イベントストーリー /狼と真実のジャッジメント の編集 Top > イベントストーリー > 狼と真実のジャッジメント **第1話 [#story1] #region(ネタバレ注意) |>|ある嵐の夜のこと――| |〇×(主人公)|京さん、電気はつきそうですか?| |草薙京|いや、無理だな。&br;ブレーカーをあげても、うんともすんとも言いやしねぇ。| |草薙京|ったく、ひでえ嵐だぜ。| |二階堂紅丸|うーん、こりゃダメだね。&br;どこかで電線でも切れたのかな?| |草薙京|かもな。&br;他の家も暗いみてぇだし、この辺一帯停電になってんだろ。| |矢吹真吾|おれ、懐中電灯取ってきますね!| |リョウ・サカザキ|ああ、すまないな、真吾。| |ロバート・ガルシア|はぁ、しくったなぁ。&br;天気予報じゃ、夜は小雨やったんやけど。| |ロバート・ガルシア|やっぱ、早めに稽古切り上げとくべきやったか……。| |リョウ・サカザキ|自然相手では仕方がないだろう。&br;問題はこの後、どうするかだが……。| |包|――ねぇ、お姉ちゃん。&br;今日、大門さんとビリーさんは道場にいないの?| |〇×|うん。2人とも外出中。&br;今夜中には帰ってくるって言ってたんだけど……。| |草薙京|サボってぶらつくようなヤツらじゃねえし……。&br;電車止まってんのかもな。| |ロバート・ガルシア|その可能性は高いやろうなぁ。| |二階堂紅丸|うーん。まぁ野郎は、&br;ずぶ濡れで帰したって構わないけど……。| |二階堂紅丸|ただ、×ちゃんを&br;ここにひとり残すのは心配だな。| |ナギ|僕が一晩中ヒメのそばにいればいいんじゃないかな。&br;ねぇ、ヨミ。| |ヨミ|はい、私もお供します。| |草薙京|あんたらにまかせんのが一番心配なんだよ……。| |矢吹真吾|お待たせしました!&br;はい、みなさんの分の懐中電灯です!| |〇×|ありがとう、真吾くん。| |草薙京|おう、これで少しはマシになったな。| |ロバート・ガルシア|ま、今日はワイらもここに残ればええんとちゃうか?&br;なぁ、リョウ。| |リョウ・サカザキ|む……致し方ないか。&br;世話になる。| |包|やったー!&br;じゃあ、今日はずっとお姉ちゃんと遊べるね!| |〇×|うん、そうだね。ただ、停電が直るまでは&br;遊ぶのはちょっと難しいかな……?| |包|ううん、そんなこと――あ、そうだ。| |包|だったら、今夜はゲームをしようよ!| |〇×|ゲーム?| |草薙京|おいおい。&br;電源もないのに、なんのゲームをすんだよ?| |包|ふふ、京さん。&br;暗闇でも、電源がなくても楽しめるゲームがあるんだよ。| |包|その名も……人狼ゲーム!| |〇×|じんろう?| #endregion //------------------------------ **第2話 [#story2] #region(ネタバレ注意) |〇×|えっと、包くん。&br;そのじんろうゲームって、どんなゲームなの?| |包|人狼は、狼人間って意味だよ。| |包|プレイヤーが人狼チームと人間チームの2つに分かれて&br;『人間になりすました人狼を見つけ出す』ゲームなんだ。| |包|うん、これだけ人数もいるし&br;きっと楽しめると思う!| |ロバート・ガルシア|はーん、人狼か。&br;ええな、楽しそうやないか。| |リョウ・サカザキ|なんだ。&br;ロバートはやったことがあるのか?| |ロバート・ガルシア|まぁな。大人数でわいわいやるには&br;ぴったりのゲームやで。| |ナギ|×がやるなら、僕もやってみたいな。&br;ヨミもやるよね?| |ヨミ|はい、ナギ様がそうおっしゃるのなら。| |二階堂紅丸|へぇ、つまり嘘つきを暴くゲームってことかな。&br;悪くないね。| |草薙京|ま、他にすることもねぇしな。&br;とりあえずやってみっか。| |矢吹真吾|え? 嘘をつくゲームなんですか……?&br;おれ、あんまり自信ないっす……。| |リョウ・サカザキ|嘘をつくなんて、あまり感心せんな。| |包|まあまあ、ゲームだからさ。&br;それに絶対嘘をつかなきゃいけないわけじゃないよ。| |包|人間チームだったら、嘘はつかないし&br;人狼でも、正体を黙ってればいいだけなんだから。| |リョウ・サカザキ|そうなのか?&br;む、しかし……。| |ロバート・ガルシア|せや。それに、こういうもんは楽しんだモン勝ちやで。&br;×ちゃんもそう思うやろ?| |〇×|そうですね。| |〇×|確かにちょっとドキドキしちゃいそうですけど……。&br;でもみなさんでやれば、きっと楽しくなると思います。| |リョウ・サカザキ|そこまで言うなら……まぁ。| |包|はい、決まり!&br;これで全員参加だね!| |包|じゃあ、ぐるっと円状に座ってもらおうかな。&br;はい、みんな移動してー。| |包|それじゃあ、僕がゲームマスターをやらせてもらうね。| |包|ゲームマスターは進行役。審判みたいなものだから、中立だよ。&br;どっちのチームの人でも、相談は僕にしてね!| |包|じゃあ、簡単にルールを説明するよ。| |包|まず、みんなはある街の市民たちです。| |リョウ・サカザキ|ある街? どこにあるんだ?| |ロバート・ガルシア|そういう設定っちゅうことやろ。&br;ひとまず、続き聞こうや。| |包|うん、その街は平和な街だったんだけど……&br;実は――人間のフリをした凶悪な人狼が紛れ込んでいたんだ。| |包|そして、ある日――&br;領主である僕は、人狼たちに食べられちゃいました。| |〇×|ええっ!?| |包|ふふっ、僕を食べた犯人はいったい誰なんだろうね?| |包|人狼たちはね、市民をみんな食べてしまいたいんだけど&br;人間の方が数が多いから、正体がバレると退治されちゃう。| |包|だから、夜の内にひとりずつ、こっそり食べていくんだ。| |包|そうやって、生き残った市民の数が人狼と同じか&br;それ以下になったら人狼チームの勝ちだよ。| |包|まあ、だいたい数が同じになった時点で勝敗は&br;決まっちゃうけどね。一対一なら、人狼の方が強いから。| |包|逆に人間チームは、そうなる前に人狼の正体を見破って&br;全員退治できたら勝ち。| |包|――おおざっぱなルールは、こんな感じかな?&br;ここまでは大丈夫?| #endregion //------------------------------ **第3話 [#story3] #region(ネタバレ注意) |ロバート・ガルシア|つまり、人狼チームの勝利条件は&br;自分らの数と同じになるまで、市民の数を減らすこと。| |ロバート・ガルシア|人間チームの勝利条件は&br;人狼を全員見つけて退治することやな。| |包|うん、その通り!&br;じゃあ、ゲームの流れを説明するね。| |包|人狼ゲームは、昼と夜の2ターン制なんだ。&br;人間と人狼、交互に攻撃していく形だよ。| |包|まず、最初に領主が殺される夜のターンが来る。&br;とりあえず、0日目と呼んでおこうかな。| |包|この0日目の夜は、人狼が&br;自分の仲間が誰かを把握するためのターンだよ。| |包|あとは役職持ちの人が能力を使ったりするんだけど……。&br;役職は大事な部分だから、この後説明するね。| |包|そして、夜が終わると1日目の昼が来て……。&br;領主の無残な姿が発見されるわけだね。| |包|ここで、いったい誰が犯人――人狼なのか&br;みんなで話し合って、一番怪しい人に投票するんだ。| |包|そして、一番得票数が多かった人が&br;処刑されちゃうんだよ。| |リョウ・サカザキ|多数決で、犯人が決まるのか。&br;間違って人間を処刑してしまったらどうするんだ?| |包|うん。そこでうまく人狼を処刑できれば、大成功だけど……。&br;失敗すると、その日の夜、また別の市民が食べられちゃう。| |包|そうやって決着がつくまで&br;昼と夜を交互に繰り返していく感じだね。| |〇×|な、なかなか殺伐とした世界観なんだね……。| |二階堂紅丸|安心して、×ちゃん。&br;キミのことは、俺が絶対守ってあげるからね。| |草薙京|はあ? んなことできんのかよ?| |包|うん、それが――実はできるんだよね。&br;役職持ちって呼ばれる人なんだけど……。| |包|まぁ、役職に関しては、先に振り分けてからの方が&br;理解しやすいかな。| |包|ということで、今からみんなに役職カードを配ります。&br;――あ、自分の役職は誰にも言っちゃダメだからね。| |〇×|(い、いったいどんな役職になるんだろう。&br;ドキドキする……。)| |包|みんな自分の役職は確認したかな?&br;役職カードは、他の人には絶対見られないようにね。| |包|それじゃ、役職について説明しよっか。| |包|今日は初めての人も多いし――人狼2、騎士1、占い師1&br;それ以外の人は市民って振り分けにしてあるよ。| |包|他には、処刑された人が人狼か調べられる霊媒師とか……。&br;市民なのに人狼の味方をする狂人とかもあるんだけどね。| |〇×|きょ、狂人……。&br;なんだか、ちょっと怖い役だね……。| |包|あははっ。&br;大丈夫、今日はいないから安心して。| |包|まず人狼。&br;さっき言ったように、人間を食べちゃう悪いヤツだよ。| |包|今回は2人いるから、協力して人間たちを騙していってね。| |包|次に騎士。市民の強い味方で、一晩にひとりだけ&br;狼の攻撃から守ることができるんだ。| |包|占い師は、怪しい人が人狼かどうか占うことができるよ。| |包|重要職だけど、&br;それだけに人狼に狙われやすいから気をつけて。| |包|最後は市民。特別な能力はない普通の人だけど&br;君たちの判断が街の行方を左右するから、頑張ってね!| |包|……なんとなくわかったかな?&br;こまかいところはやりながら説明するから、いつでも聞いてね。| |包|――それじゃ、人狼ゲームを始めます!| #endregion //------------------------------ **第4話 [#story4] #region(ネタバレ注意) |包|0日目の夜が来ました。みなさん、目を閉じてください。| |包|じゃあ、まずは人狼さん人狼さん。&br;目を開けて、仲間が誰か確認してください――| |〇×|(私の役職は――)| |〇×|(市民……普通の人間役だった。)| |〇×|(つまり、私以外の7人の中に&br;人狼が2人いるってことだよね……。)| |〇×|(いったい誰なんだろう……?)| |包|じゃあ、次に占い師さん。誰を占いますか?&br;指をさしてください――| |〇×|(それに、他の人から見たら、私が市民ってことも&br;わからないし、疑われる可能性もあるよね……?)| |〇×|(うぅ、ドキドキする……。)| |包|……はい、OKです。&br;みなさん、目を開けてください。| |包|おはようございます! 1日目の昼が来ました。&br;――さあ、では議論を始めてください。| |〇×|(頑張って、人狼を見つけださなきゃ……!)| |ロバート・ガルシア|ほんなら早速、経験者として言わせてもらうな。&br;占い師さんおったら、名乗り出えへんか?| |ロバート・ガルシア|まず占い結果聞かせてもらうんが、一つの定石ではあってな。&br;もちろんちゃう場合も多いんやけど……。| |ナギ|――あ、僕が占い師だよ。| |二階堂紅丸|なっ!?&br;んなわけないだろ、俺が占い師だ!| |〇×|(ええっ!? 占い師が2人……!?&br;いったいどういうことなの!?)| |草薙京|しょっぱなから飛ばすじゃねぇか。| |リョウ・サカザキ|つまりこれは、ナギと紅丸のうち&br;どちらかが嘘をついているということか、ロバート?| |ロバート・ガルシア|せやな。&br;でもって、嘘ついとる方は100パー人狼や。| |〇×|(ナギさんか、紅丸さんが人狼……!?)| |ロバート・ガルシア|まぁ、せっかく名乗り出てくれたんやし、両方聞いてみよか。&br;――なぁ、ナギ。あんたは誰を占ったんや?| |ナギ|僕は、真吾を占ったよ。&br;真吾は人間だったね。| |二階堂紅丸|俺はヨミだな。&br;ヨミも人間だったぜ。| |〇×|あ、×ちゃんは&br;最初から人間だって信じてるから、占わなかったよ。| |ヨミ|…………。| |草薙京|よくわかんねぇけど、自称占い師は&br;2人とも追放でいいんじゃねぇのか?| |ロバート・ガルシア|うーん、それも手ではあるんやけど……。&br;もうちょい他の人の話を聞いてからでもええかもなぁ。| |ロバート・ガルシア|なぁ、×ちゃんはどない思う?| |〇×|わ、私ですか?&br;うーん……。| |〇×|私もまだよくわかってないんですけど&br;ナギさんも紅丸さんも嘘っぽく見えないんですよね……。| |リョウ・サカザキ|そういえば、真吾は始まったときから&br;やけに静かだな。| |矢吹真吾|――ひぇっ!| |草薙京|……おい、真吾。&br;お前、どうして全然しゃべらなかった?| |矢吹真吾|そ! それなら、&br;ヨミさんだって全然しゃべってないですよ!!| |草薙京|あいつはもとからああいうキャラだろ。| |矢吹真吾|それは……、そうですけど……。| |ヨミ|…………はぁ。| #endregion //------------------------------ **第5話 [#story5] #region(ネタバレ注意) |ヨミ|わかった。&br;発言しなければ怪しまれるというのなら、発言するが。| |ヨミ|口数が少ないものは、与えられた役職に緊張して&br;発言できなかったという可能性はないか?| |ロバート・ガルシア|……なるほど。&br;それはちょいと困るかもなぁ。| |〇×|え?&br;どういうことですか。| |ロバート・ガルシア|――×ちゃんは&br;シロって見込んで言うてまうけどな。| |ロバート・ガルシア|ヨミは、真吾や自分が、人狼やのうて、&br;騎士かもしれん言うとるんや。| |ロバート・ガルシア|ただ、そこにこれ以上突っ込みすぎると&br;騎士が人狼に見つかってまうやろ?| |〇×|……なるほど、そういうことなんですね。| |〇×|(真吾くんが人狼なら退場してもらった方がいいけど、&br;騎士なら守る人がいなくなっちゃう……。)| |包|はーい、みんな。そろそろ投票の時間だよ。&br;投票相手を決めてね。| |草薙京|ゲッ、もうそんな時間かよ。| |ロバート・ガルシア|うーん。このままだと水掛け論になりそうやな。| |ロバート・ガルシア|まぁ、初日は消しても当たりさわりのないグレーゾーンの&br;人間を減らして、様子見するってのも手やけど……。| |草薙京|消しても……。| |二階堂紅丸|当たりさわりのない……。| |リョウ・サカザキ|…………ん?| |リョウ・サカザキ|な、なんでみんな俺の方を見ているんだっ?&br;おい……!?| |包|はーい、ということで&br;本日処刑されるのは~……リョウさんでーす!| |リョウ・サカザキ|何故だ!? 納得いかない!| |ロバート・ガルシア|せやけどな、リョウ。&br;真吾もそうやけど、お前も今んとこ目立ってなさすぎや。| |ロバート・ガルシア|自分の潔白アピールしきらんと、&br;すぐ吊られるで。| |リョウ・サカザキ|自分の潔白なんて、どうアピールするんだ。&br;理不尽すぎないか!?| |ロバート・ガルシア|言いたいことはわかる。&br;わかるんやけどな……。| |ロバート・ガルシア|堪忍な、リョウ。&br;数を減らして推理の助けになるのも、市民の役目や。| |包|はい、それじゃリョウさんは、あっちで見学しててね。&br;これ以上、しゃべっちゃダメだよ。| |リョウ・サカザキ|う、うぐ……っ!| |包|さて、恐ろしい1日目の夜が来てしまいました。&br;みなさん、目を閉じてください――| |包|――おはようございます! 2日目の昼が来ました。| |包|昨晩、無残な姿で発見されたのは……ロバートさんです!| |ロバート・ガルシア|かーっ! 目立ちすぎたか!&br;まぁ、しゃあないわな……。| |〇×|えっと……リョウさんは目立たなくて処刑されちゃいましたけど&br;目立ちすぎても、ダメなんですか?| |草薙京|大方、人狼のヤツにうっとうしがられる&br;発言でもしたんだろうな。| |ロバート・ガルシア|そうやな。&br;議論の進行役は、人狼にとって邪魔に――| |包|はいはーい、そこまで!&br;脱落者はそれ以上のアドバイス、禁止だからね!| |ロバート・ガルシア|……ちゅうわけで、退散するわ。&br;ほな、×ちゃんも、頑張ってな~。| |〇×|(ロバートさんがいなくなっちゃった……。&br;次はいったいどうなるんだろう……?)| |二階堂紅丸|よし! じゃあ、俺から言わせてもらうぜ。| |二階堂紅丸|俺は昨晩、ナギを占った。&br;ナギの野郎は人狼だ!| |草薙京|――ハ。&br;聞かれてもないのに、よくしゃべるな?| |二階堂紅丸|おいおい、京。&br;俺を疑ってるのか?| #endregion //------------------------------ **第6話 [#story6] #region(ネタバレ注意) |二階堂紅丸|なぁ、京。お前とも長い付き合いだよな。&br;……無二の親友の言葉が信じられないのか?| |草薙京|そんな言い訳しかできねぇのかよ。&br;ますますあやしすぎんだろ。| |二階堂紅丸|はっ。&br;言ってくれるね……。| |草薙京|あ? やんのか?| |〇×|ちょ、ちょっと待ってください!&br;ケンカはダメですよ!| |包|ストップストップ!&br;もう~、人狼中は格闘禁止!| |包|次、リアルファイトになりそうだったら、中止するからね!| |二階堂紅丸|……ふぅ、ごめんごめん。&br;ちょっと熱くなりすぎちゃったかな。| |包|京さんも!&br;必要以上にあおっちゃダメだよ!| |草薙京|そうカッカすんなって。&br;わぁったよ。| |〇×|(良かった……。&br;なんとか収まってくれた、かな)| |ナギ|――ねぇ。&br;そろそろ僕も発言していいかな?| |ナギ|僕は×を占ったよ。&br;×は人間だった。| |〇×|ナギさん……。| |〇×|(私が人間だってわかったってことは……。&br;ナギさんが本物の占い師なのかな……?)| |〇×|(でも、紅丸さんも嘘をついているようには&br;見えないんだよね。……うーん。)| |ナギ|ねぇ、紅丸。&br;君は僕の後に、占い師だと名乗ったよね? それはどうして?| |二階堂紅丸|どうしても何も……。&br;俺が本物の占い師だからだよ。| |ナギ|本当かい? 僕に主導権を取られると正体がバレてしまうから&br;慌てて名乗り出たのではないかな。| |矢吹真吾|た、確かに。そう言われると、紅丸さん&br;ちょっと怪しい、かも……?| |ヨミ|そうだな。&br;やはり後続の人間の方が疑わしい。| |二階堂紅丸|そ、そんな……!| |包|はーい、それじゃ投票の結果を発表するよ。&br;本日処刑されるのは――紅丸さんです!| |二階堂紅丸|うぅ、俺が本物なのに……。| |〇×|紅丸さん、すみません……元気だしてください。| |二階堂紅丸|×ちゃん……!| |〇×|は、はい……!| |二階堂紅丸|ありがとう。&br;処刑台からキミの輝ける生を祈っているよ……。| |二階堂紅丸|俺の分まで、頑張ってね……!| |〇×|え、あ、はい……!&br;頑張ります!| |草薙京|……何やってんだ、あいつ。| |包|さて、2日目の夜が……やってきます!| |包|まだ人狼はいるみたいだね。&br;今日は誰が狙われちゃうのかな――| |包|さて、3日目の昼がやってきました。&br;昨晩の被害者ですが――| |包|いませんでした! 人狼の襲撃は失敗です。&br;騎士さん、よく守ったね!| |包|残り5人……人狼はいったい誰なのかな?&br;――では、議論を始めてください。| |ナギ|じゃあ、占いの結果を発表するね。| |ナギ|僕は京を占ったよ。&br;京は人狼だった。| |草薙京|……なっ!?| #endregion //------------------------------ **第7話 [#story7] #region(ネタバレ注意) |〇×|(京さんが……人狼?)| |草薙京|……はっ。&br;ナギ、てめぇも人狼か。| |草薙京|オレが人狼なわけねぇだろ。&br;オレは騎士だぜ。| |ナギ|――へぇ。&br;なら昨日は誰を守ったのかな?| |草薙京|けっ。わかってるくせに、白々しいな。&br;昨夜はヨミを守ったぜ。| |草薙京|初日に、役職のせいで発言しにくいって抜かしてたからな。&br;人狼側からしたら、ヨミのが騎士っぽく見えたろ。| |草薙京|敵が仕掛けてくんなら今日だと思って、ヤマ張っといたんだよ。&br;大当たりだったみたいだな。| |草薙京|ナギ、あんたハッタリかける相手を間違ったぜ。| |ナギ|…………。| |〇×|(ナギさんが答えに詰まってる……。&br;ってことは、京さんの言うとおりなのかな……?)| |〇×|(京さんが騎士だとしたら、ヨミさんは市民で、&br;ナギさんが人狼……ってこと?)| |〇×|(でもナギさん、困っているようには全然見えないし……。&br;人狼らしくない気もするけど……。)| |ヨミ|待て、草薙京。| |草薙京|あ? なんだよ?| |ヨミ|貴様は嘘をついている。&br;騎士は俺だ。| |草薙京|……はぁっ!?| |ヨミ|昨夜、俺がナギ様を守ったのだ。&br;貴様はナギ様を襲った人狼だろう。| |〇×|ええっ!?| |〇×|(い、いったい……どういうことなの!?)| |〇×|(京さんが騎士で、ヨミさんを守って……。&br;でもヨミさんも騎士で、ナギさんを守って、京さんが人狼……?)| |〇×|(うう、ダメ! 混乱してきちゃった……!)| |リョウ・サカザキ|…………。| |二階堂紅丸|…………。| |包|…………。| |草薙京|……てめぇ、何考えてんだ、ヨミ。| |ヨミ|それはこちらのセリフだ、草薙京。| |包|……そろそろ投票の時間だよ。&br;必ず誰かを選んで、投票してね。| |〇×|(もう時間が……!&br;いったい誰が味方で、誰が敵なの……!?)| |ナギ|――ねぇ、×。| |〇×|え!?&br;は、はい……っ!| |ナギ|×はどう思う? 誰に投票したらいいかな。&br;君の意見を聞かせてほしいな。| |〇×|え、ええっと、その……!| |〇×|(どうしよう……全然わからないよ……!)| #endregion //------------------------------ **第8話 [#story8] #region(ネタバレ注意) |〇×|わ、わからないので……ずっとしゃべってない真吾くんで!!| |矢吹真吾|ええっ!?&br;おれですか!?| |ナギ|へぇ、真吾かい?| |〇×|ぜ、全然自信はないんですけど……勘っていうか。| |ナギ|――ふふ、なるほどね。| |草薙京。|……ま、それもいい判断かもな。| |矢吹真吾|く、草薙さんまで……!| |草薙京|成仏しろよ、真吾。| |矢吹真吾|そんなぁ……っ!| |包|投票結果は……真吾さん3票、京さん1票、ヨミさん1票。&br;ということで、処刑されるのは真吾さんでーす!| |矢吹真吾|うぅ、無念っす……。| |〇×|(ごめんね、真吾くん……。)| |草薙京|……3票、か。| |〇×|(京さん……?)| |包|それじゃ、夜のターンに入るよ。&br;みんな、目を閉じて――| |包|おはようございます。4日目の昼が来ました!| |包|昨晩無残な姿で発見されたのは――ヨミさんです!!| |ヨミ|なっ!?| |包|はいはーい。というわけで、脱落者のヨミさんは&br;退場してくださーい。| |ヨミ|くっ……了解した。| |〇×|(ヨミさん……? すごい驚いてたけど&br;そんなに襲われるのが意外だったのかな……?)| |包|さぁ、まだ勝負はついていないよ。| |包|生き残っているナギさん、京さん、&br;×お姉ちゃん。| |包|今日が最終日だからね。&br;さぁ、頑張って!| |〇×|最終日……?| |〇×|(あ。そうか。人狼と市民の数が同じになったら負けなんだから&br;今、この中に人狼はひとりしかいないんだ。)| |〇×|(つまり、京さんか、ナギさんのどちらかが人狼……。)| |草薙京|――これではっきりしたな。| |〇×|京さん?&br;どういう意味ですか?| |草薙京|……×。| |〇×|はい。| |草薙京|あんたが決めろ。| |〇×|……え?| |草薙京|オレの答えは決まってる。&br;多分、ナギの野郎もな。| |草薙京|あとはあんたがどっちを選ぶか――&br;それだけの話だぜ。| |〇×|私が……どっちを……?| |ナギ|うん、そうだね。&br;僕の答えも決まってる。| |ナギ|最後の最後は、×に決めてもらいたいなぁ。&br;僕はそれに従うよ。| |〇×|は、はい……。| |〇×|(人狼は京さん? それともナギさん?&br;いったい、どっちなんだろう……?)| |〇×|(全然わからない、けど……。&br;私が決めなくちゃいけないんだよね。)| |ヨミ|……ナギ様……。| |〇×|(うまく……言葉にできない、けど。&br;さっきから、何かが引っかかっている気がする。)| |〇×|う、うーん……。| |包|――お姉ちゃん、×お姉ちゃん。| |〇×|(……包くん?)| |包|…………。| |〇×|(もしかして……私になにか伝えようとしてくれてる?)| |〇×|(なんだろう。包くんが、私に伝えたいこと……?)| |包|他には、処刑された人が人狼か調べられる霊媒師とか……。&br;市民なのに人狼の味方をする狂人とかもあるんだけどね。| |〇×|(――あ! もしかして……!)| |〇×|(……そうか。だからあの時……!)| |包|――さぁ、最後の投票の時間だよ。&br;みんな、答えは出たかな?| #endregion //------------------------------ **第9話 [#story9] #region(ネタバレ注意) |包|泣いても笑っても最後の投票だよ。&br;……では結果を発表します。| |包|本日処刑されるのは、ナギさんです。&br;そしてこの瞬間、勝敗が決まりました! 勝ったのは――| |包|人間チームです!&br;×お姉ちゃん、京さん、おめでとう!!| |〇×|や、やった……!| |草薙京|×! 手を上げろ!| |〇×|え?&br;は、はい、こうですか……?| |草薙京|ははっ、なにぼけっとしてんだ。&br;ハイタッチだよ。| |草薙京|よくやったな! オレたちの勝ちだぜ!| |〇×|――は、はい!!&br;勝ちました! 勝てましたね、京さんっ!| |包|ふふ、じゃあ無事終わったことだし&br;種明かしさせてもらおうかな。| |包|まず騎士――もうみんなわかってると思うけど&br;これは京さんだね。| |草薙京|ま、騎士としてはきっちり守ったし、&br;最後は勝ったし、個人的には大満足だぜ。| |包|次いで、占い師は――紅丸さんでしたー!&br;先にカミングアウトしたナギさんに、してやられちゃったね。| |二階堂紅丸|誰も信じてくれなくて、悲しかったぜ……。| |草薙京|ありゃ、お前の言い訳が下手くそすぎんだよ。| |包|ふふっ、あれはナギさんの話術が巧みだったね。&br;初心者とは思えないプレイングだったよ。| |包|もちろん人狼はナギさん――そして、真吾さんだね!&br;真吾さんはやっぱり、発言の少なさが敗因かなぁ。| |矢吹真吾|うぅ、KOFの試合より、はるかに緊張したっす……。| |矢吹真吾|最初にうまく話がそれてくれたと思ったんですけど……。&br;やっぱり悪いことはうまくいかないですね。| |ロバート・ガルシア|まぁ、あの演技にしては、長生きした方やな。| |リョウ・サカザキ|そうだぞ。&br;俺なんて、何もわからん内に追放されたんだからな。| |一同|あはははは!| |ナギ|あーあ。×は僕に&br;味方してくれなかったかぁ。残念。| |〇×|ナギさん……。| |ナギ|ねぇ。どうして京の方を信じたんだい?&br;何か、ひらめいたような顔をしていたけれど。| |〇×|えっと……。&br;私、投票の直前に思ったんです。| |〇×|ヨミさんは、結果的に市民だったわけですけど、&br;実はこっそりナギさんを守ろうとしてたんじゃないかって。| |ヨミ|…………!| |ナギ|ふふ、大正解だよ、×。| |ナギ|僕もヨミが騎士を自称したときに気付いたんだけど……。&br;ねえ、ヨミ。君は『隠れ狂人』になろうとしてたよね?| #endregion //------------------------------ **第10話 [#story10] #region(ネタバレ注意) |ナギ|初日に真吾をかばったときと、&br;京に騎士だと嘘をついたとき――| |ナギ|あれは僕をかばおうとしていたんでしょ、ヨミ?| |ナギ|おかしいなとは思ったんだよね。&br;ヨミは市民のはずなのに。| |ヨミ|申し訳ございません……。&br;ナギ様のお役に立てばと思い、つい……。| |包|もう~! ルールはちゃんと守ってよね! 下手したら、&br;ゲームが成立しなくなってたかもしれないんだから。| |包|それで、ナギさんが悲しんだら、ヨミさんも嫌でしょう?| |ヨミ|……ああ。| |〇×|(ヨミさんが包くんに叱られてる……。&br;すごい絵だなぁ……。)| |包|あと、ナギさんもだよ。&br;本当は見逃した時点で、同罪なんだからね!| |包|途中でゲームを止めて警告すべきか……&br;本当に、本っ当に、悩んだんだよー!| |ナギ|おや、そうだったのかい?| |草薙京|ま、そのくらいにしとけ、包。&br;おかげでずいぶん熱いゲームになったのは事実だしな。| |草薙京|な、×。| |〇×|そうですね!&br;最後までいっぱい考えさせられました!| |〇×|まるで、どんでん返しがいっぱいある映画みたいで&br;すっごく楽しかったです!| |ナギ|――ほら、×もこう言っているし。&br;許してあげて?| |包|もう~!&br;そういうことは、自分で言わないの!| |矢吹真吾|――あ、停電直りましたね!| |包|本当だ……。&br;いつの間にか、雨もやんだみたい!| |〇×|……良かった。&br;これでみなさん、帰れますね!| |草薙京|…………。| |草薙京|おい、ナギ。&br;あんた、ずいぶんナメたことしてたよな。| |ナギ|ん? なんのことかな?| |草薙京|オレじゃなくて味方の真吾に投票したり、&br;ヨミを突き放すみたいに食っちまったりとかだよ。| |草薙京|わざと、時間引き延ばすようなマネばっか&br;してたろうが。| |ナギ|うん、正解。だって、×と&br;少しでも長く遊んでいたかったからね。| |草薙京|はぁ……。そんなことだろうと思ったぜ。| |草薙京|お前、そんなんだから、包に叱られたんだぞ。&br;どっちが狂人なんだか……。| |ナギ|ふふっ。それに君なら最後の最後には、&br;×を守るってわかってたからね。| |草薙京|何言ってんだ。&br;当然だろ?| |草薙京|誰を守るべきかなんて、そんなの&br;最初から決まってる。| |ナギ|……当然、ね。| |ナギ|――今日は楽しかったよ。&br;また遊ぼうね。| |草薙京|おう、いつでも来い。&br;受けて立つぜ。| #endregion //------------------------------ ページの更新 ビジュアル編集モードに切り替える **第1話 [#story1] #region(ネタバレ注意) |>|ある嵐の夜のこと――| |〇×(主人公)|京さん、電気はつきそうですか?| |草薙京|いや、無理だな。&br;ブレーカーをあげても、うんともすんとも言いやしねぇ。| |草薙京|ったく、ひでえ嵐だぜ。| |二階堂紅丸|うーん、こりゃダメだね。&br;どこかで電線でも切れたのかな?| |草薙京|かもな。&br;他の家も暗いみてぇだし、この辺一帯停電になってんだろ。| |矢吹真吾|おれ、懐中電灯取ってきますね!| |リョウ・サカザキ|ああ、すまないな、真吾。| |ロバート・ガルシア|はぁ、しくったなぁ。&br;天気予報じゃ、夜は小雨やったんやけど。| |ロバート・ガルシア|やっぱ、早めに稽古切り上げとくべきやったか……。| |リョウ・サカザキ|自然相手では仕方がないだろう。&br;問題はこの後、どうするかだが……。| |包|――ねぇ、お姉ちゃん。&br;今日、大門さんとビリーさんは道場にいないの?| |〇×|うん。2人とも外出中。&br;今夜中には帰ってくるって言ってたんだけど……。| |草薙京|サボってぶらつくようなヤツらじゃねえし……。&br;電車止まってんのかもな。| |ロバート・ガルシア|その可能性は高いやろうなぁ。| |二階堂紅丸|うーん。まぁ野郎は、&br;ずぶ濡れで帰したって構わないけど……。| |二階堂紅丸|ただ、×ちゃんを&br;ここにひとり残すのは心配だな。| |ナギ|僕が一晩中ヒメのそばにいればいいんじゃないかな。&br;ねぇ、ヨミ。| |ヨミ|はい、私もお供します。| |草薙京|あんたらにまかせんのが一番心配なんだよ……。| |矢吹真吾|お待たせしました!&br;はい、みなさんの分の懐中電灯です!| |〇×|ありがとう、真吾くん。| |草薙京|おう、これで少しはマシになったな。| |ロバート・ガルシア|ま、今日はワイらもここに残ればええんとちゃうか?&br;なぁ、リョウ。| |リョウ・サカザキ|む……致し方ないか。&br;世話になる。| |包|やったー!&br;じゃあ、今日はずっとお姉ちゃんと遊べるね!| |〇×|うん、そうだね。ただ、停電が直るまでは&br;遊ぶのはちょっと難しいかな……?| |包|ううん、そんなこと――あ、そうだ。| |包|だったら、今夜はゲームをしようよ!| |〇×|ゲーム?| |草薙京|おいおい。&br;電源もないのに、なんのゲームをすんだよ?| |包|ふふ、京さん。&br;暗闇でも、電源がなくても楽しめるゲームがあるんだよ。| |包|その名も……人狼ゲーム!| |〇×|じんろう?| #endregion //------------------------------ **第2話 [#story2] #region(ネタバレ注意) |〇×|えっと、包くん。&br;そのじんろうゲームって、どんなゲームなの?| |包|人狼は、狼人間って意味だよ。| |包|プレイヤーが人狼チームと人間チームの2つに分かれて&br;『人間になりすました人狼を見つけ出す』ゲームなんだ。| |包|うん、これだけ人数もいるし&br;きっと楽しめると思う!| |ロバート・ガルシア|はーん、人狼か。&br;ええな、楽しそうやないか。| |リョウ・サカザキ|なんだ。&br;ロバートはやったことがあるのか?| |ロバート・ガルシア|まぁな。大人数でわいわいやるには&br;ぴったりのゲームやで。| |ナギ|×がやるなら、僕もやってみたいな。&br;ヨミもやるよね?| |ヨミ|はい、ナギ様がそうおっしゃるのなら。| |二階堂紅丸|へぇ、つまり嘘つきを暴くゲームってことかな。&br;悪くないね。| |草薙京|ま、他にすることもねぇしな。&br;とりあえずやってみっか。| |矢吹真吾|え? 嘘をつくゲームなんですか……?&br;おれ、あんまり自信ないっす……。| |リョウ・サカザキ|嘘をつくなんて、あまり感心せんな。| |包|まあまあ、ゲームだからさ。&br;それに絶対嘘をつかなきゃいけないわけじゃないよ。| |包|人間チームだったら、嘘はつかないし&br;人狼でも、正体を黙ってればいいだけなんだから。| |リョウ・サカザキ|そうなのか?&br;む、しかし……。| |ロバート・ガルシア|せや。それに、こういうもんは楽しんだモン勝ちやで。&br;×ちゃんもそう思うやろ?| |〇×|そうですね。| |〇×|確かにちょっとドキドキしちゃいそうですけど……。&br;でもみなさんでやれば、きっと楽しくなると思います。| |リョウ・サカザキ|そこまで言うなら……まぁ。| |包|はい、決まり!&br;これで全員参加だね!| |包|じゃあ、ぐるっと円状に座ってもらおうかな。&br;はい、みんな移動してー。| |包|それじゃあ、僕がゲームマスターをやらせてもらうね。| |包|ゲームマスターは進行役。審判みたいなものだから、中立だよ。&br;どっちのチームの人でも、相談は僕にしてね!| |包|じゃあ、簡単にルールを説明するよ。| |包|まず、みんなはある街の市民たちです。| |リョウ・サカザキ|ある街? どこにあるんだ?| |ロバート・ガルシア|そういう設定っちゅうことやろ。&br;ひとまず、続き聞こうや。| |包|うん、その街は平和な街だったんだけど……&br;実は――人間のフリをした凶悪な人狼が紛れ込んでいたんだ。| |包|そして、ある日――&br;領主である僕は、人狼たちに食べられちゃいました。| |〇×|ええっ!?| |包|ふふっ、僕を食べた犯人はいったい誰なんだろうね?| |包|人狼たちはね、市民をみんな食べてしまいたいんだけど&br;人間の方が数が多いから、正体がバレると退治されちゃう。| |包|だから、夜の内にひとりずつ、こっそり食べていくんだ。| |包|そうやって、生き残った市民の数が人狼と同じか&br;それ以下になったら人狼チームの勝ちだよ。| |包|まあ、だいたい数が同じになった時点で勝敗は&br;決まっちゃうけどね。一対一なら、人狼の方が強いから。| |包|逆に人間チームは、そうなる前に人狼の正体を見破って&br;全員退治できたら勝ち。| |包|――おおざっぱなルールは、こんな感じかな?&br;ここまでは大丈夫?| #endregion //------------------------------ **第3話 [#story3] #region(ネタバレ注意) |ロバート・ガルシア|つまり、人狼チームの勝利条件は&br;自分らの数と同じになるまで、市民の数を減らすこと。| |ロバート・ガルシア|人間チームの勝利条件は&br;人狼を全員見つけて退治することやな。| |包|うん、その通り!&br;じゃあ、ゲームの流れを説明するね。| |包|人狼ゲームは、昼と夜の2ターン制なんだ。&br;人間と人狼、交互に攻撃していく形だよ。| |包|まず、最初に領主が殺される夜のターンが来る。&br;とりあえず、0日目と呼んでおこうかな。| |包|この0日目の夜は、人狼が&br;自分の仲間が誰かを把握するためのターンだよ。| |包|あとは役職持ちの人が能力を使ったりするんだけど……。&br;役職は大事な部分だから、この後説明するね。| |包|そして、夜が終わると1日目の昼が来て……。&br;領主の無残な姿が発見されるわけだね。| |包|ここで、いったい誰が犯人――人狼なのか&br;みんなで話し合って、一番怪しい人に投票するんだ。| |包|そして、一番得票数が多かった人が&br;処刑されちゃうんだよ。| |リョウ・サカザキ|多数決で、犯人が決まるのか。&br;間違って人間を処刑してしまったらどうするんだ?| |包|うん。そこでうまく人狼を処刑できれば、大成功だけど……。&br;失敗すると、その日の夜、また別の市民が食べられちゃう。| |包|そうやって決着がつくまで&br;昼と夜を交互に繰り返していく感じだね。| |〇×|な、なかなか殺伐とした世界観なんだね……。| |二階堂紅丸|安心して、×ちゃん。&br;キミのことは、俺が絶対守ってあげるからね。| |草薙京|はあ? んなことできんのかよ?| |包|うん、それが――実はできるんだよね。&br;役職持ちって呼ばれる人なんだけど……。| |包|まぁ、役職に関しては、先に振り分けてからの方が&br;理解しやすいかな。| |包|ということで、今からみんなに役職カードを配ります。&br;――あ、自分の役職は誰にも言っちゃダメだからね。| |〇×|(い、いったいどんな役職になるんだろう。&br;ドキドキする……。)| |包|みんな自分の役職は確認したかな?&br;役職カードは、他の人には絶対見られないようにね。| |包|それじゃ、役職について説明しよっか。| |包|今日は初めての人も多いし――人狼2、騎士1、占い師1&br;それ以外の人は市民って振り分けにしてあるよ。| |包|他には、処刑された人が人狼か調べられる霊媒師とか……。&br;市民なのに人狼の味方をする狂人とかもあるんだけどね。| |〇×|きょ、狂人……。&br;なんだか、ちょっと怖い役だね……。| |包|あははっ。&br;大丈夫、今日はいないから安心して。| |包|まず人狼。&br;さっき言ったように、人間を食べちゃう悪いヤツだよ。| |包|今回は2人いるから、協力して人間たちを騙していってね。| |包|次に騎士。市民の強い味方で、一晩にひとりだけ&br;狼の攻撃から守ることができるんだ。| |包|占い師は、怪しい人が人狼かどうか占うことができるよ。| |包|重要職だけど、&br;それだけに人狼に狙われやすいから気をつけて。| |包|最後は市民。特別な能力はない普通の人だけど&br;君たちの判断が街の行方を左右するから、頑張ってね!| |包|……なんとなくわかったかな?&br;こまかいところはやりながら説明するから、いつでも聞いてね。| |包|――それじゃ、人狼ゲームを始めます!| #endregion //------------------------------ **第4話 [#story4] #region(ネタバレ注意) |包|0日目の夜が来ました。みなさん、目を閉じてください。| |包|じゃあ、まずは人狼さん人狼さん。&br;目を開けて、仲間が誰か確認してください――| |〇×|(私の役職は――)| |〇×|(市民……普通の人間役だった。)| |〇×|(つまり、私以外の7人の中に&br;人狼が2人いるってことだよね……。)| |〇×|(いったい誰なんだろう……?)| |包|じゃあ、次に占い師さん。誰を占いますか?&br;指をさしてください――| |〇×|(それに、他の人から見たら、私が市民ってことも&br;わからないし、疑われる可能性もあるよね……?)| |〇×|(うぅ、ドキドキする……。)| |包|……はい、OKです。&br;みなさん、目を開けてください。| |包|おはようございます! 1日目の昼が来ました。&br;――さあ、では議論を始めてください。| |〇×|(頑張って、人狼を見つけださなきゃ……!)| |ロバート・ガルシア|ほんなら早速、経験者として言わせてもらうな。&br;占い師さんおったら、名乗り出えへんか?| |ロバート・ガルシア|まず占い結果聞かせてもらうんが、一つの定石ではあってな。&br;もちろんちゃう場合も多いんやけど……。| |ナギ|――あ、僕が占い師だよ。| |二階堂紅丸|なっ!?&br;んなわけないだろ、俺が占い師だ!| |〇×|(ええっ!? 占い師が2人……!?&br;いったいどういうことなの!?)| |草薙京|しょっぱなから飛ばすじゃねぇか。| |リョウ・サカザキ|つまりこれは、ナギと紅丸のうち&br;どちらかが嘘をついているということか、ロバート?| |ロバート・ガルシア|せやな。&br;でもって、嘘ついとる方は100パー人狼や。| |〇×|(ナギさんか、紅丸さんが人狼……!?)| |ロバート・ガルシア|まぁ、せっかく名乗り出てくれたんやし、両方聞いてみよか。&br;――なぁ、ナギ。あんたは誰を占ったんや?| |ナギ|僕は、真吾を占ったよ。&br;真吾は人間だったね。| |二階堂紅丸|俺はヨミだな。&br;ヨミも人間だったぜ。| |〇×|あ、×ちゃんは&br;最初から人間だって信じてるから、占わなかったよ。| |ヨミ|…………。| |草薙京|よくわかんねぇけど、自称占い師は&br;2人とも追放でいいんじゃねぇのか?| |ロバート・ガルシア|うーん、それも手ではあるんやけど……。&br;もうちょい他の人の話を聞いてからでもええかもなぁ。| |ロバート・ガルシア|なぁ、×ちゃんはどない思う?| |〇×|わ、私ですか?&br;うーん……。| |〇×|私もまだよくわかってないんですけど&br;ナギさんも紅丸さんも嘘っぽく見えないんですよね……。| |リョウ・サカザキ|そういえば、真吾は始まったときから&br;やけに静かだな。| |矢吹真吾|――ひぇっ!| |草薙京|……おい、真吾。&br;お前、どうして全然しゃべらなかった?| |矢吹真吾|そ! それなら、&br;ヨミさんだって全然しゃべってないですよ!!| |草薙京|あいつはもとからああいうキャラだろ。| |矢吹真吾|それは……、そうですけど……。| |ヨミ|…………はぁ。| #endregion //------------------------------ **第5話 [#story5] #region(ネタバレ注意) |ヨミ|わかった。&br;発言しなければ怪しまれるというのなら、発言するが。| |ヨミ|口数が少ないものは、与えられた役職に緊張して&br;発言できなかったという可能性はないか?| |ロバート・ガルシア|……なるほど。&br;それはちょいと困るかもなぁ。| |〇×|え?&br;どういうことですか。| |ロバート・ガルシア|――×ちゃんは&br;シロって見込んで言うてまうけどな。| |ロバート・ガルシア|ヨミは、真吾や自分が、人狼やのうて、&br;騎士かもしれん言うとるんや。| |ロバート・ガルシア|ただ、そこにこれ以上突っ込みすぎると&br;騎士が人狼に見つかってまうやろ?| |〇×|……なるほど、そういうことなんですね。| |〇×|(真吾くんが人狼なら退場してもらった方がいいけど、&br;騎士なら守る人がいなくなっちゃう……。)| |包|はーい、みんな。そろそろ投票の時間だよ。&br;投票相手を決めてね。| |草薙京|ゲッ、もうそんな時間かよ。| |ロバート・ガルシア|うーん。このままだと水掛け論になりそうやな。| |ロバート・ガルシア|まぁ、初日は消しても当たりさわりのないグレーゾーンの&br;人間を減らして、様子見するってのも手やけど……。| |草薙京|消しても……。| |二階堂紅丸|当たりさわりのない……。| |リョウ・サカザキ|…………ん?| |リョウ・サカザキ|な、なんでみんな俺の方を見ているんだっ?&br;おい……!?| |包|はーい、ということで&br;本日処刑されるのは~……リョウさんでーす!| |リョウ・サカザキ|何故だ!? 納得いかない!| |ロバート・ガルシア|せやけどな、リョウ。&br;真吾もそうやけど、お前も今んとこ目立ってなさすぎや。| |ロバート・ガルシア|自分の潔白アピールしきらんと、&br;すぐ吊られるで。| |リョウ・サカザキ|自分の潔白なんて、どうアピールするんだ。&br;理不尽すぎないか!?| |ロバート・ガルシア|言いたいことはわかる。&br;わかるんやけどな……。| |ロバート・ガルシア|堪忍な、リョウ。&br;数を減らして推理の助けになるのも、市民の役目や。| |包|はい、それじゃリョウさんは、あっちで見学しててね。&br;これ以上、しゃべっちゃダメだよ。| |リョウ・サカザキ|う、うぐ……っ!| |包|さて、恐ろしい1日目の夜が来てしまいました。&br;みなさん、目を閉じてください――| |包|――おはようございます! 2日目の昼が来ました。| |包|昨晩、無残な姿で発見されたのは……ロバートさんです!| |ロバート・ガルシア|かーっ! 目立ちすぎたか!&br;まぁ、しゃあないわな……。| |〇×|えっと……リョウさんは目立たなくて処刑されちゃいましたけど&br;目立ちすぎても、ダメなんですか?| |草薙京|大方、人狼のヤツにうっとうしがられる&br;発言でもしたんだろうな。| |ロバート・ガルシア|そうやな。&br;議論の進行役は、人狼にとって邪魔に――| |包|はいはーい、そこまで!&br;脱落者はそれ以上のアドバイス、禁止だからね!| |ロバート・ガルシア|……ちゅうわけで、退散するわ。&br;ほな、×ちゃんも、頑張ってな~。| |〇×|(ロバートさんがいなくなっちゃった……。&br;次はいったいどうなるんだろう……?)| |二階堂紅丸|よし! じゃあ、俺から言わせてもらうぜ。| |二階堂紅丸|俺は昨晩、ナギを占った。&br;ナギの野郎は人狼だ!| |草薙京|――ハ。&br;聞かれてもないのに、よくしゃべるな?| |二階堂紅丸|おいおい、京。&br;俺を疑ってるのか?| #endregion //------------------------------ **第6話 [#story6] #region(ネタバレ注意) |二階堂紅丸|なぁ、京。お前とも長い付き合いだよな。&br;……無二の親友の言葉が信じられないのか?| |草薙京|そんな言い訳しかできねぇのかよ。&br;ますますあやしすぎんだろ。| |二階堂紅丸|はっ。&br;言ってくれるね……。| |草薙京|あ? やんのか?| |〇×|ちょ、ちょっと待ってください!&br;ケンカはダメですよ!| |包|ストップストップ!&br;もう~、人狼中は格闘禁止!| |包|次、リアルファイトになりそうだったら、中止するからね!| |二階堂紅丸|……ふぅ、ごめんごめん。&br;ちょっと熱くなりすぎちゃったかな。| |包|京さんも!&br;必要以上にあおっちゃダメだよ!| |草薙京|そうカッカすんなって。&br;わぁったよ。| |〇×|(良かった……。&br;なんとか収まってくれた、かな)| |ナギ|――ねぇ。&br;そろそろ僕も発言していいかな?| |ナギ|僕は×を占ったよ。&br;×は人間だった。| |〇×|ナギさん……。| |〇×|(私が人間だってわかったってことは……。&br;ナギさんが本物の占い師なのかな……?)| |〇×|(でも、紅丸さんも嘘をついているようには&br;見えないんだよね。……うーん。)| |ナギ|ねぇ、紅丸。&br;君は僕の後に、占い師だと名乗ったよね? それはどうして?| |二階堂紅丸|どうしても何も……。&br;俺が本物の占い師だからだよ。| |ナギ|本当かい? 僕に主導権を取られると正体がバレてしまうから&br;慌てて名乗り出たのではないかな。| |矢吹真吾|た、確かに。そう言われると、紅丸さん&br;ちょっと怪しい、かも……?| |ヨミ|そうだな。&br;やはり後続の人間の方が疑わしい。| |二階堂紅丸|そ、そんな……!| |包|はーい、それじゃ投票の結果を発表するよ。&br;本日処刑されるのは――紅丸さんです!| |二階堂紅丸|うぅ、俺が本物なのに……。| |〇×|紅丸さん、すみません……元気だしてください。| |二階堂紅丸|×ちゃん……!| |〇×|は、はい……!| |二階堂紅丸|ありがとう。&br;処刑台からキミの輝ける生を祈っているよ……。| |二階堂紅丸|俺の分まで、頑張ってね……!| |〇×|え、あ、はい……!&br;頑張ります!| |草薙京|……何やってんだ、あいつ。| |包|さて、2日目の夜が……やってきます!| |包|まだ人狼はいるみたいだね。&br;今日は誰が狙われちゃうのかな――| |包|さて、3日目の昼がやってきました。&br;昨晩の被害者ですが――| |包|いませんでした! 人狼の襲撃は失敗です。&br;騎士さん、よく守ったね!| |包|残り5人……人狼はいったい誰なのかな?&br;――では、議論を始めてください。| |ナギ|じゃあ、占いの結果を発表するね。| |ナギ|僕は京を占ったよ。&br;京は人狼だった。| |草薙京|……なっ!?| #endregion //------------------------------ **第7話 [#story7] #region(ネタバレ注意) |〇×|(京さんが……人狼?)| |草薙京|……はっ。&br;ナギ、てめぇも人狼か。| |草薙京|オレが人狼なわけねぇだろ。&br;オレは騎士だぜ。| |ナギ|――へぇ。&br;なら昨日は誰を守ったのかな?| |草薙京|けっ。わかってるくせに、白々しいな。&br;昨夜はヨミを守ったぜ。| |草薙京|初日に、役職のせいで発言しにくいって抜かしてたからな。&br;人狼側からしたら、ヨミのが騎士っぽく見えたろ。| |草薙京|敵が仕掛けてくんなら今日だと思って、ヤマ張っといたんだよ。&br;大当たりだったみたいだな。| |草薙京|ナギ、あんたハッタリかける相手を間違ったぜ。| |ナギ|…………。| |〇×|(ナギさんが答えに詰まってる……。&br;ってことは、京さんの言うとおりなのかな……?)| |〇×|(京さんが騎士だとしたら、ヨミさんは市民で、&br;ナギさんが人狼……ってこと?)| |〇×|(でもナギさん、困っているようには全然見えないし……。&br;人狼らしくない気もするけど……。)| |ヨミ|待て、草薙京。| |草薙京|あ? なんだよ?| |ヨミ|貴様は嘘をついている。&br;騎士は俺だ。| |草薙京|……はぁっ!?| |ヨミ|昨夜、俺がナギ様を守ったのだ。&br;貴様はナギ様を襲った人狼だろう。| |〇×|ええっ!?| |〇×|(い、いったい……どういうことなの!?)| |〇×|(京さんが騎士で、ヨミさんを守って……。&br;でもヨミさんも騎士で、ナギさんを守って、京さんが人狼……?)| |〇×|(うう、ダメ! 混乱してきちゃった……!)| |リョウ・サカザキ|…………。| |二階堂紅丸|…………。| |包|…………。| |草薙京|……てめぇ、何考えてんだ、ヨミ。| |ヨミ|それはこちらのセリフだ、草薙京。| |包|……そろそろ投票の時間だよ。&br;必ず誰かを選んで、投票してね。| |〇×|(もう時間が……!&br;いったい誰が味方で、誰が敵なの……!?)| |ナギ|――ねぇ、×。| |〇×|え!?&br;は、はい……っ!| |ナギ|×はどう思う? 誰に投票したらいいかな。&br;君の意見を聞かせてほしいな。| |〇×|え、ええっと、その……!| |〇×|(どうしよう……全然わからないよ……!)| #endregion //------------------------------ **第8話 [#story8] #region(ネタバレ注意) |〇×|わ、わからないので……ずっとしゃべってない真吾くんで!!| |矢吹真吾|ええっ!?&br;おれですか!?| |ナギ|へぇ、真吾かい?| |〇×|ぜ、全然自信はないんですけど……勘っていうか。| |ナギ|――ふふ、なるほどね。| |草薙京。|……ま、それもいい判断かもな。| |矢吹真吾|く、草薙さんまで……!| |草薙京|成仏しろよ、真吾。| |矢吹真吾|そんなぁ……っ!| |包|投票結果は……真吾さん3票、京さん1票、ヨミさん1票。&br;ということで、処刑されるのは真吾さんでーす!| |矢吹真吾|うぅ、無念っす……。| |〇×|(ごめんね、真吾くん……。)| |草薙京|……3票、か。| |〇×|(京さん……?)| |包|それじゃ、夜のターンに入るよ。&br;みんな、目を閉じて――| |包|おはようございます。4日目の昼が来ました!| |包|昨晩無残な姿で発見されたのは――ヨミさんです!!| |ヨミ|なっ!?| |包|はいはーい。というわけで、脱落者のヨミさんは&br;退場してくださーい。| |ヨミ|くっ……了解した。| |〇×|(ヨミさん……? すごい驚いてたけど&br;そんなに襲われるのが意外だったのかな……?)| |包|さぁ、まだ勝負はついていないよ。| |包|生き残っているナギさん、京さん、&br;×お姉ちゃん。| |包|今日が最終日だからね。&br;さぁ、頑張って!| |〇×|最終日……?| |〇×|(あ。そうか。人狼と市民の数が同じになったら負けなんだから&br;今、この中に人狼はひとりしかいないんだ。)| |〇×|(つまり、京さんか、ナギさんのどちらかが人狼……。)| |草薙京|――これではっきりしたな。| |〇×|京さん?&br;どういう意味ですか?| |草薙京|……×。| |〇×|はい。| |草薙京|あんたが決めろ。| |〇×|……え?| |草薙京|オレの答えは決まってる。&br;多分、ナギの野郎もな。| |草薙京|あとはあんたがどっちを選ぶか――&br;それだけの話だぜ。| |〇×|私が……どっちを……?| |ナギ|うん、そうだね。&br;僕の答えも決まってる。| |ナギ|最後の最後は、×に決めてもらいたいなぁ。&br;僕はそれに従うよ。| |〇×|は、はい……。| |〇×|(人狼は京さん? それともナギさん?&br;いったい、どっちなんだろう……?)| |〇×|(全然わからない、けど……。&br;私が決めなくちゃいけないんだよね。)| |ヨミ|……ナギ様……。| |〇×|(うまく……言葉にできない、けど。&br;さっきから、何かが引っかかっている気がする。)| |〇×|う、うーん……。| |包|――お姉ちゃん、×お姉ちゃん。| |〇×|(……包くん?)| |包|…………。| |〇×|(もしかして……私になにか伝えようとしてくれてる?)| |〇×|(なんだろう。包くんが、私に伝えたいこと……?)| |包|他には、処刑された人が人狼か調べられる霊媒師とか……。&br;市民なのに人狼の味方をする狂人とかもあるんだけどね。| |〇×|(――あ! もしかして……!)| |〇×|(……そうか。だからあの時……!)| |包|――さぁ、最後の投票の時間だよ。&br;みんな、答えは出たかな?| #endregion //------------------------------ **第9話 [#story9] #region(ネタバレ注意) |包|泣いても笑っても最後の投票だよ。&br;……では結果を発表します。| |包|本日処刑されるのは、ナギさんです。&br;そしてこの瞬間、勝敗が決まりました! 勝ったのは――| |包|人間チームです!&br;×お姉ちゃん、京さん、おめでとう!!| |〇×|や、やった……!| |草薙京|×! 手を上げろ!| |〇×|え?&br;は、はい、こうですか……?| |草薙京|ははっ、なにぼけっとしてんだ。&br;ハイタッチだよ。| |草薙京|よくやったな! オレたちの勝ちだぜ!| |〇×|――は、はい!!&br;勝ちました! 勝てましたね、京さんっ!| |包|ふふ、じゃあ無事終わったことだし&br;種明かしさせてもらおうかな。| |包|まず騎士――もうみんなわかってると思うけど&br;これは京さんだね。| |草薙京|ま、騎士としてはきっちり守ったし、&br;最後は勝ったし、個人的には大満足だぜ。| |包|次いで、占い師は――紅丸さんでしたー!&br;先にカミングアウトしたナギさんに、してやられちゃったね。| |二階堂紅丸|誰も信じてくれなくて、悲しかったぜ……。| |草薙京|ありゃ、お前の言い訳が下手くそすぎんだよ。| |包|ふふっ、あれはナギさんの話術が巧みだったね。&br;初心者とは思えないプレイングだったよ。| |包|もちろん人狼はナギさん――そして、真吾さんだね!&br;真吾さんはやっぱり、発言の少なさが敗因かなぁ。| |矢吹真吾|うぅ、KOFの試合より、はるかに緊張したっす……。| |矢吹真吾|最初にうまく話がそれてくれたと思ったんですけど……。&br;やっぱり悪いことはうまくいかないですね。| |ロバート・ガルシア|まぁ、あの演技にしては、長生きした方やな。| |リョウ・サカザキ|そうだぞ。&br;俺なんて、何もわからん内に追放されたんだからな。| |一同|あはははは!| |ナギ|あーあ。×は僕に&br;味方してくれなかったかぁ。残念。| |〇×|ナギさん……。| |ナギ|ねぇ。どうして京の方を信じたんだい?&br;何か、ひらめいたような顔をしていたけれど。| |〇×|えっと……。&br;私、投票の直前に思ったんです。| |〇×|ヨミさんは、結果的に市民だったわけですけど、&br;実はこっそりナギさんを守ろうとしてたんじゃないかって。| |ヨミ|…………!| |ナギ|ふふ、大正解だよ、×。| |ナギ|僕もヨミが騎士を自称したときに気付いたんだけど……。&br;ねえ、ヨミ。君は『隠れ狂人』になろうとしてたよね?| #endregion //------------------------------ **第10話 [#story10] #region(ネタバレ注意) |ナギ|初日に真吾をかばったときと、&br;京に騎士だと嘘をついたとき――| |ナギ|あれは僕をかばおうとしていたんでしょ、ヨミ?| |ナギ|おかしいなとは思ったんだよね。&br;ヨミは市民のはずなのに。| |ヨミ|申し訳ございません……。&br;ナギ様のお役に立てばと思い、つい……。| |包|もう~! ルールはちゃんと守ってよね! 下手したら、&br;ゲームが成立しなくなってたかもしれないんだから。| |包|それで、ナギさんが悲しんだら、ヨミさんも嫌でしょう?| |ヨミ|……ああ。| |〇×|(ヨミさんが包くんに叱られてる……。&br;すごい絵だなぁ……。)| |包|あと、ナギさんもだよ。&br;本当は見逃した時点で、同罪なんだからね!| |包|途中でゲームを止めて警告すべきか……&br;本当に、本っ当に、悩んだんだよー!| |ナギ|おや、そうだったのかい?| |草薙京|ま、そのくらいにしとけ、包。&br;おかげでずいぶん熱いゲームになったのは事実だしな。| |草薙京|な、×。| |〇×|そうですね!&br;最後までいっぱい考えさせられました!| |〇×|まるで、どんでん返しがいっぱいある映画みたいで&br;すっごく楽しかったです!| |ナギ|――ほら、×もこう言っているし。&br;許してあげて?| |包|もう~!&br;そういうことは、自分で言わないの!| |矢吹真吾|――あ、停電直りましたね!| |包|本当だ……。&br;いつの間にか、雨もやんだみたい!| |〇×|……良かった。&br;これでみなさん、帰れますね!| |草薙京|…………。| |草薙京|おい、ナギ。&br;あんた、ずいぶんナメたことしてたよな。| |ナギ|ん? なんのことかな?| |草薙京|オレじゃなくて味方の真吾に投票したり、&br;ヨミを突き放すみたいに食っちまったりとかだよ。| |草薙京|わざと、時間引き延ばすようなマネばっか&br;してたろうが。| |ナギ|うん、正解。だって、×と&br;少しでも長く遊んでいたかったからね。| |草薙京|はぁ……。そんなことだろうと思ったぜ。| |草薙京|お前、そんなんだから、包に叱られたんだぞ。&br;どっちが狂人なんだか……。| |ナギ|ふふっ。それに君なら最後の最後には、&br;×を守るってわかってたからね。| |草薙京|何言ってんだ。&br;当然だろ?| |草薙京|誰を守るべきかなんて、そんなの&br;最初から決まってる。| |ナギ|……当然、ね。| |ナギ|――今日は楽しかったよ。&br;また遊ぼうね。| |草薙京|おう、いつでも来い。&br;受けて立つぜ。| #endregion //------------------------------ データ参照プラグイン 入力支援ツールを表示 ▼参照先ページ選択:データを表示 元データの書式(インラインプラグイン)を継承する