですか?| |K'|チッ。余計なこと思い出しやがって。| |K'|あの時のことはもう忘れろ、いいな?| |〇×|(……?)| |〇×|(もしかして、またマキシマさんと喧嘩してるとか?&br;今日、道場に来た時もK'さんひとりだったし……。)| |マキシマ|よお、相棒。&br;それから、〇も。元気そうだな。| |〇×|マキシマさん!| |〇×|(なんだ。喧嘩してたわけじゃないんだ。&br;よかった……。)| |K'|なんかあったのか。| |マキシマ|悪いが、用があるのはお前さんじゃない。| |マキシマ|〇、ちょっといいか?| |〇×|……? はい――| |マキシマ|よっと。| |K'|……!| |〇×|(あれ? 私、なんでマキシマさんのバイクに乗せられて……?)| |マキシマ|これはお前さんのヘルメットだ。&br;しっかり被れよ。| |〇×|えっ、あ、はい。ありがとうございます。&br;って、そうじゃなくてですね……!| |K'|……何してんだ、テメェ。| |マキシマ|いや、なに。たまには、獣になろうかと思ってね?| |マキシマ|行くぞ、〇。| |K'|…………。| |K'|いや、いきなりすぎるだろ……。| |K'|(……上等だ。)| #endregion //------------------------------ データ参照プラグイン 入力支援ツールを表示 ▼参照先ページ選択:データを表示 元データの書式(インラインプラグイン)を継承する